[ 前のページ ] [ 次のページ ] [ 目次 ] [ 索引 ]


1 日本語機能の概要

1.1 漢字フィルタ

日本語OpenVMSでは,日本語(漢字)の符号化に関してDEC漢字が使われていますが, 各社のコンピュータ上での日本語(漢字)の符号化にはシフトJIS, 日本語EUC,JIS 7ビットなどさまざまな符号化方法が使用されているのが現状です。TCP/IP に基づいたマルチベンダ環境のコンピュータ・ネットワークを構築する場合, これらの符号化方法の違いを考慮する必要があります。

たとえばSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)では,8ビット・データの送信が保証されていません。 そのため多くの場合,ISO 2022に基づいたJIS 7 ビット符号化が使用され,8ビット構成のDEC漢字をそのままメール・ メッセージとして送信しても正しく届けられません。同様に,SMTPでメールを受信する場合も,JIS 7 ビットのままで受信したメール・メッセージは, 日本語OpenVMS上では,正しく表示されません。

また,シフトJISを採用しているシステムへOpenVMSからTELNETによりリモート・ ログインを行った場合,漢字文字が正しく表示されません。

日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMSでは,このような場合に起こる不都合を解決する手段として,DEC 漢字以外の日本語(漢字)コードからDEC漢字への変換,およびその逆の変換を行うフィルタ機能を提供します( 本書では,DEC漢字はSS2付きの半角カタカナを含むSuperDEC 漢字のことを指します)。以下のTCP/IP アプリケーションにおいて,これらの変換を行うためのフィルタが設定できます。

この機能により,前述したTCP/IPネットワーク環境における日本語(漢字) の符号化にともなう問題点に対処することができます。

これらのTCP/IPアプリケーションにおけるフィルタの利用例を以下に示します。

図 1-1 TELNETの場合

図 1-2 FTP送信の場合

図 1-3 FTP受信の場合

図 1-4 SMTP送信の場合

図 1-5 SMTP受信の場合

図 1-6 リモート・プリント送信の場合

図 1-7 リモート・プリント受信の場合

1.2 標準で提供される漢字フィルタの構成と種類

日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMSでは,FTP,TELNET,SMTP,リモート・プリントそれぞれのユーティリティに対して, 以下の構成で漢字フィルタの設定が可能です。

表 1-1 漢字フィルタの設定

サービス クライアント サーバ
FTP
TELNET ×
SMTP
リモート・プリント

以下の漢字フィルタが標準で提供されています。これらのフィルタの詳細な仕様については, 第4章を参照してください。

表 1-2 標準で提供される漢字フィルタ

フィルタ名
7ビットJIS漢字フィルタ(1) JIS
7ビットJIS漢字フィルタ(2) JISM
シフトJIS漢字フィルタ SJIS
UJIS漢字フィルタ UJIS

ユーザが必要に応じて,独自のフィルタ・ルーチンを作成して使用することも可能です。 この方法については,第3 章を参照してください。

また日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMSでは,ANET+で用いられている漢字フィルタを使用することも可能です。 この方法についても第3章を参照してください。


注意
ANET+は, 日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMSと同様にOpenVMS 上でTCP/IPの通信プロトコルに基づいたサービスを提供するソフトウェアで, 従来より弊社が開発,および販売しています。


[ 前のページ ] [ 次のページ ] [ 目次 ] [ 索引 ]