Compq OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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/BACKUP

入力ファイル選択修飾子

BACKUP/RECORD コマンドでファイル・ヘッダ・レコードに書き込んだ BACKUP 日付をもとにファイルを選択します。


形式

入力指定子/BEFORE=日時 /BACKUP 出力指定子

入力指定子/SINCE=日時 /BACKUP 出力指定子


説明

/BACKUP 修飾子を使用できる対象は Files-11 構造レベル 2 および 5 のボリュームだけです。また,/BEFORE または /SINCE の修飾子を必ず併用してください。イメージ処理や物理処理において, /CREATED,/MODIFIED,/EXPIRED のいずれかの修飾子と /BACKUP 修飾子を併用することはできません。

/BACKUP 修飾子は,ファイル・ヘッダ・レコードの BACKUP フィールドに記録されている日時を,/BEFORE 修飾子または /SINCE 修飾子で指定した日時と比較することによってファイルを選択します。ファイル・ヘッダ・レコードに記録される日時は,/RECORD コマンド修飾子でファイルを最後にセーブまたはコピーした日時です。

/BACKUP と /BEFORE を使用した場合,指定した日時よりBACKUP 日付が前の(古い)ファイルが選択されます。BACKUP 日付がないファイル,つまり /RECORD を指定せずにセーブまたはコピーしたファイルも選択されます。

/BACKUP と /SINCE を使用した場合,指定した日時より BACKUP 日付が後のファイルが選択されます。 BACKUP 日付がないファイル,つまり /RECORD を指定せずにセーブまたはコピーしたファイルは 選択されません


#1

$ BACKUP/RECORD
_From: [PAYROLL]*.*;*/BEFORE=01-SEP-2000/BACKUP
_To: MTA1:SEP01.BCK

/BACKUP 修飾子と /BEFORE 修飾子により,ディレクトリ [PAYROLL] 内で, BACKUP 日付が 2000 年 9 月 1 日より前のすべてのファイルについて,すべてのバージョンがセーブされます。コマンド修飾子 /RECORD が,セーブした日時を各セーブ対象ファイルのファイル・ヘッダ・レコードに書き込みます。

#2

$ BACKUP/RECORD [ACCOUNTS...]/SINCE=YESTERDAY/BACKUP MTA1:ACC.BCK
 

/BACKUP 修飾子と /SINCE 修飾子により,[ACCOUNTS] のすべてのサブディレクトリ内で,BACKUP 日付が昨日 (昨夜午前 0 時より前の 24 時間) 以降のすべてのファイルがセーブされます。コマンド修飾子 /RECORD が,セーブした日時を各セーブ対象ファイルのファイル・ヘッダ・レコードに書き込みます。

/BEFORE

入力ファイル選択修飾子

日付が指定した日時より前のファイルを選択します。


形式

入力指定子/BEFORE=日時 出力指定子


説明

/BEFORE 修飾子は,各ファイル・ヘッダ・レコードの指定したフィールドの日時を,コマンド行に指定した日時と比較することにより,ファイルを選択します。次に,/BEFORE 修飾子と併用できる入力ファイル選択修飾子(および機能)を示します。これらの修飾子は,一度に 1 つだけ使用するようにしてください。

/BACKUP BACKUP/RECORD で最後にセーブまたはコピーした日付が,指定した日付より前であるファイルを選択する。BACKUP 日付がないファイルも選択する。
/CREATED 指定した日付より前に作成したファイルを選択する。
/EXPIRED 指定した日付に満了しているファイルを選択する。
/MODIFIED 最後に変更した日付が指定した日付より前であるファイルを選択する。他の修飾子を指定せずに /BEFORE を指定した場合, /MODIFIED が仮定される。

日時は,[dd-mmm-yyyy[:]][hh:mm:ss.cc] の形式によるデルタ時間または絶対時刻で指定してください。次は,日時の指定に使用できる予約語です。

BACKUP 以前の BACKUP/RECORD 処理が書き込んだファイルの BACKUP 日付 (Files-11 構造レベル 2 または 5 ボリューム専用)
TODAY 00:00:00.0 時における,現在の日,月,年
TOMORROW 昨夜午前 0 時より 24 時間後
YESTERDAY 昨夜午前 0 時より 24 時間前

