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9.3 JSNAKNJDEF ユーティリティ

JSNAKNJDEF ユーティリティは,OpenVMS ユーザが IBM 付加文字および IBM ユーザ定義文字と DEC 拡張漢字セットのユーザ定義領域の文字との対応を設定,管理するためのソフトウェアです。このプログラムは,JSNAKNJDEF コマンドにより起動されます。

9.3.1 起動方法

次の日本語OpenVMS のオペレーションにより起動します。

  1. フォーリン・コマンドの定義


    $  jsnaknjdef :== $jsnaknjdef
    

  2. JSNAKNJDEF コマンドの起動


    $  jsnaknjdef
    

  3. JSNAKNJDEF コマンドのプロンプト


    jsnaknjdef> 
    

9.3.2 JSNAKNJDEF コマンド形式

この節では,JSNACODE コマンドの形式,パラメータ,修飾子について説明します。


JSNAKNJDEF

JSNAKNJDEF ユーティリティを起動します。

形式

jsnaknjdef


パラメータ

外字管理ファイル名 (省略可)


コマンド・オプション

なし

9.4 JSNAKNJDEF ユーティリティ内のコマンド形式

jsnaknjdef> プロンプトに対し,ユーザは次のコマンドを入力することができます。

表 9-1 JSNAKNJDEF のサブコマンド一覧
コマンド 機能
use 指定されたファイルに,外字管理情報を出力する
list 指定された外字管理ファイルの内容を指定したファイルに出力する
define 指定された外字管理ファイルに対応情報を書き込む
undefine 指定された外字管理ファイルに対応情報をクリアする
help JSNAKNJDEF ユーティリティの情報を得る
exit JSNAKNJDEF ユーティリティを終了する
quit JSNAKNJDEF ユーティリティを終了する

この節では,これらのコマンドについて説明します。

9.4.1 use コマンド

use コマンドにより指定されたファイルに,外字管理情報を出力します。

<形式>

jsnaknjdef> use    外字管理ファイル名

<パラメータ>

外字管理ファイル名 (省略時の値はなし)

既存のファイルがあればそのファイルを使用対象とし,なければ新しい外字管理ファイルを作成します。外字管理ファイルは,IBM 付加文字および IBM ユーザ定義文字が, DEC 拡張漢字セットのどの部分と対応付けるかの情報を保存するファイルです。

注意

use コマンドにより選択された外字管理ファイルは, JSNAKNJDEF ユーティリティ内で次に use コマンドを使用するまで, define,list,undefine コマンドの対象ファイルとなります。

9.4.2 list コマンド

use コマンドにより指定された外字管理ファイルの内容を output で指定したファイルに出力します。

<形式>

jsnaknjdef> list

<コマンド・オプション>

output ファイル名
このオプションが省略された場合は標準出力に出力します。

図 9-2 list表示例−1



  jsnaknjdef> use extern.tbl 
  jsnaknjdef> list 
 
                       List of the DEC-IBM extended Kanji 
       File: extern.tbl 
 
       DEC Extended Kanji  IBM Kanji        DEC Extended Kanji  IBM Kanji 
 
                1          External                 17          User 6D 
                2          External                 18          User 6D 
                3          External                 19          User 6E 
                4          External                 20          User 6E 
                5          External                 21          User 6F 
                6          External                 22          User 6F 
                7          User 69                  23          User 70 
                8          User 69                  24          User 70 
                9          Undefined                25          User 71 
               10          Undefined                26          User 71 
               11          User 6A                  27          User 72 
               12          User 6A                  28          User 72 
               13          User 6B                  29          Undefined 
               14          User 6B                  30          Undefined 
               15          User 6C                  31          Undefined 
               16          User 6C                          (END of list) 
 
       Note : DEC Ku No. is decimal. IBM Ku No. is Hexa-decimal. 
 

表中の "External" は IBM 付加文字を表し, "User xx" は IBM ユーザ定義文字領域の第 xx 区を表しています。

9.4.3 define コマンド

use コマンドにより指定された外字管理ファイルに,対応情報を書き込みます。既存の外字管理ファイルが対象となっていた場合は,その内容を更新します。

<形式>

jsnaknjdef> define

<コマンド・オプション>

external (省略時の値はなし)
user IBMユーザ定義文字領域区番号 (省略時の値はなし)
to_DEC拡張漢字セット区番号 (省略時の値はなし)

注意

このコマンドを実行するにはOPER特権が必要です。

external

IBM付加文字(338文字)について定義する場合に指定します。 externalとuserとは同時には指定できません。

user IBMユーザ定義文字領域区番号

IBM ユーザ定義文字領域の文字について定義する場合に指定します。指定する IBM ユーザ定義文字領域の区番号は,69〜7F までを 16 進数で指定します。 external と user とは同時には指定できません。

