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10 IMCPの概要(VAXのみ)

この章は,日本語OpenVMS VAXのシステム管理者を対象に書かれています。 次のことを説明します。


10.1 IMCPとは

変換情報サーバ・コントロール・プログラム(IMCP)は, 日本語OpenVMS VAX上で変換情報サーバ(CIserver)を設定したり, コントロールするためのプログラムです。CIserverは,かな漢字変換に必要な情報を FIP (Front-end Input Process) や,その他の変換情報サーバ・クライアントを 使用するアプリケーションに提供するサーバです。 CIserverはネットワークを経由して,FIPやその他の変換情報サーバ・クライアント・ アプリケーションと接続し,かな漢字変換の情報を交換することができます。 現在サポートされるトランスポートは,ローカル・トランスポートと DECnetトランスポートの2つです。

図 10-1に,CIserverの概略図を示します。

図 10-1 CIserver概略図 : (クリックで表示)


IMCPを使用すると次のことができます。


10.2 IMCPの起動と終了

IMCPを起動するには,まずDCLコマンドで以下のように入力します。

     $ RUN SYS$SYSTEM:IM$CONTROL

IMCP>というプロンプトが表示されますので,IMCP>プロンプトに続けて, IMCPのコマンドを入力します。IMCPのコマンドについては, 第10.3節で説明します。

IMCPを終了するには,IMCP>プロンプトに対して"EXIT"とタイプするか [Ctrl/Z] を押してください。

IMCPは,DCLシンボルにコマンドとして定義しておくことにより,1行で IMCPコマンドを実行することができます。

たとえばCIserverを停止するには,次のようにします。

     $ IMCP :== $IM$CONTROL
     $ IMCP STOP SERVER

注意
IMCPを使用するためにはBYPASS,OPERの特権が必要です。


10.3 IMCPコマンド

この説では,IMCPで使用できるコマンドについて説明します。 表 10-1にIMCPコマンドの一覧を示します。

IMCPのコマンドは,IMCP>プロンプトに続けて入力することできます。

表 10-1 IMCPコマンド一覧

コマンド 説明
CREATE/PROXY CIserverプロキシ・データベースを作成します。
SET PROXY ユーザがCIserverを利用してアクセスする辞書を設定します。
SET PROXY/DEFAULT 登録されていないユーザの辞書アクセスを認めるか, あるいは拒否するかを決めます。
REMOVE PROXY CIserverプロキシ・エントリを削除します。
SHOW PROXY CIserverプロキシ・データベースに登録されたエントリを表示します。
SHOW SERVER CIserverのステータスを表示します。
SHOW CONNECTION CIserverに接続されているクライアントの情報を表示します。
STOP SERVER CIserverを停止します。
EXIT IMCPを終了します。
HELP IMCPサブコマンドに関する説明を表示します。

次に各コマンドについて詳しく説明します。


CREATE/PROXY

辞書アクセスを制御するためのCIserverプロキシ・データベースを作成します。

フォーマット

    CREATE/PROXY

コマンド修飾子

なし

パラメータ

なし

説明

ユーザがCIserverを利用して,ローカルの辞書にアクセスするには, あらかじめアクセスするための権限( CIserverプロキシ) をデータベースに登録しておく必要があります。このCREATE/PROXYコマンドは, アクセス権の情報を管理するCIserverプロキシ・データベース (SYS$SYSTEM:IM$CIS_PROXY_DB.DAT)を作成します。新規に CIserverプロキシを設定・登録するには, まずこのコマンドを用いてデータベースを作成します。

     IMCP> CREATE/PROXY

この例で,CREATE/PROXYコマンドは,ユーザの辞書アクセス権を登録, 管理するためのCIserverプロキシ・データベースを作成します。


HELP

IMCPサブコマンドに関する情報を表示します。

フォーマット

    HELP   [help-topic [subtopic [...]]] 

