前へ | 次へ | 目次 | 索引 |
ディスクまたは磁気テープ・ボリュームをフォーマットしたり,ボリュームにラベルを書き込んだりします。また,構造情報を持つシステム・ファイルを除き,ディスクを空にします。ディスクの以前の内容はすべて失われます。INITIALIZEコマンドの大部分の操作には, VOLPRO (ボリューム保護) 特権が必要です。
INITIALIZE 装置名[:] ボリューム・ラベル
装置名[:]
初期化するボリュームを物理的にマウントする装置の名前を指定します。この時点で装置を割り当てる必要はありません。ただし,初期化の前には割り当てるようにしてください。
ボリューム・ラベル
ボリュームでエンコードする ID を指定します。ディスク・ボリュームの場合は,ANSI 文字を 12 文字まで指定できます。磁気テープ・ボリュームの場合は,英数字を 6 つまで指定できます。文字は自動的に大文字に変換されます。ディスク・ボリューム・ラベルは,英数字,ドル記号 ($),アンダスコア (_),およびハイフン(-)だけで構成することをおすすめします。磁気テープのボリューム・ラベルに ANSI a 文字を使用するには,ボリューム名を二重引用符(" ")で囲まなければなりません。 ANSI a 文字についての詳細は,/LABEL 修飾子の説明を参照してください。
OpenVMS オペレーティング・システムでのディスク・ボリュームの省略時の設定の形式は,Files-11 オンディスク構造レベル 2 と呼ばれています。磁気テープ・ボリュームの省略時の設定の形式は,磁気テープ・ラベルとファイル構造に関する情報交換用の ANSI 規格 Level 3 (ANSI X3.27-1978) に基づいています。INITIALIZE コマンドを使用して,Files-11 オンディスク構造レベル 1 形式でディスク・ボリュームを初期化することもできます。
ボリュームを初期化するには VOLPRO 特権が必要です。ただし次のボリュームを初期化するする場合は,VOLPRO 特権は必要ありません。
- 空のディスクまたは磁気テープ・ボリューム (つまり,何も書き込まれていないボリューム)。
- 現在の利用者識別コード (UIC),または UIC[0,0] によって所有されるディスク・ボリューム。
- 初期化時に現在の UIC から保護しなかったために,現在の UIC による書き込み (W)アクセスが許可されている磁気テープ・ボリューム。
ボリュームを初期化してマウントした後に, SET SECURITY コマンドを使用して機密保護プロファイルを変更できます。
ディスク・ボリュームを初期化すると,そのルート・ディレクトリ (000000.DIR;1) のキャッシング属性はライトスルーに設定されます。つまり,省略時の設定では,ボリューム中に作成するすべてのファイルとディレクトリが,ライトスルーのキャッシング属性を継承します。キャッシング属性を変更するには, SET FILE コマンドを /CACHING_ATTRIBUTE 修飾子を付けて使用します。
磁気テープ・ボリュームを初期化する場合は常に, INITIALIZE コマンドはボリュームに対して読み込みを行います。磁気テープが空の場合は,次のような回復不可能なエラーを検出することがあります。
- ボリューム番号の誤りを示すエラー・メッセージ。
%INIT-F-VOLINV, volume is invalid
- 磁気テープの暴走。これは,前に書き込んだことがない,またはマシンの動作確認に使用されていた新しい磁気テープで頻繁に発生します。磁気テープの暴走を停止させる唯一の方法は,磁気テープ・ドライブをいったんオフラインにしてからオンラインに戻すことです。
上記のような回復不可能なエラーが発生した場合に,磁気テープを正常に初期化するためには, VOLPRO (ボリューム保護) 特権を持つアカウントから,次の修飾子を指定して INITIALIZE コマンドを各磁気テープに対して繰り返し実行します。
/OVERRIDE=(ACCESSIBILITY,EXPIRATION)
この修飾子を指定すると INITIALIZE コマンドは,磁気テープのラベルをチェックしなくなります。
VOLPRO特権を持っている場合, INITIALIZE コマンドは所有権情報を読み込まずにディスクを初期化します。 VOLPRO 特権を持っていない場合は,ディスク・ボリュームを初期化する前にその所有権を調べます。ディスクが空の場合,または形式が誤っている場合は,回復不可能なドライブ・エラーが発生することがあります。空のディスクまたは誤った形式のディスクによって回復不可能なドライブ・エラーが発生した場合は, VOLPRO 特権を持つアカウントから,/DENSITY 修飾子を指定して INITIALIZE コマンドを各磁気テープに対して実行すると,ディスクを正常に初期化できます。
ほとんどの INITIALIZE コマンド修飾子には,入出力 (I/O) 効率を最大にするパラメータを指定できます。
/ACCESSED=ディレクトリ数
Files-11 オンディスク構造レベル 1ディスクにだけ有効です。ディスク・ボリュームに対して,システム空間で作成できるディレクトリ数を 0 〜 255 の範囲で指定します。省略時の設定の値は 3 です。
/BADBLOCKS=(領域[,...])
