Compaq OpenVMS Alpha オペレーティング・システム

Compaq OpenVMS Alpha
オペレーティング・システム

パーティショニングおよび Galaxy ガイド

AA-RFJFC-TE


2001 年 7 月

本書は,ハード・パーティション,ソフト・パーティション (OpenVMS Galaxy), RAD (リソース・アフィニティ・ドメイン) をサポートする AlphaServer システムにおいて,これらの機能を OpenVMS Alpha で使用する方法について説明します。また,OpenVMS Galaxy コンピューティング環境の作成,管理,使用方法についても説明します。

改訂/更新情報: 本書は OpenVMS Alpha V7.2--1 『OpenVMS Alpha Galaxy ガイド』の改訂版です。
ソフトウェア・バージョン: OpenVMS Alpha V7.3



コンパックコンピュータ株式会社


© 2001 Compaq Computer Corporation

本書の著作権はコンパックコンピュータ株式会社が保有しており,本書中の解説および図,表はコンパックの文書による許可なしに,その全体または一部を,いかなる場合にも再版あるいは複製することを禁じます。

また,本書に記載されている事項は,予告なく変更されることがありますので,あらかじめご承知おきください。万一,本書の記述に誤りがあった場合でも,コンパックは一切その責任を負いかねます。

本書で解説するソフトウェア ( 対象ソフトウェア ) は,所定のライセンス契約が締結された場合に限り,その使用あるいは複製が許可されます。

コンパックは,コンパックまたはコンパックの指定する会社から納入された機器以外の機器で対象ソフトウェアを使用した場合,その性能あるいは信頼性について一切責任を負いかねます。

以下は,米国 Compaq Computer Corporation の商標です。

Compaq,DECnet,VAX,VMS および Compaq ロゴ。

OpenVMS は,Compaq Information Technologies Group, L.P. の商標です。

以下は,他社の商標です。

Motif,OSF,OSF/1,OSF/Motif および Open Software Foundation は米国 Open Software Foundation 社の商標です。

その他のすべての商標および登録商標は,それぞれの所有者が保有しています。

原典:OpenVMS Alpha Galaxy and Partitioning Guide

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まえがき

『Compaq OpenVMS Alpha パーティショニングおよび Galaxy ガイド』は,OpenVMS Alpha バージョン 7.3 で提供されるパーティショニングと OpenVMS Galaxy 機能を活用する方法について説明します。

本書に説明されている情報は OpenVMS Alpha システムにのみ適用され,OpenVMS VAX システムには適用されません。

本書の対象読者

本書は,システム管理者,アプリケーション・プログラマ,技術コンサルタント,データ・センター管理者をはじめ,OpenVMS Alpha の OpenVMS Galaxy およびパーティショニング機能に関する知識を必要とする方を対象にしています。

本書の構成

『Compaq OpenVMS Alpha パーティショニングおよび Galaxy ガイド』は,OpenVMS パーティショニングをサポートするハードウェア・プラットフォームでの OpenVMS パーティショニングの概念と機能を紹介します。また,OpenVMS Alpha バージョン 7.3 で提供される OpenVMS Galaxy 機能の使用方法についても説明します。

本書では,次のような OpenVMS Galaxy とパーティショニングのトピックを取り上げます。

『Compaq OpenVMS Alpha パーティショニングおよび Galaxy ガイド』では,読者が OpenVMS の概念と操作について十分理解しているものと想定しているため,OpenVMS に関する基本情報は記載していません。

関連資料

次のマニュアルには,パーティション分割されたコンピューティング環境に役立つ OpenVMS の情報が含まれています。

OpenVMS 製品とサービスの詳細については,Compaq の Web サイトにアクセスしてください。URL は次のとおりです。


http://www.openvms.compaq.com/ 

本書で使用する表記法

本書では次の表記法を使用しています。

また,本書では次の表記法も使用しています。

表記法 意味
Ctrl/x Ctrl/x という表記は, Ctrl キーを押しながら別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。
PF1 x PF1 x という表記は,PF1 に定義されたキーを押してから,別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。
[Return] 例の中で,キー名が四角で囲まれている場合には,キーボード上でそのキーを押すことを示します。テキストの中では,キー名は四角で囲まれていません。

