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デルタ時間とは,現在の日付および時刻から将来の時刻までのオフセット (時間間隔) のことです。次に,デルタ時間の一般形式を示します。
"+[dddd-][hh:mm:ss.cc]" |
各フィールドは,次のような意味を持っています。
dddd | 日数。0 〜 9999 の整数。 |
hh | 時数。0 〜 23 の整数。 |
mm | 分数。0 〜 59 の整数。 |
ss | 秒数。0 〜 59 の整数。 |
cc | 1/100 秒数。0 〜 99 の整数。 |
絶対時刻,デルタ時間,または 2 つの組み合わせとして表現できる値として,修飾子が説明されている場合には,複合時刻の一部であるかのようにデルタ時間を指定しなければなりません。たとえば,現在の時刻から 5 分間というデルタ時間を指定するには, "+:5" と指定します("0-0:5" とは指定しません)。
デルタ時間の指定には,次のような規則が適用されます。
次に,デルタ時間の指定の例をいくつか紹介します。
時刻指定 | 結果 |
---|---|
"+3-" | 現在から 3 日間 (72 時間) |
"+3" | 現在から 3 時間 |
"+:30" | 現在から30 分 |
"+3-:30" | 現在から 3 日と 30 分 |
"+15:30" | 現在から 15 時間 30 分 |
絶対時刻とデルタ時間を組み合わせる場合には,絶対時刻と正 (+) または負 (-) の符号を付けたデルタ時間を指定します。複合時刻の形式は,次のとおりです。
"[絶対時刻][+デルタ時間]" [絶対時刻][-デルタ時間] |
絶対時刻値とデルタ時間値の可変フィールドと省略時のフィールドには,前の項で説明した規則と同じ規則が適用されます。
複合時刻を指定する場合には,次の規則が適用されます。
次の表に,複合時刻の指定の例をいくつか紹介します。
時刻指定 | 結果 |
---|---|
"+5" | 現在から 5 時間後。 |
"-1" | 現在の時刻から 1 時間を減算した値。負の符号 (-) は負のオフセットを示す。1 の後にハイフンがないので, 1 は日付ではなく,時間として解釈される。 |
"+:5" | 現在から 5 分後。 |
"-:5" | 現在の時刻から 5 分を減算した値。 |
"-1-00" | 現在の時刻から 1 日を減算した値。負の符号 (-) は負のオフセットを示す。 (-) ハイフンが日付フィールドと時刻フィールドを分割している。 |
"31-DEC:+:5" | 今年の 12 月 31 日の午前 0 時 5 分。絶対時刻指定 (コロンの前) の省略時の値は,今年の 12 月 31 日の午前 0 時に設定されている。正の符号 (+) は,正のオフセットを示す。 |
31-DEC:-00:10 | 今年の 12 月 30 日の 23 時 50 分。絶対時刻指定 (コロンの前) の省略時の値は,今年の 12 月 31 日の午前 0 時に設定されている。DEC: の後の負の符号 (-) は,負のオフセットを示す。 |
DCL レベルでは,前に入力したコマンド行を再呼び出しできるので,長いコマンド行を何度も入力する手間が省けます。コマンドを再呼び出しすれば,再実行や編集をすることができます。
OpenVMS VAXシステムでは,再呼び出しバッファには前に入力したコマンドを最大20個まで格納できます。
OpenVMS Alpha システムでは,再呼び出しバッファには前に入力したコマンドを最大254個まで格納できます。
前に入力したコマンドを表示する場合には,次のいずれかの方法を使用します。
Ctrl/B を一回押すと,すぐ前のコマンド行が再呼び出しされます。 Ctrl/B をもう一度押すと,2 つ前のコマンド行が再呼び出しされ,以下も同様になります。
3.8.2 矢印キーの使用
上向き矢印キーを押すと,直前のコマンドが再呼び出しされ,下向き矢印キーを押すと,直後のコマンドが再呼び出しされます。また,これらの矢印キーを何回も押して,以前に実行したコマンドを順に表示させ選択することができます。
3.8.3 RECALL コマンドの使用
コマンド行を調べるには,RECALL/ALL と入力します。再呼び出しできるコマンドを調べた後, RECALL と入力してから希望のコマンド番号を指定すれば,特定のコマンド行を再呼び出しできます。
RECALL の後に,表示したいコマンド行の最初の文字を指定することもできます。 RECALL は,すでに入力したコマンド行を最後から順に検索して,指定した文字で始まる最初のコマンド行を戻します。
$ RECALL/ALL |