ディスク・ボリュームに対して,ボリュームの不良領域を指定します。 INITIALIZE コマンドは,この領域を割り当て済みとしてマークして,データを書き込めないようにします。領域の指定に使用できる形式は,次のとおりです。
lbn[:数] 割り当て済みとしてマークする,最初のブロックの論理ブロック番号(LBN),または,最初のブロックから数えたブロック数(省略可能)。 sec.trk.cyl[:数] 割り当て済みとしてマークする,最初のブロックのセクタ,トラック,シリンダ,または,最初のブロックから数えたブロック数(省略可能)。
弊社が提供し,OpenVMS オペレーティング・システムでサポートしている媒体は,ディスクとTU58カートリッジを除いて,すべて工場出荷時にフォーマットされていますが,不良ブロック・データが含まれています。 Bad Block Locator ユーティリティ(BAD)または診断フォーマッタ EVRAC を使用して,不良ブロック・データをリフレッシュしたり,不良ブロック・データをマークしたりできます(ただし,ディスクと TU58 カートリッジを除きます)。 /BADBLOCKS 修飾子は,ボリュームの不良ブロック・データとして識別できない不良ブロックを指定する場合にだけ必要です。
DIGITAL Storage Architecture(DSA)ディスク(たとえば,UDA-50 や HSC50制御装置に接続されているディスク)では,不良ブロックが制御装置によって処理されるため,ファイル・システムからは,論理的には不良ブロックは存在しないように見えます。
BAD を実行する方法については,『OpenVMS Bad Block Locator Utility Manual』 ( ドキュメンテーション CD-ROM に用意されています ) を参照してください。
/CLUSTER_SIZE=ブロック数
ディスク・ボリュームに対して,最小割り当て単位をブロック数で定義します。 1 つのボリュームに指定できる最大のサイズは,16382 ブロック,または,そのボリューム・サイズの 1/50 のどちらか小さい方の値です。Files-11 オンディスク構造レベル 5 ディスク (ODS-5) の場合,省略時のクラスタ・サイズは 3 です。この場合最小の値は,次の式から計算できます。
(ブロック数で表わしたディスク・サイズ)/(65535 * 4096)
端数は整数値に切り上げなければなりません。
Files-11 オンディスク構造レベル 2 ディスク (ODS-2) の場合,クラスタ・サイズの省略時の設定は,ディスク容量によって異なります。ディスク容量が 50,000 ブロックより小さいディスクでは,省略時の設定は 1 です。ディスク容量が 50,000 ブロックより大きいディスクでは,省略時の設定は 3 あるいは次の式によって求められる値以上です。
(ブロック数で表わしたディスク・サイズ)/(255 * 4096)
端数は整数値に切り上げなければなりません。
Files-11 オンディスク構造レベル 1 ディスク (ODS-1) の場合,クラスタ・サイズは常に 1 にしなければなりません。
注意
V7.2 では,ODS-2 の計算式で求められる値よりも小さな値を ODS-2 ボリュームのクラスタ・サイズに指定することができます。しかし,このボリュームを V7.2 よりも前のバージョンを稼動しているシステムでマウントしようとした場合,次のエラーが表示されてマウントが中断します。
%MOUNT-F-FILESTRUCT, unsupported file structure level
Files-11 オンディスク構造レベル 2 (ODS-2) ディスクの初期化時に省略時の値を選択した場合,そのディスクは OpenVMS の前のバージョンでマウントすることができます。
/DATA_CHECK[=(オプション[,...])]
