この章では,日本語OpenVMSのフォント・ システムとして使用されているフォント管理ユーティリティについて説明します。
フォント管理ユーティリティとは,日本語エディタ(DEC XTPUなど) のようなプログラムが使用する漢字フォントをサポートするユーティリティ群です。
漢字ターミナルの属性を設定する ( 第3章を参照)
システム・フォント・データベースの管理およびプリローディング用ファイルの作成 (第4章を参照)
日本語OpenVMSのフォント・システムは, このフォント管理ユーティリティの他にユーザから直接には見えないところで動く 日本語ターミナル・ドライバ,フォント・ハンドラおよび漢字プリント・ シンビオントも,漢字ターミナルに漢字を出力する際に使用しています。
KANJIGENユーティリティを使用して,漢字ターミナルの属性を設定します。 DCLコマンドのSET TERMINALに相当する機能です。
JIS X 0208第1水準,第2水準相当の漢字フォントは,漢字ターミナルのフォント ROMまたはシステムのフォント・データベースに準備されています。 これ以外の文字パターンが必要な場合は, CMGRユーティリティを使用することによってユーザ独自に フォントをデザインして使用することができます。
作成した文字パターンは, システムのフォント・データベースに登録して全ユーザが共通に使用することも, 各ユーザが個別に独自の文字パターンとして使うこともできます。
- 注意
- 日本語OpenVMS VAX V7.1およびAlpha V7.1では, Super DEC漢字コードセットで拡張予定のユーザ定義文字の作成はサポートされません。
漢字ターミナルやプリンタで,その装置のフォントROMにない漢字を使用する場合, 文字パターンをあらかじめフォントRAM上に保存して使用することができます。
この機能を使用するには,ロード可能形式で文字パターンを持つプリロード・ ファイルと呼ばれるファイルを,DCLコマンドのTYPEで漢字ターミナルに出力するか, またはDCLコマンドのPRINTでプリンタに出力してください。
CMGRユーティリティを使用して,システム・フォント・データベース上に作成した ユーザ定義文字を登録したり,または削除することができます。
漢字ターミナルやプリンタで,その装置のフォントROMにない漢字を使用する場合, オンデマンド・ローディングの機能を使用して, 自動的に文字パターンを漢字ターミナルに送ることができます。
オンデマンド・ローディング機能を有効にした場合,日本語ターミナル・ドライバは, 必要に応じてフォント・ハンドラと呼ばれるプロセスを呼び出して,システム・ フォント・データベース内の文字パターンを漢字ターミナルに送ります。
この機能はユーザからは見えないところで行われますので,ユーザは JIS X 0208第2水準漢字,ユーザ定義文字などを自由に使うことができます。
漢字プリント・シンビオントを使用すると, プリンタにユーザ定義文字を出力することができます。
システム全体で使用される文字パターンを格納するためのファイルで, 以下の漢字を管理します。
JIS X0208漢字文字セット1〜47区については漢字ターミナル側で管理します。 フォント・データベース内にこの情報はありません(図 1-1参照)。
日本語OpenVMSでは,DEC漢字コードセットおよびSuper DEC漢字コードセットの 2つがサポートされます。
これらの漢字コードセットでは, 一部の文字コードについてはユーザが文字パターンを作成し, 定義することができます。(ユーザ定義文字の作成や管理には, Character Manager (CMGR)ユーティリティを使用します。) これらの文字をユーザ定義文字(UDC)と呼びます。 ユーザはユーザ定義文字を使用することにより,日本語OpenVMSの標準文字セットでは サポートされない一部の漢字文字を使用することができます。 漢字コードセットの詳細は,『日本語OpenVMS 概説書』を参照してください。
弊社製の漢字ターミナルおよびプリンタのほとんどすべては, 文字パターンのロード可能シーケンスを取り扱うことができ, ユーザ定義文字を表示または印字できます。
Character Manager (CMGR)ユーティリティを使用する場合, ユーザが文字パターンを編集する漢字ターミナルは,動的再定義可能文字セット (DRCS)をサポートしていなければなりません。DRCSについての詳しい説明は, 『VT382 Programmer ReferenceManual』を参照してください。
表 1-1は,漢字フォント・システムのサポートの 度合によって分類した漢字ターミナルとプリンタを示しています。
| ||||
ユーザ定義文字の表示/印刷 | ||||
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デバイス | フォント・ エディタ |
プリロー ディング |
オンデマンド・ ローディング |
漢字プリント・ シンビオント |
| ||||
漢字ターミナル | ||||
| ||||
VT282ビデオ・ターミナル | Yes | Yes | Yes | N /A |
VT284グラフィック・ターミナル | Yes | Yes | Yes | N/A |
VT286カラー・グラフィック・ ターミナル | Yes | Yes | Yes | N/A |
VT382ビデオ・ターミナル | Yes | Yes | Yes | N/A |
| ||||
漢字プリンタ | ||||
| ||||
LA86グラフィック・プリンタ | N/A | Yes | No | Yes |
LA88グラフィック・プリンタ | N/A | Yes | No | Yes |
LA90グラフィック・プリンタ | N/A | Yes | No | Yes |
LA280ライン・プリンタ | N/A | Yes | No | Yes |
LA380ライン・プリンタ | N/A | Yes | No | Yes |
LN03レーザ・プリンタ | N/A | Yes | No | No |
DEClaser 2300レーザ・プリンタ | N/A | Yes | No | No |
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複数のシステム・ディスクを持つOpenVMSシステムで構成されている OpenVMS Cluster環境では,各OpenVMS Clusterノードは独自のシステム・フォント・ データベースを持っています。したがって, 1つのシステム・フォント・データベースを操作しても, 他のシステム・フォント・データベースに影響を与えません。
このような不均質なOpenVMS Cluster環境でシステム・フォント・ データベース間の互換性を維持するのは, そのOpenVMS Clusterシステムのシステム管理者の責任となります。