/BEFORE 修飾子は,追加型復元処理では無効です。



$ BACKUP [POLICIES]*.*;*/BEFORE=TODAY/EXPIRED  DMA1:OLDPOL.BCK/SAVE_SET

ディレクトリ [POLICIES] 内で,満了日付が今日の日付より前であるすべてのファイルをセーブします。

/BLOCK_SIZE

出力セーブ・セット修飾子

BACKUP セーブ・セットのデータ・レコードの出力ブロック・サイズを,バイト数で指定します。


形式

入力指定子 出力セーブ・セット指定 /BLOCK_SIZE=n


説明

2,048 〜 65,535 バイトのブロック・サイズを指定できます。BACKUP は, BACKUP 形式の制約に従い,この値を調整します。ただし,最大値の 65,535 を超えるブロック・サイズは調整しません。

磁気テープ・セーブ処理で /BLOCK_SIZE を指定すると,DCL の MOUNT コマンドの /BLOCK_SIZE 修飾子で定義したブロック・サイズは無視されます。

磁気テープ上のセーブ・セットに対し,あまりにも大きな値をブロック・サイズに指定した場合,1 本のテープでは収まらなくなったり,大量のエラーが記録されたりする恐れがあります。この場合,ブロック・サイズの指定を小さくしてください。それでも障害がある場合,そのテープは今後,BACKUP 処理に使用しないようにしてください。

磁気テープの省略時のブロック・サイズは,8,192 バイトです。ディスクの省略時のブロック・サイズは,32,256 バイトです。



$ BACKUP/RECORD DRA2:[LEE...]/SINCE=BACKUP MTA0:SAVEWORK.BCK/BLOCK_SIZE=10000

DRA2 上のディレクトリ木構造を,ドライブ MTA0 にマウントされている磁気テープにセーブします。入力ファイル選択修飾子 /SINCE=BACKUP により,指定したディレクトリ木構造内で,最後の BACKUP/RECORD 処理以降に変更したファイルだけが処理されます。出力セーブ・セット修飾子 /BLOCK_SIZE により,ブロック・サイズ 10,240 が割り当てられます。指定されているブロック・サイズ 10,000 は, 10,000 より大きい 512 の倍数で,10,000 に最も近い値に丸められます。

/BRIEF

コマンド修飾子

セーブ・セット内の各ファイルについて,ファイル指定,サイズ,作成日付をリストします。ファイルに割り当てられているブロック数ではなく,セーブしたファイルの実サイズがリストされます。 /BRIEF 修飾子が有効となるのは,/LIST 修飾子と併用した場合だけであり,この形式が BACKUP リストの省略時の形式です。 DCL の DIRECTORY/FULL コマンドの表示形式で情報をリストするには, /FULL 修飾子を指定してください。


形式

/LIST/BRIEF セーブ・セット指定



$ BACKUP/LIST/BRIEF DBA2:[SAVE]23MAR00.BCK/SAVE_SET
               
Listing of save set(s)
 
Save set:          23MAR00.BCK
Written by:        MOROCI
UIC:               [000200,000200]
Date:              23-MAR-2000 14:18:16.00
Command:           BACKUP [SAVE] DBA2:[SAVE]23MAR00.BCK/SAVE_SET
 
Operating system:  OpenVMS Alpha Version 7.3
 
BACKUP version:    V7.3 
CPU ID register:   08000000
Node name:         _SUZI::
Written on:        _DBA2: 
Block size:        32,256 
Group size:        10
Buffer count:      3
 
[SAVE]INFO.TXT;4                  5   4-FEB-2000 13:12
[SAVE]LAST.DAT;1                  1  18-JAN-2000 14:11
[SAVE]WORK.DAT;3                 33   1-JAN-2000 10:02
 
Total of 3 files, 39 blocks
End of save set                   
 

BACKUP 要約情報と,セーブ・セット内の各ファイルのファイル名,サイズ,作成日付をリストしています。入力指定子で Files-11 媒体上のセーブ・セットを指定するため,/SAVE_SET 修飾子を指定しています。

/BUFFER_COUNT

コマンド修飾子

この修飾子は,現在使用されません。指定することはできますが,コマンド・プロシージャにこの修飾子を指定しても,正しく動作しません。/BUFFER_COUNT 修飾子は,コマンド・プロシージャから削除するようにしてください。

/BY_OWNER

入力ファイル選択修飾子

UIC (ユーザ識別コード) をもとに,処理対象ファイルを選択します。


形式

入力指定子/BY_OWNER [=[ユーザ識別コード]] 出力指定子


説明

UIC なしで /BY_OWNER を指定すると,現在のプロセスと同じ UIC を持つすべてのファイルが選択されます。

8 進数による数値 UIC または英数 UIC を,[g,m] の形式で指定します。ワイルドカード文字を使用できます。必ず,大括弧で囲むようにしてください。

[g,m]

g グループ番号を示す 0 〜 37776 の 8 進数または英数字によるグループ名
m メンバ番号を示す 0 〜 177776 の 8 進数または英数字によるメンバ名