コマンド修飾子

なし

パラメータ

help-topic
知りたいIMCPのコマンド名を指定します。アスタリスク・ワイルドカード (*)をコマンド名の中あるいは,それのみで使用できます。

subtopic
サブトピック(コマンド修飾子あるいはコマンド・パラメータ)を指定します。 アスタリスク・ワイルドカード(*)をサブトピック名の中, あるいはそれのみで使用できます。

説明

HELPコマンドは,IMCPサブコマンドに関する情報を例を挙げて説明します。 次の例はSET PROXYのHELPの実行例です。

     IMCP> HELP SET PROXY

     SET
      PROXY

        SET PROXY コマンドは変換情報サーバ・クライアントを
        ローカルのユーザにマップします。

           形式

              SET PROXY remote-user local

        次の情報検索が可能です。

        Parameter /DEFAULT

この例は,Help-topicとしてSETコマンド,subtopicとして PROXYコマンドのHELP情報を示しています。


REMOVE PROXY

CIserverプロキシ・エントリを削除します。

フォーマット

    REMOVE PROXY   user

コマンド修飾子

/LOG
コマンドの実行結果を表示するかどうかを指定します。省略時設定は/NOLOGです。

パラメータ

user
ユーザ名を指定します。ユーザ名はnode::userの形で表され,nodeはノード名, userはそのノード上のユーザ名を示します。ノード名は1文字から20文字までの ASCII文字,ユーザ名は1文字から30文字までのASCII文字で表すことができます。

注意
DECnetのノード名は1〜6文字の英数字で,必ず 1つ以上の英字を含む文字列で表されます。

説明

CIserverプロキシ・データベースから指定された CIserverプロキシ・エントリを削除します。このコマンドで,省略時の CIserverプロキシ・エントリを削除することはできません。省略時の CIserverプロキシ・エントリの削除に関しては, SET PROXY/DEFAULTを参照してください。

     IMCP> REMOVE PROXY TOKYO::JIM

ノード"TOKYO"の,ユーザ"JIM"のCIserverプロキシ・エントリが削除されます。 この後,このユーザからの辞書へのアクセスは,省略時の CIserverプロキシ・アカウントが使用されます。また, SET PROXY/NODEFAULTにより省略時の CIserverプロキシ・アカウントが登録されていない場合は, エラーとなり接続できません。


SET PROXY

ユーザがCIserverを利用してアクセスする辞書を設定します。

フォーマット

    SET PROXY   user local

コマンド修飾子

/LOG
コマンドの実行結果を表示するかどうかを指定します。 省略時設定は/LOGです。

パラメータ

user
ユーザ名を指定します。リモートのユーザ名はnode::userの形で表され, nodeはノード名,userはそのノード上のユーザ名を示します。 ノード名は 1文字から20文字までのASCII文字, ユーザ名は1文字から30文字までの ASCII文字で表すことができます。

注意
DECnetのノード名は1〜6文字の英数字で,必ず 1つ以上の英字を含む文字列で表されます。

local
パラメータ user で示されるユーザが使用できる CIserverプロキシ・アカウントを示します。 ローカル・ノード上のユーザ名を指定します。

説明

ユーザがCIserverを利用してアクセスする辞書を設定することができます。 この設定を行うと,ユーザはローカルにある他のユーザと同じ権限で 日本語変換するための辞書をアクセスすることができるようになります。 ユーザとは,そのユーザのノード名,トランスポート・デリミタ, ユーザ名から構成されます。トランスポート・デリミタには, ローカル・トランスポートを表す"0:"とDECnetトランスポートを表す"::"の 2種類があります。DECnetのトランスポート・デリミタ"::"を使用する場合は, その前にノード名をつけなければなりませんが,ローカルのトランスポート・デリミタ "0:"を使用する場合は,ノード名は必要ありません。

  1.      IMCP> SET PROXY TOKYO::JACK JACK_S
    

    DECnetノード"TOKYO"のユーザJACKが,ローカルのユーザ JACK_Sの権限で辞書アクセスができるように設定します。

  2.      IMCP> SET PROXY 0:JACK JACK_S
    

    ローカル・ノードのユーザJACKが,同じローカルのユーザ JACK_Sの権限で辞書アクセスができるように設定します。


SET PROXY/DEFAULT

登録されていないユーザが,ローカルのどのユーザの権限で CIserverを利用して辞書にアクセスするかを設定します。

フォーマット

    SET PROXY/[NO]DEFAULT   [local]

