この章では,日本語EVEの概要について説明します。
日本語EVE (Extensible Versatile Editor)は, 日本語OpenVMSオペレーティング・システム上で動く対話型のテキスト・エディタです。 日本語EVEは,手紙やレポートなど,色々な種類のファイルを編集できるだけでなく, プログラミング言語の編集などにも使えます。
日本語EVEを使えば,新しいテキスト・ファイルの作成や,すでに存在する テキスト・ファイルの編集などを簡単に行うことができます。また, 日本語EVEは対話型エディタですから, テキスト・ファイルの内容を画面で見ながら編集できます。
日本語EVEは,ユーザが容易に効率よくテキストの編集を行えるように, いろいろな機能を備えています。
2つのテキスト入力モードがあります。入力モードは編集セッション中に自由に 切り替えることができます。
オンライン・ヘルプ機能が提供されていますので,作業を中断せずに, 編集コマンドに関する情報を表示できます。
必要に応じて,複数のファイルを同時に編集できます。
画面を分割することにより,2つ以上のウィンドウを1画面に表示できるので, 同一ファイルの異なる場所を同時に表示したり,または複数のファイルを同時に表示し, 編集することができます。
DCLバッファを使用して,サブプロセスでDCLコマンドを実行し, その結果をバッファに得ることができます。
キーを定義することにより,日本語EVEコマンドのタイプ入力を省略したり, 学習シーケンスと呼ばれる一連のキーストロークを入力できます。 LEARN コマンドを使用すれば,1つのキーを押すだけで, 同じ一連のキーストローク(学習シーケンス)をバッファに何回でも入力できます。
独自に拡張したインターフェイスをセクション・ファイルとして保存することで 再利用できます。
DECwindowsの環境で日本語EVEを使用できます (第3章を参照)。
日本語EVEは,漢字を入力するための変換キーパッドとして,EVEJ,JVMS,JEDI, LEIA,TAROの5種類を提供しています。これらは,SET KEYPAD コマンドで 切り替えることができます。
TAROキーパッドは,"一太郎Ver.3" [1]の漢字変換キーパッドの エミュレーション・モードです。このキーパッドを選択すると, [ Ctrl ]キーを使わずに,スペース・バーで漢字変換を行うことができます。
変換キーを2度以上続けて押すと,自動的に変換候補が表示され, 数字キーによって選択することができます。
ENTER TANGO コマンドを使って,個人辞書に単語とその読みを登録できます。 個人名や地名などを変換したいときに便利です。登録した単語を辞書から 削除するには,DELETE TANGO コマンドを使います。
記号の入力には,KIGOU コマンドを使います。TAROキーパッドの場合は, [ F10 ]キーで記号モードにはいれます。
DRAW KEISEN コマンドを実行すると,罫線モードにはいります。
SET CONVERSION DYNAMIC コマンドを実行すると,変換キーの定義が 動的になり,変換キーは変換対象があるときだけ有効になります。
たとえば,EVEJキーパッドの場合,[ Ctrl/H ]キーは,変換対象領域があるときは ひらがな変換,ないときは START OF LINE コマンドになります。
SET CONVERSION NN コマンドを実行すると," nn "と2つ続く n を"ん"と 解釈します。
HENKAN MODE [ON|OFF|TOGGLE|ROTATE] コマンドによって,変換モードを 切り替えることができます。TAROキーパッドの[ F10 ]キーには, HENKAN MODE ROTATE コマンドが定義してあります。
入力途中の変換対象文字列を,[→]キーおよび[←]キー,<X] キーで 編集することができます。また,エコーモードと同じ変換操作をしたあと (たとえば,ASCIIエコーのときに半角変換を行った後)でも編集できます。ただし, この機能は SET CONVERSION DYNAMIC コマンドを実行したときのみ有効です。
日本語とASCII文字が混在しているときに,フリーカーソルモードで上下移動しても, カラム位置をできるだけ保持するように動きます。
日本語EVEでは,
の5つのコードセットをサポートしています。