ディスクでの読み込みと書き込みの操作をすべてチェックします。省略時の設定では,データ・チェックは行われません。次のオプションのいずれか,または両方を指定します。
READ 読み込み操作をすべてチェックします。 WRITE 書き込み操作をすべてチェックします。/DATA_CHECK修飾子だけを指定した場合の省略時の設定です。
ディスクの初期化時に指定したチェック方法に従いたくない場合は, MOUNT コマンドで /DATA_CHECK 修飾子を指定してボリュームをマウントします。
/DENSITY=記録密度
特定のテープとディスクのフォーマット密度の値を指定することができます。磁気テープ・ボリュームでは,磁気テープに書き込む際の密度をビット/インチ (bpi) で指定します。指定できる密度値は 800 bpi,1600 bpi,または 6250 bpi です (ただし磁気テープ・ドライブがサポートしている必要があります)。
空の磁気テープに対して密度値を指定しなかった場合,システムはそのテープ・ドライブで使用可能な最大値を省略時の密度として使用します。6250 bpi, 1600 bpi,および 800 bpi で動作するドライブでは,省略時の密度は 6250 bpi となります。
以前に書き込みが行われた磁気テープに対して密度値を指定しなかった場合,システムはボリューム上の最初のレコードの密度を使用します。そのレコードが異常なほど短ければ,密度値の省略時の値は設定されません。
/DENSITY修飾子は,テープ装置 TF には適用できません。
指定できるテープ記録密度の値です。
キーワード 意味 DEFAULT 省略時の密度 800 NRZI 800 BPI 1600 PE 1600 BPI 6250 GRC 6250 BPI 3480 IBM 3480 HPC 39872 BPI 3490E IBM 3480 圧縮 833 DLT TK50: 833 BPI TK50 DLT TK50: 833 BPI TK70 DLT TK70: 1250 BPI 6250 RV80 6250 BPI EQUIVALENT 注意: 上記のキーワードは OpenVMS V7.2 よりも前の TMSCP/TUDRIVER コードでのみ有効です。この他のキーワードは Alpha のみでサポートされています。 TK85 DLT Tx85: 10625 BPI - Cmpt III - Alpha のみ TK86 DLT Tx86: 10626 BPI - Cmpt III - Alpha のみ TK87 DLT Tx87: 62500 BPI - Cmpt III - Alpha のみ TK88 DLT Tx88: (Quantum 4000) - Cmpt IV - Alpha のみ TK89 DLT Tx89: (Quantum 7000) - Cmpt IV - Alpha のみ QIC すべての QIC 装置は装置設定のみ - Alpha のみ 8200 Exa-Byte 8200 - Alpha のみ 8500 Exa-Byte 8500 - Alpha のみ DDS1 Digital Data Storage 1 - 2G - Alpha のみ DDS2 Digital Data Storage 2 - 4G - Alpha のみ DDS3 Digital Data Storage 3 - 8-10G - Alpha のみ DDS4 Digital Data Storage 4 - Alpha のみ AIT1 Sony Advanced Intelligent Tape - Alpha のみ
RXnn ディスク・ドライブでディスクをフォーマットするには, INITIALIZE/DENSITY コマンドを使用します。次のように記録密度を指定して,ディスクをフォーマットします。
キーワード 意味 single RX01 - 8 インチ double RX02 - 8 インチ dd 倍密度: 720K - 3 1/2 インチ hd 高密度: 1.44MB - 3 1/2 インチ ed 拡張高密度: 2.88MB - 3 1/2 インチ
ドライブで初期化するディスクに記録密度を指定しない場合は,そのボリュームが最後にフォーマットされたときの密度のままになります。
注意
倍密度でフォーマットしたディスクは,単密度で再フォーマットしない限り,VAX-11/780のコンソール・ブロック記憶装置(RX01ドライブ)では読み込みまたは書き込みができません。RX33 ディスクは,RX50 ディスク・ドライブでは読み込みまたは書き込みができません。RX50 ディスクは,RX33 ディスク・ドライブで読み込みと書き込みができます。しかし,RX33 ディスク・ドライブでフォーマットはできません。
/DIRECTORIES=エントリ数
この修飾子の効果は,ディスク構造によって異なります。
- ODS-1 については,/DIRECTORIES は指定されたディレクトリ・エントリ数用のスペースを 000000.DIR (MFD) に確保します。
- ODS-2 および ODS-5 については,,/DIRECTORIES は MFD の初期サイズを設定します。指定された数を 16 で除算して事前割り当てブロック数を生成します。続いて完全なクラスタ数に切り上げられます。
エントリ数は,16 〜 16000 の整数でなければなりません。省略時の設定の値は 16 です。
