OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


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3.4.1 ファイルの作成

CREATE コマンドはテキスト・ファイルを作成します。CREATE コマンドでファイルを変更することはできません。また,Enter を押した後は,前の行に戻って変更することもできません。CREATE コマンドで作成したファイルを変更するには,テキスト・エディタを使用します。Ctrl/Z はファイルの終端を知らせるもので,これを押すと,DCL コマンド・レベルに戻ります。

次の例では,CREATE コマンドを入力し,テキスト行を入力することにより,TEST.TXT という名前のファイルを作成します。


$ CREATE TEST.TXT
this is a test 
12345678 
[Ctrl/Z]

3.4.2 ファイルのコピー

COPY コマンドを使用すると,次のものを複製(コピー)できます。


次の例では,FEES.DAT ファイルが RECORDS.DAT にコピーされる。


$ COPY FEES.DAT RECORDS.DAT

次の例では,省略時のディレクトリ内のすべての .TXT ファイルが別のディレクトリにコピーされる。


$ COPY *.TXT;* [SAVETEXT]*.*;*

次の例では,[JONES.LICENSES.DOG] ディレクトリ内のファイルのうち,1999 年 12 月 11 日以降に変更されたファイルだけが省略時のディレクトリにコピーされる。


$ COPY/SINCE=11-DEC-1999/MODIFIED [JONES.LICENSES.DOG]*.* *

3.4.3 ファイルの連結

COPY コマンドで,ファイルを 連結 することができます。たとえば,省略時のディレクトリで FEES1.DAT を FEES.DAT に追加する(FEES.DAT の新しいバージョンを作成する)場合には,次のように入力します。


$ COPY FEES.DAT,FEES1.DAT FEES.DAT

FEES.DAT の後のコンマとファイル名 FEES1.DAT の間に,スペースは必要ありません。

3.4.4 DECnet を使用してリモート・ノードからファイルをコピーする

別のノードにあるファイルを使用中のノードにコピーするには,COPY コマンドを使用します。たとえば,ノード CHAOS 上のディレクトリ DISK2:[PUBLIC] にあるすべてのファイルの最新バージョンを,省略時のディレクトリに同じ名前でコピーする場合には,次のように入力します。


$ COPY CHAOS::DISK2:[PUBLIC]*.*  *

3.4.5 DECnet を使用して使用中のノードにあるファイルをリモート・ノードにコピーする

使用中のノードにあるファイルをリモート・ノードにコピーする場合には,COPY コマンドを使用します。システム間でファイルをコピーしようとしたときに,保護違反または DECnet エラー・メッセージが表示された場合には,メールでファイルをコピーするか,または,アクセス制御文字列を使用して回避することができます。

たとえば,省略時のディレクトリにあるすべてのファイルの最新バージョンを,ノード CHAOS 上のディレクトリ DISK2:[STAFF_BACKUP] に同じ名前でコピーする場合には,次のように入力します。


$ COPY *.* CHAOS::DISK2:[STAFF_BACKUP]

3.4.6 TCP/IP を使用してリモート・システム上へファイルをコピーする

TCP/IP では,ネットワークの他のホストにあるファイルのアクセスや転送に FTP(ファイル転送プロトコル)サービスを使用します。リモート・ホストからローカル・ホストにファイルを転送するには,GET コマンドを使用します。ローカル・ホストからリモート・ホストにファイルをコピーするには,PUT コマンドを使用します。これらのコマンドを使用するには,リモート・ホストとのアクティブな FTP セッションが必要です。セッション時には,いくつでも FTP コマンドを入力できます。FTP コマンドの使用方法については,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS User's Guide 』を参照してください。

たとえば,次のコマンドは,ファイル FEES.DAT をノード CHAOS の JONES アカウントに送信します。


$ MAIL/SUBJECT="Fee schedule"  FEES.DAT  CHAOS::JONES

3.4.7 ファイルをコピーするためのアクセス制御文字列の使用

保護違反を受信した後,ファイルをコピーするには,ファイル指定のノード名の後にアクセス制御文字列を指定できます(第 3.1.12 項 を参照)。

次の例では,ユーザは CHAOS ノードに,ユーザ名が SMITH で,パスワードが SPG96PRT であるアカウントを持っています。ユーザは,省略時のディレクトリのすべてのファイルの最新バージョンを CHAOS のアカウントにコピーします。


$  COPY *.* CHAOS"SMITH SPG96PRT"::DISK2:[STAFF_BACKUP]

3.4.8 ファイル名の変更

RENAME コマンドは,ファイルに新しい名前を付けます。また,場合によっては,そのファイルを異なるディレクトリに格納します。ファイルの変更後は,ファイル FEES.DAT;4 は省略時のディレクトリには存在しなくなることに注意してください。RENAME コマンドを使用するときは,入力位置と出力位置が同じデバイス上になければなりません。

次の例では,ファイル FEES.DAT が新しい名前 RECORDS.DAT に変更され,省略時のディレクトリから [SAVETEXT] ディレクトリに移動されます。


