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この章では,日本語OpenVMS VAX V7.2および日本語OpenVMS Alpha V7.2 でアップデートされた機能について説明します。
日本語OpenVMS V7.2では,標準版OpenVMS V7.2の提供するExtended File Specificationsの機能により,日本語のファイル名を使用することができます。
Extended File Specificationsは,ファイル名に使える文字がUnicodeに拡張され,OpenVMS の従来のバージョンに存在するさまざまなファイル名の制約を緩和するファイル処理環境です。Extended File Specifications は,Advanced Serverを使用する環境において,OpenVMSシステムとWindows NT システムの両方で,一貫性のあるファイル処理を可能します。
これらの最大長は将来のバージョンで拡張される予定です。
日本語OpenVMS V7.2では,ファイル名コンバータを有効にした場合,以下の場所でSuper DEC 漢字コードセットを用いて,ファイル名に日本語を使うことができます。
$CREATEや$OPENなどのRMS APIにおいて,Super DEC漢字コードセットを用いて日本語のファイル名を持つファイルを作成, 操作,削除することができます。
★日本語ファイル名をサポートするDCLコマンド★
日本語OpenVMS V7.2では,以下のコマンドで日本語ファイル名を正常に処理できます。
★その他のDCLコマンド★
標準版OpenVMS V7.2の提供するDCLコマンドで,Super DEC漢字コードセットを用いて日本語のファイル名を持つファイルを作成, 操作,削除することができます。
【例】
$ COPY PUBDISK:[営業3課]企画書.TXT SYS$LOGIN:新企画書.案1
$ EDIT/XTPU 新企画書.案1
日本語OpenVMS V7.2の提供する日本語ユーティリティでは,日本語ファイル名を正常に処理できます。 日本語ユーティリティについての詳細は, 『日本語ユーティリティ 利用者の手引き』を参照してください。
日本語OpenVMS V7.2の日本語ファイル名は,標準版OpenVMS V7.2の提供するExtended File Specification の機能である,Unicodeファイル名を利用しています。Unicode ファイル名は,新しいボリューム構造であるODS-5でのみサポートされているため, 日本語ファイル名もまたODS-5ボリュームでのみサポートされます。
既存のボリュームをODS-5に変換するためには,ディスクを個人マウントした後, 以下のコマンドを入力します。
$ SET VOLUME /STRUCTURE_LEVEL=5 <device>
ファイル名にSuper DEC漢字コードセットを使用するかしないかは,プロセス単位に設定できます。 日本語OpenVMS V7.2では,標準版OpenVMSと同様に, プロセス生成時にはISO Latin-1コードセットを使用します。
ユーザは必要に応じてプロセスの使用するファイルをSuper DEC漢字コードセットに設定することができます。
ファイル名にSuper DEC漢字コードセットを使用するためには,以下のコマンドを入力して,Record Management System (RMS) の拡張機能であるファイル名コンバータを有効にします。
$ JSY$CONTROL:==$SYS$SYSTEM:JSY$CONTROL.EXE
$ JSY$CONTROL SET RMS/FILENAME=SDECKANJI
ファイル名コンバータを有効にすると,RMSを経由するファイル名はすべてSuper DEC 漢字コードセットで入出力されます。
ファイル名コンバータを無効にするためには,以下のコマンドを入力します。
$ JSY$CONTROL SET RMS/FILENAME=DEFAULT
ファイル名コンバータを無効にすると,ファイル名にSuper DEC漢字コードセットを使用することはできません。
ファイル名コンバータを無効にしている場合は,ファイル名の指定にSuper DEC 漢字コードセットを使うことはできません。ファイル名コンバータを無効にしている場合で, 日本語ファイル名を使用するには,4桁の16 進数を用いてUnicodeの文字コードを指定します。
【例】
| ファイル名 | ファイル名コンバータ有効 | ファイル名コンバータ無効 |
|---|---|---|
| 漢字.TXT | 漢字.TXT | ^U6F22^U5B57.TXT |
