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7 日本語EVEの編集機能

この章では,基本操作に必要なコマンドや,キーを定義する方法など, 日本語EVEの編集機能について説明します。

各コマンドについての詳しい説明は, 『日本語EVE リファレンス・マニュアル』の第4章 "コマンド・ディクショナリ"を参照してください。

また,それぞれ選択したキーパッドの定義済みキーについては, 『日本語EVE リファレンス・マニュアル』の付録A "定義済みキー一覧表"を参照してください。


7.1 日本語EVEコマンドの入力

日本語EVEには,テキストの編集,カーソルの移動などの操作を行うために, 日本語EVEコマンドが用意されています。このコマンドの入力には, の2つの方法があります。


7.1.1 コマンドを入力するための定義済みキーの使用

日本語EVEは,省略時の設定として,一部のキーに日本語EVEコマンドを定義しています。 定義済みキーは,それぞれ1つの編集コマンドを実行します。 定義済みキーとしては,以下のものがあります。

定義済みキーは,各キーパッドによって異なります。

EVEJキーパッドについては, 表 3-2および 表 3-3
TAROキーパッドについては, 表 4-2および 表 4-3
JVMSキーパッドについては, 表 5-2および 表 5-3
を参照してください。 または『日本語EVE リファレンス・マニュアル』の付録A "定義済みキー一覧表"にもまとめられていますので,こちらもご覧ください。

さらに,日本語EVEは,EDTキーパッド,WPSキーパッドに設定できます。 どちらもEDTまたはWPS編集機能を完全に実現しているわけではありませんが, 大部分のキーパッド機能を提供します。

頻繁に使用する編集操作やコマンド入力を,他の編集キーに定義することもできます。 詳しい説明は,第7.8節 "キーを定義する方法"を参照してください。


7.1.2 コマンドのタイプ入力

コマンドを入力するためには,定義済みキーを使用する他に, Command:プロンプトに対してコマンドを入力する方法があります。

【操作方法】

  1. [Do]キーを押す

    日本語EVEは,ステータス・ラインのすぐ下のコマンド・ウィンドウに Command:というプロンプトを表示します。

  2. Command:プロンプトに対して,日本語EVEコマンドを入力する

    以下の例では,EXIT コマンドを入力しています。

         Command: EXIT
    
    このときに,さらにパラメータの指定が必要な場合は, コマンド・ウィンドウに入力を要求するプロンプトがあらわれます。

    以下の例では,15行目に移動するために LINE コマンドを入力し, つぎに表示されるLine Number:プロンプトに対して15を入力しています。

         Command: LINE
         Line Number: 15
    

  3. [Return]キー(または[Do]キー)を押す

    日本語EVEは,コマンドを実行します。

コマンド・ラインの編集

コマンド・ラインでタイプ・ミスした場合には,DCLの行編集キーを押すことにより, 編集できます(ただし,選択した変換キーパッドによっては, 使えないキーもありますので,ご注意ください)。たとえば, 次のような行編集キーを使用します。

行頭までカーソルを移動する場合は,[Ctrl/H]
行末までカーソルを移動する場合は,[Ctrl/E]
カーソルの位置から行頭までを消去する場合は,[Ctrl/U]
最後に入力したコマンドを再呼び出しする場合は,[Ctrl/B]
省略時の設定では,コマンド・ラインの編集モード(挿入モード/重ね書きモード)は, 編集画面の編集モードと同じです。

編集モードの省略時の設定は,日本語EVEを起動する前に, DCLのSET TERMINALコマンドで変更できます。日本語EVEを起動した後では, [Ctrl/A]を押すことにより変更できます。

タイプ入力の簡略化

日本語EVEコマンドのタイプ入力を簡略化するには,以下の方法があります。


7.2 テキストの編集

これまでの節で,日本語EVEエディタの起動方法と, 日本語EVEコマンドの入力方法について説明しました。 これで日本語EVEを使用して,新しいファイルを作成したり編集することができます。

編集キーと編集コマンドを使用すれば,カーソルを移動したり, テキストの移動や消去,回復などの編集操作を実行できます。この節では, 以下について説明します。


7.2.1 カーソルの移動

日本語EVEを使用してファイルを編集する場合には, 編集機能を実行する場所にカーソルを移動します。したがって, テキスト内でカーソルをより速く,効率よく移動できれば, 編集セッションでの操作時間を短縮できます。

表 7-1に, カーソルを移動するための日本語EVEコマンドを示します。

表 7-1 カーソル移動の日本語EVEコマンド

コマンド 機能
START OF LINE 現在行の先頭にカーソルを移動する。
END OF LINE 現在行の最後にカーソルを移動する。
MOVE BY WORD 順方向(Forward)の場合,次の単語の先頭にカーソルを移動する。 カーソルが行末にあるときは,次の行の先頭に移動する。

逆方向(Reverse)の場合,前の単語の先頭にカーソルを移動する。 カーソルが行頭にあるときは,前の行の最後に移動する。

MOVE BY LINE 順方向(Forward)の場合, 現在行の最後にカーソルを移動する。カーソルがすでに行末にあるときは, 次の行の最後に移動する。

逆方向(Reverse)の場合,現在行の先頭にカーソルを移動する。 カーソルがすでに行頭にあるときは,前の行の先頭に移動する。

MOVE BY PAGE 現在の方向により, 次の,あるいは前の改ページ(フォーム・フィード)にカーソルを移動する。 現在の方向に改ページが存在しない場合は, バッファの先頭あるいは最後にカーソルを移動する。
NEXT SCREEN 現在のウィンドウの行数より1行分少なく, 現在のバッファを順方向にスクロールする。たとえば, 現在のウィンドウが12行の長さの場合には, NEXT SCREEN コマンドは11行分だけ順方向に画面をスクロールする。 [Next Screen]キーが NEXT SCREEN コマンドとして定義されている。
PREVIOUS SCREEN 現在のウィンドウの行数より1行分少なく, 現在のバッファを逆方向にスクロールする。たとえば, 現在のウィンドウが12行の長さの場合には, PREVIOUS SCREEN コマンドは11行分だけ逆方向に画面をスクロールする。 [Prev Screen]キーが PREVIOUS SCREEN コマンドとして定義されている。
LINE 現在のバッファの指定した行数の先頭にカーソルを移動する。
TOP 現在のバッファの先頭にカーソルを移動する。
BOTTOM 現在のバッファの最後にカーソルを移動する。
BUFFER 指定したバッファを現在のウィンドウに表示し, カーソルをそのバッファでのもとの編集位置に移動する。 指定したバッファが存在しない場合は,新しいバッファを作成し, バッファの先頭にカーソルを移動する。
NEW 新しいバッファを作成し, 現在のウィンドウに表示する。カーソルは新しいバッファの先頭に移動する。 新しいバッファの名前はMAINになる。MAINバッファがすでに存在する場合は, バッファ名の入力をうながすプロンプトが表示される。
NEXT BUFFER 次のバッファを現在のウィンドウに表示する。 カーソルはそのバッファでのもとの編集位置に移動する。 このコマンドを使用すると,バッファ名をタイプせずに,バッファ間を移動できる。
NEXT WINDOW 次のウィンドウにカーソルを移動する。 カーソルはそのウィンドウのもとの編集位置に移動する。 [GOLD-Next Screen]キーが NEXT WINDOW コマンドとして定義されている。
PREVIOUS WINDOW 前のウィンドウにカーソルを移動する。 カーソルはそのウィンドウのもとの編集位置に移動する。 [GOLD-Prev Screen]キーが PREVIOUS WINDOWコマンドとして定義されている。
GET FILEまたはOPEN 指定したファイルを現在のウィンドウに表示し, カーソルをバッファの先頭に移動する。 指定したファイルが存在しない場合は,現在のウィンドウに空バッファを表示する。

