日本語Compaq TCP/IP Services for OpenVMS
リリース・ノート
3.5 IPv6 では BIND リゾルバが必要
IPv6 を使用している場合には, BIND リゾルバを有効にする必要があります。 BIND リゾルバをコンフィギュレーションしていない場合は, TCPIP$CONFIG.COM コマンド・プロシージャを使って有効にすることができます。「Core」メニューから「BIND Resolver」を選択してください。 BIND サーバにアクセスできない場合は,BIND サーバとしてノード・アドレス 127.0.0.0 を指定します。 BIND リゾルバを有効にするためには BIND サーバを指定する必要があります。
3.6 TCP/IP 管理コマンドの制限事項
次の制限事項は,TCP/IP の管理コマンドに適用されます。
- SET NAME_SERVICE /PATH
このコマンドには SYSNAM 特権が必要です。このコマンドをプロセス・レベルで適切な特権なしで入力すると,コマンドは動作せず,通知も行われません。このコマンドをシステム・レベルで入力すると,コマンドは動作しないで,エラー・メッセージが返されます。
- SET SERVICE コマンド
サービスのパラメータを変更したときには,サービスをいったん無効にし,再び有効にしないと,変更は有効になりません。
3.7 NTP の問題点と制限事項
NTP サーバの階層の上限は 15 です。サーバは,15 以上の階層を報告するタイム・サーバとは同期を行いません。このため,(「
local-master」コマンドで)「自由実行」として指定されている UCX NTP サーバを実行しているサーバとの同期を試みると問題が生じることがあります。正常に実行させるためには,
local-master指定を 14 以下の階層で指定する必要があります。
3.8 SNMP の問題点
本節では,本リリースの SNMP 構成要素の制限事項を詳しく説明します。
3.8.1 不完全な再起動
SNMP マスタおよびサブエージェントに障害が発生したか停止した場合,日本語 TCP/IP Services は一般にすべてのプロセスを自動的に再起動することができます。しかし,特定の条件下では,サブエージェント・プロセスが再起動しないことがあります。つまり,DCL コマンド SHOW SYSTEM 表示に, TCPIP$OS_MIBS および TCPIP$HR_MIB が含まれなくなります。これが起こった場合は,以下のコマンドを発行して SNMP を再起動します。
$ @SYS$STARTUP:TCPIP$SNMP_SHUTDOWN
$ @SYS$STARTUP:TCPIP$SNMP_STARTUP
|
3.8.2 SNMP IVP エラー
低速システムでは, SNMP のインストレーション検証プロシージャ(IVP)は,サブエージェントがテスト問い合せに応答しなかったために失敗することがあります。次のようなエラー・メッセージが表示されます。
...
Shutting down the SNMP service... done.
Creating temporary read/write community SNMPIVP_153.
Enabling SET operations.
Starting the SNMP service... done.
SNMPIVP: unexpected text in response to SNMP request:
"- no such name - returned for variable 1"
See file SYS$SYSDEVICE:[TCPIP$SNMP]TCPIP$SNMP_REQUEST.DAT for more
details.
sysContact could not be retrieved. Status = 0
The SNMP IVP has NOT completed successfully.
SNMP IVP request completed.
Press Return to continue ...
