前へ | 次へ | 目次 | 索引 |
PROCESSES クラスのものを除き,表示可能なデータ項目はすべてレートとレベルで表されます。
データ項目ごとに,次の 4 種類の統計値をどれでも,また何種類でも要求することができます。
統計値 | 説明 |
---|---|
レートまたはレベルの現在値 | 最も新しく収集された,レートまたはレベルの値 |
レートまたはレベルの平均値 | MONITOR 要求の最初から測定される |
レートまたはレベルの最小値 | MONITOR 要求の最初から測定される |
レートまたはレベルの最大値 | MONITOR 要求の最初から測定される |
DISK,MODES,SCS,STATES の各クラスの場合は,オプションとしてすべての統計値をパーセンテージで表すことができます。
PROCESSES クラスでは,MONITOR は,説明情報,レベル情報,および時間の経過で増加するカウンタが表示されます。
20.8.1.3 出力のタイプ
MONITOR は,システム性能データをクラスごとに収集し,指定した修飾子によって,次のように 3 種類のオプションの形式で出力します。
修飾子 | 説明 |
---|---|
/DISPLAY | ASCII 画面イメージ形式の出力を生成する。これは /VIEWING_TIME 修飾子により指定される頻度で作成される。 |
/RECORD | 要求されたクラスのために収集したデータを含むバイナリ・レコード・ファイルを生成する。インターバルごとに,各クラスに 1 つのレコードが作成される。 |
/SUMMARY | MONITOR 要求の間に要求された全クラスの要約統計値を含む ASCII ファイルを生成する。 |
上記の修飾子のいずれかとともに /INPUT を指定すると,MONITOR は,以前に作成したレコード・ファイルから 1 つまたは複数の性能データを収集します。そうでない場合は,データはカウンタと稼働システム上のデータ構造から収集されます。
MONITOR 要求を開始したい場合には /BEGINNING 修飾子を,終了したい場合には /ENDING 修飾子をそれぞれ使用します。
MONITOR により収集された情報は,通常は ASCII 画面イメージとして表示されます。/DISPLAY 修飾子を使用すると,ディスク・ファイルにこの情報を含めるようにオプション指定することができます。ファイル指定を省略すると,出力先は SYS$OUTPUT になります。
/DISPLAY 修飾子を使用する場合は注意が必要です。 MONITOR は継続的に表示情報をファイルに入力するため,短時間にそのサイズが大きくなっていくためです。 |
/DISPLAY 修飾子については,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
/RECORD 修飾子を使用すると,クラスに関する全データが記録されます。これは,単一の統計値や単一のコンポーネント統計値クラスの項目だけを同時に表示している場合でも同じです。このファイルは MONITOR 要求が開始されたときに作成され,要求が終了するとクローズします。結果として得られたファイルを今後の要求のソース・ファイルとして使用して,ターミナル上でデータを形式化して表示したり,要約ファイルを作成したり,別の特性を持つ新しいレコード・ファイルを作成したりすることができます。
20.8.2 MONITOR の起動
Monitor ユーティリティを起動するためには,次の DCL コマンドを入力します。
$ MONITOR |
次のプロンプトが表示されます。
MONITOR> |
このプロンプトに対して,任意の MONITOR コマンドを入力することができます。詳細は『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。ただし,最もよく使用する MONITOR コマンドは,クラス名を指定します。
MONITOR> MONITOR PAGE |
この例は,ページ管理情報の統計値を監視するために MONITOR コマンドで PAGE クラスを指定しています。
DCL コマンド・レベルからも MONITOR のコマンドを使用することができます。
MONITOR コマンドによる要求の動作は, /ENDING 修飾子を指定するまで続けられます。ただし,MONITOR 要求を変更したり終了したりする場合は,次のいずれかを押します。
キー | 説明 |
---|---|
Ctrl/W | /VIEWING_TIME 値を一時的に変更し,現在の画面の直後に新しい画面を生成する。この機能は,ブロードキャスト・メッセージが MONITOR 表示領域を上書きしてしまった場合に便利である。
また,/VIEWING_TIME の値が大きいときに Ctrl/W を使うと,要求があり次第表示イベントを生成することができる。 |
Ctrl/C | 現在の要求を終了するが,ユーティリティは終了しない。したがって,引き続き MONITOR> プロンプトから新しい要求を開始したり,任意の MONITOR コマンドを入力することができる。 |
Ctrl/Z | 現在の要求を終了して,かつ MONITOR も終了する。 |
システムの動作の表示モードは,定期的に,あるいはインストールのチェック,チューニング,トラブルシューティングで,稼働中のシステムの動作をリアルタイムに調べたい場合に使用します。出力の履歴情報は記録されません。次の例は,システムの動作の表示モードの使用方法を示しています。
