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OpenVMS バージョン 7.3 以降,$REGISTRY システム・サービスおよび OpenVMS Registry サーバが強化され, Intra-Cluster Communications (ICC) プロトコルを使用できるようになりました。ICC では,大規模な転送にとって理想的な高パフォーマンスの通信メカニズムが提供されます。 ICC を使用すると,$REGISTRY システム・サービスと Registry サーバの間で転送できるデータ量の制限が緩和されます。以前はデータ容量が厳しく制限されていたため,大きなキー値の格納や検索を行うことができず,大きなデータベースの完全な検索も妨げられていました。OpenVMS バージョン 7.3 でレジストリに関連する機能が変更されたため, OpenVMS バージョン 7.2 の $REGISTRY サービスおよび Registry サーバと,OpenVMS バージョン 7.3 の $REGISTRY サービスおよび Registry サーバの間に互換性の問題が発生しました。しかし,今回の変更はこのリリースおよび将来のリリースで OpenVMS のカスタマに大きなメリットをもたらします。将来のリリースでは,これらの制限はさらに削減される予定です。
また,OpenVMS バージョン 7.3 では,レジストリ操作はクライアント/サーバ方式になり,サーバが要求に応答するための時間がある程度必要になりました。サーバの負荷が高くビジー状態である場合や,タイムアウト値が小さすぎる場合,あるいはその両方の場合,サーバが時間内に応答せず, $REGISTRY サービスが REG$_NORESPONSE エラーを返すことがあります。しかし,このエラーは必ずしも操作が失敗したことを意味するわけてはなく,タイムアウトになるまでに,サーバが応答できなかったことを示しています。ほとんどの操作はただちに完了します。しかし,タイムアウト値は少なくとも 5 秒に設定するようにしてください。
$registry システム・サービスの新しい形式は次のとおりです。
$REGISTRY [efn], func, [ntcredentials], itmlst, [iosb] [,astadr] [,astprm] [,timeout] |
astadr,
astprm,
timeoutは省略可能な引数です。これらの省略可能な引数に対してデフォルト設定を使用することはできません。つまり,
timeout引数を指定するには,
astadrと
astprmを指定しなければなりません (または 0 として指定しなければなりません)。Bliss や Macro などの一部の言語では,このためのマクロが提供されます。
5.13.1 REG$CP Registry ユーティリティ
REG$CP Registry ユーティリティは, timeout引数を使用できるように強化されました。REG$CP コマンドは, /WAIT=numberofseconds修飾子をサポートするようになったため,Registry サーバがコマンドに応答するまでに待機する秒数を指定できるようになりました。 /WAITは否定可能です ( /NOWAITを使用)。しかし, timeout引数と同様に,少なくとも 5 秒を指定するようにしてください。
REG$CP Registry ユーティリティでは,セキュリティ記述子も表示できるようになりました。LIST コマンドを使用すると,特定のキーに関連付けられたせキュリティ記述子を表示できます。この表示には,セキュリティ記述子構造自体の他に,セキュリティ識別子 (SID),システム・アクセス制御リスト (SACL),随意アクセス制御リスト (DACL) も含むことができます。セキュリティ記述子を表示するには,キーにアクセスできなければなりません。つまり,セキュリティ情報を読み込むのに必要な信用を持っているか,あるいは適切な特権が必要です。
詳細については,『OpenVMS コネクティビティ開発者ガイド』を参照してください。 OpenVMS Alpha の CD-ROM のディレクトリ [COM_ALPHA_011A] に格納されています。
5.14 Alpha SDA コマンド,パラメータ,修飾子
OpenVMS バージョン 7.3 ソフトウェア・リリースでは,多くの新しい Alpha SDA コマンド,パラメータ,修飾子が提供されます。OpenVMS バージョン 7.3 では,既存のコマンドでも多くの新しいパラメータと修飾子が追加されています。
詳細については,『OpenVMS Alpha System Analysis Tools Manual』を参照してください。
5.14.1 新しい Alpha SDA コマンド
ここでは,新しい System Dump Analyzer のコマンドとパラメータおよび修飾子について説明します。
5.14.1.1 DUMP
DUMP コマンドは,カンマ区切り変数 (CSV) リストとしてメモリの内容を表示します。このリストはスプレッドシートに取り込むのに適しています。
次の表は DUMP コマンドのパラメータを示しています。
パラメータ | 意味 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
range | 表示する記憶位置の範囲。範囲は次のいずれかの形式で指定する。