|
IVP のこれらのタイプのメッセージは無視してもかまいません。
3.8.3 既存の MIB サブエージェント・モジュールの使用
既存のサブエージェントが正しく実行されなかった場合には,現在のバージョンの TCP/IP Services に再リンクして,正常に動作するイメージを作成しなくてはならないことがあります。また,一部のサブエージェント (Compaq Insight Manager の OpenVMS サポートなど) も最低限のバージョンの OpenVMS と最低限のバージョンの TCP/IP Services を必要とします。
以下に示す一般的な制限事項と注意事項が適用されます。
- 一般に,以下のバージョンの eSNMP 共用可能イメージにリンクされた実行可能イメージのみが現在のバージョンの TCP/IP Services との上位互換性を持っています。
- TCP/IP Services V4.2 ECO 4 の UCX$ESNMP_SHR.EXE
- TCP/IP Services V5.0A ECO 1 の TCPIP$ESNMP_SHR.EXE
これ以外のバージョンの下で構築されたイメージは,いずれかの共用イメージと,または現在のバージョンの日本語 TCP/IP Services の TCPIP$ESNMP_SHR.EXE と再リンクすることができます。
- 下位の eSNMP API は,V5.0 の DPI から現在のバージョンの TCP/IP Services では AgentX に変更されています。このため,API の古いオブジェクト・ライブラリ・バージョン (*$ESNMP.OLB) にリンクされた実行可能イメージは,新しいオブジェクト・ライブラリか新しい共用可能イメージのどちらかに再リンクされなくてはなりません。共用可能イメージにリンクすると,将来の上位互換性が保証され,イメージ・サイズもより小さくなります。
注意
イメージは再リンクされなくても動作できますが,下位互換性は保証されていません。このようなイメージでは,不正確なデータが生成されたり,実行時に問題が生じたりする可能性があります。
|
- TCP/IP Services V4.2 のカーネル・データ構造や関数に依存するプログラムは,動作するかもしれませんが,有効なデータを返さない可能性があります。このようなプログラムは書き換えるようにしてください。
- UCX$ACCESS_SHR.EXE,UCX$IPC_SHR.EXE,UCX$RPCXDR_SHR.EXE,またはその他の古い共用可能イメージにリンクされた実行可能イメージは,再リンクを行っても動作しないことがあります。このようなプログラムは,再コンパイルするか,書き換えた後に再コンパイルする必要がある場合があります。
上に示した以外のバージョンにリンクされている実行可能イメージがあり,再リンクを行えない場合は,Compaq のサポート担当者に問い合わせてください。
- TCP/IP Services V4.2 ECO 4 または TCP/IP Services V5.0A ECO 1 にリンクされた実行可能イメージの実行に問題が生じた場合は,次の DCL コマンドを入力して,共用可能イメージのバージョンが最新のバージョンであることを確認します。
$ DIRECTORY/DATE/PROTECTION SYS$SHARE:*$ESNMP_SHR.EXE
|
プレフィックス TCPIP$ と UCX$ を持つファイルの作成日は,互いに数秒以内でなくてはならず,各ファイルのバージョンは 1 つしか存在していてはなりません。両方のイメージにファイル保護 W:RE が含まれていることを確認してください。
また,次のコマンドでバージョンを確認することもできます。
カテゴリ「Network Management」の下の,イメージ TCPIP$ESNMP_SHR の行の 2 番目の列にバージョンが表示されます。たとえば,次のように表示されます。
TCPIP$ESNMP_SHR;1 V5.1-15B 23-MAY-2001 SYS$COMMON:[SYSLIB]
|
- TCP/IP Services V5.0A ECO 1 と TCP/IP Services V5.1 は, TCP/IP Services V4.2 ECO 4 の下でリンクされたサブエージェントとの互換性を提供するために,更新されたバージョンの UCX$ESNMP_SHR.EXE 共用可能イメージを用意しています。このファイルを削除してはなりません。
3.8.4 RFCで定義されている機能に対する制限事項
- 以下のMIB-IIグループ・オブジェクトについては, SNMP 要求は実装されていません。
ipRouteMetric1 - ipRouteMetric5
tcpMaxConn
|
- 以下の Host Resources MIB オブジェクトについては, SNMP 要求は実装されていません。
hrPartitionTable
hrPrinterTable
hrSWInstalled
hrSWInstalledTable
|
- 以下のMIB-IIグループ・オブジェクトについては,SNMPの
set要求は実装されていません。
ipDefaultTTL
ipRouteAge
ipRouteDest
ipRouteIfIndex
ipRouteMask
ipRouteNextHop
ipRouteType
|
- 以下のHost Resources MIBオブジェクトについては,SNMPの
set要求は実装されていません。
hrFSLastFullBackupDate
hrFSLastPartialBackupDate
hrStorageSize
hrSWRunStatus
hrSystemDate
hrSystemInitialLoadDevice
hrSystemInitialLoadParameters
|
- SNMPグループ(1.3.6.1.2.1.11)では,RFC 1907で廃止されたと記述されているデータ要素は実装されていません。
3.8.5 SNMPの制限事項と特長