すでに表示したファイルを指定した場合は, そのファイルのバッファのもとの編集位置にカーソルを移動する。

CHANGE DIRECTION 現在のバッファの方向を変更する。 バッファの方向(Forward/Reverse)はステータス・ラインに表示される。
FORWARD (省略時設定) 現在のバッファの方向を順方向(右向き,下向き)にセットする。 バッファの方向は,ステータス・ラインに表示される。
REVERSE 現在のバッファの方向を逆方向(左向き, 上向き)にセットする。バッファの方向は,ステータス・ラインに表示される。
SET CURSOR BOUND カーソルがテキストのある範囲内だけを移動するようにする。 カーソルはバッファの使用されていない部分には移動できない。 カーソルの動きは,EDT,WPSなどのエディタと同様。
SET CURSOR FREE
(省略時設定)
カーソルをバッファ内のどこにでも移動できるように設定し, そこにテキストを挿入することができる。

カーソルの移動

次の例では,バッファ内でカーソルを移動する方法を示しています。

次のコマンドを使用して日本語EVEを起動し,SCHEDULE.DATファイルを作成します。

     $ EDIT/XTPU SCHEDULE.DAT
次のような編集画面があらわれます。

日本語EVEは,カーソルをバッファの先頭に移動し, ユーザがテキストを入力するのを待ちます。 次に示すテキストをSCHEDULE.DATファイルに入力すると, [End of file]マーカはバッファ内で下に移動します。

カーソルは,ユーザが挿入したテキストの最後に移動します。 カーソルをファイルの先頭に移動するには,TOP コマンドを使用します。

カーソルをバッファの最後に移動するには,BOTTOM コマンドを入力します。

矢印キー([→],[↑],[←],[↓])を使うと,カーソルが1文字ずつ移動します。

MOVE BY LINE コマンドを実行すると,カーソルは,行末を下へ移動します。 CHANGE DIRECTION コマンドを実行すると,現在のバッファの方向が, 逆方向に変更されます。このコマンドの後で, 再び MOVE BY LINE コマンドを実行すると,カーソルは行頭を上へ移動します。

LINE 2 コマンドを実行すると,カーソルはバッファの2行目の先頭に移動します。

[Ctrl/Z]を押して,SCHEDULE.DATというファイルを保存してください。


7.2.2 テキストの挿入

現在編集中のバッファにテキストやファイル全体, あるいは印刷されない特殊文字(制御文字など)を挿入できます。

表 7-2は, テキストを挿入するときに使用する日本語EVEコマンドを示しています。

表 7-2 テキスト挿入の日本語EVEコマンド

コマンド 機能
CHANGE MODE ステータス・ラインに表示されている現在の編集モードを切り替える。 挿入モード(Insert)の場合は,現在の文字位置にテキストが挿入され, 既存のテキストは右または下にずれていく。重ね書きモード(Overstrike)の場合は, テキストが現在のカーソル位置に重ね書きされる。
INCLUDE FILE 指定したファイルの内容をバッファの現在のカーソル位置の前の行に挿入する。 複数のファイルの内容を1つのファイルにまとめるのに便利。

テキストをタイプする前に,バッファが挿入モード(Insert)であるのか, 重ね書きモード(Overstrike)であるのかを確認するために, ステータス・ラインを調べてください。

モードを切り替える場合には,CHANGE MODE コマンドを実行するか, または CHANGE MODE コマンドとして定義されたキーを押してください。

テキスト挿入の操作

テキスト,ファイル,およびプリントされない文字をバッファに追加する場合には, 次の操作を実行します。

次の例では,テキストをファイルに挿入する方法を示しています。 最初は挿入モードの場合の例であり,次は重ね書きモードの場合の例です。

日本語EVEを起動して,SCHEDULE.DATという既存のファイルを編集します。

挿入モードの例

日本語EVEが挿入モード(Insert)であるかどうかを, ステータス・ラインで確認してください。

日本語EVEが重ね書きモードの場合には,挿入モードへ変更するために, CHANGE MODE コマンドとして定義されているキーを押します。 カーソルをsupervisorという単語の s に移動し,Engineeringとタイプし, スペース・バーを1回押します。

Enginneringという単語がテキスト・バッファに挿入され, 同じ行のテキストの残りの部分は右に移動します。

重ね書きモードの例

次に,CHANGE MODE コマンドとして定義されているキーを押し, 重ね書きモードに切り替えます。カーソルをSallyという単語のSに移動し, Peggyとタイプします。

Peggyという単語は,バッファ内のSallyという単語の上に重ね書きされます。


7.2.3 テキストの削除と回復

日本語EVEエディタを使用すれば,テキストをファイルから削除したり, 編集セッションでの誤りを簡単に修正することができます。 誤ってテキストを消去した場合には,消去したテキストをもとの位置に回復します。 また,カーソルを移動することにより,別の位置に回復することもできます。

表 7-3は, テキストを消去および回復するための日本語EVEコマンドを示しています。

表 7-3 テキスト消去および回復の日本語EVEコマンド

コマンド 機能
DELETE カーソルの左にある文字を消去する。 挿入モード(Insert)の場合は,行の残りの部分は1文字分左に移動する。 重ね書きモード(Overstrike)の場合は,消去された文字はスペースに置き替わる。 行頭でキャリッジ・リターンを消去して,現在行が上の行に移動する。

保留削除(Pending Delete)がセットされているときに DELETE コマンドを実行すると, 選択領域内のテキストが消去され, そのテキストが Restore Selectionバッファに格納される。保留削除に関する詳細は, 第7.2.4項 "テキストの移動"を参照。

RESTORE 日本語EVEコマンドまたは編集キーを使用して,最後に消去した単語, または行を現在のカーソル位置に回復する。 RESTORE コマンドを使用して1文字を回復することはできない。
ERASE CHARACTER カーソルが置かれている文字を消去する。挿入モードの場合には, 行の残りの部分は1文字分左に移動する。重ね書きモードの場合は, 消去された文字はスペースに置き替わる。カーソルが行末にあるときは, モードに関わらず,キャリッジ・リターンが消去され, 次の行が上に移動する。
RESTORE CHARACTER 日本語EVEコマンドまたは編集キーを使用して, 最後に消去した文字を現在のカーソル位置に回復する。
ERASE WORD カーソルが置かれている単語を消去する。 カーソルが単語と単語の間にあるときは,次の単語を消去する。 カーソルが行末にあるときは,キャリッジ・リターンが消去され, 次の行が上に移動する。
ERASE PREVIOUS WORD 前の単語またはカーソルが置かれている単語を消去する。 カーソルが単語と単語の間にある場合や,単語の1文字目の上にある場合には, 前の単語が消去される。カーソルが単語の途中にある場合には, その単語全部が消去される(ERASE WORD と同じ)。 カーソルが行頭にある場合には,前の行の最後のキャリッジ・リターンが消去され, 現在の行が上に移動する。
RESTORE WORD 日本語EVEコマンドまたは編集キーを使用して, 最後に消去した単語を現在のカーソル位置に回復する。
ERASE LINE 現在のカーソル位置から現在行の最後までを消去し, 次の行を現在行の最後に続ける。カーソルが行末にあるときは, キャリッジ・リターンが消去され,次の行が上に移動する。
RESTORE LINE 日本語EVEコマンドまたは編集キーを使用して, 最後に消去した行を現在のカーソル位置に回復する。