コマンド修飾子

/DEFAULT
修飾子/DEFAULTにより,登録されていないユーザの辞書へのアクセスに対し, ローカルのユーザの設定を行います。また,修飾子/NODEFAULTにより, そのローカルのユーザの指定を解除します。

パラメータ

local
ローカル・ノード上のユーザ名を指定してください。 CIserverプロキシ・データベースに登録されていないユーザが, このローカルのユーザの権限で辞書をアクセスします。

説明

登録されていないユーザの辞書アクセスの権限を設定します。その権限は, 設定したローカルのユーザがすでに持っている辞書アクセスの権限と同等になります。 この場合,登録されていないユーザからの接続要求は設定したローカルのユーザの 権限で実行されます。/NODEFAULTが指定された場合, このコマンドはパラメータをとらず, 登録されていないユーザからの接続要求は拒否されます。

     IMCP> SET PROXY/DEFAULT CIS$DEFAULT

この例では,登録されていないユーザの辞書アクセス権は, ローカルのユーザ"CIS$DEFAULT"と同じになります。


SHOW CONNECTION

CIserverに接続されているクライアントの情報を表示します。

フォーマット

    SHOW CONNECTION

コマンド修飾子

なし

パラメータ

なし

説明

現在サーバに接続されているコネクションのID番号,クライアントのトランスポート名, ノード名,ユーザ名が表示されます。トランスポートがローカル・トランスポートの場合, クライアントのノード名は"LOCAL"となります。

     IMCP> SHOW CONNECTION
     Conn. ID Trans.   Remote   User
     0000DAA0 LOCAL    LOCAL    JIM

ユーザJIMがローカル・トランスポートを使用して,CIserverを利用しています。 このコネクションのID番号は,0000DAA0です。


SHOW PROXY

CIserverプロキシ・データベースに登録されたエントリを表示します。

フォーマット

    SHOW PROXY   [user]

コマンド修飾子

/ALL
すべてのエントリを表示します。省略時設定は/ALLです。

/NODE=node-name
node-nameで示されるノードに合致する,すべてのエントリを表示します。

/TRANSPORT=transport-name
transport-nameで示されるトランスポートに合致する, すべてのエントリを表示します。

/USER=user-name
user-nameで示される名前に合致する,すべてのエントリを表示します。

パラメータ

user
参照するユーザの名前を指定します。ユーザ名はnode::userの形で表され, nodeはノード名,userはそのノード上のユーザ名を示します。ノード名は 1文字から20文字までのASCII文字,ユーザ名は1文字から30文字までの ASCII文字で表すことができます。

このパラメータを省略した場合,CIserverプロキシ・データベースに登録されたすべての CIserverのプロキシ・エントリを表示します。

ワイルドカード文字の使用はできません。


注意
DECnetのノード名は1〜6文字の英数字で,必ず 1つ以上の英字を含む文字列で表されます。

説明

CIserverプロキシ・データベースに登録された CIserverプロキシ・エントリを参照することができます。表示される情報は, リモート・ノードのユーザ名,ノード名, トランスポート名とそれに対応するローカル・ノードの CIserverプロキシ・アカウントです。 SET PROXY/DEFAULTコマンドで指定された省略時の CIserverプロキシ・アカウントは,ユーザ名,ノード名, トランスポート名がアスタリスクで表示されます。

なお,ユーザがローカル・トランスポートを使うような CIserverプロキシ・エントリは,ノード名がすべて"LOCAL"と表示されます。

パラメータuserが指定されなかった場合,/ALLが省略時設定となり, CIserverプロキシ・データベースに登録されたすべての CIserverプロキシ・エントリが表示されます。そのほかのコマンド修飾子として /NODE,/USER,/TRANSPORTがあります。これらの修飾子が複数指定された場合は, そのすべての修飾子に与えられた値に合致する CIserverプロキシ・エントリを表示します。