この項では,SNMPの制限事項と特長について説明します。詳細については,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS SNMP Programming and Reference 』を参照してください。
- SNMPサーバは,クラスタ別名に対して送られたSNMP要求に正しく応答します。ただし,クラスタ・グループのメンバではあるが,現在のインパーソネータではない TCP/IP Services V4.xシステムからの問い合わせは,予期しないホストに到達する可能性があることに注意してください。
- SNMPマスタ・エージェントとサブエージェントは,DNS問い合わせで使用されている論理名TCPIP$INET_HOSTの値が,ホスト上の機能しているインタフェースのIPアドレスになっていなければ,起動しません。この問題は,サーバ・ホストが永久的ネットワーク接続(たとえばEthernet または FDDI)で正しくコンフィギュレーションされている場合には発生しません。この問題は,ホストがPPPを通して接続されており,PPP接続に使用されているIPアドレスがTCPIP$INET_HOST論理名のIPアドレスに一致していないときに起こります。
- 主にOpenVMS VAXシステム上で起こる特定の条件下では,マスタ・エージェントまたはサブエージェントが内部
select()ソケット呼び出しからのエラーで終了します。ほとんどの場合,ループは起こりません。ループが起こる場合には, TCPIP$SNMP_SELECT_ERROR_LIMIT論理名を定義することにより,繰り返し回数を制御することができます。
- TCP/IP Servicesに付属しているMIBブラウザ(TCPIP$SNMP_REQUEST.EXE)は, 32ビットのOpenVMSプロセスIDを構成要素として含んでいるOIDの
getnext処理をサポートしています。ただし,他の MIBブラウザはこれをサポートしていない可能性があります。
たとえば,以下のOIDと値はOpenVMS上でサポートされています。
1.3.6.1.2.1.25.4.2.1.1.1321206828 = 1321206828
1.3.6.1.2.1.25.4.2.1.1.1321206829 = 1321206829
1.3.6.1.2.1.25.4.2.1.1.1321206830 = 1321206830
|
これらの例は
hrSWRunTableからとったものです。
hrSWRunPerfTableも影響を受ける可能性があります。
-
sysObjectIDは次の書式で返されます。これは Compaq Insight Manager/XE との相互運用性のために必要です。
1.3.6.1.2.1.1.2.0 = 1.3.6.1.4.1.36.2.15.22.1
|
このフォーマットで,右側の値は次に対応しています。
iso.org.dod.internet.private.enterprises.dec.ema.sysObjectIds.DEC-OpenVMS.eSNMP
|
-
sysORTableが実装されています(詳細については, RFC 1907を参照)。要素にはOIDプレフィックス1.3.6.1.2.1.1.9.1 が付けられます。
TCPIP$OS_MIBSおよびTCPIP$HR_MIBの両サブエージェントが実行されている場合,
sysORTableに対する
get要求は次のようになります。特に指示がない限り,OIDはRFC 1907に従います。
1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.1 = 1.3.6.1.4.1.36.15.3.3.1.1
1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.2 = 1.3.6.1.4.1.36.15.3.3.1.2
1.3.6.1.2.1.1.9.1.3.1 = Base o/s agent (OS_MIBS) capabilities
1.3.6.1.2.1.1.9.1.3.2 = Base o/s agent (HR_MIB) capabilities
1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.1 = 31 = 0 d 0:0:0
1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.2 = 36 = 0 d 0:0:0
|
この例はMIBブラウザ(TCPIP$SNMP_REQUEST.EXE)からとったものです。
-
hrDeviceTableはテンプレート・デバイスを含んでいます (たとえば,NFSのDNFS0と,仮想デバイスのDAD0)。
- ネットワーク・デバイスの場合には,テンプレート・デバイス (ユニット番号が 0 のデバイス) だけが表示されます。
-
hrDeviceTableには,以下の特性を持つものを除き, OpenVMSホストが認識しているすべてのデバイスが含まれます。
- オフライン
- リモート
- 参照カウントがゼロのときに削除されるようにマークされているUCB
- メールボックス・デバイス
- リモート・ターミナル(DEV$M_RTT 特性)を持つデバイス
- テンプレート・ターミナル・クラス・デバイス
- LATデバイス(_LTで始まるもの)
- 仮想ターミナル・デバイス(_VTで始まるもの)
- 疑似ターミナル・デバイス(_FTで始まるもの)
-
hrDevTableグループ内のデータ項目には以下の制限があります。
-
hrDeviceIDは常に null OID(0.0)です。
-
hrDeviceErrorsは次の表に示すコードを持ちます。
| コード |
条件 |
| 警告(3)
|
エラー・ロギングが実行中(OpenVMS UCB値UCB$M_ERLOGIP)
|
| 実行中(2)
|
ソフトウェアが有効であり,エラー・ロギングが実行中でない(OpenVMS UCB値UCB$M_VALID)
|
| 不明(1)
|
他のすべてのOpenVMSステータス
|
- OpenVMS V7.1-2より前のバージョンのオペレーティング・システムを実行しているシステムでは,MIB-II
