OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


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5.5.4 PURGE コマンド

PURGE コマンドは /STYLE 修飾子を受け付けます。この修飾子を使用すると,コマンドを実行するときに表示されるファイル名形式を選択することができます。


$ PURGE/STYLE=(keyword)

次の例の反復記号(...)は,ファイル名の中に多くの文字が含まれていることを示します。これらの例では,CONFIRM 修飾子を使用して,システム・メッセージを生成しています。

省略時の値(CONDENSED)を使用した PURGE:


$ PURGE/CONFIRM 
DELETE TEST$ODS5:[23,1,0]abcdefg. . .QRSTUVWXY.abcdefg. . .tuvwxy;1 
? [N]: Y 

完全なファイル指定が必要な場合には,PURGE コマンドで /STYLE 修飾子と EXPANDED キーワードを使用します。


$ PURGE/CONFIRM/STYLE=EXPANDED 
DELETE TEST$ODS5:[TEST.RANDOMTESTING.RANDOM]abcdefg. . .QRSTUVWXY.ab 
cdefg. . .tuvwxy;1 ? [N]: Y 

5.6 拡張ファイル名の端末表示

端末に拡張ファイル名を表示するには,端末で表示する文字セットとして ISO Latin-1 を指定しなければなりません。このように設定しないと,画面に表示される文字は,PC で表示される文字と一致しなくなります。端末に表示される文字セットを確認または変更するには,端末セットアップ・ダイアログ・ボックスを使用します。表示する文字セットを選択するためのオプションは,通常 General タブにあります。

付録 A には,DEC MCS と ISO Latin-1 文字セットの間で異なる文字のリストが示されています。

5.7 複合環境での作業

OpenVMS Alpha バージョン 7.2 またはそれ以降のバージョンを実行しているシステムでは,ODS-5 ボリューム上で拡張ファイル指定機能のすべてを利用することができます。また,バージョン 7.2 より前のファイルおよびディレクトリも,引き続き扱うことができます。たとえば,次のようなことができます。

複数のバージョンまたは複数のアーキテクチャが混在する OpenVMS Cluster で作業する場合は,いくつかの制限事項があります。以前のバージョンの OpenVMS を実行しているシステムは,ODS-5 ボリュームをマウントできず,拡張ファイル名を正しく扱えず,拡張ファイル名を表示することもできません。バージョン 7.2 より前のバージョンの OpenVMS 上のユーザは,ODS-5 ボリューム上のファイルにアクセスできません。ボリュームが CI または SCSI バスに物理的に接続されている場合でも,MSCP または QIO サーバによって接続されている場合でも同様です。また,これらのユーザは ODS-5 イメージ・セーブセットを作成したり復元することもできません。ただし,ODS-5 セーブセットから ODS-2 準拠のファイル名を復元することはできます。

OpenVMS バージョン 7.2 VAX システムで使用可能な拡張ファイル指定機能は,次のものに限られます。

OpenVMS Alpha システムと OpenVMS VAX システムの両方が含まれている環境で作業を行う場合には,ユーザが次のことを認識していることが重要です。

OpenVMS バージョン 7.2 を使用すると,VAX システムから ODS-5 ボリュームをマウントすることができます。ただし,OpenVMS VAX システム上のユーザがアクセスできるのは,ODS-2 準拠のファイル名を持つファイルだけです。

OpenVMS Alpha システム上のボリュームを ODS-5 に変換するかどうかを選択することができます。ODS-2 ボリュームと ODS-5 ボリュームの複合環境で作業を行う場合には,ODS-5 ボリューム上でファイルを作成するときの ODS-2 ファイル名の制限事項に注意してください。ファイル名に特殊文字が含まれている ODS-5 ボリューム上のファイルを ODS-2 ボリューム上にコピーするには,ODS-2 準拠の名前を付ける必要があります。


第 6 章
ディスクとテープ・ドライブの使用方法

この章では,OpenVMS システムでのディスク・ドライブとテープ・ドライブの使用に関する一般的な概念を説明します。OpenVMS システムに接続された周辺機器は,ディスク・ドライブとテープ・ドライブも含めて,デバイスと呼ばれます。ユーザがログインすると,ユーザの省略時のデバイスとディレクトリへのアクセスが自動的に許可されます。また,パブリック・デバイスおよびディレクトリにアクセスすることもできます。ほとんどの場合,複数のユーザが共用するデバイスの設定と管理はシステム管理者が行います。

個人的に使用できるドライブがある場合には,そのようなデバイスの割り当て,初期化,およびマウントの方法を知っておく必要があります。本章では,個人専用のディスク・ドライブおよびテープ・ドライブへのアクセスをインプリメントするユーザのために,以下の概念を説明します。