注意

DEC 拡張文字セットの区の,最初と最後の文字位置に割り当てられる位置にある IBM ユーザ自由領域の文字は使用できません。

to

  1. externalが指定されている場合
    1〜26までの区番号を10進数で指定します。指定された区番号から連続6区間に,IBM付加文字が対応付けられます。例えばto 21を指定すると, DEC漢字セットの21〜26区にIBM付加文字が対応付けられます。

  2. userが指定されている場合
    1〜29までの区番号を10進数で指定します。指定された区番号から連続2区間に,指定されたIBMユーザ定義文字領域の文字が対応付けられます。例えばuser 69 to 1を指定すると, IBM漢字セットの69区がDEC拡張漢字セットの1,2区に対応付けられます。

<使用例>

  1. 新規にファイルを作成する場合


         # jsnaknjdef 
         jsnaknjdef> use mytbl.tbl 
         jsnaknjdef> define  external  to 21 
         jsnaknjdef> define  user 69  to 1 
         jsnaknjdef> define  user 6A  to 3 
         jsnaknjdef> define  user 6B  to 5 
         jsnaknjdef> define  user 6C  to 7 
         jsnaknjdef> exit 
    


    上記のコマンドにより新規に作成されたmytbl.tblの中には,次のような指定がされることになります。

    IBM漢字 DEC漢字
    IBM付加文字 DEC拡張漢字セットの第21区〜第26区
    IBMユーザ定義文字の第69区 DEC拡張漢字セットの第1区〜第2区
    IBMユーザ定義文字の第6A区 DEC拡張漢字セットの第3区〜第4区
    IBMユーザ定義文字の第6B区 DEC拡張漢字セットの第5区〜第6区
    IBMユーザ定義文字の第6C区 DEC拡張漢字セットの第7区〜第8区

  2. 外字管理ファイルを更新する場合


         # jsnaknjdef 
         jsnaknjdef> use mytbl.tbl 
         jsnaknjdef> define use 69 to 9 
         jsnaknjdef> exit 
    


    上記のコマンドにより既存のmytbl.tblは,次のように更新されることになります。

    IBM漢字 DEC漢字
    IBM付加文字 DEC拡張漢字セットの第21区〜第26区
    IBMユーザ定義文字の第69区 DEC拡張漢字セットの第9区〜第10区
    IBMユーザ定義文字の第6A区 DEC拡張漢字セットの第3区〜第4区
    IBMユーザ定義文字の第6B区 DEC拡張漢字セットの第5区〜第6区
    IBMユーザ定義文字の第6C区 DEC拡張漢字セットの第7区〜第8区

9.4.4 undefineコマンド

useコマンドにより指定された外字管理ファイルの対応情報をクリアします。

<形式>

jsnaknjdef> undefine

<コマンド・オプション>

group DEC拡張漢字セット区番号 (省略時の値はなし)
char DEC拡張漢字セット文字コード (省略時の値はなし)
all (省略時の値はなし)

注意

このコマンドを実行するにはOPER特権が必要です。

groupとcharを同時には指定できません。

group DEC拡張漢字セット区番号

区対応で定義されている DEC拡張漢字セットのユーザ定義文字をクリアする場合に使用します。指定するオプションは,DEC拡張漢字セットの区番号を1〜31までの10進で指定します。

char DEC拡張漢字セット文字コード

文字対応で定義されている DEC拡張漢字セットのユーザ定義文字をクリアする場合に使用します。指定するオプションは, DEC拡張漢字セットの文字コードをA121〜BF7Eまでの16進で指定します。

all

現在定義されているすべての区域を未定義にします。新たに編集し直したい場合に使用します。

注意

区対応で定義されているDEC拡張漢字のある区内のコードを, charでクリアすることはできません。また,あるDEC拡張漢字が文字対応で定義されている場合,その文字を含んでいる区をgroupでクリアすることもできません。 group,char,allを同時に指定した場合は,最後に指定したものが有効になります。

9.4.5 helpコマンド

JSNAKNJDEF の help 情報を表示します。

<形式>

jsnaknjdef> help

9.4.6 exitコマンド

JSNAKNJDEF ユーティリティを終了します。

<形式>

jsnaknjdef> exit

9.4.7 quitコマンド

JSNAKNJDEF ユーティリティを終了します。

<形式>

jsnaknjdef> quit

9.5 KMAPファイル

KMAPファイルは,DEC漢字セットの2バイト文字列と1バイト文字列 (ASCII+半角カタカナ)がLS2R , LS3R またはSS2 のコードなしで混在したファイルを読み込む(または書き込む) 際に使用する(または作成する)ファイルです。KMAPファイルの中では,変換対象ファイルのレコードに含まれる漢字を"XX",英数字を"X"で表し,半角カタカナを"k"で表します。

