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この項では,ANALYZE/DISK_STRUCTURE の修飾子について,例を挙げて説明します。次の表は,修飾子の一覧です。
修飾子 | 説明 |
---|---|
/CONFIRM | 修正ごとに確認のプロンプトを出力するかどうかを指定する。 |
/HOMEBLOCKS | 初期化されたボリューム上の破損したホーム・ブロックを消去する。 |
/LIST[=ファイル指定] | 索引ファイルのリストを出力するかどうかを指定する。 |
/LOCK_VOLUME | (Alpha のみ。) 分析中のボリュームへの更新を防止する。 |
/OUTPUT[=ファイル指定] | ディスク構造エラーを書き込む出力ファイルを指定する。 |
/READ_CHECK | 指定したディスク上の割り当て済みのすべてのブロックについて,読み込みチェックを行うかどうかを指定する。 |
/RECORD_ATTRIBUTES | 関連するファイル属性ブロック(FAT)のレコード属性セクションに誤った設定が登録されているファイルを修復するかどうかを指定する。 |
/REPAIR | 指定した装置のファイル構造に存在するエラーを修正するかどうかを指定する。 |
/SHADOW | シャドウ・セットの内容全体またはシャドウ・セット内の指定した範囲のブロックに対して差異をチェックする。 |
/STATISTICS | ボリュームについての修正時の静的情報を収集してファイルを作成する。作成するファイルのファイル名は,STATS.DAT で,各ボリュームごとの静的情報を含む。 |
/USAGE[=ファイル指定] | ディスク使用量会計ファイルも出力するかどうかを指定する。 |
修正作業で確認プロンプトを出力するかどうかを指定します。Y または YES と答えると,修正が行われます。その他の場合,修正は行われません。
/CONFIRM/NOCONFIRM
/CONFIRM 修飾子を使用する場合は,/REPAIR 修飾子も指定する必要があります。省略時の設定は,/NOCONFIRM です。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE DBA0:/REPAIR/CONFIRM %VERIFY-I-BACKLINK, incorrect directory back link [SYS0]SYSMAINT.DIR;1 Repair this error? (Y or N): Y %VERIFY-I-BACKLINK, incorrect directory back link [SYSEXE]SYSBOOT.EXE;1 Repair this error? (Y or N): N |
修正処理を行う前に確認プロンプトを出力するコマンド例です。
以前の初期化操作でホーム・ブロックの削除が行われなかったボリュームから,ホーム・ブロックを消去します。
/HOMEBLOCKS
/HOMEBLOCKS 修飾子を使用する場合は,/REPAIR 修飾子も指定する必要があります。この操作は完了までに 30 分ほどかかります。
#1 |
---|
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE DBA0:/REPAIR/HOMEBLOCKS |
このコマンドを実行すると,ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティは DBA0 のホーム・ブロックを消去します。
索引ファイルのリストを出力するかどうかを指定します。
/LIST
[=ファイル指定]/NOLIST
/LIST を指定すると,すべてのファイル識別 (FID),ファイル名,ファイル・所有者のリストを格納するファイルが出力されます。ファイル指定を省略した場合,SYS$OUTPUT が使用されます。ファイル・タイプを省略した場合,.LIS が使用されます。ワイルドカード文字は,ファイル指定に使用できません。省略時の設定は,/NOLIST です。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE DLA2:/LIST=INDEX $ TYPE INDEX Listing of index file on DLA2: 31-OCT-2002 20:54:42.22 (00000001,00001,001) INDEXF.SYS;1 [1,1] (00000002,00002,001) BITMAP.SYS;1 [1,1] (00000003,00003,001) BADBLK.SYS;1 [1,1] (00000004,00004,001) 000000.DIR;1 [1,1] (00000005,00005,001) CORIMG.SYS;1 [1,1] . . . $ |
DLA2 装置にエラーが検出されなかった例です。INDEX ファイルのファイル・タイプが指定されていないので,省略時のファイル・タイプ .LIS が使用されています。次の TYPE コマンドは,INDEX.LIS ファイルの内容を表示しています。
分析中のボリュームへの更新を防止します。
/LOCK_VOLUME/NOLOCK_VOLUME