$ RENAME FEES.DAT;4 [SAVETEXT]RECORDS.DAT

3.5 ファイルの内容の表示

これ以降の節では,OpenVMS 環境でサポートされるツールやコマンドを使用して,ファイルの内容を表示する方法を説明します。

3.5.1 TYPE コマンドの使用

ファイルの内容を画面に表示する場合には,DCL プロンプトに対して TYPE コマンドとファイル名を入力します。省略時の設定では,ファイルの最新バージョンが表示されるので,ファイル指定にバージョン番号を指定する必要はありません。

次の例では,STAFF_VACATIONS.TXT ファイルの最新のバージョンが表示されます。


$ TYPE STAFF_VACATIONS.TXT

3.5.2 表示内容を制御する

TYPE コマンドに /PAGE 修飾子を指定すると,一度に 1 画面分の情報だけを表示することができます。Enter を押せば,次の画面を見ることができます。

/READ_ONLY 修飾子を付けて会話型のテキスト・エディタ(たとえば,EVE や EDT)を起動した場合も,会話形式の編集コマンドを使用して,ファイルの中で移動したり特定の文字シーケンスを検索することができます。READ_ONLY 修飾子を指定すれば,ファイルの変更ができないので会話型のエディタを終了するときにファイルを誤って変更してしまう恐れがなくなります。

3.5.3 リモート・ノードのファイルを表示する

DECnet を使用している場合,リモート・ノード上のファイルの内容を表示するには,ファイル指定の中にノード名,ディスク,そしてディレクトリを指定します。

次の例では,COMPANY_HOLIDAYS.TXT ファイル(リモート・ノード CHAOS に存在するファイル)が表示されます。


$ TYPE CHAOS::DISK2:[PUBLIC]COMPANY_HOLIDAYS.TXT

TCP/IP でファイルやリモート・ノードの内容を表示するには,FTP VIEW コマンドを使用し,ファイル名を指定します。ファイルが現在の作業ディレクトリにない場合,ディレクトリ名を加えてファイル名を指定してください。FTP VIEW コマンドについては,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS User's Guide 』を参照してください。

3.5.4 ワイルドカードによるファイルの表示

アスタリスク(*)・ワイルドカードを使用すると,特定のファイルの全バージョンを表示できます。

たとえば,ディレクトリ [JONES] のファイル LOGIN.COM の全バージョンを表示する場合には,次のように入力します。


$ TYPE [JONES]LOGIN.COM;*

ディレクトリ [JONES] の中で,STAFF で始まるあらゆるファイル・タイプを持つすべてのファイルの全バージョンを表示する場合には,次のように入力します。


$ TYPE [JONES]STAFF*.*;*

3.5.5 複数のファイルの表示

TYPE コマンド行に 2 つ以上のファイルを指定すると,指定した順序でファイルが表示されます。ワイルドカード文字を使用すると,ファイルはアルファベット順に表示されます。

3.6 ファイルの削除

DELETE コマンドは,ファイルをディレクトリから削除し,そのファイルが占有していたディスク領域を解放して他のファイルが使用できるようにします。DELETE コマンド使用するときは,各ファイル指定にバージョン番号を指定するか,バージョン番号としてアスタリスク(*)・ワイルドカード文字を指定しなければなりません。

たとえば,ファイル POUND.LIS のバージョン 17 を削除する場合には,次のように入力します。


$ DELETE POUND.LIS;17

POUND.LIS のバージョン 16 と 17 を削除する場合には,次のように入力します。


$ DELETE POUND.LIS;16,;17

ファイル POUND.LIS のすべてのバージョンを削除する場合には,次のように入力します。


$ DELETE POUND.LIS;*

ワイルドカード文字で複数のファイルを削除する場合には,/CONFIRM 修飾子を使用して,削除するたびに確認するとよいでしょう。また,削除する場合には,ファイルの名前を表示するとよいでしょう。この場合は,DELETE コマンドと一緒に /LOG 修飾子を指定します。

たとえば,サブディレクトリ [JONES.LICENSES.DOG] のすべてのファイルを削除してよいかどうかを確認する場合には,次のコマンドを入力します。


$ DELETE/CONFIRM *.*;*
DISK1:[JONES.LICENSES.DOG]FEES.DAT;4, delete? [N]: Y
DISK1:[JONES.LICENSES.DOG]FEMALE.LIS;6, delete? [N]: Y
DISK1:[JONES.LICENSES.DOG]MALE.LIS;3, delete? [N]: N
DISK1:[JONES.LICENSES.DOG]POUND.LIS;17, delete? [N]: Y

次の例では,コマンドを入力すると,ファイルを削除した後でそのファイルの名前が表示されます。


$ DELETE/LOG *.LIS;*
_%DELETE-I-FILDEL, DISK1:[JONES.LICENSES.DOG]FEMALE.LIS;6 deleted(35 blocks)
_%DELETE-I-FILDEL, DISK1:[JONES.LICENSES.DOG]MALE.LIS;3 deleted(5 blocks)
_%DELETE-I-FILDEL, DISK1:[JONES.LICENSES.DOG]POUND.LIS;17 deleted(9 blocks)