/BY_OWNER を指定しない場合,入力指定子に指定したすべてのファイルが処理されます。


#1

$ BACKUP [SNOW...]/BY_OWNER MT$DRIVE:SNOW.BCK/LABEL=TAPE01

テープ TAPE01 をドライブ MT$DRIVE にマウントし,[SNOW] のディレクトリとサブディレクトリに存在し,現在の省略時のプロセス UIC を持つすべてのファイルを,セーブ・セット SNOW.BCK にセーブしています。

#2

$ BACKUP [SUNDANCE]/BY_OWNER=[727,46]  DBA1:STABLE.BCK/SAVE_SET

ディレクトリ [SUNDANCE] に存在し [727,46] の所有者 UIC を持つすべてのファイルを,DBA1 上の順編成ディスク・セーブ・セット STABLE.BCK にセーブ・セットしています。

/BY_OWNER

出力ファイル修飾子

復元するファイルの所有者UIC (ユーザ識別コード) を再定義します。


形式

入力指定子 出力指定子 /BY_OWNER[=オプション]


説明

使用できるオプションは,次のとおりです。

DEFAULT ユーザの現在の省略時の UIC を所有者 UIC に設定する。/BY_OWNER 修飾子を指定しない場合の省略時のオプションである。ただし,イメージ復元処理と追加型復元処理の省略時のオプションは,ORIGINAL である。
ORIGINAL 復元するファイルの所有者 UIC を保持する。オプションなしで /BY_OWNER 修飾子を指定した場合の省略時のオプションである。追加型復元処理の省略時のオプションでもある。このオプションを使用するには,指定の UIC が自分の UIC であるか,ユーザ特権 SYSPRV を持っているか,または出力ボリュームの所有者でなければならない。
PARENT ファイルの復元先やコピー先であるディレクトリの所有者 UIC を所有者 UIC に設定する。このオプションを使用するには,指定の UIC が自分の親 UIC であるか,ユーザ特権 SYSPRV を持っているか,または出力ボリュームの所有者でなければならない。
[ユーザ識別子] 指定した UIC を所有者 UIC に設定する。入力ファイル選択修飾子 /BY_OWNER で説明した [g,m] 形式を使用する。このオプションを使用するには,自分の UIC であるか,ユーザ特権 SYSPRV を持っているか,または出力ボリュームの所有者でなければならない。

コマンド修飾子 /IMAGE または /INCREMENTAL を復元処理で指定する場合,省略時の値は /BY_OWNER=ORIGINAL です。



$ BACKUP DBA2:ACCOUNTS.BCK/SAVE_SET [CLEAVER...]/BY_OWNER=PARENT

順編成ディスク・セーブ・セット ACCOUNTS.BCK をディレクトリ木構造 [CLEAVER...] に復元し,各復元対象ファイルに [CLEAVER] ディレクトリの所有者 UIC を割り当てています。

/BY_OWNER

出力セーブ・セット修飾子

セーブ・セットの所有者UIC (ユーザ識別コード) を指定します。


形式

入力指定子 出力セーブ・セット指定 /BY_OWNER=ユーザ識別子


説明

/BY_OWNER 修飾子の省略時の値は,現在のプロセスの UIC です。この修飾子を Files-11 セーブ・セットで使用するには,ユーザ特権 SYSPRV を持っているか,または指定する UIC が自分の UIC である必要があります。

8 進数による数値 UIC または英数 UIC を,[g,m] の形式で指定します。ワイルドカード文字を使用できます。必ず,大括弧で囲むようにしてください。

[g,m]

g グループ番号を示す 0 〜 37776 の 8 進数または英数字によるグループ名
m メンバ番号を示す 0 〜 177776 の 8 進数または英数字によるメンバ名



$ BACKUP [CLEAVER...] MFA2:ACCOUNTS.BCK/BY_OWNER=[301,310]/LABEL=TAPE01

TAPE01 のテープをドライブ MFA2 にマウントしています。次に,ディレクトリ木構造 [CLEAVER...] をセーブ・セット ACCOUNTS.BCK にセーブします。出力セーブ・セット修飾子 /BY_OWNER が,[301,310] の所有者 UIC をセーブ・セットに割り当てます。

/COMMENT

出力セーブ・セット修飾子

出力セーブ・セットにコメントを挿入します。コメント文字列が 2 語以上である場合,または英数以外の文字を含んでいる場合,二重引用符 (" ") で囲みます。コメントの文字数は,1,024 文字までです。