バッファからテキストを削除する場合には,削除したいテキストにカーソルを移動し, 適切な編集キーを押すか,または適切な日本語EVEコマンドをタイプ入力します。

次の例は,テキストを削除する方法と回復する方法を示しています。 RHYMES.DATファイルを作成するために日本語EVEを起動し, 次に示すテキストを入力します。

行の削除と回復

カーソルをalsoという単語のlに移動します。 ERASE LINE コマンドを入力します。

日本語EVEは,lという文字からその行の最後までの, すべての文字を削除し,次の行を現在の行の最後に続けます。

カーソルはそのままで,RESTORE LINE コマンドを入力します。

日本語EVEは,最後に削除した行(この場合はlso with bee, )を回復します。

単語の削除と回復

カーソルをrhymesという単語のyに移動します。 ERASE WORD コマンドを入力します。

日本語EVEはrhymesという単語を削除し,残りのテキストを左に移動します。

カーソルを1行目のwithという単語のwに置き, RESTORE WORD コマンドを入力します。

日本語EVEは,最後に削除した単語を回復します。 この場合は,rhymesという単語を回復します。

第7.2.4項 "テキストの移動"で説明している SELECT コマンドと REMOVE コマンドの機能を参照してください。これらのコマンドは, バッファからテキストを削除するために組み合わせて使用できます。


7.2.4 テキストの移動と複写

表 7-4に示すコマンドは,テキストを消去したり, 「削除/回復」操作でバッファ内で1つの位置から別の位置にテキストを移動したり, テキストを複写するために使用できます。 1つのバッファから別のバッファにテキストを移動する方法については, 第7.6節"バッファの使用"を参照してください。

表 7-4 テキスト移動の日本語EVEコマンド

コマンド 機能
SELECT 現在のカーソル位置から, カーソルを移動した位置までのテキストをマーク(反転表示)する。

反転表示されたテキストを選択領域と呼ぶ。選択をキャンセルするには, SELECT コマンドをもう1度入力するか, RESET コマンドを使用する。

SELECT ALL カーソルの位置とは無関係に, 現在のバッファ内のすべてのテキストをマーク(反転表示)する。 選択をキャンセルするには,SELECT コマンド, または RESET コマンドを使用する。 SELECT ALL コマンドを実行するときは, 誤ってバッファ全体を消去しないように,保留削除が禁止される。
RESET 以下のものを取り消し, バッファの方向を順方向に設定する。

  • 選択領域の反転表示,あるいは検索領域の高輝度表示

  • [GOLD]キーを押した操作 (または REPEAT コマンドのための[GOLD]と数字の組み合わせ)

  • 不完全なコマンド・ラインや再呼び出ししたコマンド・ライン, または選択バッファの表示

  • SHOWSHOW DEFAULTS BUFFERSHOW SUMMARY, または SHOW WILDCARDS コマンドによる出力。 この結果,編集していたバッファに戻る
REMOVE または CUT 選択領域,または検索によって高輝度表示されている範囲のテキストを削除し, Insert Hereバッファに格納する。
INSERT HERE または
PASTE
コピーまたは削除したテキストを挿入する。
RESTORE SELECTION 保留削除の機能を用いて消去したテキストを回復する。
STORE TEXTまたは
COPY
SELECT または FIND でマークしたテキストをコピーし, それをInsert Hereバッファに登録する。

コピーされたテキストはもとの位置から削除されない。

SET NOPENDING DELETE
(省略時設定)
DELETE コマンドを使用したとき, あるいは新しいテキストをタイプしたときに, 選択されたテキストを削除しないようにする。

バッファ内でテキストを選択している場合は,新しくテキストをタイプすると, 選択領域に追加され,DELETE コマンドを実行すると, カーソルの左の文字が消去される。

SET PENDING DELETE 保留削除をセットし, テキストをブロック単位で,ただちに消去できるようにする。

まず,保留削除をセットし, SELECT コマンドを使用して消去したいテキストを選択する。 <X]キーを押してテキストを消去するか,または新しいテキストをタイプして, テキストを変更する。消去したテキストを回復したいときは, テキストを挿入する位置にカーソルを移動し, RESTORE SELECTION コマンドを入力する。省略時の設定は, SET NOPENDING DELETE

SELECT コマンドと, REMOVE コマンドを組み合せてテキストを消去するには,以下のようにします。

  1. 消去したい最初の文字にカーソルを移動する

  2. [Select]キーを押す

  3. 消去したい最後の文字の次の文字にカーソルを移動する(逆方向の場合には, カーソルを最後の文字の次の文字ではなく,最後の文字の上に移動する)

    消去するテキストは反転表示される(そのテキストをバッファから削除しない場合には, 再度[Select]キーを押すことにより選択を取り消す)

  4. [Remove]キーを押す

    日本語EVEは,反転表示されたテキストを画面から削除し, それをInsert Hereバッファに格納する。

[Insert Here]キーを押すと,テキストはカーソルの位置に挿入されます。 また,テキストをInsert Hereバッファにそのまま残しておけば, バッファからテキストを永久的に消去できます。 Insert Hereバッファに登録したテキストは,別のテキストを選択し, [Remove]キーまたは STORE TEXT コマンド (または COPY コマンド)を使用して, その新しいテキストを Insert Hereバッファに登録するまで, カーソルの位置に何回でも挿入できます。Insert Hereバッファには, 最後にコピーまたは削除したテキストが格納されます。

反転表示された選択領域に対して,次のコマンドを実行することができます。

次の例は,[Select]キー,[Remove]キー,および[Insert Here]キーを使用して, テキストを消去する方法と, ある位置から別の位置にテキストを移動する方法を示しています。

日本語EVEを起動し,RHYMES.DATファイルを編集します。

テキストの移動

RHYMES.DATの2行目の行頭にカーソルを移動し,[Select]キーを押します。 [↓]キーを1回押します。2行目のテキストが反転表示されます。

[Remove]キーを押してください。2行目のテキストが現在のバッファから削除されます。

[Return]キーを2回押し,その後,[Insert Here]キーを押します。 Insert Hereバッファのテキストが現在のカーソルの位置に挿入されます。

テキストの複写

STORE TEXT コマンドを使用すれば,テキストをコピーして, 別の場所に移動することができます。 COPY コマンドは STORE TEXT コマンドと同じです。以下の例で, STORE TEXT コマンドのかわりに COPY コマンドを使用することもできます。

次の例を参照して,バッファの設定が順方向の場合に, テキストのコピーが実行できます。

  1. カーソルをテキストの最初の行に移動する

  2. [Select]キーを押す

  3. カーソルを最初の行の最後に移動する

  4. STORE TEXT コマンドを入力する(Insert Hereバッファには, 選択したテキストのコピーが格納される)

  5. カーソルをalso with bee,の上の行の先頭に移動する

  6. [Insert Here]キーを押す


7.2.5 ボックス領域の編集

四角形の箱型の領域(ボックス領域)を選択し,その領域に対して削除, 回復などの編集操作を行うことができます。通常の選択では, 行が複数にまたがる場合には行末から行頭へ続く連続した領域を選択しますが, BOX SELECT コマンドでは選択の開始点と終了点を結ぶ線を対角線とする, 画面上の四角の領域を選択します。 SELECT コマンドにより選択された通常の反転領域に対して行うことのできたほとんどの操作を, このボックス領域に対しても同様に実行できます。

