OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


前へ 次へ 目次 索引


A.9.2 将来の編集セッションでのカスタマイズの使用

すべてのカスタマイズ内容を将来の編集セッションで使用できるようにする方法がいくつかあります。次の方法で,異なる種類のスタートアップ・ファイルを結合することができます。

A.10 EVE スタートアップ・ファイルでのキー定義

この節では,EVE 属性と機能をもとにコマンドを分類し,これらのコマンドをセーブできるスタートアップ・ファイルのタイプを示します。スタートアップ・ファイルに定義とプロシージャを登録すると,エディタを起動するときに,タスクで必要とされる編集環境を自動的に設定できます。

次の表は,キー定義と,そのキー定義を使用できるファイルのタイプを示しています。

キー定義 セクション コマンド 初期化
DEFINE KEY X X X
LEARN X -- --
SET FUNC KEYS [NO]DECWINDOWS X X X
SET [NO]GOLD KEY X X X
SET KEYPAD [NO]EDT X X X
SET KEYPAD [NO]WPS X X X
SET KEYPAD VT100 X X X
SET KEYPAD NUMERIC X X X
UNDEFINE KEY X X X

A.10.0.1 グローバル設定 1

次の表は,グローバル設定 1 と,それを使用できるファイルのタイプを示しています。

グローバル設定1 セクション コマンド 初期化
SET BOX [NO]PAD X X X
SET BOX [NO]SELECT X X X
SET CURSOR FREE または BOUND X X X
SET [NO]CLIPBOARD X X X
SET [NO]DEFAULT COMMAND FILE X X X
SET [NO]DEFAULT SECTION FILE X X X
SET [NO]EXIT ATTRIBUTE CHECK X X X
SET FIND CASE [NO]EXACT X X X
SET [NO]PENDING DELETE X X X
SET [NO]SECTION FILE PROMPTING X X X
SET TABS INSERT, MOVEMENT, または SPACES X X X
SET TABS [IN]VISIBLE X X X

A.10.0.2 グローバル設定 2

次の表は,グローバル設定 2 と,それを使用できるファイルのタイプを示しています。

グローバル設定2 セクション コマンド 初期化
SET FIND [NO]WHITESPACE -- -- X
SET SCROLL MARGINS -- -- X
SET WIDTH -- -- X
SET WILDCARDS VMS または ULTRIX -- -- X

A.10.0.3 バッファ設定

次の表は,バッファ設定と,それを使用できるファイルのタイプを示しています。

バッファ設定 セクション コマンド 初期化
FORWARD または REVERSE -- -- X
INSERT MODE または OVERSTRIKE MODE -- -- X
SET BUFFER -- -- X
SET [NO]JOURNALING ALL -- -- X
SET LEFT MARGIN -- -- X
SET PARAGRAPH INDENT -- -- X
SET RIGHT MARGIN -- -- X
SET TABS AT または EVERY -- -- X
SET [NO]WRAP -- -- X

DECTPU プロシージャは,セクションおよびコマンド・ファイル内では使用できますが,初期化ファイル内では使用できません。

A.10.1 セクション・ファイルへのセーブ

セクション・ファイルをセーブするには, SAVE EXTENDED EVE コマンドまたはSAVE ATTRIBUTES コマンドを使用します。 SAVE EXTENDED EVE コマンドを使用する場合,コマンド行上でセクション・ファイルを指定するか, EVE にセクション・ファイル名のプロンプトを表示させることができます。 SAVE ATTRIBUTES コマンドを使用する場合は,プロンプトへの応答としてセクション・ファイルを指定します。

セクション・ファイルへのセーブを高速化するために,省略時のセクション・ファイルを設定し,セクション・ファイル名のプロンプトを表示しないようにすることができます。省略時のセクション・ファイルとは,属性をセーブするたびにファイルを指定しなくても属性がセーブされるセクション・ファイルです。

たとえば,次のコマンドは属性と他のカスタマイズされた設定を,現在のディレクトリ内の MYSEC.TPU$SECTIONというセクション・ファイルにセーブします。


Command: SAVE ATTRIBUTES
Save attributes in a section file [YES]? [Return]
File to save in: mysec
DISK$1:[USER]MYSEC.TPU$SECTION;1 created

