Compq OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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J.1.2 パラメータの値

各パラメータには,省略時の値と,使用可能な値の範囲を定義する最小値および最大値が関連付けられています。これらの値を知りたい場合は,SYSGEN を起動して,SHOW [パラメータ名] コマンドを(適当な修飾子を指定して) 入力してください。たとえば,WSMAX の値を表示するには SHOW WSMAX と指定します。TTY パラメータの値を表示するには SHOW/TTY と指定します。また,パラメータを属性ごとにグループ分けして表示させることもできます。たとえば,DYNAMIC パラメータを表示するには SHOW/DYNAMIC と入力します。

システム・パラメータの省略時の値を使用すると,サポートされるどの OpenVMS 構成でもブートできます。SYSGEN コマンドの SHOW [パラメータ名] をパラメータ・カテゴリまたは属性の 1 つに対して入力すると,SYSGEN は省略時の値という見出しの下にこれらの省略時の値を表示します。省略時のパラメータ値をリセットするには, USE DEFAULT コマンドを使用します。

ただし,レイヤード・プロダクトに対して調整をしていないシステムですべてのレイヤード・プロダクトを起動してシステムが機能しなくなるような事態を避けるために, STARTUP_P1 システム・パラメータを "MIN" に設定してください。

この節で述べた,計算済みのインストールされた値は, AUTOGEN コマンド・プロシージャによって得られた値です( 『Compaq OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください)。

J.2 パラメータの説明

この項ではシステム・パラメータについて説明し,それぞれのシステム・パラメータを変更すべきかどうかを判断するときの基準を述べます。各パラメータについて,次の属性を示します。

AUTOGEN---A
DYNAMIC---D
FEEDBACK---F
GEN---G
MAJOR---M

注意

バージョン 4.0 より前の VMS オペレーティング・システムでは,ファイルのオープン,クローズやウィンドウの切り替えなどのファイル動作は,補助制御プロセス (ACP) という独立したプロセスが実行します。バージョン 4.0 では,システム上のすべてのプロセスがこれらの動作を実行できるようにする XQP (拡張 QIO プロシージャ) を導入しています。この結果,ACP カテゴリのパラメータの多くは, Files-11 オン・ディスク構造レベル 1 ディスクがマウントされている場合やマウント・コマンドで ACP を指定した場合だけに適用されます。互換性をとるため,パラメータ名は変更されていません。

J.2.1 システム・パラメータ

この項では,すべてのカテゴリのシステム・パラメータをアルファベット順に説明します。

ACP_BASEPRIO (D)

すべての ACP の基本優先順位を設定します。DCL の SET PROCESS/PRIORITY コマンドにより,個々の ACP の基本優先順位を再設定することができます。XQP には適用されません。

ACP_DATACHECK (D)

ACP_DATACHECK は,ファイル・ヘッダなどの内部ファイル・システム・メタデータに対して実行される一貫性チェックを制御します。

ACP_DATACHECK はビット・マスクです。次の表は現在定義されているビットを示しています。

ビット 説明
0 読み込み操作に対して一貫性チェックを実行するときは,このビットをセットする。

このビットをセットすると,ファイル・システム・メタデータを読み込む後続のすべての IO$_READLBLK 操作に対して,IO$M_DATACHECK 関数修飾子が自動的に設定される ( 『OpenVMS I/O User's Reference Manual』を参照)。

1 書き込み操作に対して一貫性チェックを実行するときは,このビットをセットする。

このビットをセットすると,ファイル・システム・メタデータを読み込む後続のすべての IO$_WRITELBLK 操作に対して,IO$M_DATACHECK 関数修飾子が自動的に設定される ( 『OpenVMS I/O User's Reference Manual』を参照)。

2 書き込み後の読み込み一貫性チェックを実行するときは,このビットをセットする。

これはビット 1 を設定するのと同じであるが,この場合,チェックするのはファイル・システムであり,下位レベルの装置やディスク・ドライバではない。

書き込み後の読み込み一貫性チェックは,デファード書き込みでは実行できない。このビットがセットされている場合には,デファード書き込みはオフになる。

3 コンパックが使用するために確保されている。0 でなければならない。
4 コンパックが使用するために確保されている。0 でなければならない。
5 と 6 これらの 2 つのビットは,ディレクトリ・ブロックの読み込みと書き込みに対して実行されるチェックを制御する。4 種類のレベルのいずれかを選択できる。