|
次の表は DUMP コマンドの修飾子を示しています。
修飾子 | 意味 |
---|---|
/COUNT=[{ALL|records}] | 表示するレコードの数。デフォルトではすべてのレコードが表示される。 |
/DECIMAL | データを 10 進数として出力する。 |
/FORWARD | SDA はヒストリ・バッファのレコードをアドレスの小さい順に表示する。これはデフォルトである。 |
/HEXADECIMAL | データを 16 進数として出力する。これはデフォルトである。 |
/INDEX_ARRAY [={LONGWORD (デフォルト)|QUADWORD}] | 指定したアドレスの範囲が、表示するレコードへのポインタのベクタであることを示す。ベクタはロングワード (デフォルト) またはクォドワードのリストとして指定できる。範囲のサイズはロングワードの数またはクォドワードの数と一致しなければならない。 |
/INITIAL_POSITION ={ADDRESS=address|RECORD=number} | 最初に表示するレコードを指定する。デフォルトでは, /FORWARD を使用した場合は,アドレスが最小のレコードが最初に表示される。/REVERSE を使用した場合は,アドレスが最大のレコードが最初に表示される。初期位置は範囲内のレコード番号として指定するか,またはレコードが格納されているアドレスとして指定できる。 |
/LONGWORD | 各データ・アイテムをロングワードとして出力する。これはデフォルトである。 |
/PHYSICAL | すべてのアドレス (範囲または開始位置) が物理アドレスであることを指定する。デフォルト設定では,仮想アドレスであると解釈される。 |
/QUADWORD | 各データ・アイテムをクォードワードとして出力する。 |
/RECORD_SIZE=size | ヒストリ・バッファ内の各レコードのサイズを指定する。デフォルトは 512 バイトである。/INDEX_ARRAY を指定した場合を除き,表示するアドレス範囲の合計サイズは,このサイズで正確に割り切れなければならない。 |
/REVERSE | ヒストリ・バッファ内のレコードをアドレスの小さい順に表示する。 |
SET SYMBOLIZE コマンドを使用すると, EXAMINE コマンドの表示でアドレスのシンボル化を有効または無効に設定できます。
次の表は,SET SYMBOLIZE コマンドのパラメータを示しています。
パラメータ | 意味 |
---|---|
ON | アドレスのシンボル化を有効にする。 |
OFF | アドレスのシンボル化を無効にする。 |
このコマンドに修飾子はありません。
5.14.1.3 SHOW MEMORY
SHOW MEMORY コマンドは,メモリに関連づけられたメモリ・リソースを使用できるかどうかと,メモリの使用状況を表示します。
このコマンドにパラメータはありません。次の表は, SHOW MEMORY コマンドの修飾子を示しています。これは既存の DCL コマンドの修飾子と同じです。
修飾子 | 意味 |
---|---|
/ALL | 可能なすべての情報を表示する。つまり, /FILES,/PHYSICAL_PAGES,/POOL,/SLOTS 修飾子によって表示される情報を表示する。これはデフォルト設定である。 |
/BUFFER_OBJECTS | バッファ・オブジェクトが使用しているシステム・リソースに関する情報を表示する。 |
/CACHE | Virtual I/O キャッシュ機能に関する情報を表示する。キャッシュ機能情報は, SHOW MEMORY コマンドおよび SHOW MEMORY/CACHE/FULL コマンドの一部として表示される。 |
/FILES | 現在インストールされている各ページ・ファイルとスワップ・ファイルの使用に関する情報を表示する。 |
/FULL | /POOL または /FILES 修飾子と組み合わせて使用した場合,現在インストールされている各プール領域,またはページ・ファイルとスワップ・ファイルに関する追加情報を表示する。/FILES 修飾子または /POOL 修飾子を明示的に指定しないかぎり,この修飾子は無視される。/CACHE 修飾子と組み合わせて使用すると, /FULL 修飾子は仮想 I/O キャッシュ機能の使用に関する追加情報を表示する。 |
/GH_REGIONS | 設定されている粒度ヒント領域 (GHR) に関する情報を表示する。これらの各領域に対して,領域のサイズ,未使用メモリの容量,使用済みメモリの容量,領域から OpenVMS に解放されたメモリ容量に関する情報が表示される。粒度ヒント領域情報は SHOW MEMORY,SHOW MEMORY/ALL, SHOW MEMORY/FULL コマンドの一部としても表示される。 |
/PHYSICAL_PAGES | 物理メモリの容量と,未使用ページおよび変更済みページのページ数に関する情報を表示する。 |
/POOL | 未使用領域の容量,各領域内の最大連続ブロックのサイズなど,各動的メモリ (プール) 領域の使用状況に関する情報を表示する。 |
/RESERVED | メモリの予約に関する情報を表示する。 |
/SLOTS | パーティション制御ブロック (PCB) ベクタ・スロットおよびバランス・スロットを使用できるかどうかに関する情報を表示する。 |
