この章は,日本語OpenVMS VAXのシステム管理者を対象に書かれています。 次のことを説明します。
変換情報サーバ・コントロール・プログラム(IMCP)は, 日本語OpenVMS VAX上で変換情報サーバ(CIserver)を設定したり, コントロールするためのプログラムです。CIserverは,かな漢字変換に必要な情報を FIP (Front-end Input Process) や,その他の変換情報サーバ・クライアントを 使用するアプリケーションに提供するサーバです。 CIserverはネットワークを経由して,FIPやその他の変換情報サーバ・クライアント・ アプリケーションと接続し,かな漢字変換の情報を交換することができます。 現在サポートされるトランスポートは,ローカル・トランスポートと DECnetトランスポートの2つです。
図 10-1に,CIserverの概略図を示します。
IMCPを使用すると次のことができます。
これらの情報は,CIserverプロキシ・データベースで管理されています。
IMCPを起動するには,まずDCLコマンドで以下のように入力します。
$ RUN SYS$SYSTEM:IM$CONTROL
IMCP>というプロンプトが表示されますので,IMCP>プロンプトに続けて, IMCPのコマンドを入力します。IMCPのコマンドについては, 第10.3節で説明します。
IMCPを終了するには,IMCP>プロンプトに対して"EXIT"とタイプするか [Ctrl/Z] を押してください。
IMCPは,DCLシンボルにコマンドとして定義しておくことにより,1行で IMCPコマンドを実行することができます。
たとえばCIserverを停止するには,次のようにします。
$ IMCP :== $IM$CONTROL $ IMCP STOP SERVER
- 注意
- IMCPを使用するためにはBYPASS,OPERの特権が必要です。
この説では,IMCPで使用できるコマンドについて説明します。 表 10-1にIMCPコマンドの一覧を示します。
IMCPのコマンドは,IMCP>プロンプトに続けて入力することできます。
コマンド | 説明 |
---|---|
CREATE/PROXY | CIserverプロキシ・データベースを作成します。 |
SET PROXY | ユーザがCIserverを利用してアクセスする辞書を設定します。 |
SET PROXY/DEFAULT | 登録されていないユーザの辞書アクセスを認めるか, あるいは拒否するかを決めます。 |
REMOVE PROXY | CIserverプロキシ・エントリを削除します。 |
SHOW PROXY | CIserverプロキシ・データベースに登録されたエントリを表示します。 |
SHOW SERVER | CIserverのステータスを表示します。 |
SHOW CONNECTION | CIserverに接続されているクライアントの情報を表示します。 |
STOP SERVER | CIserverを停止します。 |
EXIT | IMCPを終了します。 |
HELP | IMCPサブコマンドに関する説明を表示します。 |
次に各コマンドについて詳しく説明します。
辞書アクセスを制御するためのCIserverプロキシ・データベースを作成します。
CREATE/PROXY
IMCP> CREATE/PROXY
IMCPサブコマンドに関する情報を表示します。
HELP [help-topic [subtopic [...]]]