形式

入力指定子 出力セーブ・セット指定 /COMMENT=文字列



$ BACKUP [REMARKS] DMA1:20JULREM.BCK/SAVE_SET -
_$ /COMMENT="Remote operations for July 20, 2000"
$ BACKUP/LIST DMA1:20JULREM.BCK/SAVE_SET
Listing of save set
 
Save set:          20JULREM.BCK
Written by:        WALRUS
UIC:               [360,054]
Date:              20-JUL-2000 15:22:06.62
Command:           BACKUP [REMARKS] DMA1:20JULREM.BCK/SAVE_SET/COMMENT=Remote 
operations for July 20, 2000
 
Operating system:  OpenVMS Alpha Version V7.3
 
BACKUP version:    V7.3
CPU ID register:   0138084C
Node name:         _ABBEY::
Written on:        _ABBEY$DMA1:
Block size:        32256
Group size:        10
Buffer count:      3
 
[REMARKS]BAC.RES;1                                       2  20-JUL-2000 14:13
[REMARKS]COM.LIS;1                                       1  20-JUL-2000 14:04
[REMARKS]DTOP.DIR;1                                      1  20-JUL-2000 14:18
. 
. 
. 
Total of 40 files, 535 blocks
End of save set
 

最初の BACKUP コマンドは,ディレクトリ [REMARKS] を順編成ディスク・セーブ・セットにセーブし,コメントを記録します。 BACKUP/LIST コマンドは,新しく作成したセーブ・セットの内容を表示します。ディスク上にセーブ・セットを作成する場合は, /SAVE_SET 修飾子が必要です。

/COMPARE

コマンド修飾子

第 1 パラメータで指定したセーブ・セット,装置,ファイルを,第 2 パラメータで指定した Files-11 装置,ファイルの内容と比較し,両者に違いがあれば,エラー・メッセージを表示します。


形式

/COMPARE ファイル指定 ファイル指定

/COMPARE セーブ・セット指定 ファイル指定

/IMAGE/COMPARE 装置指定 装置指定

/IMAGE/COMPARE セーブ・セット指定 装置指定

/PHYSICAL/COMPARE 装置指定 装置指定

/PHYSICAL/COMPARE セーブ・セット指定 装置指定


説明

BACKUP 比較処理の第 1 パラメータには,Files-11 ファイル 1 つ,複数のファイルを表すワイルドカード文字,ディスク上または磁気テープ上の BACKUP セーブ・セット,テープ装置,ディスク装置のいずれかを指定します。コマンド修飾子 /PHYSICAL を指定しないかぎり,第 2 パラメータは,Files-11 ディスク・ファイル,複数のファイルを示すワイルドカード文字, Files-11 ディスク装置のいずれかを指定します。/PHYSICAL を指定し,かつ第 1 パラメータでディスク装置を指定する場合,比較対象ディスクは,両方とも /FOREIGN 修飾子でマウントされていなければなりません。

比較対象ファイルに違いがある場合,次のエラー・メッセージが表示されます。


%BACKUP-E-VERIFYERR, verification error for ...

/COMPARE 修飾子は,セーブ・セットを元のファイルと比較する場合や,BACKUP でコピーしたファイルやボリュームを元のファイルと比較する場合に使用します。BACKUP ではファイルをブロック単位で処理するので,BACKUP で出力したもの以外のファイルを格納すると,同一のファイル間でも不一致エラーが生じる恐れがあります。

ファイル指定でバージョン番号の省略時の値は,ファイルのすべてのバージョンを処理するワイルドカード文字のアスタリスク ;* です。

比較処理のパラメータは,ともに入力指定子です。

2 つの Files-11 ボリューム全体を比較する場合は,次のようにイメージ比較処理を行います。


$ BACKUP/IMAGE/COMPARE DBA1: DBA2:

コマンド修飾子 /DELETE,/RECORD は,比較処理では使用できません。

出力ファイル修飾子 /NEW_VERSION はバージョン番号を変更するので, /NEW_VERSION 修飾子を使って復元またはコピーしたファイルには,比較処理を行わないようにしてください。


#1

$ BACKUP/COMPARE JAZZ.DAT BLUES.DAT

Files-11 ファイル 2 つを比較しています。バージョン番号は指定されていないので,各ファイルのすべてのバージョンを比較します。

#2

$ BACKUP/COMPARE/IMAGE MTA0:SWING.BCK DBA2:

磁気テープ上のイメージ・セーブ・セットを Files-11 ボリュームと比較しています。


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