表 7-5は, ボックス操作のためのコマンドと,その機能を示します。

表 7-5 ボックス操作のためのコマンド

コマンド 機能
BOX SELECT ボックス領域の選択の開始。
BOX CUT 選択されたボックス領域のテキストを削除し, Insert Here バッファに格納。
BOX CUT OVERSTRIKE ボックス領域のテキストを削除し,Insert Hereバッファに格納。 ボックス領域の右にある文字のカラム位置を保つように同じ数のスペースを削除した領域に挿入する。
BOX CUT INSERT ボックス領域のテキストを削除し, Insert Hereバッファに格納。削除した領域にスペースの挿入は行わない。
BOX PASTE 削除,あるいはコピーしたボックス領域を回復する。
BOX PASTE OVERSTRIKE 削除,あるいはコピーしたボックス領域を回復する。 領域は下にあるテキストの上に上書きされる。
BOX PASTE INSERT 削除,あるいはコピーしたボックス領域を回復する。 領域は挿入され下にあるテキストは右に移動する。
RESTORE BOX SELECTION 保留削除により消去したボックス領域を復元。
BOX COPY ボックス領域のテキストを削除せずに, その内容をInsert Hereバッファにコピーする。
SET BOX PAD (省略時設定) BOX CUTBOX PASTE コマンドの動きをバッファの方向に関係なく, 重ね書きモードの動きで行うように設定する。
SET BOX NOPAD BOX CUTBOX PASTE コマンドの動きをバッファの方向に従うように設定する。
SET BOX SELECT ボックス操作を通常のSELECTREMOVE, INSERT HERE などのコマンドやキーを使ってできるように設定する。
SET BOX NOSELECT SET BOX SELECT の設定を解除する。

ボックス領域の選択,削除,回復操作は以下のように行います。

  1. ボックス領域の選択開始は,BOX SELECT コマンドを使用します。

  2. カーソルを移動すると選択の開始点とカーソル位置の間が高輝度表示されます。 通常の選択と同じように連続領域が高輝度表示されますが, 実際に選択されるのは開始点とカーソル位置を結ぶ直線を対角線とするボックス領域です。

  3. ボックス領域に対して行いたいコマンドを実行します。 例えばボックス領域の削除を行いたい場合には BOX CUT コマンドを実行します。

    ボックス領域が削除され,その内容はInsert Hereバッファに書き込まれます。 省略時の設定では削除されたボックス領域には, その右側の文字のカラム位置を変えないように同じ数のスペースが挿入されます。 詳しくは SET BOX [NO]PAD コマンドの説明を参照してください。

    削除したボックス領域は任意の場所に回復することができます。 回復したい位置にカーソルを移動し BOX PASTE コマンドを使用してください。

    Insert Hereバッファの内容が回復されます。

ボックス領域に対してはボックス・コマンド以外にも次のコマンドを実行することができます。 EDTが先頭にあるものはEDTキーパッドキーを,WPSはWPSキーパッドキーをあらわします。

SELECT, REMOVE, INSERTコマンドの切り替え ■

SET BOX SELECT コマンドを使用することにより SELECTREMOVEINSERT HERE などのコマンドの動きを, ボックス操作で行うように切り替えることができます。 このコマンドを使用するとキーの再定義を行うことなしに SELECTREMOVEINSERT HERE キーを使ってボックス操作を行うことができます。

SET BOX SELECT コマンドは次のようにコマンドの動きを変更します。

コマンド 設定後の動作
INSERT HERE あるいは PASTE BOX PASTE
REMOVE あるいは CUT BOX CUT
RESTORE SELECTION RESTORE BOX SELECTION
SELECT BOX SELECT
STORE TEXT あるいは COPY BOX COPY

これらのコマンドを通常の動きに戻したい時は SET BOX NOSELECT コマンドを使用します。 省略時の設定は SET BOX NOSELECT です。


7.2.6 テキストの検索

日本語EVEのコマンドを使用して,バッファ内の特定のテキストを検索できます。 OpenVMSまたはULTRIXのワイルドカードを使用して検索することもできます。

表 7-6は, バッファ内のテキストを検索するための日本語EVEコマンドを示します。

表 7-6 テキスト検索の日本語EVEコマンド

コマンド 機能
FIND 現在のバッファで, 指定したテキスト文字列を検索し,検索したテキストを高輝度表示する。

高輝度表示されたテキストを検索領域と呼ぶ。

FIND NEXT FIND コマンド, REPLACE コマンド, または WILDCARD FIND コマンドで最後に指定したテキスト文字列を検索する。
FIND SELECTED タイプした文字列でなく,選択したテキスト文字列を検索する。
SET FIND NOWHITESPACE
(省略時設定)
検索文字列に含まれるタブとスペースを指定した文字列のとおりに正確に比較し, 1行内に完全に格納されている文字列を検索するように, FIND コマンドと WILDCARD FINDコマンドを設定する。
SET FIND WHITESPACE スペース,タブ,および最大1つの行区切りを"余白"として解釈し, 2つ以上の単語で構成される文字列をその"余白"とは無関係に検索できるように, FIND コマンドと WILDCARD FIND コマンドを設定する。
WILDCARD FIND OpenVMSあるいはULTRIXパターンのワイルドカードを使用して, テキスト・パターンを検索する。
SET WILDCARD ULTRIX WILDCARD FIND コマンドで使用するワイルドカードをULTRIXパターンにセットする。
SET WILDCARD VMS
(省略時設定)
WILDCARD FIND コマンドで使用するワイルドカードをOpenVMSパターンにセットする。
SHOW WILDCARDS WILDCARD FIND で使用できるワイルドカードの一覧を示す。

現在のバッファで, 指定したテキストを検索するには FIND コマンドを使用します。 FIND コマンドを入力し, 検索したいテキスト(検索文字列と呼びます)をタイプします。 たとえば,順方向で rhymes with という文字列を検索するには, 以下のコマンドを入力します。

文字列が見つかると,日本語EVEはカーソルを指定した文字列の最初に移動します。

日本語EVEが最初に順方向に検索するのか,逆方向に検索するのかは, バッファの現在の方向によって決定されます。

現在の方向にさがす文字列が存在せず,反対の方向に検索できる場合には, 日本語EVEは,検索の方向を変更するかどうかを質問するプロンプトを表示します。 次の例は,反対の方向にrhymes withという文字列が見つかった場合を示しています。

反対方向で検索する場合には,Yとタイプします。 日本語EVEは反対方向で文字列の最初の発生箇所にカーソルを移動します。 ただし,ステータス・ラインの現在の方向は変更されません。

日本語EVEが検索文字列を検索すると,エディタはその文字列を高輝度表示し, カーソルを文字列の1文字目に移動します。高輝度表示された検索領域には, 以下の日本語EVEコマンドが使えます。