ファイル名の16進数表現の詳細は,下記マニュアルを参照してください。
日本語OpenVMS V7.2では,ファイル名コンバータを有効にしている場合, RMS APIで以下の文字をファイル名として使用できます。
ただし,以下の文字を除く
ファイル名コンバータを無効にしている場合は,日本語のファイル名は16 進数表現を用いる必要があります。16進数表現の詳細は,下記マニュアルを参照してください。
ファイル名コンバータを有効にすると,RMSでは入出力されるファイル名を Super DEC 漢字コードとみなし,内部コードであるUnicodeに変換します。 変換規則は以下のとおりです。
上位8 bitにゼロを追加し,Unicodeの0x0020〜0x007Eに変換されます。 ファイル名がこれらの文字だけから成る場合は,日本語ファイル名とはみなされないため,Unicode ではなくASCIIに変換されます。
つぎの例外を除き,Unicodeの対応する文字に変換されます。
以下の文字はISO Latin-1文字とみなされるため,ファイル名がこれらの文字だけから成る場合は,Unicode ではなくISO Latin-1に変換されます。
| 文字 | SDK | Unicode |
|---|---|---|
| ´ | A1AD | 00B4 |
| ¨ | A1AE | 00A8 |
| ± | A1DE | 00B1 |
| × | A1DF | 00D7 |
| ÷ | A1E0 | 00F7 |
| ° | A1EB | 00B0 |
| § | A1F8 | 00A7 |
| ¶ | A2F9 | 00B6 |
これらの文字を日本語ファイル名として使用するためには,他の日本語文字とともに使用する必要があります。
b-2.半角文字と重複する全角文字
全角アルファベットなど半角文字にも同じ文字があるものは, Unicodeでは0xFF01〜0xFF9Fに変換されます。一部の文字は例外的に0xFFxx 以外に変換されます。
| 文字 | SDK | Unicode |
|---|---|---|
| ” | A1C9 | 201D |
| ’ | A1C7 | 2019 |
半角カナはUnicodeの0xFF61〜0xFF9Fに変換されます。
日本語OpenVMS V7.2ではサポートしていません。ファイル名にユーザ定義文字を使用した場合の動作は不定です。
日本語OpenVMS V7.2ではサポートしていません。ファイル名にJIS補助漢字を使用した場合の動作は不定です。
日本語OpenVMS V7.2ではサポートしていません。ファイル名にこれらの文字を使用した場合の動作は不定です。
日本語OpenVMS V7.2では,日本語ファイル名の最大長は,使用するAPIやファイル指定に使用する文字の種類によって変化します。 ファイル指定にはデバイス名とディレクトリ指定, ピリオド,セミコロンとバージョン番号が含まれます。
ファイル名にSuper DEC漢字コードを使用する場合,ファイル指定に含めることのできる全角文字は以下のとおりです。
全角文字72文字まで
全角文字42文字まで
詳細は,『日本語OpenVMS概説書』および『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。
日本語ファイル名を使用するかどうかをアプリケーションから制御するために, 以下の新しいAPIが用意されています。
RMSファイル名コンバータを有効または無効する。
現在のファイル名コンバータの状態を取得する。
システムにインストールされているファイル名コンバータの名前を取得する。
詳しくは『日本語ライブラリ利用者の手引き』を参照してください。
デフォルト・ディレクトリを日本語のディレクトリに変更する場合,ファイル指定には最大42 文字の漢字を含めることができます。デバイス名の長さはデフォルト・ ディレクトリの最大長に影響しません。
RMSを利用せず,$QIOによって直接ファイル・システムにアクセスする場合,Unicode の16ビット文字によって日本語のファイル名を使用することができます。
詳細は,下記マニュアルを参照してください。
日本語OpenVMS V7.2では,DEC XTPUおよび日本語EVE V3で新しく以下の文字コードセットをサポートします。
詳細は『日本語EVEユーザーズ・ガイド』および『日本語EVEリファレンス・ マニュアル』を参照してください。
日本語OpenVMS V7.2では,新しく日本語DECnet/SNAリモート・ジョブ・エントリが提供するコンバータの機能が追加されています。 詳細は『日本語ユーティリティ利用者の手引き』を参照してください。
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