ifTableのカウンタは, RFC 1155に定義されているように,最大値( 232 - 1 )に達した後に0に戻りません。その代わりに,ゲージ・カウンタのように動作し,システム・リブートなどの外部イベントによってクリアされるまで最大値のまま残されます。影響を受けるカウンタは以下のとおりです。
ifInDiscards
ifInErrors
ifInNUcastPkts
ifInOctets
ifInUcastPkts
ifInUnknownProtos
ifOutErrors
ifOutNUcastPkts
ifOutOctets
ifOutUcastPkts
|
SNMPv2では,これらのカウンタはデータ型Counter32です。以下の
ifTableメンバは,OpenVMSではつねに-1です:
ifOutDiscards(Counter32),
ifOutQLen(Gauge32)。
- 一部の条件下では,サブエージェント名が
sysORTableに重複してリストされることがあります。次に例を示します。
1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.2 = 1.3.6.1.4.1.36.2.15.22.1.1.1
1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.3 = 1.3.6.1.4.1.36.2.15.22.1.1.1
1.3.6.1.2.1.1.9.1.3.2 = Base o/s agent (OS_MIBS) capabilities
1.3.6.1.2.1.1.9.1.3.3 = Base o/s agent (OS_MIBS) capabilities
1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.2 = 11351 = 0 d 0:1:53
1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.3 = 17829 = 0 d 0:2:58
|
この例では,イメージ SYS$SYSTEM:TCPIP$OS_MIBS.EXE の 2 つのインスタンスが実行されているため,OS_MIBS サブエージェントが 2 度リストされます (この状態は, TCP/IP Services の問題を示しています)。次のプリフィックスを持つ OID の次の値がサブエージェントによって送信され, SNMP クライアントでのエラーを反映しません。
-
hrFSMountPoint(1.3.6.1.2.1.25.3.8.1.2) は DNFSn です。このデバイスは,再起動やディスマウント/マウント操作を行うと変更される場合があります。
-
hrFSTableグループで,NFSを通してファイル・システムがマウントされていないか,アクセス可能な情報がない場合には,
get要求に対して
"no such instance"ステータスが返されます。このメッセージに対する対応は,ブラウザによって異なります。たとえば,TCPIP$SNMP_REQUEST.EXEは出力を返さず, DCLプロンプトに直接戻ります。
NFSマウントを実行後,
get要求に対しては次の情報が返されます。OpenVMSで実装されているデータ項目を以下に示します (RFC 1514を参照)。
-
hrFSIndex
-
hrFSMountPoint:ローカルDNFSデバイス名
-
hrFSRemoteMountPoint:UNIXの書式でのリモート・ファイル・システム名
-
hrFSType:リモート・システムが日本語 TCP/IP Services を実行しており,ファイル・システムがコンテナ・ファイル・システムでない場合は, OID 1.3.6.1.2.1.25.3.9.1。 OpenVMS TCP/IPコンテナ・ファイル・システムまたはUNIXホストである場合は,
hrFSNFS, OID 1.3.6.1.2.1.25.3.9.14。
-
hrFSAccess(RFC 1514の定義に従う)
-
hrFSBootable:つねにHRM_FALSE (整数2)
-
hrFSStorageIndex:つねに0
-
hrFSLastFullBackupDate:未知の時刻。RFC 1514に従って,16進値00 00 01 01 00 00 00 00 (0000年1月1日)としてコード化されます。
-
hrFSLastPartialBackupDate:未知の時刻。OpenVMSシステムでは使用できません。その代わりに, 16進値00-00-01-01-00-00-00-00 (0000年1月1日)が適用されます。
-
hrProcessorFrwID(OIDプレフィックス1.3.6.1.2.1. 25.3.3.1.1):
- OpenVMS VAXでは実装されていません。つねに標準の null OID (0.0)を返します。
1.3.6.1.2.1.25.3.3.1.1.1 = 0.0
|
- OpenVMS Alphaでの例を次に示します。この例は,ファームウェア・バージョン5.56-7に対応します。
1.3.6.1.2.1.25.3.3.1.1.1 = 1.3.6.1.2.1.25.3.3.1.1.1.5.56.7
|
-
hrDiskStorageテーブルの中のデータ項目には,以下の制限があります。
-
hrDiskStorageMedia:つねに"unknown" (2)
-
hrDiskStorageRemoveble:つねに"false" (2)。
hrDiskStorageRemovebleでRemoveble という誤ったスペルが使用されていることに注意(RFC 1514による)。
-
hrStorageTypeの値は,つねに
hrStorageFixedDisk(1.3.6.1.2.1.25.2.1.4) です。
-
Get,
GetNext,または
GetBulk要求に対する応答として,インスタンスについて null OID 値 (0.0) が返された場合,ログ・ファイルに記録される以下の警告は無視することができます。
o_oid; Null oid or oid->elements, or oid->nelem == 0
|