OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


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2.6.2 デルタ時間の形式

デルタ時間とは,現在の日付および時刻から将来の時刻までのオフセット(時間間隔)のことです。次に,デルタ時間の一般形式を示します。


"+[dddd-][hh:mm:ss.cc]" 

各フィールドは,次のような意味を持っています。

dddd 日数。0 〜 9999 の整数。
hh 時数。0 〜 23 の整数。
mm 分数。0 〜 59 の整数。
ss 秒数。0 〜 59 の整数。
cc 1/100 秒数。0 〜 99 の整数。

絶対時刻,デルタ時間,または 2 つの組み合わせとして表現できる値として,修飾子が説明されている場合には,複合時刻の一部であるかのようにデルタ時間を指定しなければなりません。たとえば,現在の時刻から 5 分間というデルタ時間を指定するには,"+:5" と指定します("0-0:5" とは指定しません)。

デルタ時間の指定には,次のような規則が適用されます。

次に,デルタ時間の指定の例をいくつか紹介します。

時刻指定 結果
"+3-" 現在から 3 日間(72 時間)
"+3" 現在から 3 時間
"+:30" 現在から30 分
"+3-:30" 現在から 3 日と 30 分
"+15:30" 現在から 15 時間 30 分

2.6.3 複合時刻の形式

絶対時刻とデルタ時間を組み合わせる場合には,絶対時刻と正(+)または負(-)の符号を付けたデルタ時間を指定します。複合時刻の形式は,次のとおりです。


    "[絶対時刻][+デルタ時間]" 
 
     [絶対時刻][-デルタ時間] 

絶対時刻値とデルタ時間値の可変フィールドと省略時のフィールドには,前の項で説明した規則と同じ規則が適用されます。

複合時刻を指定する場合には,次の規則が適用されます。

次の表に,複合時刻の指定の例をいくつか紹介します。

時刻指定 結果
"+5" 現在から 5 時間後。
"-1" 現在の時刻から 1 時間を減算した値。負の符号(-)は負のオフセットを示す。1 の後にハイフンがないので,1 は日付ではなく,時間として解釈される。
"+:5" 現在から 5 分後。
"-:5" 現在の時刻から 5 分を減算した値。
"-1-00" 現在の時刻から 1 日を減算した値。負の符号(-)は負のオフセットを示す。(-)ハイフンが日付フィールドと時刻フィールドを分割している。
"31-DEC:+:5" 今年の 12 月 31 日の午前 0 時 5 分。絶対時刻指定(コロンの前)の省略時の値は,今年の 12 月 31 日の午前 0 時に設定されている。正の符号(+)は,正のオフセットを示す。
31-DEC:-00:10 今年の 12 月 30 日の 23 時 50 分。絶対時刻指定(コロンの前)の省略時の値は,今年の 12 月 31 日の午前 0 時に設定されている。DEC: の後の負の符号(-)は,負のオフセットを示す。

2.7 コマンドの再呼び出し

DCL レベルでは,前に入力したコマンド行を再呼び出しできるので,長いコマンド行を何度も入力する手間が省けます。コマンドを再呼び出しすれば,再実行や編集をすることができます。

OpenVMS VAXシステムでは,再呼び出しバッファには前に入力したコマンドを最大20個まで格納できます。

OpenVMS Alpha システムでは,再呼び出しバッファには前に入力したコマンドを最大254個まで格納できます。

前に入力したコマンドを表示する場合には,次のいずれかの方法を使用します。

2.7.1 Ctrl/B の使用

Ctrl/B を一回押すと,すぐ前のコマンド行が再呼び出しされます。Ctrl/B をもう一度押すと,2 つ前のコマンド行が再呼び出しされ,以下も同様になります。

2.7.2 矢印キーの使用

上向き矢印キーを押すと,直前のコマンドが再呼び出しされ,下向き矢印キーを押すと,直後のコマンドが再呼び出しされます。また,これらの矢印キーを何回も押して,以前に実行したコマンドを順に表示させ選択することができます。