/ERASE
/NOERASE (省略時の設定)
削除されたデータを上書きして物理的に消去します。初期化の前に,ボリューム上での機密保持のためのデータの消去(DSE)操作を制御します。 /ERASE 修飾子は,Files-11 オンディスク構造レベル 2 およびレベル 5 ディスク・ボリュームおよび ANSI 磁気テープ・ボリュームに使用でき,ハードウェア消去機能をサポートする TU78 や MSCP 磁気テープなどに有効です。/ERASE 修飾子を指定すると,ボリュームで DSE 操作が実行されます。ディスク装置の場合は,ERASE ボリューム属性が設定されます。つまりボリュームの各ファイルは,削除と同時にデータも実際に消去されます。
DSE 操作にかかる時間は,ボリューム・サイズによって異なります。通常, INITIALIZE/ERASE コマンドは,INITIALIZE/NOERASE コマンドよりも時間がかかります。
/EXTENSION=ブロック数
ディスク・ボリュームに対して,ボリューム上のすべてのファイル用の省略時の設定の拡張サイズとして使用するブロック数を指定します。更新時に,ファイルのサイズがはじめの省略時の設定の割り当てより大きくなると,拡張サイズの省略時の設定が使用されます。 Files-11 オンディスク構造レベル2 ディスクの場合, ブロック数パラメータの値には,0 〜 65,535 の値を指定します。省略時の設定の値は 5 です。 Files-11 オンディスク構造レベル 1 ディスクの場合,この値には 0 〜 255 の値を指定します。ファイルに対して異なる拡張サイズが設定されてなく,プロセスに対して SET RMS_DEFAULT コマンドを使用して省略時の設定の拡張サイズが設定されていない場合に限り, OpenVMS オペレーティング・システムは,省略時の設定のボリューム拡張サイズを使用します。
/FILE_PROTECTION=コード
Files-11 オンディスク構造レベル 1ディスクにのみ有効です。ディスク・ボリュームに対して,ボリューム内のすべてのファイルに適用されるファイル保護の省略時の設定を定義します。
『OpenVMS Guide to System Security』に説明されている標準の構文規則に従って,コードを指定します。属性を何も指定しない場合は,ファイル保護の現在の省略時の設定が適用されます。
OpenVMS システムでボリュームを使用している場合,この属性は使用されませんが, RSX-11Mシステムでは,属性を使用してプロセスによるボリュームの使用を制御できます。OpenVMS システムは常に,省略時の設定のファイルの保護を使用します。省略時の設定のファイル保護を変更するには, SET PROTECTION/DEFAULT コマンドを使用します。
/GROUP
/NOSHARE 修飾子とともに使用して,グループ・ボリュームを作成します。グループ・ボリュームは,システム(S),オーナ(O),およびグループ(G)の各ユーザがアクセスできます。保護は, (S:RWCD,O:RWCD,G:RWCD,W)です。ボリューム所有者の利用者識別コード(UIC)は,ユーザのグループ番号とメンバ番号 0 を省略時の設定にします。
/HEADERS=ヘッダ数
ディスク・ボリュームに対して,索引ファイル用に割り当てるファイル・ヘッダ数を指定します。指定できる最小値および省略時の設定の値は 16 です。最大値は, /MAXIMUM_FILES 修飾子を使用して設定する値です。この修飾子は,多くのファイルを作成した際,ファイル・ヘッダの領域の割り当ての効率を上げるのに有用です。この修飾子を指定しない場合,ファイル・システムは,ボリュームの新しいヘッダに必要なスペースを動的に割り当てます。
注意
/HEADER 修飾子の省略時の設定の値は通常,ODS-2 ディスクには不十分です。性能を向上させて SYSTEM-F-HEADERFULL エラーを回避するには,ディスクにあるおおよそのファイル数を予想して,その値に設定してください。ただし,この値を極端に多く見積もると,ディスク領域を浪費する結果になります。
/HEADER 修飾子は,INDEXF.SYS に最初に割り当てられるヘッダの領域の量を制御します。ディスク上の各ファイルにはファイル・ヘッダが少なくとも 1 つ必要で,ヘッダはそれぞれ INDEXF.SYS 内の 1 つのブロックを占有します。多数のアクセス制御リスト・エントリ(ACE)を持つファイル,または非常に細かく断片化されているファイルには, 2 つ以上のヘッダを使用することもあります。
省略時の設定の値の 16 は,INDEXF.SYS が拡張される前に,作成される 10 未満のファイル用の空間を確保するためのものです。それを考慮した上で,ディスクに作成するファイルの合計数を見積もって,この修飾子に指定してください。これによってディスク・アクセス性能が向上します。この値を多く見積もると,ディスク領域を浪費する結果になります。この値は,ボリュームを再初期化しないと変更できません。
INDEXF.SYS を拡張できる回数は制限されています。ヘッダのマップ領域(検索ポインタが格納されている場所)がいっぱいになると,ファイルの作成は失敗し,"SYSTEM-W-HEADERFULL" というメッセージが表示されます。
前へ | 次へ | 目次 | 索引 |