/KMAP=KMAPレコード数で指定したKMAPファイルには,変換対象ファイルの先頭レコードから指定されたレコード数分の情報が含まれます。

図 9-3 /KMAP =2の場合のKMAPファイルと変更対象ファイル



$ JSNACODE/FIELD=(START:1,LENGTH:30)/FIELD=(START:41,LENGTH:20) - 
_$/IPC=IBM/OPC=DEC/KMAP  入力ファイル名出力ファイル名 

上記のような1レコード内のある部分のみを変換対象とした場合,作成されるKMAPレコードは次のような図のものとなり,変換対象となっていない部分については空白文字(X'20')が埋め込まれます。

図 9-4 KMAPファイルの出力例



9.6 日本語RJEメッセージ

JSNACODE,およびJSNAKNJDEF ユーティリティのメッセージは,次のような標準のOpenVMSのメッセージの形式で出力されます。


 facility-l-ident, text

上記の各単語の意味は次のとおりです。

facility メッセージを出力したプログラムまたはファシリティ名
l 重大度レベル
ident メッセージID
text テキスト

レベル 重大度 説明
S 成功 利用者のコマンドは正常に実行された
I 情報 ソフトウェアでとられた処置に関する報告
W 警告 修正処置を取る必要がないエラー状態
E エラー 致命的ではないが,処理または修正の必要がある状態
F 重大なエラー 致命的であり,処理または修正の必要がある状態

9.6.1 JSNACODEメッセージ一覧

JSNACODEのメッセージは,facility= JSNACODEです。
ABNIN , Abnormal input file read

説明: : 入力ファイルを読もうとしたところエラーが生じました。
ユーザの対応: : DCLのDIRECTORY/FULLコマンド, ANALYZE/RMSコマンドでファイルの属性を確認してください。 JSNACODEがサポートしているのは順次編成ファイルだけです。
ABNOUT , Abnormal output file write

説明: : 出力ファイルに書き込もうとしたところエラーが生じました。
ユーザの対応: : 出力ファイルが作成されるディレクトリのプロテクション等を確認してください。
ABNKMAP , Abnormal KMAP file read or write

説明: : KMAPファイルにアクセスしようとしてエラーが生じました。
ユーザの対応: : KMAPファイルの内容,プロテクション等をチェックしてください。
ABNGAI , Abnormal GAIJI control file read

説明: : 外字管理ファイルを読み込もうとしてエラーが生じました。
ユーザの対応: : 外字管理ファイルのプロテクション等を確認してください。
FLDMIS , FIELD parameter mismatch

説明: : /FIELD修飾子で指定した変換範囲が,漢字の第2バイト目で終了している等のエラーです。
ユーザの対応: : /FIELD修飾子で指定した値を確認してください。
INSMEM , Insufficient dynamic memory

説明: : ファイルを読み込むためのバッファが確保できません。
ユーザの対応: : プロセスのPGFLQUOTA,WSQUOTAの値を確認してください。 SYSGENパラメータのVIRTUALPAGECNTおよびシステム・ページまたはスワップ・ファイルを増やす必要がある可能性もあります。
INVPARAM , Invalid parameter value specified

説明: : JSNACODEの修飾子,コマンド・パラメータで無効な値が指定されました。
ユーザの対応: : 指定した値を再確認して,正しい値を指定してください。
NFDIN , Input file not found

説明: : 入力ファイルが見つかりません。
ユーザの対応: : 指定した入力ファイル名を確認してください。
NFDKMAP , KMAP file not found

説明: : /KMAP修飾子で指定したKMAPファイルが見つかりません。
ユーザの対応: : 指定したKMAPファイル名を確認してください。
NFGAI , GAIJI control file not found

説明: : /EXTERNAL修飾子で指定した外字管理ファイルが見つかりません。
ユーザの対応: : 指定した外字管理ファイル名を確認してください。
NORECIN , No record in input file

説明: : 入力ファイルの中にレコードが存在していません。
ユーザの対応: : 入力ファイルの内容を確認してください。
NORECKMAP , No record in KMAP file

説明: : KMAPファイルの中にレコードが存在していません。
ユーザの対応: : KMAPファイルの内容を確認してください。
TRALOAERR , Translation table load error

説明: : /CHARCTERSETで指定した1バイトコード・テーブルを読み込む際に,エラーが生じました。
ユーザの対応: : 指定した1バイトコード・テーブル・ファイルの構造,プロテクション等を確認してください。


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