  1. IMCP> SHOW PROXY
    
      Transp.   User      Node      Mapped
      ********  ********  ********  JIM      (1)
      DECNET    JOHN      PQRST     JIM      (2)
      LOCAL     KATHY     LOCAL     JIM      (3)
    
    CIserverプロキシ・データベースに登録されたすべての CIserverプロキシ・エントリを表示します。(1)では,省略時の CIserverプロキシとしてローカルのユーザ "JIM"の辞書アクセス権を利用して 辞書が利用できることを表しています。(2)では,ノード名 "PQRST"のユーザ"JOHN"がローカルのユーザ "JIM"の辞書アクセス権を利用して DECnetトランスポート経由で辞書が使えることを表しています。(3)では, ローカルのユーザ"KATHY"が同じローカルのユーザ "JIM"の辞書アクセス権を利用してローカル・トランスポート経由で 辞書が使えることを表しています。

  2. IMCP> SHOW PROXY TOKYO::JIM
    
      Transp.   User      Node      Mapped
      DECNET    JIM       TOKYO     KEN
    
    ノード"TOKYO"のユーザ"JIM"がDECnetを通してアクセスするときに使用される CIserverプロキシ・エントリを表示します。この例では,ノード"TOKYO"のユーザ "JIM"がローカルのユーザ "KEN"の辞書アクセス権を利用して DECnet経由で辞書が使用できることを表しています。

  3. IMCP> SHOW PROXY /USER=PAUL/NODE=ABC
    
      Transp.   User      Node      Mapped
      DECNET    PAUL      ABC       KATHY
    
    ノード"ABC"のユーザ"PAUL"にかかわるCIserverプロキシ・エントリを表示します。 この例ではノード"ABC"のユーザ"PAUL"がローカルのユーザ"KATHY"の辞書アクセス権を 利用してDECnetトランスポート経由で辞書が使用できることを表しています。


SHOW SERVER

CIserverのステータスを表示します。

フォーマット

    SHOW SERVER

コマンド修飾子

なし

パラメータ

なし

説明

CIserverの現在の状態と現在確立されているコネクション数, およびコンテキスト数が表示されます。

     IMCP> SHOW SERVER
     Server is Running
          Connection(s): 3
          Context      : 3

このコマンドにより,CIserverの現在の状態および,総コネクション数, 総コンテキスト数が表示されます。この例では,コネクションが3つはられ, コンテキストが3つ存在することを示しています。


STOP SERVER

CIserverを停止します。

フォーマット

    STOP SERVER

コマンド修飾子

/NOW
この修飾子を使用すると,CIserverは現在のすべてのクライアントとの接続を切断し, 停止します。切断されたクライアントにはエラーが返ります。この修飾子は, 後に述べる修飾子/SHUTDOWNと同時に使用することはできません。省略時設定は/NOWです。

/SHUTDOWN
この修飾子を使用すると, CIserverは現在のすべてのクライアントとの接続が終了した後,停止します。 このコマンドを発行した後,CIserverは新しい接続を受け付けません。 この修飾子は前述の修飾子/NOWと同時に使用することはできません。

パラメータ

なし

説明

CIserverを停止できます。CIserverの立ち上げは,コマンド・プロシージャ SYS$STARTUP:IM$CIS_STARTUP.COMにより行ってください。

このコマンドには/NOWと/SHUTDOWNの2つの修飾子があります。/NOWを指定すると, サーバはすぐに現在のコネクションを切断し,停止します。/SHUTDOWNを指定すると, 現在存在するコネクションすべての完了を待って,停止します。この 2つの修飾子を同時に使うことはできません。

     IMCP> STOP SERVER

このコマンドにより,省略時の修飾子である/NOWが実行されるので, サーバは現在接続されているクライアントの終了を待たずに,その接続を切断し, サーバ自身を停止します。


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