補足説明については,以下を参照してください。

6.1 物理デバイス名

システムは各物理デバイスを物理デバイス名によって一意に識別します。物理デバイス名によって,ディスク・ドライブかターミナルかなど,デバイスの種類がわかります。

ほとんどの物理デバイス名は,次の項目からできています。

VTA12,FX09,および DAD44 は,デバイス名の一例です。

デバイス名の具体的な形式については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

6.2 デバイス情報の表示

システム上にあるボリュームについての情報を表示するには,SHOW DEVICES コマンドを使用します。さらに詳しい情報や特定のデバイスについての情報を得るには,次のいずれかの方法で SHOW DEVICES コマンドを入力します。

次の例では,SHOW DEVICES コマンドは DAD40: についての情報を表示しています。


$ SHOW DEVICES DAD40
Device         Device           Error    Volume         Free  Trans Mnt 
 Name          Status           Count     Label        Blocks Count Cnt 
DAD40:         Mounted wrtlck       0     CHICAGO      540088     1   1

6.3 論理デバイス名

システム管理者は,システム上のデバイスを表す 論理デバイス名 を設定できます。論理デバイス名を使用すると,複雑なデバイス名を短くて分かりやすい名前に対応させることができます。そして,物理デバイス名の代わりにこの論理デバイス名を使用してデバイスを参照できます。

論理名の使用法についての詳細は,第 11 章 を参照してください。

6.4 汎用デバイス名

汎用デバイス名 はデバイス・コードからできており,個々のコントローラやユニット番号は省略されています。MOUNT コマンドや ALLOCATE コマンドで汎用デバイス名を使用した場合,システムは,指定された汎用デバイス名の部分を満足する物理名を持つ最初に利用できるコントローラまたはデバイス・ユニットを探します。

他のコマンドで汎用デバイス名を指定する場合,次の省略時の値が使用されます。

6.5 OpenVMS Cluster デバイス名

OpenVMS Cluster デバイス名には,デバイスが接続されているノードの名前と物理デバイス名を指定します。2 つの名前はドル記号($)で区切ります。たとえば,ROXXY$DUA1 は,ノード ROXXY 上のディスク DUA1 を表します。

デュアル・パスの OpenVMS Cluster ディスクには,割り当てクラスのデバイス名を使用するのが普通です。このデバイス名は,すべての OpenVMS Cluster ノードが常に認識できる唯一の名前です。

OpenVMS Cluster の環境におけるデバイス名の形式についての詳細は,『OpenVMS Cluster システム』を参照してください。

デバイスがデュアル・パスの(2 つのノードに接続されている)場合,次の形式の OpenVMS Cluster デバイス名を指定します。


$ノード割り当てクラス$ddcu 

要素の意味は次のとおりです。

ノード割り当てクラス デュアル・パス・デバイスに接続されているノードに割り当てられた値。たとえば,$1$DJA16 は,両方ともクラス値 1 を持つ 2 つのノードに接続されたディスクを識別する。
dd ハードウェア・デバイス・タイプのデバイス・コードを表す。たとえば,デバイス・コード DK は RZ23 ディスクを表す。
c デバイスが接続されているハードウェア・コントローラを識別する。コントローラ・デスティネーションは,ユニット番号といっしょにシステムのハードウェア構成内のデバイスの場所を識別する。コントローラは英字 A から Z によって指示される。
u 個々のコントローラ上のデバイスのユニット番号を識別する。ユニット番号は,0 から 65535 までの 10 進数であり,重複しない値を持つ。

6.6 ボリュームとボリューム・セット

OpenVMS オペレーティング・システムは,ディスクとテープをそれらが存在する実際のハードウェア・ドライブと区別して,ボリュームとして認識します。ボリュームは,編成されたデータの集まりです。OpenVMS オペレーティング・システムは,ボリューム・セットも認識します。ボリューム・セットは,2 つ以上の関連するボリュームから成ります。ボリュームを結合してボリューム・セットにすると,複数の新しいボリュームを定義しなくても,1 つのセットにボリュームを追加できるので,ファイルに使用できる領域を拡張することができます。単一のボリュームではなくボリューム・セットを作成する手順については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

6.7 デバイスの管理

個人的に使用できるディスク・ドライブがある場合は,ディスク・ドライブの設定手順を知っておく必要があります。

手順 操作
1 DCL の ALLOCATE コマンドを使用して,ディスク・ドライブをユーザのプロセスに割り当てる。
2 DCL の INITIALIZE コマンドを使用して,ディスク・ボリュームをフォーマットしてから,必要があれば,そのボリュームに識別用のラベルを書き込む。
3 DCL の MOUNT コマンドを使用して,ボリュームまたはボリュームに含まれているファイルやデータをプロセスがアクセスできるようにする。