高輝度表示を取り消すには,カーソルを文字列から移動するか, RESET コマンドを使用します。

検索文字列の次の発生箇所を検索するには,[Find]キーを2回押すか, または FIND NEXT コマンドを入力します。

[Find]キーの使い方

次の例では,[Find]キーの使い方を示すために, 既存のファイルである RHYMES.DATを使用しています。 RHYMES.DATを編集するために日本語EVEを起動すると, カーソルはバッファの最初の行の1文字目に表示され, 現在のバッファは順方向になります。

[Find]キーを押し,reeと入力してください。 カーソルはtreeという単語のrに移動し,reeという文字を高輝度表示します。

[Find]を2回押すと,reeという文字列の次の発生箇所が検索されます。 カーソルはthreeという単語の r に移動し,reeという文字を高輝度表示します。

検索領域の編集

検索文字列が検索され,高輝度表示されたときは, 選択領域に対して機能するコマンドを使用できます(ただし, SPELL コマンドと保留削除操作は使用できません)。 たとえば,UPPERCASE WORD コマンドを入力できます。

UPPERCASE WORD コマンドは, 高輝度表示されている文字を小文字から大文字に変換します。

FIND SELECTEDコマンド

FIND SELECTED コマンドを使用すると,文字列をタイプせずに検索できます。 まず,同じ内容のテキストをもう1つ用意しましょう。

カーソルをバッファの先頭に移動し,[Select]キーを押します。 [Do]キーを押して,BOTTOM コマンドを入力すると, テキスト全体が反転表示されます。続けて,[Do]キーを押し, STORE TEXT コマンドを実行します。[↓]キーを使って, カーソルを1行下に移動し,[Insert Here]キーを押します。テキストがコピーされます。

カーソルを1行目のrhymesのhの上に移動し,SELECT コマンドを入力します。

カーソルを移動して,文字列を反転表示します。

[Do]キーを押し,FIND SELECTED コマンドを入力します。 カーソルは,hymes with tree,という文字列の次の発生箇所に移動します。 選択は取り消され,検索された文字列は高輝度表示されます。

WILDCARD FINDコマンド

テキスト文字列を検索するために,ワイルドカードも使用できます。日本語EVEは, OpenVMSとULTRIXの2組のいずれかのパターンを使用して,テキストを検索します。 省略時の設定では,日本語EVEはOpenVMSワイルドカード・パターンを使用して, テキストを検索します。SHOW WILDCARD コマンドは, OpenVMSのワイルドカード・パターンを表示します。このパターンには, アスタリスク(*)とパーセント記号(%)が含まれています。

まず,カーソルをバッファの先頭に移動します。eeで終わるテキスト文字列 を検索するには,コマンド・ラインに WILDCARD FIND *ee と入力します。

日本語EVEは,treeの r を含む行の先頭にカーソルを移動します。

以下に示すように WILDCARD FIND コマンド, または FIND コマンドで, 検索文字列の入力を要求するプロンプトが表示された時点で, 検索する方向を指定することができます。

SET FIND [NO]WHITESPACEコマンド

WILDCARD FIND コマンドや FIND コマンドが,スペース,タブ, または行区切りなどの単語間のブランクをどのように取り扱うかを指定するには, SET FIND WHITESPACE コマンドと SET FIND NOWHITESPACE コマンドを使用します。

次の例は,SET FIND WHITESPACE コマンドと SET FIND NOWHITESPACE コマンドの働き方を示しています。

alsoとwithの間にタブがひとつ入ったテキストを用意します。 SET FIND WHITESPACE コマンドを入力します。

FIND コマンドを入力し,tree, also withという文字列を指定します。 日本語EVEは,1行目の行末のtree,および2行目の行頭のalsoと, そのあとのタブに続くwithを高輝度表示します。

次に,SET FIND NOWHITESPACE コマンドを入力します。

FIND コマンドを使用して, 同じようにtree,also withという文字列を検索すると, 日本語EVEは"ターゲットが見つかりませんでした"と応答します。

SET FIND NOWHITESPCE コマンドがセットされているときには, 検索文字列とまったく同じ文字列が1行内にあるときだけ,その文字列を検索します。 次の例では,検索文字列にタブを含めて,also[Tab]with bee,とタイプした例です。

日本語EVEは,2行目の also    with bee,を検索します。


7.2.7 テキスト中のマーク

大きいファイルの編集セッションで, 特定の位置に後で戻ることがわかっている場合には, MARK コマンドと GO TO コマンドを使用すると便利です。

表 7-7 テキスト中のMARKコマンド

コマンド 機能
MARK 現在カーソルが置かれている位置に画面には表示されないマークを割り当て, 名前をつける(これをラベルという)。

マークは途中で変更しない限り,編集セッション中は有効だが, セッション終了時には保存されない。

GO TO MARK コマンドでラベルをつけた位置にカーソルを戻す。

ラベルをつけた位置が別のバッファ内に存在する場合には, 日本語EVEはカーソルを別のバッファに移動し, そのバッファを現在のウィンドウに表示する。

  1. カーソル位置をマークする -- MARK コマンドとラベル名を入力する

    ラベル名は1文字以上のプリント可能な文字で,英数字,句読点,スペース, タブ文字を使用できます。

  2. マークした位置にカーソルを戻す -- GO TO コマンドとラベル名を入力する
次の例は,MARK コマンドを使用して, カーソル位置をfirstというラベル名でマークし, GO TO コマンドを使用して,その位置にカーソルを戻す方法を示しています。

カーソルをbeeという単語のbに移動します。MARK コマンドを入力します。 Mark Name: プロンプトに対してfirstと入力します。

threeという単語のtにカーソルを移動します。

firstというラベルをつけた位置にカーソルを戻すには, GO TO コマンドを入力し, Go to: プロンプトに対してfirstとタイプし入力してください。


7.2.8 テキストの置換

REPLACE コマンドを使用すれば, 現在のバッファに登録されているあるテキスト文字列を, 別のテキスト文字列に置き換えることができます。 長いファイル全体で,特定の単語をすべて別の単語に置き換えたい場合には, この機能を使用すると便利です。

次の例では,REPLACE コマンドを使用して, eeという文字列をすべてooという文字列に置き換える方法を示しています。 カーソルをバッファの先頭に移動します。REPLACE コマンドを入力します。 検索文字列:プロンプトに対してeeと入力します。

置換文字列: プロンプトに対してooと入力します。

カーソルはtreeという単語のeeという文字列に移動します。 置き換えるかどうかを問うプロンプトに対してallと入力します。

検索文字列: - 置換前の古い文字列
置換文字列: - 置換後の新しい文字列

eeという文字列がすべてooに置き換えられます。

日本語EVEは,指定された文字列を現在の方向で検索し,必要ならば, 反対の方向も検索します。文字列が反対の方向にあるときは, 方向を変えて検索するかどうかをたずねるプロンプトを表示します。

方向を変えて検索したい場合には[Return]キーを押し, その必要がない場合は,NOと入力します。

検索文字列が見つかると,日本語EVEは文字列を高輝度表示し, 以下の選択肢を表示します。

いずれかの選択肢の最初の文字をタイプし,[Return]キーを押します。

応答 結果
Yes
(省略時設定)
文字列を置き換え, 次の発生箇所を検索する([Return]キーを押すだけでよい)
No 文字列を置き換えずに,次の発生箇所を検索する
All すべての検索文字列を置き換える (反対方向に文字列がないときはもうプロンプトは表示されない)
Last 文字列を置き換え,ここで検索を中止する
Quit 文字列を置き換えずに,ここで検索を中止する