HTML 形式のドキュメントでは,キー名は四角ではなく,括弧で囲まれています。

... 例の中の水平方向の反復記号は,次のいずれかを示します。

  • 文中のオプションの引数が省略されている。

  • 前出の 1 つまたは複数の項目を繰り返すことができる。

  • パラメータや値などの情報をさらに入力できる。

.
.
.
垂直方向の反復記号は,コードの例やコマンド形式の中の項目が省略されていることを示します。このように項目が省略されるのは,その項目が説明している内容にとって重要ではないからです。
( ) コマンドの形式の説明において,括弧は,複数のオプションを選択した場合に,選択したオプションを括弧で囲まなければならないことを示しています。
[ ] コマンドの形式の説明において,大括弧で囲まれた要素は任意のオプションです。オプションをすべて選択しても,いずれか1つを選択しても,あるいは1つも選択しなくても構いません。ただし,OpenVMS ファイル指定のディレクトリ名の構文や,割り当て文の部分文字列指定の構文の中では,大括弧に囲まれた要素は省略できません。
[|] コマンド形式の説明では,括弧内の要素を分けている垂直棒線はオプションを 1 つまたは複数選択するか,または何も選択しないことを意味します。
{ } コマンドの形式の説明において,中括弧で囲まれた要素は必須オプションです。いずれか 1 つのオプションを指定しなければなりません。
太字 太字のテキストは,新しい用語,引数,属性,条件を示しています。
italic text イタリック体のテキストは,重要な情報を示します。また,システム・メッセージ ( たとえば内部エラー number ) ,コマンド・ライン ( たとえば /PRODUCER= name ) ,コマンド・パラメータ ( たとえば device-name ) などの変数を示す場合にも使用されます。
UPPERCASE TEXT 英大文字のテキストは,コマンド,ルーチン名,ファイル名,ファイル保護コード名,システム特権の短縮形を示します。
Monospace type モノスペース・タイプの文字は,コード例および会話型の画面表示を示します。

C プログラミング言語では,テキスト中のモノスペース・タイプの文字は,キーワード,別々にコンパイルされた外部関数およびファイルの名前,構文の要約,または例に示される変数または識別子への参照などを示します。

- コマンド形式の記述の最後,コマンド・ライン,コード・ラインにおいて,ハイフンは,要求に対する引数がその後の行に続くことを示します。
数字 特に明記しない限り,本文中の数字はすべて10 進数です。 10 進数以外 (2 進数,8 進数,16 進数) は,その旨を明記してあります。


第 1 章
パーティションおよびリソース管理における作業負荷の管理

OpenVMS のユーザは,ハードおよびソフト・パーティションをサポートするシステムをさまざまな形で使用しています。これらのシステムを最も効果的に使用するためには,コンピューティングとアプリケーションに対するユーザのニーズに最適な構成オプションを検討する必要があります。

この章では,ハード・パーティションとソフト・パーティションの使用方法,および,新しい AlphaServer システムでできるだけ効率良くアプリケーションを実行させる RAD ( リソース・アフィニティ・ドメイン ) に対する新しい OpenVMS サポートについて説明します。

1.1 OpenVMS システムでのハード・パーティションとソフト・パーティションの使用

ハード・パーティショニングとは,ハードウェアで強制されたアクセス・バリアでコンピューティング・リソースを物理的に分離したものです。ハード・パーティション境界を越えて読み込みや書き込みを行うことはできません。ハード・パーティション同士ではリソースは共用されません。

ソフト・パーティショニングとは,ソフトウェアで制御されたアクセス・バリアでコンピューティング・リソースを分離したものです。ソフト・パーティション境界を越えた読み込みと書き込みのアクセスは,オペレーティング・システムによって制御されます。 OpenVMS Galaxy は,ソフト・パーティショニングの実装です。

新しい AlphaServer GS シリーズ・システムでどのようなパーティション分割を選択するかは,コンピューティング環境とアプリケーションの要件によって決まります。パーティショニングをサポートする OpenVMS システムの構成方法を決定するときには,次の項目を考慮する必要があります。

1.2 OpenVMS パーティショニングのガイドライン

新しい AlphaServer GS シリーズ・システムでハード・パーティションまたはソフト・パーティションを使用するかどうかを決定するときには,次の点を理解してください。