3.6.1 PURGE コマンドの使用方法

PURGE コマンドは,省略時のディレクトリまたは指定されたディレクトリに存在する指定されたファイル(または全ファイル)の最新バージョン以外のバージョンをすべて削除します。ファイルを更新した後でファイルの古いバージョンをパージするようにすると,ディスク上に未使用領域を確保できます。

たとえば,省略時のディレクトリにある各ファイルの 2 つの最新バージョンを残してすべてのバージョンをパージする場合には,次のように入力します。


$ PURGE/KEEP=2

3.7 他のユーザからのファイルの保護

これ以降の節では,ファイルを保護する方法を説明します。詳細は,以下を参照してください。

3.7.1 アクセス制御リスト(ACL)

自分以外のユーザがファイルをアクセスできないようにする場合には,保護を設定するか,ファイルのACL を変更します。保護を設定したりファイルの ACL を変更する場合には,ファイルを所有しているか,ファイルの制御アクセス権を持っているか,GRPPRV,SYSPRV,BYPASS,READALL 特権を持っていなければなりません。

3.7.2 ファイル保護の種類

ファイル保護には,省略時の保護と明示的な保護の2種類があります。ファイルを作成すると,そのファイルには通常,親ディレクトリと同じ保護が割り当てられます。これが省略時の保護です。CREATE/PROTECTION コマンドを使用してファイルを作成した場合や,SECURITY/PROTECTION コマンドを使用して既存のファイルの保護を変更する場合には,明示的なファイル保護を使用します。

ファイルを完全に保護するには,そのファイルが存在するディレクトリにも同等の保護またはそれ以上の保護を適用しなければなりません。

3.8 ファイルの印刷

これ以降の節では,ファイルを印刷する手順を説明します。

1 つまたは複数のファイルを印刷する場合には,PRINT コマンドを使用します。PRINT コマンドは,印刷キュー といわれる印刷するジョブのリストに印刷ジョブ(印刷するすべてのファイル)を登録します。PRINT コマンドに指定されるファイルの省略時のファイル・タイプは,.LIS または最後に明示的に指定されたファイル・タイプになります。システムは,ジョブ名,キュー名,ジョブ番号を表示するとともに,ジョブの状態も示します。

省略時の設定では,ジョブ名は,PRINT コマンドの最初の(または唯一の)ファイル指定の名前になります。ジョブをキューに登録した後は,ジョブ番号を使用してそのジョブを指定します。ジョブをキューに登録すると,他のジョブがそれ以前にキューに登録されていなくて,プリンタが物理的に印刷を開始できる状態であれば,ジョブが印刷されます。

次の例では,3 つのファイルを含むプリント・ジョブが省略時のプリント・キューである SYS$PRINT に登録されます。


$ PRINT POUND,MALE,FEES.DAT
Job POUND(queue SYS$PRINT, entry 202)started on SYS$PRINT

PRINT コマンドの省略時のファイル・タイプは .LIS であるため,POUND.LIS,MALE.LIS,FEES.DAT ファイルがキューに登録されます。ジョブ名は POUND であり,キュー名は SYS$PRINT であり,ジョブ番号は 202 です。

3.8.1 印刷ジョブの優先順位

印刷キューは,一度に 1 つのジョブしか実行できません。印刷ジョブは,その 優先順位 に従って印刷順がスケジューリングされ,最も高い優先順位を持つジョブが最初に印刷されます。同じ優先順位を持つジョブが 2 つ以上あるときには,普通は最も小さいジョブが最初に印刷されます。優先順位が同じでサイズも等しいジョブが 2 つ以上あるときは,キューへの登録順に印刷されます。優先順位は,システム管理者が決定するか,PRINT コマンドに /PRIORITY 修飾子を入力することによって決定できます。優先順位のスケジューリングについての詳しい説明は,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

3.8.2 キュー情報の表示

通常,省略時の印刷キュー SYS$PRINT は,ユーザのシステムに固有なスタートアップ・プロシージャの一部として起動されます。次の表は,キューに関する情報を表示するために使用できるコマンドを示しています。

表示対象 入力するコマンド
サイトのキュー SHOW QUEUE
プリント・ジョブの状態 SHOW ENTRY
他のユーザがキューに登録したジョブ SHOW ENTRY/USER_NAME= username
特定の 1 つ以上のジョブに関する情報 SHOW ENTRY job-name

SHOW ENTRY entry-number

次の例では,SHOW ENTRY コマンドを使用して,キューに登録されているプリント・ジョブに関する情報を表示します。


$ SHOW ENTRY 
 
  Entry  Jobname         Username     Blocks  Status 
  -----  -------         --------     ------  ------ 
    202  POUND           JONES            38  Pending 
         On stopped printer queue SYS$PRINT)

3.8.3 プリント・フォーム

プリント・フォームは次の機能を実行します。

印刷に対する要件が限られている場合には,特殊なフォームを使用する必要はありません。コンパックはすべてのキューに対して,システム全体で有効な省略時のフォーム(DEFAULT という名前)を提供しています。また,システム管理者もプリント・フォームを作成できます。出力を書式化しなければならない場合や,特定のプリント・ジョブで特殊な用紙が必要な場合には,システム管理者にご相談ください。


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