$ MONITOR PROCESSES/TOPCPU |
前回の表示からこのコマンドを実行するまでに CPU を最も使用した 8 つのプロセスを示す棒グラフが表示される。また,各プロセスが使用した CPU 時間も表示される。
このコマンドにより次のような出力が生成される。
OpenVMS Monitor Utility TOP CPU TIME PROCESSES on node BOMBAY 20-JAN-2000 10:06:49 0 25 50 75 100 + - - - - + - - - - + - - - - + - - - - -+ 07E00181 CAFARET 100 **************************************** | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | + - - - - + - - - - + - - - - + - - - - -+ |
この例では,ユーザ CAFARET が使用できる CPU 時間を 100 パーセント使用している。ユーザが使用しているコンピュータの資源についてより詳細な情報を表示するには,次のようなコマンドを使用する。
$ SHOW PROCESS/CONTINUOUS/ID=07E00181 |
この例では,結果として得られる表示の中で最も役に立つ情報は,イメージの名前であり,たとえば次のように,最後の部分に表示される。
. . . $1$DUA1:[SYS1D.SYSCOMMON.][SYSEXE]RODAN.EXE |
この例は CAFARET が RODAN.EXE を実行していることを示している。これは新しいソフトウェアであり,その動作がループしている可能性がある。このような状況は,CAFARET が特権ユーザで,別のユーザよりも高い優先順位でプロセスを実行した場合に発生する。
$ MONITOR/DISPLAY=PROCESSES.LOG PROCESSES |
MONITOR からの情報は,サポートされている任意のターミナルまたはディスク・ファイルに出力することができる。ここでは,MONITOR のプロセス統計を PROCESSES.LOG ファイルに書き込んでいる。この後,このファイルをハードコピー装置に出力してプリントすることができる。
データは継続的に表示ファイルに追加されるため,ファイルが大きくなりすぎないように注意してください。 |
$ MY_CLASSES :== - _$ "DECNET+FCP+IO+LOCK+MODES+PAGE+PROCESSES+STATES" $ MONITOR/NODE=(CURLEY,LARRY)/INTERVAL=20/VIEWING_TIME=8 'MY_CLASSES' |
頻繁に使用するクラス名の組み合わせは, DCL シンボルに定義しておくと便利なことがある。ここでは,CURLEY および LARRY という OpenVMS Cluster ノードに関して選択されたクラスのデータが 20 秒ごとに収集される。また,クラスのうちの 1 つに関して収集されたデータのうちの最新の項目が 8 秒ごとに表示される。 MONITOR では,クラスの表示順序があらかじめ決められている。
システムの動作の記録は,将来のために MONITOR データをとっておく必要がある場合に使用します。次のような用途が考えられます。
データは継続的に表示ファイルに追加されるため,ファイルが大きくなりすぎないように注意してください。 |
次の例は,システムの動作の記録モードの使用方法を示しています。
$ MONITOR/NODE=(LARRY,MOE)/NODISPLAY/RECORD MODES+STATES |
各プロセッサ・モードでの動作時間,および LARRY および MOE というノードの各スケジューラ状態におけるプロセス数のデータが記録されます。ただし,この情報は出力されません。
20.8.5 システムの動作の表示と記録
システムの動作の表示と記録モードは,性能データを保持し,収集されるときにその性能データを表示させる場合に使用します。 MONITOR では,記録ファイルに共用読み込みアクセス権が設定されるので,他の表示プロセスが記録ファイルを書き込んでいる間に,それを別の表示プロセスがプレイバックすることができます。
次の例は,性能の情報を記録しながら,同時に収集中のデータを表示する方法を示しています。最初の例では,データの収集と記録の両方を同じコマンドで行います。 2 番目および 3 番目の例は,2 つの別々のプロセスを使って記録と表示を同時に行う方法を示しています。2 番目の例のプロセスは記録を行い, 3 番目の例のプロセスがファイルをプレイバックして要約します。
$ MONITOR/RECORD FCP/AVERAGE,FILE_SYSTEM_CACHE/MINIMUM |
ファイル・システムとファイル・システム・キャッシュのデータを 3 秒ごとに収集して記録する。さらに,棒グラフによって, FCP の平均値と FILE_SYSTEM_CACHE の最小値が表示される。 2 つのグラフが 3 秒ごとに交互に表示される。現在の統計値は次のプレイバック要求で得られる。