1 SET DEFAULT DISK2:[MARSHALL] 2 EDIT ACCOUNTS.COM 3 PURGE ACCOUNTS.COM 4 DIRECTORY/FULL ACCOUNTS.COM 5 COPY ACCOUNTS.COM [.ACCOUNTS]* 6 SET DEFAULT [.ACCOUNTS] |
$ RECALL 4 |
Return を押すと,DCL プロンプトに続いてリストの中の 4 番目のコマンドが表示されます。なお,RECALL コマンド自体は,バッファには登録されません。
$ RECALL E |
Return を押すと,次のコマンド行が表示されます。
$ EDIT ACCOUNTS.COM |
OpenVMS 画面管理ソフトウェアを使用するユーティリティやアプリケーション・プログラムを実行している場合には, Ctrl/B と上下の矢印キーを使用してコマンドの再呼び出しを行うことができます。この場合,行編集機能が使用可能でなければなりません。このような機能を持つユーティリティには,MAIL,OpenVMS デバッガ,SHOW CLUSTER,システム・ダンプ・アナライザ (SDA),EVE エディタがあります。 |
再呼び出しバッファの内容を削除する場合には,次に示すように, RECALL コマンドに ERASE 修飾子を指定します。
$ RECALL/ERASE |
機密保護上の理由から,パスワードを含むコマンドを入力した後は,再呼び出しバッファの内容を削除するとよいでしょう。
3.9 DCL コマンド行の編集
DCL コマンド・レベルでは,1 つ 1 つのキーやキーの組み合わせを使用して,入力内容を変更することができます。ターミナルのタイプが異なると操作特性も異なりますが,大半のターミナルは標準ファンクション・キーと
ライン・エディタで使用できるキーを備えています。
3.9.1 行編集のためのターミナル設定
ターミナル上で行編集機能が使用可能かどうかを調べる場合には, SHOW TERMINAL コマンドを入力します。行編集機能の現在の状態が "Terminal Characteristics" の最初の桁に表示されます。
次の例では,行編集は有効ではありません。
$ SHOW TERMINAL Terminal: _VTA130: Device_Type: VT200_Series Owner: ROHBA LAT Server/Port: L121/Port_3 Physical terminal: _LTA130: Input: 9600 LFfill: 0 Width: 80 Parity: None Output: 9600 CRfill: Page: 24 Terminal Characteristics: Interactive Echo Type_ahead No Escape No Hostsync TTsync Lowercase Tab Wrap Scope No Remote No Eightbit Broadcast No Readsync No Form Fulldup No Modem No Local_echo No Autobaud Hangup No Brdcstmbx No DMA No Altypeahd Set_speed No Line Editing Insert editing No Fallback No Dialup No Secure server Disconnect No Pasthru No Syspassword No SIXEL Graphics No Soft Characters No Printer Port Numeric Keypad ANSI_CRT No Regis No Block_mode Advanced_video No Edit_mode DEC_CRT No DEC_CRT2 |
SET TERMINAL コマンドを使用すると,ターミナルが DCL コマンド行を編集する方法を変更することもできます。省略時の設定では,SET TERMINAL コマンドによる編集内容の変更は,現在のセッションのみに適用されます。ログインするたびにターミナルを設定する場合には, LOGIN.COM ファイルに SET TERMINAL コマンドを入れるようにします。
この例では,行編集機能はできません。行編集機能を使用可能にする場合には, SET TERMINAL/LINE_EDIT コマンドを入力します。
$ SET TERMINAL/LINE_EDIT |
SET TERMINAL/INSERT と SET TERMINAL/OVERSTRIKE
コマンド行は,挿入モードまたは上書モードで編集できます。挿入モードでは,入力した文字がカーソルの左側に挿入されます。上書モードでは,入力した文字がカーソルの上に示された文字に重ね書きされます。
コマンド行の編集モードを変更する場合には,Ctrl/A を押します (Ctrl/A がスイッチの働きをします)。セッションの編集モードを変更するには,SET TERMINAL/INSERT または SET TERMINAL/OVERSTRIKE コマンドを入力します。