チェックの対象 選択するレベル ビット 6 のセット ビット 5 のセット
ブロックが正しいディレクトリ・ブロックであるかどうか (読み込みのみ) 0 0 0
ブロックが正しいディレクトリ・ブロックであるかどうか (読み込みと書き込み) 1 0 1
ブロックが正しいディレクトリ・ブロックであり,有効なエントリが格納されているかどうか (読み込みと書き込み) 2 1 0
ブロックが有効なディレクトリ・ブロックであり,正しい英数字の順序で有効なエントリが格納されているかどうか (読み込みと書き込み) 3 1 1

SYSTEM_CHECK システム・パラメータを 1 に設定すると,ディレクトリ・ブロックのレベル 3 のチェックが有効になる。

書き込みエラーになると,BUGCHECK が発生し,システムがクラッシュする。読み込みエラーの場合は,操作が終了し,エラー状態 SS$_BADDIRECTORY が戻される。

7 コンパックが使用するために確保されている。0 でなければならない。

ACP_DINDXCACHE (A,D,F)

ディレクトリ・インデックス・キャッシュのサイズとキャッシュ全体で使用しているバッファ数を制御します。また,一時的インデックスをディレクトリ・ファイルに作成するので,検索時間が短縮されディレクトリ・ヘッダの検索処理が低減します。

ACP_DIRCACHE (A,D,F)

ディレクトリ・ブロックのキャッシングに使用するページ数を設定します。値が小さすぎると XQP 入出力動作が過剰となり,値が大きすぎるとディレクトリ・データ・ブロック・キャッシュが物理メモリを消費しすぎます。

ACP_EXTCACHE (D,F)

拡張キャッシュのエントリ数を設定します。各エントリは,ディスク上の連続する空き空間領域を 1 つ指します。 0 はキャッシュなしを意味します。値が小さすぎると XQP 入出力動作が過剰となり,値が大きすぎると拡張キャッシュが物理メモリを消費しすぎます。

ACP_EXTLIMIT (D)

拡張キャッシュが指すことができる空き空間最大量を,ディスク上で現在利用できる空きブロック数の 1000 分の 1 単位で指定します。たとえば,ディスク上の空き空間が 20,000 ブロックである場合に 10 を指定すると,拡張キャッシュが 200 ブロックに制限されます。

通常は計算で求めたインストール済みの値で充分ですが, 4 つ以上の OpenVMS Cluster ノード・システムを使用している場合は,このパラメータを調整してもよいでしょう。

ACP_FIDCACHE (D,F)

キャッシュ対象のファイル識別スロット数を設定します。1 はキャッシュなしを意味します。値が小さすぎると XQP 入出力動作が過剰となり,値が大きすぎると FID キャッシュが物理メモリを消費しすぎます。

ACP_HDRCACHE (A,D,F)

ファイル・ヘッダ・ブロックのキャッシングに使用するページ数を設定します。値が小さすぎると XQP 入出力動作が過剰となり,値が大きすぎるとファイル・ヘッダ・キャッシュが物理メモリを消費しすぎます。

ACP_MAPCACHE (A,D,F)

インデックス・ファイル・ビットマップ・ブロックのキャッシングに使用するページ数を設定します。値が小さすぎると XQP 入出力動作が過剰となり,値が大きすぎるとビットマップ・キャッシュが物理メモリを消費しすぎます。

ACP_MAXREAD (D)

1 回の入出力動作で読み込むディレクトリ・ブロックの最大数を設定します。

ACP_MULTIPLE (A,D)

異種装置にマウントされた各ボリュームに対し,独立した XQP ディスク・キャッシュの作成を許可(1)または禁止します(0) (省略時の設定では作成されます)。 4.0 より前のバージョンでこのパラメータを許可した場合,各装置に対して独立した ACP プロセスが作成されます。現在ではプロセスごとの XQP が ACP 動作を処理するので,独立したプロセスは作成されません。複数のキャッシュは通常不要です。小容量のキャッシュを複数個使用するより,大容量のキャッシュを 1 つ使用した方が効率的です。DCL の MOUNT コマンドにより,ボリューム単位でこのパラメータを無効にすることができます。

ACP_QUOCACHE (A,D,F)

キャッシュ対象のクォータ・ファイル・エントリ数を設定します。0 はキャッシュなしを意味します。値が小さすぎると XQP 入出力動作が過剰となり,値が大きすぎるとクォータ・キャッシュが物理メモリを消費しすぎます。

ACP_REBLDSYSD

拡張キャッシング,ファイル番号キャッシング,ディスク・クォータ・キャッシングのいずれかが許可された状態でシステム・ディスクが正しくディスマウントされなかった場合,システム・ディスクを再作成するかどうかを指定します。省略時の値 (1) は,システム・ディスクを再作成します。値を0に設定するということは,ディスクを再構築しないことを意味します。