バッファを2回以上検索する場合には, 日本語EVEは操作を継続するかどうかを質問します。

したがって,検索文字列と置換文字列が類似しているときに, 文字列を再度置換しないようにできます。操作が終了すると, 日本語EVEは置換された個数を表示します。

検索文字列

REPLACE コマンドは,検索文字列: プロンプトに対する入力文字列に大文字が含まれているときには, 大文字/小文字を区別し,正確に検索します。検索文字列がすべて小文字のときには, 大文字/小文字を区別せずに文字列を検索します。

表 7-8大文字/小文字の組み合わせによる検索文字列の範囲

置換文字列 対象となる文字列
全部小文字 全部小文字,一部大文字, 全部大文字のすべてを検索
一部大文字または
全部大文字
検索文字列: プロンプトに対する指定のとおり正確に検索

置換文字列

置換文字列: プロンプトに対する入力文字列に大文字が含まれているときは, 日本語EVEはそのとおりに文字列を置き換えます。 検索文字列も置換文字列もすべて小文字の場合には, 表 7-9の規則に従って文字列を置き換えます。

表 7-9 検索文字列,置換文字列ともすべて小文字で指定された場合の置換

対象となる文字列 置換後
1文字目が大文字 1文字目が大文字
全部大文字 全部大文字
その他のとき(全部小文字,2文字目に1つ以上の大文字を含む) 全部小文字

次の表は,日本語EVEが文字列の大文字と小文字をどのように区別するかを示しています。

検索文字列 置換文字列 対象となる文字列 置換後
butter margarine butter margarine
buTTer margarine
Butter Margarine
BUTTER MARGARINE
Butter margarine Butter margarine
butter Margarine butter Margarine
buTTer Margarine
Butter Margarine
BUTTER Margarine
Butter Margarine Butter Margarine


7.2.8.1 ワイルドカードを使用した置換

WILDCARD REPLACE コマンドを使用すると, ワイルドカードを使って検索した領域を置き換えることができます。このコマンドは, ワイルドカードを使用できるという以外は REPLACE コマンドと同様に動作します。 使用できるワイルドカードは表 7-10および 表 7-11のとおりです。

表 7-10 日本語EVEのVMS形式のワイルドカード

パターン 一致するもの
% 1行内の任意の1文字。
* 1行内の任意の量のテキスト。
** 複数行の任意の量のテキスト。
\< 行の先頭。
\> 行の最後。
\[abc] 指定した集合に含まれる任意の文字。 たとえば,\[aeiou]はすべての母音の集合である。
\[a-z] 指定した集合の領域に含まれる任意の文字。 たとえば,\[1-9]は1から9までの数字の集合である。 集合の先頭または最後のハイフン(-)はワイルドカードではなく, リテラル文字として取り扱われる。
\[~abc] 指定した集合に含まれない任意の文字。 たとえば,\[aeiou]はすべての母音を除外する。 大括弧で囲んだ集合内の1文字目以外がティルド(~)の場合には, その文字はワイルドカードではなく,リテラル文字として取り扱われる。
\[~a-z] 指定した集合の領域内に含まれてない任意の文字。 たとえば,[~1-9]は1から9までの数字を除外する。
\A 任意のアルファベット文字。
\D 任意の10進数。
\F フォーム・フィードなどの任意の書式設定文字。
\L 任意の小文字。 検索操作全体で大文字と小文字を正確に区別する。
\N 任意の英数字。
\O 任意の8進数。
\P 任意の句読点。
\S 任意の英数字とシンボル(英数字,ドル記号, プラス記号,アンダースコア)。
\U 任意の大文字。 検索操作全体で大文字と小文字を正確に区別する。
\W 任意の数字のスペース(スペース,タブ, 1つの行区切り)。
\X 任意の16進数。
\^ 任意の制御文字。
\+ ビット7がセットされた任意の文字。
\. オリジナルも含めて, 前のパターンを0回以上繰り返す。
\: オリジナルも含めて, 前のパターンを少なくとも1回繰り返す(つまり,空(null)の発生箇所とは一致しない)。 * アスタリスク
% パーセント記号
[ 左大括弧
~ ティルド
\ バックスラッシュ(または円記号)
たとえば,実際のバックスラッシュを検索する場合には,\\を使用する。 実際のパーセント記号を検索する場合には,\%を使用する。

表 7-11 日本語EVEのULTRIX形式のワイルドカード

パターン 一致するもの
. 1行内の任意の1文字。
^ 行の先頭。
$ 行の最後。
[abc] 指定した集合内の任意の文字。 たとえば,[aeiou]はすべての母音の集合である。
[a-z] 指定した集合の領域内の任意の文字。 たとえば,[1-9]は1から9までの数字の集合である。 集合の先頭または最後のハイフン(-)はワイルドカードではなく, リテラル文字として取り扱われる。
[^abc] 指定した集合内に含まれない任意の文字。 たとえば,[^aeiou]すべての母音を除外する。 大括弧で囲まれた集合内の2文字目以降のカレット(^)はワイルドカードではなく, リテラル文字として取り扱われる。
[^a-z] 指定した集合の領域内に含まれない任意の文字。 たとえば,[^1-9]は1から9までの数字を除外する。
* オリジナルも含めて,前のパターンを0回以上繰り返す。
+ オリジナルも含めて, 前のパターンを少なくとも1回繰り返す(つまり,空(null)の発生箇所とは一致しない)。
\ 次の文字の特殊な意味を取り消す。 つまり,文字をワイルドカードではなく,リテラル・テキストとして取り扱う。 . ピリオド
^ カレット
$ ドル記号
[ 左大括弧
] 右大括弧
+ プラス記号
* アスタリスク
\バックスラッシュ(または円記号)
たとえば,実際のバックスラッシュを検索する場合には,\\を使用する。 実際のドル記号を検索する場合には,\$を使用する。

ワイルドカードについての詳細は, 『日本語EVE リファレンス・マニュアル』をご覧ください。


7.3 オンライン・ヘルプの使用

日本語EVEには,オンライン・ヘルプ機能があり,作業を中断せずに, 編集コマンドに関する情報を表示できます。ヘルプ情報を表示するには, HELP コマンドを入力するか,または[HELP]キーを押します。

日本語EVEコマンドのリスト表示

日本語EVEコマンドのリストを表示するには, HELP コマンドに何も指定しないで入力します。 [Prev Screen]キーと[Next Screen]キーを使用すると, 日本語EVEトピックのリスト全体をスクロールできます。

特定のコマンドのヘルプ情報

特定のコマンドに関する情報を表示するには, HELPプロンプトの後にコマンド名を指定して入力してください。 この操作を実行すると,画面にヘルプ・テキストが表示されます。

     Command: HELP コマンド名
たとえば,MOVE BY LINE コマンドに関するヘルプ情報が必要な場合には,
     Command: HELP MOVE BY LINE
と入力します。すると,次のヘルプ・テキストが画面に表示されます(次の画面図は, 実際の画面表示とは多少異なります)。

図 7-1 オンライン・ヘルプの画面

コマンド名は,他のコマンドと区別できる範囲内であれば,省略できます。 場合によっては,コマンドの最初の単語の先頭だけを入力すればすむ場合もあります。 詳細に関しては,オンライン・ヘルプのAbbreviatingを参照してください。