次の表は,省略時のセクション・ファイルとセクション・ファイル・プロンプトの設定の影響を示しています。

コマンドの設定 SAVE ATTRIBUTES の効果
SET DEFAULT SECTION FILE
SET SECTION FILE PROMPTING
属性をセーブするとき,セクション・ファイルにセーブするかどうかが尋ねられる。 Yes を指定すると (省略時の応答),省略時のセクション・ファイルにセーブされる。 No を指定すると,コマンド・ファイルにセーブするかどうかが尋ねられる。
SET DEFAULT SECTION FILE
SET NOSECTION FILE PROMPTING
属性をセーブするとき,プロンプトを表示せずに省略時のセクション・ファイルにセーブされる。
SET NODEFAULT SECTION FILE
SET SECTION FILE PROMPTING
省略時の設定である。属性をセーブするとき,セクション・ファイルにセーブするかどうか尋ねられる。 Yes を指定すると,セクション・ファイル名の入力を求めるプロンプトが表示される。 No を指定すると,コマンド・ファイルにセーブするかどうか尋ねられる。
SET NODEFAULT SECTION FILE
SET NOSECTION FILE PROMPTING
属性をセーブするとき,コマンド・ファイルにセーブするかどうかが尋ねられる。

通常,SET DEFAULT SECTION FILE を使用する場合,将来の編集セッションのスタートアップ時に使用するセクション・ファイルを指定します。このコマンドは,エディタの起動時に実行されるセクション・ファイルを決定するものではなく,属性や他のカスタマイズした設定をセーブするために使用するセクション・ファイルを指定するものです。スタートアップ時に実行されるセクション・ファイルを指定するには,次のいずれかを行います。

実行されるセクション・ファイルを指定するとき,デバイス (またはディスク) とディレクトリを含めた完全なファイル指定を使用しなければなりません。そうしないと DECTPU はセクション・ファイルが SYS$SHARE にあるものと見なします。

セクション・ファイルは,そこへセーブするカスタマイズされた設定の数によってはかなり大きくなることがあります。ディスク領域が限られている場合は,ディスク領域をそれほど必要としないコマンド・ファイルにセーブするとよいでしょう。セクション・ファイルの作成および使用についての詳しい説明は, EVE オンライン・ヘルプの「Section Files」というトピックを参照してください。

A.10.2 コマンド・ファイルへのセーブ

SET ATTRIBUTES コマンドを使用する場合,または終了時や取り消し終了時に属性をセーブする場合,コマンド・ファイルの自動作成や自動更新を行うことができます。属性をコマンド・ファイルにセーブするには,次のように SET ATTRIBUTES コマンドを使用します。


Command: SAVE ATTRIBUTES
Save attributes in a section file [YES]? no
Save attributes in a command file [YES]? [Return]
Enter file name [TPU$COMMAND.TPU] MYCOM
14 written to file DISK$1:[USER]MYCOM.TPU;1

コマンド・ファイル名の入力を求めるプロンプトには,省略時のコマンド・ファイルが大括弧で囲まれて表示されます。この省略時のファイルは,プロンプトに対してファイル名を入力せずに Return キーを押した場合に使用されます。この省略時のファイルは次のいずれかです。

自分に合った省略時のコマンド・ファイルを設定できます。省略時のコマンド・ファイルとは,属性をセーブするたびにファイルを指定しなくても EVE が作成または更新するコマンド・ファイルを指します。たとえば,次のコマンドは,省略時のコマンド・ファイルとして現在のディレクトリにある MYCOM.TPU を設定します。


Command: SET DEFAULT COMMAND FILE MYCOM

セクション・ファイルではなくコマンド・ファイルにセーブしたい場合, SET NOSECTION FILE PROMPTING コマンドも使用するようにします。すると,属性をセーブするときに,コマンド・ファイルにセーブするかどうかについてだけが尋ねられます。つまり,セクション・ファイルにセーブするかどうかについては尋ねられません。

SET DEFAULT COMMAND FILE を使用する場合,通常は将来の編集セッションのスタートアップ時に使用するコマンド・ファイルを指定します。このコマンドは,EVE の起動時に実行されるコマンド・ファイルを決定するものではなく,属性およびメニュー定義をセーブするコマンド・ファイルを決定するものです。スタートアップ時に実行するコマンド・ファイルを指定するには,次のいずれかを行います。