SHOW RAD コマンドは, RAD_SUPPORT システム・パラメータ・フィールドの設定と説明を表示し,RAD (Resource Affinity Domains) に対する CPU とメモリの割り当ても表示します。このコマンドは, RAD をサポートするプラットフォームでのみ使用できます。デフォルト設定では,SHOW RAD コマンドは RAD_SUPPORT システム・パラメータ・フィールドの設定を表示します。
次の表は SHOW RAD コマンドのパラメータを示しています。
パラメータ | 意味 |
---|---|
number | 指定された RAD の CPU とメモリに関する情報を表示する。 |
次の表は SHOW RAD コマンドの修飾子を示しています。
修飾子 | 意味 |
---|---|
/ALL | RAD_SUPPORT パラメータ・フィールドの設定と,すべての RAD の CPU とメモリの割り当てを表示する。 |
SHOW TQE コマンドはタイマ・キューのエントリを表示します。デフォルト設定では,すべてのタイマ・キュー・エントリ (TQE) が時間順に表示されます。
このコマンドにパラメータはありません。次の表は SHOW TQE コマンドの修飾子を示しています。
修飾子 | 意味 |
---|---|
/ADDRESS= n | 指定されたアドレスの TQE の詳細表示を出力する。 |
/ALL | すべての TQE の詳細表示を出力する。 |
/BACKLINK | TQE の詳細表示 (/ALL) または概略表示 (デフォルト) を逆の順序,つまり発生の古い順に表示する。 |
/PID= n | 指定された 内部 PID を持つプロセスに影響する TQE の表示を制限する。 |
/ROUTINE= n | 指定されたアドレスがフォーク PC である TQE の表示を制限する。 |
UNDEFINE コマンドは,指定されたシンボルをシンボル・テーブルから削除します。
次の表は UNDEFINE コマンドのパラメータを示しています。
パラメータ | 意味 |
---|---|
symbol | SDA のシンボル・テーブルから削除するシンボルの名前。シンボル名は必須である。 |
このコマンドに修飾子はありません。
5.14.2 既存のコマンドに追加された新しいパラメータと修飾子
ここでは,既存のコマンドに追加された新しいパラメータと修飾子について説明します。
5.14.2.1 REPEAT
REPEAT コマンドに次のパラメータが追加されました。
パラメータ | 意味 |
---|---|
count | 前のコマンドを繰り返す回数。デフォルトの繰り返し回数は 1 回である。 |
REPEAT コマンドに次の修飾子が追加されました。
修飾子 | 意味 |
---|---|
/UNTIL=condition | REPEAT コマンドを終了する条件を定義する。デフォルト設定では,終了条件はない。 |
SEARCH コマンドの /STEPS 修飾子を使用すると,任意のステップ・サイズを指定できます。キーワード QUADWORD,LONGWORD (デフォルト),WORD,BYTE の他に,任意の値を指定できます。
修飾子 | 意味 |
---|---|
/STEPS={QUADWORD|LONGWORD|WORD
|BYTE| value} |
指定されたメモリ range を検索するときのステップ係数を指定する。SEARCH コマンドが expression の値とメモリ位置の間で比較操作を実行した後,指定されたステップ係数がメモリ位置のアドレスに加算される。その結果求められた位置が,比較を実行する次の位置になる。/STEPS 修飾子を指定しないと,SEARCH コマンドはステップ係数としてロングワードを使用する。 |
SET OUTPUT コマンドに次の修飾子が追加されました。
修飾子 | 意味 |
---|---|
/[NO]HEADER | /HEADER 修飾子を指定すると,出力ファイルの各ページの先頭に見出しが出力される。これはデフォルト設定である。/NOHEADER 修飾子を使用すると,ページ見出しは出力されない。/NOHEADER を使用すると, /NOINDEX であると解釈される。 |
/SINGLE_COMMAND | 1 つのコマンドの出力を指定のファイルに書き込み,その後の出力を端末に書き込むことを指定する。 |
SET PROCESS コマンドに次の新しい修飾子が追加されました。
修飾子 | 意味 |
---|---|
/NEXT | プロセス・リストから次の有効なプロセスを検索し,そのプロセスを選択する。プロセス・リストにこれ以上有効なプロセスがない場合は,エラーが返される。 |
SHOW DEVICE コマンドに次の新しい修飾子が追加されました。
修飾子 | 意味 |
---|---|
/CDT= address | Connector Descriptor Table (CDT) のアドレスによってデバイスを識別する。これはクラスタ・ポート・デバイスにだけ適用される。 |
/PDT | Memory Channel Port Descriptor Table を表示する。メモリ・チャネル以外のデバイスの場合,この修飾子は無視される。 |
/UCB= ucb-address | これは /ADDRESS= ucb-address と同意語である。 |
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