6.7.1 デバイスの割り当て

デバイスを割り当てると,そのデバイスはそのユーザ・プロセス専用となります。このデバイスは,DCL コマンドの DEALLOCATE によって明示的にデバイスの占有を解除するまで,またはログアウトするまでプロセスに割り当てられたままになります。

DCL コマンドの ALLOCATE を使用してディスクやテープ・ドライブを自分のプロセスに割り当てる(ローカル割り当て)。ALLOCATE コマンドの形式は,次のとおりです。


ALLOCATE デバイス名[:][,...] [論理名[:]] 

要素の意味は次のとおりです。

デバイス名 ボリュームをロードするドライブを表す。デバイス名には物理名,汎用名,または論理名を指定できる。
論理名 デバイスに関連付ける論理名を指定する。この名前は省略可能である。

6.7.2 ボリュームの初期化

ディスクまたは磁気テープ・ボリュームを初期化すると,そのボリュームはフォーマットされます。ボリュームを使用するたびに初期化する必要はありません。初期化は,ボリュームを最初に使用する前と,ボリュームを完全に消去したいときに行います。ボリュームを初期化するには,DCL コマンドの INITIALIZE を使用します。INITIALIZE コマンドは次の処理を行います。

注意

INITIALIZE コマンドを使用すると,別のユーザのボリュームを初期化することも可能です。このため,このコマンドを使用するときには,あらかじめ目的のデバイスを割り当ててから個人専用のボリュームを初期化するようにしてください。

別のユーザにボリュームを初期化してもらう場合(たとえば,十分な特権が自分にはない場合)には,そのボリュームのボリューム・ラベル,所有者 UIC,保護コードをそのユーザに知らせなければなりません。

INITIALIZE コマンドの形式は,次のとおりです。


INITIALIZE デバイス名[:] ボリューム・ラベル 

フィールドの意味は次のとおりです。

デバイス名 ボリュームを物理的にマウントするデバイスの名前を表す。
ボリューム・ラベル ボリュームを識別するためのものである。ディスク・ボリュームには最大 12 文字の英数字,磁気テープ・ボリュームには最大 6 文字の英数字のラベルを指定できる。

ディスク・ボリュームの初期化

省略時の設定では,INITIALIZE コマンドは新しいボリューム上に Files--11 構造を作成します。OpenVMS オペレーティング・システム用に,または OpenVMS オペレーティング・システムによって初期化されたディスク・ボリュームの省略時の形式を,Files--11 ディスク構造レベル 2 と呼びます。INITIALIZE コマンドは,Files--11ディスク構造レベル 1 形式でディスク・ボリュームを初期化することもできます。

ブランクのディスク・ボリューム(すなわち,書き込みが一切行われていないボリューム)や現在の UIC または UIC [0,0] によって所有されたディスク・ボリューム上での論理保護を変更にするには,特別な特権は必要ありません。これ以外の場合,ディスク・ボリュームを初期化するには,ユーザ特権 VOLPRO が必要です。

次の例は,DKA300 上でボリュームを初期化し,そのボリュームに ACCOUNTS というラベルを付けています。


$ INITIALIZE DKA300: ACCOUNTS

6.7.3 ボリュームのマウント

割り当てたディスク・ボリューム上のファイルを使用するためには,そのボリュームをマウントする必要があります。DCL の MOUNT コマンドは,ボリュームとボリュームに格納されているファイルがプロセスにアクセスできるようにします。

MOUNT コマンドを入力すると,システムは,次の条件が満足されているかどうかを検証します。

単独のボリュームをマウントすることもできますし,ボリューム・セットをマウントすることもできます。ボリューム・セットの作成とマウントの手順については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

MOUNT コマンドの形式は,次のとおりです。


MOUNT デバイス名[:][,...] [ボリューム・ラベル[,...]] [論理名[:]] 

要素の意味は次のとおりです。

デバイス名 ボリュームをマウントするデバイスの物理デバイス名または論理名を表す。
ボリューム・ラベル ボリュームを初期化するときに使用したラベルを表す。MOUNT 修飾子の /FOREIGN,/NOLABEL,/OVERRIDE=IDENTIFICATION のいずれかを使用する場合には,ボリューム・ラベルを指定する必要はない。
論理名 デバイスに関連付ける名前を表す。論理名を省略すると,MOUNT コマンドは,ディスク・ドライブとテープ・ドライブに省略時の論理名 DISK$ボリューム・ラベルと TAPE$ボリューム・ラベルをそれぞれ割り当てる。


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