IMCP> HELP SET PROXY SET PROXY SET PROXY コマンドは変換情報サーバ・クライアントを ローカルのユーザにマップします。 形式 SET PROXY remote-user local 次の情報検索が可能です。 Parameter /DEFAULT
CIserverプロキシ・エントリを削除します。
REMOVE PROXY user
- 注意
- DECnetのノード名は1〜6文字の英数字で,必ず 1つ以上の英字を含む文字列で表されます。
IMCP> REMOVE PROXY TOKYO::JIM
ユーザがCIserverを利用してアクセスする辞書を設定します。
SET PROXY user local
- 注意
- DECnetのノード名は1〜6文字の英数字で,必ず 1つ以上の英字を含む文字列で表されます。
IMCP> SET PROXY TOKYO::JACK JACK_S
DECnetノード"TOKYO"のユーザJACKが,ローカルのユーザ JACK_Sの権限で辞書アクセスができるように設定します。
IMCP> SET PROXY 0:JACK JACK_S
ローカル・ノードのユーザJACKが,同じローカルのユーザ JACK_Sの権限で辞書アクセスができるように設定します。
登録されていないユーザが,ローカルのどのユーザの権限で CIserverを利用して辞書にアクセスするかを設定します。
SET PROXY/[NO]DEFAULT [local]
IMCP> SET PROXY/DEFAULT CIS$DEFAULT
CIserverに接続されているクライアントの情報を表示します。
SHOW CONNECTION
IMCP> SHOW CONNECTION Conn. ID Trans. Remote User 0000DAA0 LOCAL LOCAL JIM
CIserverプロキシ・データベースに登録されたエントリを表示します。
SHOW PROXY [user]
このパラメータを省略した場合,CIserverプロキシ・データベースに登録されたすべての CIserverのプロキシ・エントリを表示します。
ワイルドカード文字の使用はできません。
- 注意
- DECnetのノード名は1〜6文字の英数字で,必ず 1つ以上の英字を含む文字列で表されます。
なお,ユーザがローカル・トランスポートを使うような CIserverプロキシ・エントリは,ノード名がすべて"LOCAL"と表示されます。
パラメータuserが指定されなかった場合,/ALLが省略時設定となり, CIserverプロキシ・データベースに登録されたすべての CIserverプロキシ・エントリが表示されます。そのほかのコマンド修飾子として /NODE,/USER,/TRANSPORTがあります。これらの修飾子が複数指定された場合は, そのすべての修飾子に与えられた値に合致する CIserverプロキシ・エントリを表示します。
IMCP> SHOW PROXY Transp. User Node Mapped ******** ******** ******** JIM (1) DECNET JOHN PQRST JIM (2) LOCAL KATHY LOCAL JIM (3)CIserverプロキシ・データベースに登録されたすべての CIserverプロキシ・エントリを表示します。(1)では,省略時の CIserverプロキシとしてローカルのユーザ "JIM"の辞書アクセス権を利用して 辞書が利用できることを表しています。(2)では,ノード名 "PQRST"のユーザ"JOHN"がローカルのユーザ "JIM"の辞書アクセス権を利用して DECnetトランスポート経由で辞書が使えることを表しています。(3)では, ローカルのユーザ"KATHY"が同じローカルのユーザ "JIM"の辞書アクセス権を利用してローカル・トランスポート経由で 辞書が使えることを表しています。
IMCP> SHOW PROXY TOKYO::JIM Transp. User Node Mapped DECNET JIM TOKYO KENノード"TOKYO"のユーザ"JIM"がDECnetを通してアクセスするときに使用される CIserverプロキシ・エントリを表示します。この例では,ノード"TOKYO"のユーザ "JIM"がローカルのユーザ "KEN"の辞書アクセス権を利用して DECnet経由で辞書が使用できることを表しています。
IMCP> SHOW PROXY /USER=PAUL/NODE=ABC Transp. User Node Mapped DECNET PAUL ABC KATHYノード"ABC"のユーザ"PAUL"にかかわるCIserverプロキシ・エントリを表示します。 この例ではノード"ABC"のユーザ"PAUL"がローカルのユーザ"KATHY"の辞書アクセス権を 利用してDECnetトランスポート経由で辞書が使用できることを表しています。
CIserverのステータスを表示します。
SHOW SERVER
IMCP> SHOW SERVER Server is Running Connection(s): 3 Context : 3
CIserverを停止します。
STOP SERVER
このコマンドには/NOWと/SHUTDOWNの2つの修飾子があります。/NOWを指定すると, サーバはすぐに現在のコネクションを切断し,停止します。/SHUTDOWNを指定すると, 現在存在するコネクションすべての完了を待って,停止します。この 2つの修飾子を同時に使うことはできません。
IMCP> STOP SERVER