/LOCK_VOLUME は,ボリュームに ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティを使用している間,そのボリュームへのファイル・システム処理を防止する方法を提供します。この修飾子は,/REPAIR と同じ方法で処理を行います。つまり,ユーティリティの実行中,ファイル構造にソフトウェアでライト・ロックします (ただし,この修飾子は,ボリュームの修復にはまったく影響しません)。省略時の値は /NOLOCK_VOLUME です。この修飾子を使用すると,処理中のドライブにこのユーティリティを実行すると発生する可能性のある間違ったエラー・メッセージの数が減ります。 /LOCK_VOLUME は,ユーティリティが実行している期間は,対象のボリューム上にあるファイルのオープン,クローズ,または変更を行うアプリケーションの動作を停止します。
注意
この修飾子は注意して使用してください。特に,SYSUAF や RIGHTSLIST などのアクティブなシステム・ファイルを含むボリュームに対しては注意してください。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE DBA1:/LOCK_VOLUME |
ANALYZE/DISK_STRUCTURE の実行中は DBA1: へのファイル・システム処理を停止します。
ディスク構造エラーを書き込む出力ファイルを指定します。
/OUTPUT[=ファイル指定]/NOOUTPUT[=ファイル指定]
ディスク構造エラーを書き込む出力ファイルを指定します。/OUTPUTにファイル指定を指定しなかった場合には,SYS$OUTPUTに出力されます。/NOOUTPUTを指定した場合には,ディスク構造エラーは表示されません。/CONFIRM修飾子を指定した場合には,この修飾子を使用したかどうかとは無関係にSYS$OUTPUTに出力されます。
指定したディスク上の割り当て済みのすべてのブロックに対して,読み込みチェックを行うかどうかを指定します。 ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティは,読み込みチェック時にディスクを 2 回読み込みます。これは,ディスクを正しく読み込むためです。省略時の設定は,/NOREAD_CHECK です。
/READ_CHECK/NOREAD_CHECK
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE DMA1:/READ_CHECK |
DMA1 装置上の割り当て済みのすべてのブロックに対して,読み込みチェックを行うことを指定するコマンド例です。
関連するファイル属性ブロック(FAT)のレコード属性セクションに誤った設定が登録されているファイルを修復するかどうかを指定します。
/RECORD_ATTRIBUTES
/RECORD_ATTRIBUTES修飾子は/REPAIR修飾子と組み合わせて使用できます。修復フェーズで属性の修復を許可した場合には,誤りのあるビットがファイルのレコード属性から消去されます。ファイルのレコード属性の値が正しいかどうかを判断するのは,このユーティリティの役割ではないため,この処理を実行しても,ファイルのレコード属性を正しく設定できるとは限りません。システム管理者は属性の修復を実行しないでください。属性に問題がある場合には,そのことをファイルの所有者に通知し,所有者が SET FILE/RECORD_ATTRIBUTES=({レコード属性})コマンドを使用してファイルの属性を再設定するようにしてください。
$ ANALYZE/DISK_SYS$SYSDEVICE: %ANALDISK-I-BAD_RECATTR, file (2930,1,1) [USER]ATTRIBUTES.DAT;13 file record format: Variable inconsistent file attributes: Bit 5 %ANALDISK-I-BAD_RECATTR, file (2931,1,1) [USER]ATTRIBUTES.DAT;14 file record format: Variable inconsistent file attributes: FORTRAN carriage control, Bit 5 %ANALDISK-I-BAD_RECATTR, file (2932,1,1) [USER]ATTRIBUTES.DAT;15 file record format: Variable inconsistent file attributes: Implied carriage control, Bit 5 %ANALDISK-I-BAD_RECATTR, file (2933,1,1) [USER]ATTRIBUTES.DAT;16 file record format: Variable inconsistent file attributes: Non-spanned, Bit 5 %ANALDISK-I-BAD_RECATTR, file (2934,1,1) [USER]ATTRIBUTES.DAT;17 file record format: Variable inconsistent file attributes: FORTRAN carriage control, Non-spanned, Bit 5 |
指定した装置のファイル構造に存在するエラーを修正するかどうかを指定します。
/REPAIR/NOREPAIR