コマンド・ファイルの作成および使用についての詳しい説明は, EVE オンライン・ヘルプの「Command Files」というトピックを参照してください。

A.11 EDT から EVE への変換

EDT エディタに慣れている場合,セクション・ファイル,初期化ファイル,またはその両方,または DECTPU プロシージャを使用して, EVE が同じように動作するようカスタマイズすることができます。

通常,キー定義,学習シーケンス,およびその他の拡張はセクション・ファイル (SAVE EXTENDED EVE コマンドで作成されたファイル)にセーブします。マージンやタブなどの編集時の設定や個人的な省略時設定をセーブするには, EVE 初期化ファイルを使用します。これらはセクション・ファイルにはセーブされません。

A.11.1 SET KEYPAD EDT コマンドの使用

SET KEYPAD EDT コマンドは, EDT をエミュレートするためのいくつかのキーを定義します。このコマンドを EVE 初期化ファイルに入れたり,キーパッド設定をセクション・ファイルにセーブしたりできます。ほとんどのキーパッド・ファンクションは,名前が違っていても EDT の場合と同じように働きます。詳細は,オンライン・ヘルプの「EDT Differences」というトピックを参照してください。

A.11.2 EVE コマンドのためのキーの定義

SET KEYPAD EDIT で定義できないキーを定義するには, DEFINE KEY コマンドを使用します。キー定義のためのコマンドを初期化ファイルに入れるか,定義をセクション・ファイルにセーブします。

たとえば,次の EDT と EVE のキー定義の組み合わせは同じ意味です。

EDT の場合:


DEF KEY  GOLD 2    "EXT SHOW BUFFER." 
DEF KEY  GOLD l    "CHGLW." 
DEF KEY  GOLD u    "CHGUW." 
DEF KEY  GOLD 10   "EXT FIND=?.." 
DEF KEY  GOLD 9    "CUTSR PASTE." 
DEF KEY  cont n    "EXT QUIT." 
DEF KEY  func 34   "SHL." 

EVE の場合:


DEF KEY=  GOLD E2   SHOW BUFFERS 
DEF KEY=  GOLD l    LOWERCASE WORD 
DEF KEY=  GOLD U    UPPERCASE WORD 
DEF KEY=  GOLD PF2  BUFFER 
DEF KEY=  GOLD KP9  STORE TEXT 
DEF KEY=  Ctrl/N    QUIT 
DEF KEY=  F20       SHIFT RIGHT 8 

EDT と EVE の間のいくつかのキー名の違いやコマンド名の違いに注意してください。キー名についての詳細は, 付録 A.1 節 を参照してください。

A.11.3 固定カーソルの移動の設定

EDT スタイルの固定カーソルを有効にするには, SET CURSOR BOUND コマンドを使用します。省略時の設定では,EVE はバッファ内のどこへでも移動可能な自由カーソルを使用します。この設定は,セクション・ファイルまたはDECTPU コマンド・ファイルにセーブできます。

A.11.4 テキスト自動改行のための右マージンの設定

テキスト入力時または FILL コマンド使用時の自動改行位置を設定するには, SET RIGHT MARGIN コマンドを EVE 初期化ファイルに指定します。たとえば,次の EDT および EVE のコマンドは同じ意味です。

EDT の場合:


SET WRAP 70 

EVE の場合:


SET RIGHT MARGIN 70 

EVE コマンドの SET WRAP は,EDT コマンドの SET NOTRUNCATE に対応します。

A.11.5 カーソル移動のためのスクロール・マージンの設定

カーソルを上下に移動させたときに自動的にスクロールが始まる距離を設定するには, SET SCROLL MARGINS コマンドを EVE 初期化ファイルに入れます。たとえば,24 行のターミナル画面 (メイン・ウィンドウは 21 行) の場合,次のEDT コマンドと EVE コマンドは同じ意味です。

EDT の場合:


SET CURSOR 5:15 

EVE の場合:


SET SCROLL MARGINS 5 6 

EVE のスクロール・マージンは最上部からと最下部からの数で指定します。 EDT では,どちらのスクロール・マージンも最上部から数えます。ウィンドウ・サイズの割合か行数で指定できます。また,EVE メイン・ウィンドウのサイズはターミナル設定によって異なります。たとえば,ワークステーションでは, EVE のメイン・ウィンドウは 21 行より大きくなることがあります。


前へ 次へ 目次 索引