ディスマウントする前にボリュームに許可されていたキャッシング量によっては,再作成動作にかなりの時間がかかる可能性があります。 0 を指定すると,ディスクが直ちににアクティブに戻ります。 0 を設定すれば,DCL の SET VOLUME/REBUILD コマンドで随時ディスクを再作成することができます。

ACP_SHARE (D)

最初に使用した ACP にグローバル・セクションの作成を許可(0)または禁止(1)します。以降の ACP は,最初の ACP のコードを共用します。ACP_MULTIPLE を設定した場合は,このパラメータをオン (0) に設定してください。

ACP_SWAPFLGS (A, D)

次の 4 種類の ACP クラスに対し,4 ビットの値を使用してスワップを許可または禁止します。

ビット ACP クラス
0 MOUNT/SYSTEM でマウントしたディスク
1 MOUNT/GROUP でマウントしたディスク
2 プライベート・ディスク
3 磁気テープ ACP

ビットの値が 1 である場合,該当する ACP クラスをスワップできます。 10 進値 15 (16 進値 F - すべてのビットが ON) は,すべてのクラスの ACP のスワップを許可します。10 進値 14 は,/SYSTEM 修飾子を指定してマウントしたボリュームの ACP のスワップを禁止しますが,他の ACP のスワップは許可した状態のままとします。ディスク ACP が存在するのは,マウント時に指定した場合または Files-11 オン・ディスク構造レベル 1 ディスクがマウントされている場合だけです。通常,ファイル ACP は存在しないので,意味を持つのはビット 3 だけです。

ACP_SYSACC (A, D)

/SYSTEM 修飾子を指定してマウントしたディスクについてキャッシュする,ディレクトリ・ファイル制御ブロック (FCB) の数を設定します。各ディレクトリ FCB は,ディレクトリの各ブロック (16 ブロックを超えるディレクトリの場合はブロック・グループ) の最終エントリの第 1 文字を格納する 16 バイトの配列です。ディレクトリのエントリはアルファベット順であるため,必要なディレクトリ・ブロックを,キャッシュした FCB によって迅速にアクセスできます。このパラメータ値は,各システム・ボリュームで同時に使用するディレクトリ数とほぼ同じにします。この値は,DCL の MOUNT コマンドで /ACCESSED 修飾子を指定することにより,ボリューム単位で上書きされることがあります。FCB が大量の非ページング動的プール空間を要するため,物理メモリ容量が小さくてファイル動作があまりないシステムでは,このパラメータに小さい値を設定してください。

値が小さすぎると XQP 入出力動作が過剰となり,値が大きすぎると FCB キャッシュが物理メモリを消費しすぎます。

ACP_WINDOW (D)

/SYSTEM 修飾子を指定してマウントしたディスクにおいて,省略時のファイル・アクセスで 1 つのウィンドウに割り当てるウィンドウ・ポインタの省略時の数を設定します。

ACP_WORKSET (D)

ACP のワーキング・セットの省略時のサイズを設定します。 0 を指定すると,ACP がサイズを計算します。0 以外の値は,メモリ容量が小さい小型システムだけに設定してください。値が小さすぎると ACP ページが過剰となり,値が大きすぎると ACP が物理メモリを消費しすぎます。プロセス単位の XQP には,影響しません。

ACP_WRITEBACK (D)

ライトバック・キャッシュを許可します。省略時の値は 1 で,ライトバック・キャッシュを許可します。ライトバック・キャッシュを禁止するには, ACP_WRITEBACK を 0 に設定します。

ODS--2 ディスク上では,PATHWORKS サーバだけがライトバック・キャッシュを使用することができます。その他のアプリケーションはすべて,ライトスルー・キャッシュを使用します。

ACP_XQP_RES

XQP を現在メモリに常駐させるかどうかを制御します。省略時の値の 1 では,XQP がメモリに永久に常駐します。ユーザが少なく,XQP を要するファイル動作がほとんどないか皆無であるような,メモリ容量が制限されたシステム以外では省略時の値を変更しないようにしてください。XQP を要するファイル動作とは,ファイルのオープンやクローズ,ディレクトリ検索,ウィンドウの切り替えなどです。

AFFINITY_SKIP

暗黙のアフィニティ(関係)の解除を制御します。値は,移動される前にプロセスがスキップする回数を示します。

この特殊パラメータはコンパックが使用するものであり,予告なく変更される可能性があります。コンパックからの依頼がある場合を除いて,このパラメータは変更しないでください。

AFFINITY_TIME

暗黙のアフィニティ(関係)の解除を制御します。値は,プロセスが演算キューに登録されている時間を示します。

この特殊パラメータはコンパックが使用するものであり,予告なく変更される可能性があります。コンパックからの依頼がある場合を除いて,このパラメータは変更しないでください。