$ MONITOR/RECORD=SYS$MANAGER:ARCHIVE.DAT - _$ /INTERVAL=300/NODISPLAY ALL_CLASSES |
すべてのクラスのデータを同時に 5 秒間隔で保存する。同様のコマンドをバッチ・ジョブで実行し,ディスクの使用量を注意深く監視すると便利である。
$ MONITOR/INPUT=SYS$MANAGER:ARCHIVE.DAT: - _$ /NODISPLAY/SUMMARY/BEGINNING="-1" PAGE,IO |
報告された性能の問題の調査の一部として,過去 1 時間に発生したページ動作および入出力動作をまとめる。記録を行うプロセスは 5 分ごとに OpenVMS RMS フラッシュ動作を行うため,過去 5 分以内の収集データは表示を行うプロセスからは利用できない点に注意。
/FLUSH_INTERVAL 修飾子により,フラッシュ動作を行う間隔を明示的に指定できる。表示を行うプロセスには,記録ファイルに対する読み込みアクセス権が必要。
プレイバックとは,記録ファイルに収集されたデータの全部または一部をターミナルに表示したり,要約レポートとしてまとめたりすることをいいます。データは,クラス,ノード,あるいは時間帯に基づいてまとめることができます。たとえば,24 時間に渡っていくつかのクラスのデータを収集した場合,その間の任意の時間帯の 1 つ以上のクラスのデータを調べたり,まとめたりできます。
記録した時間帯と別の時間帯のデータを表示したりまとめたりすることも可能です。スクリーンに表示を行う実際の間隔は,/VIEWING_TIME 修飾子で制御します。次の例は,記録した動作のプレイバックを行う方法を示しています。
$ MONITOR/RECORD/INTERVAL=5 IO . . . $ MONITOR/INPUT IO |
システム入出力の統計をとる。最初のコマンドは,データの収集と表示を 5 秒間隔で行う。この作業は,このコマンドを入力した時点から Ctrl/Z を押すまで続けられる。さらにこのコマンドは,省略時の出力ファイル MONITOR.DAT にバイナリ・データを記録する。
2 番目のコマンドは,MONITOR.DAT のデータを入力データとして,入出力統計をプレイバックして表示する。プレイバック・データの省略時の表示時間は 3 秒間だが,スクリーンには監視された入出力統計が 5 秒間ずつ表示される。
$ MONITOR/RECORD/NODISPLAY - _$ /BEGINNING=08:00:00 - _$ /ENDING=16:00:00 - _$ /INTERVAL=120 DISK . . . $ MONITOR/INPUT/DISPLAY=HOURLY.LOG/INTERVAL=3600 DISK |
このコマンドの列は,比較的短い間隔でデータを記録し,比較的長い間隔でデータをプレイバックしている。この方法は,さまざまな時間での平均値,最小値,最大値を求めるので,長い間隔で収集したときより正確な値が必要なときに便利である。
最初のコマンドは,指定された 8 時間に 2 分間隔で,システム上のすべてのディスクの入出力動作に関するデータを記録する。 2 番目のコマンドは,1 時間ごとにデータをプレイバックして表示し,その内容を HOURLY.LOG というファイルに保存する。このファイルを表示またはプリントすれば,データを収集した 8 時間の 1 時間ごとのディスクの累計使用量が分かる。
HOURLY.LOG 内の現在の統計値は,新しい 3600 秒の収集期間ではなく,もとの 120 秒の収集期間における現在のデータを示しています。 |
$ MONITOR/INPUT/NODISPLAY/SUMMARY=DAILY.LOG DISK |
前の例で作成された記録ファイルを使用し,データを収集した 8 時間の平均値を示す 1 ページの要約レポート・ファイルを作成する。要約レポートの形式は画面表示と同じになる。次に例を示す。
OpenVMS Monitor Utility DISK I/O STATISTICS on node TLC From: 25-JAN-2000 08:00:00 SUMMARY To: 25-JAN-2000 16:00:00 I/O Operation Rate CUR AVE MIN MAX DSA0: SYSTEM_0 0.53 1.50 0.40 3.88 DSA1: SYSTEM_1 0.00 0.39 0.00 8.38 DSA4: WORK_0 0.00 0.11 0.00 1.29 DSA5: WORK_1 0.03 0.87 0.00 5.95 DSA6: WORK_2 0.03 0.25 0.00 2.69 DSA7: WORK_3 0.04 0.97 0.00 20.33 DSA17: TOM_DISK 0.00 0.04 0.00 0.80 DSA23: MKC 0.00 0.00 0.00 0.13 $4$DUA0: (RABBIT) SYSTEM_0 0.20 0.65 0.17 1.97 $4$DUA2: (RABBIT) SYSTEM_0 0.20 0.65 0.17 1.97 $4$DUA3: (RABBIT) SYSTEM_1 0.00 0.14 0.00 2.49 PLAYBACK SUMMARIZING |
前へ | 次へ | 目次 | 索引 |