EDTおよびWPSキーパッド情報

オンライン・ヘルプには,一般的な情報とコマンドに関する情報の両方があります。 たとえば,EDTキーパッド,またはWPSキーパッドを使用する場合は, HELP EDT DIFFERENCES または HELP WPS DIFFERENCES コマンドを実行すると, 日本語EVEのEDTキーパッドおよびWPSキーパッドとオリジナルのEDTおよびWPSとの違いに関するヘルプを表示できます。 省略時のキーパッドを変更するためのヘルプを表示したいときは, HELP SET KEYPAD EDT コマンド, または HELP SET KEYPAD WPS コマンドを実行します。

定義済みキーの表示

現在使用中のキーパッドの定義済みキーの図を表示するには, HELP KEYS コマンドを入力するか,[HELP]キーを押します。 この図は,省略時の編集キーと,補助キーパッド,メイン・キーパッド, [F10]〜[F14]キー(LK201キーパッド), および[GOLD]キー(第7.8.3項 "GOLDキーの定義"を参照)に対してユーザが定義したキーを表示します。

定義済みのキーの図を表示した後,ヘルプ情報が必要なキーを押せば, その編集キーに関するヘルプを表示できます。日本語EVEコマンドを割り当てたキーを押すと, 日本語EVEは,そのコマンドに関するヘルプ・テキストを表示します。


7.4 システム割り込みからの回復

日本語EVEには, システム割り込みに対する2種類のリカバリー・プロシージャがあります。 画面に表示された余分な文字を消去したり, ジャーナリング機能を使用して失われた編集セッションを回復することができます。

注意
日本語EVEのDECwindowsインターフェイスでは, バッファ・ジャーナリングのみがサポートされます。


7.4.1 画面のリフレッシュ

テキストを編集しているときに, オペレータ・メッセージなどの余分な文字がターミナルの画面に表示された場合には, REFRESH コマンドを実行することにより, 画面をリフレッシュ(再表示)することができます。 画面は1度ブランク状態になり,その後,余分な文字を除き, 他のすべての文字が再表示されます。


7.4.2 ジャーナリング機能

システム障害のために編集セッションが中断された場合, 編集していたファイルの内容をジャーナル・ファイルから回復することができます。 日本語EVEでは,次の2種類のジャーナリングがサポートされます。 通常はバッファ・ジャーナリングを使用するほうがよいでしょう。 バッファ・ジャーナリングには以下のような利点があります。 ファイルの内容を変更するつもりのないときなど, いずれのジャーナリングも使う必要のないときには,/NOJOURNAL修飾子を指定します。


7.4.3 バッファ・ジャーナリング

バッファ・ジャーナリングでは, テキスト・バッファごとにジャーナル・ファイルが作られます(ただし, システム・バッファはジャーナリングされません)。

バッファに文字を挿入したり文字を削除したりするフォーマッティングを行うと, そのバッファ上の変化がジャーナル・ファイルに記録されます。

日本語EVEを終了したりバッファを削除したりすると, ジャーナル・ファイルは削除されます。システムが落ちたときなどには, ジャーナル・ファイルは保存されますが, 中断する直前の変更は保存されないことがあります。

ジャーナル・ファイル

バッファ・ジャーナリングのジャーナル・ファイルは, 論理名XTPU$JOURNALで指定されるディレクトリに作られます。 このディレクトリの省略時の値はSYS$SCRATCHです。

ジャーナル・ファイルを別のディレクトリに作成することもできます。 たとえば,以下のコマンドは[user.journal]という名前のサブ・ディレクトリを作成し, そのサブ・ディレクトリに論理名XTPU$JOURNALを定義します。 こうすれば,ジャーナル・ファイルは[user.journal]に作成されます。

     $ CREATE/DIRECTORY [user.journal]
     $ DEFINE XTPU$JOURNAL [user.journal]
バッファ・ジャーナリングで作られるジャーナル・ファイルの名前は, 編集するファイルまたはバッファの名前をもとに生成されます。 ファイル・タイプは .XTPU$JOURNAL となります。 以下は,バッファ名とジャーナル・ファイル名の対応の例です。

テキスト・バッファ名 ジャーナル・ファイル名
JABBER.TXT JABBER_TXT.XTPU$JOURNAL
GUMBO_RECIPE.RNO GUMBO_RECIPE_RNO.XTPU$JOURNAL
MAIN MAIN.XTPU$JOURNAL
LATEST NEWS LATEST_NEWS.XTPU$JOURNAL

現在のバッファのジャーナル・ファイル名は, SHOW コマンドで知ることができます。

編集セッションの回復

編集セッションを回復するには,以下の2つの方法があります。

「JABBER.TXTというファイルを編集中にシステムが落ちた」というときの, 編集セッションの回復例を以下に示します。

【/RECOVER修飾子をつかう場合】

     $ EDIT/XTPU jabber.txt
     .
     .
     .
     *** 編集セッション中にシステム・エラー発生 ***
     .
     .
     .
     $ EDIT/XTPU jabber.txt /RECOVER
RECOVER BUFFER コマンドを使う場合】

日本語EVEのコマンド・ラインに,以下のように入力します。

     Command: RECOVER BUFFER jabber.txt
ジャーナル・ファイルが存在すると, 日本語EVEは以下のバッファに関する情報を表示して, 回復するバッファの確認を行います。

このバッファを回復するときには[Return]キーを押してください。 回復しないときにはNOと入力してください。ソース・ファイルを消したり, 名前を変えたりしたときには,回復はできません。ここで,ソース・ファイルとは, 最初に読み込んだファイルか, あるいはシステムが落ちる前に最後に書き込んだファイルのことです。

回復したいバッファと同じ名前のバッファが存在すると, 日本語EVEはそのバッファを消去してから回復操作を行います。 そのバッファが変更されているときには, 回復の前にそのバッファを消去するかどうかを聞いてきます。

バッファの名前やジャーナル・ファイルの名前がはっきりしないときには, 以下のようにファイル名の指定にアスタリスク・ワイルドカードが使えます。

     Command: RECOVER BUFFER *
そうすると,日本語EVEはジャーナル・ファイル名をすべて表示しますので, その中から1つを選んでください。 表 7-12で, バッファ・ジャーナリングのための日本語EVEコマンドを説明します。

表 7-12 バッファ・ジャーナリングのためのコマンド

コマンド 使い方
RECOVER BUFFER 指定されたバッファを, そのバッファに対応するジャーナル・ファイルを使って回復する。
RECOVER BUFFER ALL バッファに対応するジャーナル・ファイルを使ってすべてのバッファを回復する。
SET JOURNALING 指定したバッファのバッファ・ジャーナリングを開始する。
SET JOURNALING ALL すべてのバッファのバッファ・ジャーナリングを開始する。
SET NOJOURNALING 指定したバッファのバッファ・ジャーナリングを終了する。
SET NOJOURNALING ALL すべてのバッファのバッファ・ジャーナリングを終了する。

一度にすべてのバッファを回復するときには, RECOVER BUFFER ALLコマンドを使います。これは, RECOVER BUFFER コマンドをすべてのジャーナル・ファイルに対して繰り返し実行したのと同じ結果になります。 日本語EVEはバッファごとに,バッファ名,バッファの入出力ファイル, ジャーナル・ファイルの作成日時などを表示して, そのバッファを回復するかどうかを聞きます。 これに対しては,以下のいずれかで答えてください。