/REPAIR 修飾子を指定しないかぎり,ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティは修正処理を行いません。修正処理中は,ファイル構造の書き込みがソフトウェアによってロックされます。省略時の設定は,/NOREPAIR です。ディスクを効率よくスキャンする (/NOREPAIR) には,ディスク上のすべてのファイルに対して,読み込みアクセス権が必要です。また,INDEXF.SYS ファイルに対するキャッシュの強制フラッシュを行うために, INDEXF.SYS への書き込みアクセス権も必要です。さらに,ファイルに対するキャッシュの強制フラッシュを行うという同様の理由で,BITMAP.SYS への書き込みアクセス権も必要です (ボリュームがディスク・クォータを設定している場合にかぎり, QUOTA.SYS への書き込みアクセス権が必要です)。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE DBA1:/REPAIR |
DBA1 装置のファイル構造に存在するすべてのエラーを修正するコマンド例です。
差異について,シャドウ・セットの内容全体または指定したシャドウ・セット内の範囲のブロックを検査しますすることができます。
/SHADOW
なし。
/BLOCKS={(START:n, COUNT:x, END:y,) FILE_SYSTEM, ALL}
システムに対して,指定した範囲のみを比較するように指示します。オプションは,次のとおりです。
START: n 分析対象のブロックの最初の番号。省略時の値は最初のブロックである。 COUNT: x 分析対象のブロックの数。このオプションは END オプションとともに,またはその代わりに使用できる。 END: y 分析対象のブロックの最後の番号。省略時の値は最後のブロックである。 FILE_SYSTEM ディスク上の有効なファイルが現在使用中であるブロック。これは省略時の値である。 ALL ディスク上の全ブロック。
START,END,COUNT に加え,ALL または FILE_SYSTEM のいずれかを指定できます。たとえば,/BLOCKS=(START,END,COUNT:100,ALL) と指定すると,ディスク上の最初の 100 ブロックをファイル・システムが使用中であるかどうかについてチェックされます。
/BLOCKS=(START,END,COUNT:100,FILE_SYSTEM) と指定した場合,ディスク上の有効なファイルが使用しているブロックのみがチェックされます。
/BRIEF
ブロック内のデータが異なっていることが見つかった場合,論理ブロック番号 (LBN) のみが表示されます。この修飾子がないと,ある LBN に対して差異が存在する場合,そのブロックの 16 進数のデータが各メンバに対して表示されます。/IGNORE
[NO]IGNORE
いくつかのブロックが異なるデータを持つと思われる「特別な」ファイルを無視します。ただし,これらの違いは珍しいものではなく,そのため,無視できます。特別なファイルには他に次のものがあります。
SWAPFILE*.*
PAGEFILE*.*
SYSDUMP.DMP
SYS$ERRLOG.DMPIGNORE は省略時の値です。
/OUTPUT=ファイル名
指定したファイルに情報を出力します。/STATISTICS
ファイルのヘッダおよびフッタのみを表示します。この修飾子は,/OUTPUT 修飾子とともに使用した場合に特に有効です。
ANALYZE/DISK_STRUCTURE/SHADOW コマンドを入力すると,シャドウ・セットの差異がチェックされます。差異が見つかった場合,シャドウ・セットにクラスタ・ワイド WRITE ロックが設定され,問題のブロックが再度読み込まれます。その後,次の 2 つの処理のいずれかが行われます。
- 2 回目の読み込みでも差異が依然として存在する場合,画面にファイル名が表示されます。また,/OUTPUT 修飾子を指定すると,画面またはファイルに差異を含むデータ・ブロックがダンプされます。
- 2 回目の読み込みで差異が見つからなかった場合,エラーは一時的なものとみなされます (そのディスク・ブロックへの WRITE が処理中であったなど)。
詳細については, 第 3.1.2 項 を参照してください。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE/SHADOW/BRIEF/BLOCKS=COUNT:1000 dsa716: Starting to check _DSA716: at 14-MAY-2002 13:42:52.43 Members of shadow set _DSA716: are _$252$MDA0: _$252$DUA716: and the number of blocks to be compared is 1000. Checking LBN #0 (approx 0%) Checking LBN #127 (approx 12%) Checking LBN #254 (approx 25 %) Checking LBN #381 (approx 38%) Checking LBN #508 (approx 50%) Checking LBN #635 (approx 63%) Checking LBN #762 (approx 76%) Checking LBN #889 (approx 88%) Run statistics for _DSA716: are as follows: Finish Time = 14-MAY-2002 13:42:52.73 ELAPSED TIME = 0 00:00:00.29 CPU TIME = 0:00:00.02 BUFFERED I/O COUNT = 10 DIRECT I/O COUNT = 16 Failed LBNs = 0 Transient LBN compare errors = 0 $ |