ALLOCLASS

システムの装置割り当てクラスを指定します。装置割り当てクラスは,1 つの装置を指す複数のアクセス・パスの共通ロック資源名を求めるときに使用します。

ARB_SUPPORT (D)

(Alpha のみ) ARB (Access Rights Block) 互換オプションである ARB_SUPPORT システム・パラメータは,新規のスレッド毎のセキュリティ Persona Security Block(PSB)データ構造ではまだ更新されていない製品をサポートするために特別に提供されています。 ARB_SUPPORT を 2 または 3 (省略時の値) から別の値に変更すると,これらの製品の動作に影響を与える可能性があります。

注意

バージョン 7.3 のシステムでは,すべて, ARB_SUPPORT パラメータを 3 (省略時の値) に設定するようにしてください。 ARB に依存しているすべての製品,および,それに関連する構造が新しい環境に合わせて変更されていない場合には, ARB_SUPPORT パラメータを変更しないでください。

次の表は ARB_SUPPORT パラメータを説明しています。

ARB_SUPPORT パラメータ 動作
ISS$C_ARB_NONE 0 現在では使用していないカーネル・データ・セルがシステムに維持されない。プロセス生成時にフィールドはゼロに初期化される (あるいは有効でないポインタに設定される)。
ISS$C_ARB_CLEAR 1 コードが後方互換性値を設定する時,現在では使用していないカーネル・データ・セルがクリアされる (あるいは有効でないポインタに設定される)。
ISS$C_ARB_READ_ONLY 2 現在では使用していないセルは, $PERSONA_ASSUME が発行されたときに現在の PSB に格納される,対応するセキュリティ情報によって更新される。
ISS$C_ARB_FULL 3 (省略時の値) セキュリティ関連の操作が行われると,データは使用されなくなったセルから現在アクティブな PSB に移動される。

AUTO_DLIGHT_SAV

AUTO_DLIGHT_SAV は 1 または 0 のどちらかに設定します。省略時の値は 0 です。

AUTO_DLIGHT_SAV を 1 に設定すると,OpenVMS は,夏時間に関する変更を自動的に行います。

AWSMIN (D)

VAX システムでは,ワーキング・セットの自動調整におけるワーキング・セットの最小ページ数を設定します。

Alpha システムでは,ワーキング・セットの自動調整におけるワーキング・セットの最小ページレット数を設定します。

AWSTIME (D)

ワーキング・セットのページ・フォルト率のサンプルをシステムが充分収集できるために必要なプロセッサの最小経過時間を指定します。単位は 10 ミリ秒であり,省略時の値の 20 は 200 ミリ秒を意味します。

メモリを大量に使用するプロセスを多数使用するアプリケーション構成では,値を減らすと有効な場合があります。値は 4 まで減らすことができます。

AWSTIME の満了はクォンタムの終了時にだけチェックされます。この値を小さくし,QUANTUM の値を小さくしないと,AWSTIME の値は QUANTUM の値に等しく設定されます。

BALSETCNT (A,G,M)

バランス・セット・スロットをシステム・ページ・テーブルに設定します。1 つのメモリ常駐ワーキング・セットは,1 つのバランス・セット・スロットを必要とします。

DCL の SHOW MEMORY コマンドまたは MONITOR ユーティリティのMONITOR PROCESSES コマンドを実行してアクティブ・システムを監視することにより,メモリに常駐している最大ワーキング・セット数を調べることができます。最大ワーキング・セット数が BALSETCNT よりはるかに小さい場合,このパラメータ値を小さくすることができます。すべてのバランス・セット・スロットが使用されている場合は,このパラメータ値を上げます。

MAXPROCESSCNT より 2 小さい値を超える値は,BALSETCNT に絶対に設定しないようにします。物理メモリにかなりの制約があるシステムでは,さらに小さい値を設定した方がよい場合もあります。ただし,MAXPROCESSCNT とほぼ同じ数のプロセスを実行するシステムの場合,BALSETCNT を下げるとスワッピングが発生し,システムの性能に影響を及ぼす恐れがあります。VBS は, BALSETCNT と MAXPROCESSCNT の値に影響する可能性があります。

BORROWLIM (A,D,M)

ワーキング・セット・クォータ WSQUOTA を超える成長をプロセスに対してシステムが許可するために必要な空きページ・リストの最小ページ数を定義します。このパラメータには,必ず FREELIM より大きい値を設定します。

空きページ・リストに充分なメモリがあるシステムにおいて,ワーキング・セット・クォータ WSQUOTA で設定されている値を超え,ワーキング・セット・クォータ超過値 WSEXTENT までプロセスが成長できるようにします。このワーキング・セット自動調整は, WSINC,PFRATH,AWSTIME のパラメータ値にも依存します。


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