SET TERMINAL/WRAP コマンドを使用すると,ターミナル画面の 1 行に収まらない数の文字を入力する場合には,テキストは次の行に自動改行されます。
編集できるのは,カーソルが存在する行だけです。テキストを自動改行するときは,上向き矢印キーを使用してカーソルを上に移動して,前の行を編集することはできません。カーソルを前の行に移動するには, Delete キーを使用して現在の行にあるすべての文字を削除します。
3.9.3 コマンド行の要素の削除
Delete キーには,ターミナルの種類によって Rubout や Delete という語,または X を左矢印で囲んだ印が付いています。 Delete キーは,直前に入力した文字の上に戻り,その文字を削除します。 ハードコピー・ターミナル では,削除した文字はバックスラッシュ文字の間に表示されるので,削除内容を見ることができます。ビデオ・ディスプレイ・ターミナルでは,Delete キーを押すと,画面から当該文字が抹消されて,カーソルが後退します。
Backspace キー (または左向き矢印キー) は,直前の文字の上にカーソルを戻しますが,その文字を削除しません。
行編集機能が使用可能な場合には,Ctrl/U を使用して,行の先頭から現在のカーソル位置までの文字を削除できます。行編集機能が使用できない場合には,Ctrl/U を使用すると行全体が取り消されます。このとき,システムはその行を無視して,DCL プロンプトを再表示します。
3.10 ターミナル・キーの定義
キー定義とは,特定のターミナル・キーに文字列を割り当てることです。キーを定義しておくと,定義したキーを押すだけで文字列を入力する代わりになります。キー定義には,通常,コマンド行全体またはその一部が入っています。キー定義を使用すると,キーストロークを減らして DCL コマンドを入力できるようにキーボードをカスタマイズできます。定義したキーを押すと,コマンドを /TERMINATE 修飾子で定義したかどうかにより,コマンドがターミナルに表示されたり実行されたりします。
定義可能なキーの中には,自動的に定義可能になるものもあります (LK201 キーボードの PF1 〜 PF4 キーや F17 〜 F20 キーなど)。ただし,キーパッド KP0 〜 KP9 やキーパッド・キーのピリオド,コンマ,マイナス,Enter などの他のキーを定義する場合には,あらかじめ, SET TERMINAL/APPLICATION_KEYPAD または SET TERMINAL/NONUMERIC コマンドを入力して,それらのキーを定義可能にしておかなくてはなりません。
3.11 キーの組み合わせの概要
これ以降の節では,特定の操作を実行するために使用できる,キーまたはキー・シーケンスについて説明します。
3.11.1 DCL コマンドを入力するキー
ターミナルから入力されたデータのファイルの終端を知らせる。 Ctrl/Z は Exit として表示される。このキーは,LK201 キーボードでのみ使用可能。
現在行をシステムに送信して処理させる。ターミナルによっては,Return キーに CR のラベルが付けられていることがある。ログインしていない場合には,Return はログイン・シーケンスを開始する。
コマンド入力時に,コマンド処理を取り消す。 Ctrl/C を押すと,Cancelという文字列が表示される。このキーは,LK201 キーボードでのみ使用可能。
ターミナル出力に割り込んで,現在のプロセスについての統計情報を表示する。ノード名,ユーザ名,時間,実行中のイメージの名前,現在のターミナル・セッションで使用されているシステム資源についての情報が表示される。
Ctrl/T キーを使用すると,システムが,動作中かどうかも判別できる。システムが一時的に応答不能な場合や, ターミナルが NOBROADCAST に設定されている場合には情報は表示されない。 Ctrl/T を使用するには,最初に (システム・ログイン・コマンド・プロシージャや個人ログイン・コマンド・プロシージャ,または会話の中で) SET CONTROL=T コマンドを入力しなければならない。
コマンド処理に割り込む。Ctrl/Y を押すと,Interrupt という文字列が表示される。 Ctrl/Y を使用不能にするには,SET NOCONTROL=Y コマンドを使用する。
ほとんどの場合は,DCL プロンプトが戻る。このとき,プログラムは実行中である。いずれかの組み込みコマンドを入力すれば, CONTINUE コマンドでプログラムの実行を継続できる。なお,CONTINUE コマンドを入力した後で画面を消去する場合には,Ctrl/W を押す。
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