2.7.3 RECALL コマンドの使用

コマンド行を調べるには,RECALL/ALL と入力します。再呼び出しできるコマンドを調べた後,RECALL と入力してから希望のコマンド番号を指定すれば,特定のコマンド行を再呼び出しできます。

RECALL の後に,表示したいコマンド行の最初の文字を指定することもできます。RECALL は,すでに入力したコマンド行を最後から順に検索して,指定した文字で始まる最初のコマンド行を戻します。


次の例は,RECALL/ALL と入力することによって生成される表示を示しています。


$ RECALL/ALL


 1 SET DEFAULT DISK2:[MARSHALL] 
 2 EDIT ACCOUNTS.COM 
 3 PURGE ACCOUNTS.COM 
 4 DIRECTORY/FULL ACCOUNTS.COM 
 5 COPY ACCOUNTS.COM [.ACCOUNTS]* 
 6 SET DEFAULT [.ACCOUNTS] 

次の例は,4 番目のコマンド行を再呼び出しする方法を示しています。


$ RECALL 4

Enter を押すと,DCL プロンプトに続いてリストの中の 4 番目のコマンドが表示されます。なお,RECALL コマンド自体は,バッファには登録されません。

たとえば,以前に入力したコマンド EDIT ACCOUNTS.COM を再呼び出しするには,次のコマンドを入力します。


$ RECALL E

Enter を押すと,次のコマンド行が表示されます。


$ EDIT ACCOUNTS.COM 

注意

OpenVMS 画面管理ソフトウェアを使用するユーティリティやアプリケーション・プログラムを実行している場合には,Ctrl/B と上下の矢印キーを使用してコマンドの再呼び出しを行うことができます。この場合,行編集機能が使用可能でなければなりません。このような機能を持つユーティリティには,MAIL,OpenVMS デバッガ,SHOW CLUSTER,システム・ダンプ・アナライザ(SDA),EVE エディタがあります。

再呼び出しバッファの内容を削除する場合には,次に示すように,RECALL コマンドに ERASE 修飾子を指定します。


$ RECALL/ERASE

機密保護上の理由から,パスワードを含むコマンドを入力した後は,再呼び出しバッファの内容を削除するとよいでしょう。

2.8 DCL コマンド行の編集

DCL コマンド・レベルでは,1 つ 1 つのキーやキーの組み合わせを使用して,入力内容を変更することができます。ターミナルのタイプが異なると操作特性も異なりますが,大半のターミナルは標準ファンクション・キーと ライン・エディタ で使用できるキーを備えています。

ターミナル上で行編集機能が使用可能かどうかを調べる場合には,SHOW TERMINAL コマンドを入力します。行編集機能の現在の状態が "Terminal Characteristics" の最初の桁に表示されます。

次の例では,行編集は有効ではありません。


$ SHOW TERMINAL 
 
Terminal: _VTA2138:   Device_Type: VT200_Series  Owner: ROHBA 
Physical terminal: _TNA2114: 
Remote Port Info: Host: 16.32.216.68 Port: 1409 
 
   Input:    9600     LFfill:  0      Width:  80      Parity: None 
   Output:   9600     CRfill:  0      Page:   24 
 
Terminal Characteristics: 
   Interactive        Echo               Type_ahead         No Escape 
   Hostsync           TTsync             Lowercase          Tab 
   Wrap               Scope              No Remote          Eightbit 
   Broadcast          No Readsync        No Form            Fulldup 
   No Modem           No Local_echo      No Autobaud        Hangup 
   No Brdcstmbx       No DMA             No Altypeahd       Set_speed 
   No Commsync        Line Editing       Overstrike editing No Fallback 
   No Dialup          No Secure server   Disconnect         No Pasthru 
   No Syspassword     No SIXEL Graphics  No Soft Characters Printer port 
   Numeric Keypad     ANSI_CRT           No Regis           No Block_mode 
   Advanced_video     Edit_mode          DEC_CRT            DEC_CRT2 
   No DEC_CRT3        No DEC_CRT4        No DEC_CRT5        No Ansi_Color 
   VMS Style Input 