この例のコマンドによって,ANALYZE/DISK_STRUCTURE/SHADOW は DSA716: 仮想ユニットの先頭の 1000 ブロックを検査し,装置 $252$MDAO: と $252$DUA716: がそれらのブロックで同一のデータを持っていることを確認します。
ボリュームについての修正時の静的情報を収集してファイルを作製します。作製するファイルのファイル名は,STATS.DAT で,各ボリュームごとの静的情報を含みます。
/STATISTICS
次の情報は STATS.DAT ファイル内に格納されます。
- ボリューム上の ODS-2 ヘッダと ODS-5 ヘッダの数
- ODS-5 ボリューム上の特別ヘッダの数
- ファイル名の長さの区分
- 拡張ヘッダ・チェインの長さの区分
- ヘッダ識別領域の未使用領域の区分
- ヘッダ・マップ領域とACL領域の未使用領域の区分
- 使用済ヘッダ領域と未使用ヘッダ領域を合せた総ヘッダ領域
#1 |
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$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE MDA2000: /STATISTICS |
この例の OpenVMS Alpha ボリュームは MDA2000: 装置上にあり, SET VOLUME コマンドで ODS-2 から ODS-5 に変換されています。作製された STATS.DAT ファイルは次の情報を含んでいます。
********** Statistics for volume 001 of 001 ********** Volume is ODS level 5. Volume has 00000004 ODS-2 primary headers. Volume has 00000003 ODS-5 primary headers. Volume has 00000000 ODS-5 -1 segnum headers. 00000001 filenames of length 009 bytes. 00000002 filenames of length 011 bytes. 00000001 filenames of length 013 bytes. 00000002 filenames of length 015 bytes. 00000001 filenames of length 073 bytes. 00000007 extension header chains of length 00000. 00000001 ODS-2 headers have 071 ident area free bytes. 00000001 ODS-2 headers have 073 ident area free bytes. 00000001 ODS-2 headers have 075 ident area free bytes. 00000001 ODS-2 headers have 077 ident area free bytes. Total ODS-2 ident area free bytes is 00000296. 00000001 ODS-5 headers have 001 ident area free bytes. 00000001 ODS-5 headers have 029 ident area free bytes. 00000001 ODS-5 headers have 033 ident area free bytes. Total ODS-5 ident area free bytes is 00000063. 00000001 headers have 277 free bytes in total. 00000001 headers have 335 free bytes in total. 00000001 headers have 339 free bytes in total. 00000001 headers have 377 free bytes in total. 00000001 headers have 379 free bytes in total. 00000001 headers have 381 free bytes in total. 00000001 headers have 383 free bytes in total. Total header area in bytes is 00003584. Total header area free bytes is 00002791. Total header area used bytes is 00000793.
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