1.3 ハード・パーティションの作成

ハード・パーティションは,次の要素を必要とします。

これ以降の項では,次の 3 つのハード・パーティション構成の例を説明します。

ここで説明したパーティショニング手順の詳細については,『AlphaServer GS80/160/320 Firmware ReferenceManual』を参照してください。

1.3.1 ハード・パーティションの構成例 1

この例は,4 つの QBB を使って 4 つのハード・パーティションを構成するものです。それぞれのハード・パーティションには 1 つの QBB があります。


構成例 1 
   ------------------- 
  | NODE   | HP | QBB | 
  | -------|----|-----| 
  | WILD7  |  0 |   0 | 
  | WILD8  |  1 |   1 | 
  | WILD9  |  2 |   2 | 
  | WILD10 |  3 |   3 | 
   ------------------- 

4 つのハード・パーティションで AlphaServer GS160 システムを構成するには,次の一連の SCM コマンドを実行します。

SCM コンソールから,hp NVRAM 変数の次の設定を入力します。値はビット・マスクです。


 
SCM_E0> power off -all 
 
SCM_E0> set hp_count 4 
SCM_E0> set hp_qbb_mask0 1       
SCM_E0> set hp_qbb_mask1 2  
SCM_E0> set hp_qbb_mask2 4 
SCM_E0> set hp_qbb_mask3 8 
SCM_E0> set hp_qbb_mask4 0 
SCM_E0> set hp_qbb_mask5 0 
SCM_E0> set hp_qbb_mask6 0 
SCM_E0> set hp_qbb_mask7 0 
 
SCM_E0> power on -all 
 

また,ハード・パーティションは電源を個別にオンまたはオフにできます。たとえば,この構成を使って,次のように設定することもできます。


SCM_E0> power off -all 
SCM_E0> set hp_count 4 
SCM_E0> set hp_qbb_mask0 1 
SCM_E0> set hp_qbb_mask1 2  
SCM_E0> set hp_qbb_mask2 4 
SCM_E0> set hp_qbb_mask3 8 
SCM_E0> set hp_qbb_mask4 0 
SCM_E0> set hp_qbb_mask5 0 
SCM_E0> set hp_qbb_mask6 0 
SCM_E0> set hp_qbb_mask7 0 
SCM_E0> power on -partition 0 
SCM_E0> power on -partition 1 
SCM_E0> power on -partition 2 
SCM_E0> power on -partition 3 
 

各ハード・パーティションの電源投入フェーズ中に,パーティションがどのようにオンラインになるかを示す状態情報が表示されます。この情報をよく観察し,処理中に障害が何も発生しないことを確認してください。

ハード・パーティションがオンラインになると,そのハード・パーティションのコンソール・デバイスでの作業を開始できます。また,NVRAM 変数 AUTO_QUIT_SCM の設定に応じて,それぞれのハード・パーティションのコンソールが, SCM または SRM のどちらのコンソール・モードでもオンラインになることに注意してください。

ハード・パーティションのそれぞれのコンソールから SRM コンソールに入ると,そのハード・パーティションに固有のコンソール変数を設定できます。その後,標準の OpenVMS の手順に従って,それぞれのハード・パーティションで OpenVMS をブートします。次の例を参照してください。

ハード・パーティション 0 における OpenVMS 用の典型的な SRM コンソール設定:


P00>>>show bootdef_dev                  
bootdef_dev             dkb0.0.0.3.0    
P00>>>show boot_osflags 
boot_osflags            0,0            
P00>>>show os_type 
os_type                 OpenVMS         

ハード・パーティション 1 における OpenVMS 用の典型的な SRM コンソール設定:


P00>>>show bootdef_dev                  
bootdef_dev             dkb0.0.0.3.0    
P00>>>show boot_osflags 
boot_osflags            1,0            
P00>>>show os_type 
os_type                 OpenVMS         

ハード・パーティション 2 における OpenVMS 用の典型的な SRM コンソール設定:


P00>>>show bootdef_dev                  
bootdef_dev             dkb0.0.0.3.0    
P00>>>show boot_osflags 
boot_osflags            2,1            
P00>>>show os_type 
os_type                 OpenVMS         

ハード・パーティション 3 における Compaq Tru64 UNIX 用の典型的な SRM コンソール設定:


P00>>>show bootdef_dev 
bootdef_dev             dka0.0.0.1.16   
P00>>>show boot_osflags 
boot_osflags            A               
P00>>>show os_type 
os_type                 UNIX            


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