2.8.1 SET TERMINAL コマンド

SET TERMINAL コマンドを使用すると,ターミナルが DCL コマンド行を編集する方法を変更することもできます。省略時の設定では,SET TERMINAL コマンドによる編集内容の変更は,現在のセッションのみに適用されます。ログインするたびにターミナルを設定する場合には,LOGIN.COM ファイルに SET TERMINAL コマンドを入れるようにします。

この例では,行編集機能はできません。行編集機能を使用可能にする場合には,SET TERMINAL/LINE_EDIT コマンドを入力します。


$  SET TERMINAL/LINE_EDIT

挿入モードと上書モード

コマンド行は,挿入モードまたは上書モードで編集できます。挿入モードでは,入力した文字がカーソルの左側に挿入されます。上書モードでは,入力した文字がカーソルの上に示された文字に重ね書きされます。

コマンド行の編集モードを変更する場合には,Ctrl/A を押します(Ctrl/A がスイッチの働きをします)。セッションの編集モードを変更するには,SET TERMINAL/INSERT または SET TERMINAL/OVERSTRIKE コマンドを入力します。

テキストのラップ

SET TERMINAL/WRAP コマンドを使用すると,画面の 1 行に収まらない数の文字を入力する場合に,テキストは次の行に自動改行されます。SET TERMINAL/NOWRAP コマンドで,ターミナル画面の 1 行に限度以上に文字を入力すると,その行の最後の文字の位置に上書きされます。

編集できるのは,カーソルが存在する行だけです。テキストを自動改行するときは,上向き矢印キーを使用してカーソルを上に移動して,前の行を編集することはできません。カーソルを前の行に移動するには,Delete キーを使用して現在の行にあるすべての文字を削除します。

2.8.2 コマンド行の要素の削除

Backspace キーを押すと,カーソルが後退し,その場所にある文字が削除されます。 行編集機能が使用可能な場合には,Ctrl/U を使用して,行の先頭から現在のカーソル位置までの文字を削除できます。行編集機能が使用できない場合には,Ctrl/U を使用すると行全体が取り消されます。このとき,システムはその行を無視して,DCL プロンプトを再表示します。

2.9 ターミナル・キーの定義

キー定義とは,特定のターミナル・キーに文字列を割り当てることです。DEFINE/KEY コマンドを使用します。キーを定義しておくと,定義したキーを押すだけで文字列を入力する代わりになります。キー定義には,通常,コマンド行全体またはその一部が入っています。キー定義を使用すると,キーストロークを減らして DCL コマンドを入力できるようにキーボードをカスタマイズできます。定義したキーを押すと,コマンドを /TERMINATE 修飾子で定義したかどうかにより,コマンドがターミナルに表示されたり実行されたりします。

省略時には,ターミナルは数値キーパッド・モードに設定されています。SET TERMINAL コマンドを使用して,数値キーパッドのキーを再定義できます。詳細は,『OpenVMS DCL ディクショナリ』の SET TERMINAL/APPLICATION_KEYPAD,SET TERMINAL/NONUMERIC,および DEFINE/KEY コマンドの説明を参照してください。

2.9.1 キー・シーケンス

入力した DCL コマンドに加えて,キーの組み合わせを使用してもタスクを実行できます。キーの組み合わせは,別のコマンドを処理しながらシステムを使用するための手段です。

キーの組み合わせを入力するためには,Ctrl キーを押しながらもう 1 つのキーを押します。次の表は,機能ごとにキー・シーケンンスをまとめたものです。

表 2-1 DCL コマンドを入力
キー・シーケンス 機能
Ctrl/Z および F10 ターミナルから入力されたデータのファイルの終端を知らせる。
Enter 現在行をシステムに送信して処理させる。ログインしていない場合には,Enter はログイン・シーケンスを開始する。

