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1 概要

この章では,日本語OpenVMSのフォント・ システムとして使用されているフォント管理ユーティリティについて説明します。


1.1 フォント管理ユーティリティ概要

フォント管理ユーティリティとは,日本語エディタ(DEC XTPUなど) のようなプログラムが使用する漢字フォントをサポートするユーティリティ群です。

日本語OpenVMSのフォント・システムは, このフォント管理ユーティリティの他にユーザから直接には見えないところで動く 日本語ターミナル・ドライバ,フォント・ハンドラおよび漢字プリント・ シンビオントも,漢字ターミナルに漢字を出力する際に使用しています。


1.2 フォント管理ユーティリティの機能

フォント管理ユーティリティの機能の概略を以下に記します。

  1. 漢字ターミナルの属性の設定

    KANJIGENユーティリティを使用して,漢字ターミナルの属性を設定します。 DCLコマンドのSET TERMINALに相当する機能です。

  2. ユーザ定義文字の作成

    JIS X 0208第1水準,第2水準相当の漢字フォントは,漢字ターミナルのフォント ROMまたはシステムのフォント・データベースに準備されています。 これ以外の文字パターンが必要な場合は, CMGRユーティリティを使用することによってユーザ独自に フォントをデザインして使用することができます。

    作成した文字パターンは, システムのフォント・データベースに登録して全ユーザが共通に使用することも, 各ユーザが個別に独自の文字パターンとして使うこともできます。


    注意
    日本語OpenVMS VAX V7.1およびAlpha V7.1では, Super DEC漢字コードセットで拡張予定のユーザ定義文字の作成はサポートされません。

  3. プリローディング

    漢字ターミナルやプリンタで,その装置のフォントROMにない漢字を使用する場合, 文字パターンをあらかじめフォントRAM上に保存して使用することができます。

    この機能を使用するには,ロード可能形式で文字パターンを持つプリロード・ ファイルと呼ばれるファイルを,DCLコマンドのTYPEで漢字ターミナルに出力するか, またはDCLコマンドのPRINTでプリンタに出力してください。

  4. システム・フォント・データベース管理

    CMGRユーティリティを使用して,システム・フォント・データベース上に作成した ユーザ定義文字を登録したり,または削除することができます。

  5. オンデマンド・ローディング

    漢字ターミナルやプリンタで,その装置のフォントROMにない漢字を使用する場合, オンデマンド・ローディングの機能を使用して, 自動的に文字パターンを漢字ターミナルに送ることができます。

    オンデマンド・ローディング機能を有効にした場合,日本語ターミナル・ドライバは, 必要に応じてフォント・ハンドラと呼ばれるプロセスを呼び出して,システム・ フォント・データベース内の文字パターンを漢字ターミナルに送ります。

    この機能はユーザからは見えないところで行われますので,ユーザは JIS X 0208第2水準漢字,ユーザ定義文字などを自由に使うことができます。

  6. プリンタでの漢字印字

    漢字プリント・シンビオントを使用すると, プリンタにユーザ定義文字を出力することができます。


1.3 フォント・データベース

システム全体で使用される文字パターンを格納するためのファイルで, 以下の漢字を管理します。

JIS X0208漢字文字セット1〜47区については漢字ターミナル側で管理します。 フォント・データベース内にこの情報はありません(図 1-1参照)。

図 1-1 フォント・データベース : (クリックで表示)


1.4  日本語OpenVMSオペレーティング・システムのユーザ定義文字

日本語OpenVMSでは,DEC漢字コードセットおよびSuper DEC漢字コードセットの 2つがサポートされます。

これらの漢字コードセットでは, 一部の文字コードについてはユーザが文字パターンを作成し, 定義することができます。(ユーザ定義文字の作成や管理には, Character Manager (CMGR)ユーティリティを使用します。) これらの文字をユーザ定義文字(UDC)と呼びます。 ユーザはユーザ定義文字を使用することにより,日本語OpenVMSの標準文字セットでは サポートされない一部の漢字文字を使用することができます。 漢字コードセットの詳細は,『日本語OpenVMS 概説書』を参照してください。


1.5 環境


1.5.1 ハードウェア

弊社製の漢字ターミナルおよびプリンタのほとんどすべては, 文字パターンのロード可能シーケンスを取り扱うことができ, ユーザ定義文字を表示または印字できます。

Character Manager (CMGR)ユーティリティを使用する場合, ユーザが文字パターンを編集する漢字ターミナルは,動的再定義可能文字セット (DRCS)をサポートしていなければなりません。DRCSについての詳しい説明は, 『VT382 Programmer ReferenceManual』を参照してください。

表 1-1は,漢字フォント・システムのサポートの 度合によって分類した漢字ターミナルとプリンタを示しています。

表 1-1  漢字ターミナルおよびプリンタでのユーザ定義文字のサポート


ユーザ定義文字の表示/印刷
デバイス フォント・
エディタ  
プリロー
ディング  
オンデマンド・
ローディング  
漢字プリント・
シンビオント  

漢字ターミナル

VT282ビデオ・ターミナル Yes Yes Yes N /A
VT284グラフィック・ターミナル  Yes Yes Yes N/A
VT286カラー・グラフィック・
ターミナル
Yes Yes Yes N/A
VT382ビデオ・ターミナル Yes Yes Yes N/A

漢字プリンタ

LA86グラフィック・プリンタ N/A Yes No Yes
LA88グラフィック・プリンタ N/A Yes No Yes
LA90グラフィック・プリンタ N/A Yes No Yes
LA280ライン・プリンタ N/A Yes No Yes
LA380ライン・プリンタ N/A Yes No Yes
LN03レーザ・プリンタ N/A Yes No No
DEClaser 2300レーザ・プリンタ N/A Yes No No


1.5.2 OpenVMS Cluster環境での操作

複数のシステム・ディスクを持つOpenVMSシステムで構成されている OpenVMS Cluster環境では,各OpenVMS Clusterノードは独自のシステム・フォント・ データベースを持っています。したがって, 1つのシステム・フォント・データベースを操作しても, 他のシステム・フォント・データベースに影響を与えません。

このような不均質なOpenVMS Cluster環境でシステム・フォント・ データベース間の互換性を維持するのは, そのOpenVMS Clusterシステムのシステム管理者の責任となります。


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