表 2-2 DCL コマンドに割り込む
キー・シーケンス 機能
Ctrl/T ターミナル出力に割り込んで,現在のプロセスについての統計情報を表示する。ノード名,ユーザ名,時間,実行中のイメージの名前,現在のターミナル・セッションで使用されているシステム資源についての情報が表示される。

Ctrl/T キーを使用すると,システムが,動作中かどうかも判別できる。システムが一時的に応答不能な場合や,ターミナルが NOBROADCAST に設定されている場合には情報は表示されない。Ctrl/T を使用するには,最初に(システム・ログイン・コマンド・プロシージャや個人ログイン・コマンド・プロシージャ,または会話の中で)SET CONTROL=T コマンドを入力しなければならない。

Ctrl/Y, Ctrl/C および F6 コマンド処理に割り込む。Ctrl/Y を使用不能にするには,SET NOCONTROL=Y コマンドを使用する。

ほとんどの場合は,DCL プロンプトが戻る。このとき,プログラムは実行中である。いずれかの組み込みコマンドを入力すれば,CONTINUE コマンドでプログラムの実行を継続できる。なお,CONTINUE コマンドを入力した後で画面を消去する場合には,Ctrl/W を押す。

表 2-3 コマンドを再呼び出しする
キー・シーケンス 機能
Ctrl/B,上向き矢印 以前に入力した最大 20 個(VAX)または 254 個(Alpha)のコマンドを再呼び出しする。
下向き矢印 再呼び出しバッファにある次の行を表示する。

表 2-4 カーソル位置を制御する
キー・シーケンス 機能
Backspace 最後に入力された文字を削除する。
Ctrl/A, F14 上書モードと挿入モードを切り替える。省略時のモード(SET TERMINAL/LINE_EDITING コマンドで設定)は,各行の冒頭で再設定される。
Ctrl/D,左矢印 カーソルを 1 文字だけ左に移動する。
Ctrl/E カーソルを行末に移動する。
Ctrl/F,右矢印 カーソルを 1 文字だけ右に移動する。
Ctrl/H,F12 カーソルを行頭に移動する。
Ctrl/I,Tab カーソルをターミナル上の次のタブ・ストップに移動する。タブ・ストップは,1 行の中で 8 文字ごとに設定されている。タブ設定値はハードウェア・ターミナル特性で,通常はユーザが変更可能。Tab キーは,行編集機能が使用不能の場合も動作する。
Ctrl/J カーソルの左にある単語を削除する。
Ctrl/K 現在行を次の垂直タブ・ストップに進める。
Ctrl/L カーソルを次のページの冒頭に移動する。行編集機能が使用可能な場合には,このキーの機能は無視される。
Ctrl/R 現在のコマンド行を繰り返す。カーソルは,Ctrl/R を押したときの位置に残る。
Ctrl/U 現在の入力行のカーソルの左にあるテキストを削除する。
Ctrl/V 行編集ファンクション・キーの一部をオフにする。たとえば,Ctrl/V の後に Ctrl/D を押すと,カーソルが 1 文字左に移動する代わりに,Ctrl/D が生成される。Ctrl/D は,DCL レベルでの行終了文字。

Ctrl/V と組み合わせると,行終了文字でない文字は影響を及ぼさない。Ctrl/H や Ctrl/J などがこの例である。ただし,Ctrl/U などの制御キーは,行編集機能を保持したままである。

Ctrl/X 現在行を取り消して,先読みを可能にするバッファにあるデータを削除する。
F7,F8,F9,F11 予備。

表 2-5 画面表示を制御する
キー・シーケンス 機能
Ctrl/O ターミナルへの表示を一時停止したり再開したりする。Ctrl/O を押すと,Output off または Output on と表示される。
Ctrl/S Ctrl/Q が押されるまで,ターミナル出力を一時停止する。
Ctrl/Q Ctrl/S によって一時停止されていたターミナル出力を再開する。
Ctrl/W 画面表示をリフレッシュする。


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