応答 応答の意味
YES そのバッファを回復し,ジャーナル・ファイルが存在する限り, 次のバッファを回復するかを質問します。これは省略時の応答ですので, [Return]キーだけでも代用できます。
NO そのバッファを回復しないで, 次のバッファを回復するかを質問します。
QUIT そのバッファを回復せずに,回復の操作を終了します。

ジャーナリングの終了

編集セッション中に,特定のバッファのバッファ・ジャーナリングをやめるには, SET NOJOURNALING コマンドを使います。また, すべてのバッファのバッファ・ジャーナリングをやめるには, SET NOJOURNALING ALL コマンドを使ってください。ジャーナル・ファイルには, SET NOJOURNALING [ALL] コマンドを実行する前までの内容が保存されます。

SET NOJOURNALING コマンドはジャーナル・ファイルを消去しません。 ジャーナル・ファイルを消去するには,DCLのDELETEコマンドを使ってください。 たとえば,ジャーナル・ファイルをすべて消去するには以下のようにします。

     $ DELETE XTPU$JOURNAL:*.XTPU$JOURNAL;*

セッション中のジャーナリングの開始

SET NOJOURNALING コマンドでバッファ・ジャーナリングを終了したセッションで, 再びジャーナリングを始めるには,SET JOURNALINGコマンドを使います。 たとえば,以下の日本語EVEコマンドを実行すると, JABBER.TXTという名前のバッファのジャーナリングが始まります。

     Command: SET JOURNALING jabber.txt
/NOJOURNAL修飾子を指定し日本語EVEを起動した後で, 変更を加える前にその編集セッションでのバッファ・ジャーナリングを始めるには, SET JOURNALING ALL コマンドを使います。

バッファに変更が加えられた後で, そのバッファのバッファ・ジャーナリングを始めることはできません。 日本語EVEは以下のようなメッセージを出力します。

     バッファ MEMO.TXT は正しくジャーナリングされません (WRITE してください)
この場合には, まず WRITE FILE コマンドでバッファをファイルに書き込んでから, 改めてバッファ・ジャーナリングを開始してください。


7.4.4 キー・ジャーナリング

キー・ジャーナリングでは,バッファの数に関わらず, 1つの編集セッションに対して1つのジャーナル・ファイルを作ります。 ジャーナル・ファイルは文書の変更だけでなく, コマンドを含めたすべてのキー入力を記録します。

注意
キー・ジャーナリングは, /DISPLAY=CHARACTER_CELL修飾子を用いて起動した場合(省略時設定) にのみ利用できます。

キー・ジャーナリングを行うには, /JOURNAL修飾子にジャーナル・ファイル名を指定して, 日本語EVEを起動してください。 ジャーナル・ファイルの省略時のファイル・タイプは.TJLです。 ジャーナル・ファイルは明示的に指定しない限り,現在のディレクトリに作られます。

ジャーナル・ファイルは,編集セッションを EXIT QUIT コマンドで終了したときには消去されます。 編集セッション中にシステムが落ちたときなどは, ジャーナル・ファイルは保存されます。ただし, システムが落ちる直前のキー入力は完全には保存されません。

編集セッションの回復

編集セッションを回復するには, 中断された編集セッションを起動したコマンド(修飾子やパラメータを含めて)に, /RECOVER修飾子をつけて実行します。回復が終了したら,ファイルを保存してください。

「JABBER.TXTというファイルを編集中にシステムが落ちた」というときの, 編集セッションの回復例を以下に示します。 起動時に,/JOURNAL修飾子にジャーナル・ファイル名を指定して, キー・ジャーナリングを選択しています。 ジャーナル・ファイル名は,MYJOU.TJLとします。

     $ EDIT/XTPU/JOURNAL=myjou jabber.txt
     .
     .
     .
     *** 編集セッション中にシステム・エラー発生 ***
     .
     .
     .
     $ EDIT/XTPU/JOURNAL=myjou jabber.txt/RECOVER

注意
/JOURNAL修飾子とジャーナル・ファイル名を指定しないで/RECOVER修飾子を指定すると, 日本語EVEはバッファ・ジャーナリングの RECOVER BUFFER コマンドを実行しようとします。

ジャーナル・ファイルは,現在の省略時の編集ディレクトリに保存されます。 しかし,ジャーナル・ファイルを別のディレクトリに作成することもできます。 たとえば,以下のDCLコマンドは[alexix.travels]というディレクトリに, letter.tjlというジャーナル・ファイルを作成します。
     $ EDIT/XTPU/JOURNAL=[alexis.travels]letter.tjl letter.txt
省略時とは別のディレクトリ名や, ファイル名を指定してジャーナル・ファイルを作成した場合は, そのファイルを回復するときにも, そのディレクトリ名やファイル名を使用しなければなりません。

たとえば,[alexis.travels]ディレクトリに作成したジャーナル・ファイルを使って, letter.txtファイルを回復するには,次のコマンドを入力します。

     $ EDIT/XTPU/JOURNAL=[alexis.travels]letter.tjl/RECOVER letter.txt
キー・ジャーナリングには,次に示す2つの制限事項があります。


7.5 テキストのフォーマッティング

日本語EVEは,マージン,タブ, ラッピングなどの設定によりユーザがテキストをフォーマッティングするためのコマンドを提供します。 これらのコマンドを使用すれば,行をセンタリングしたり, テキストから余分な余白を削除したり,ページ区切りを挿入できます。 表 7-13は, フォーマッティングのための日本語EVEコマンドと,その機能を示します。

表 7-13 テキスト・フォーマッティングの日本語EVEコマンド

コマンド 機能
SET LEFT MARGIN 現在のバッファの左マージンを設定する。 左マージンは0より大きくなければならず, また右マージンより小さくなければならない。 省略時の設定では,左マージンは1である。
SET RIGHT MARGIN 現在のバッファの右マージンを設定する。 右マージンは左マージンより大きくなければならない。 省略時の設定では,右マージンは画面幅より1だけ小さい値である。 省略時の右マージンは77に設定されている。
SET PARAGRAPH INDENT 新しく作成する段落, あるいはフォーマッティングする段落の字下げ数をカラムで指定する。 省略時の設定は0で,字下げされない。
SET TABS AT 指定したカラムにタブ・ストップを設定する。カラム数は小さい順に指定し, スペースで区切らなければならない。省略時には, タブ・ストップは8カラムおきに設定される。 このコマンドはターミナルのハードウェア・タブ設定には影響しない。
SET TABS EVERY 指定した間隔でタブ・ストップを設定する。省略時には, タブ・ストップは8カラムおきに設定される。 このコマンドはターミナルのハードウェア・タブ設定には影響しない。
SET TABS INSERT
(省略時設定)
[Tab]キーを押すと,現在のカラムにタブ文字が挿入されるように, タブ・モードを変更する。カーソルとテキストは次のタブ・ストップに移動する。
SET TABS SPACES [Tab]キーを押したときに, タブ文字でなく,適切な数のスペースを挿入するように,タブ・モードを変更する。 既存のタブ文字は影響を受けない。
SET TABS MOVEMENT タブ・モードを変更し,[Tab]キーがカーソル移動キーになるようにする。 [Tab]キーを押すと,カーソルは次のタブ・ストップに移動するが, タブ文字は挿入されない。
SET TABS VISIBLE タブを表示文字(小さいHT)として画面に表示する。
SET TABS INVISIBLE
(省略時設定)
タブを表示文字ではなく空白で表示するようにする。
SET WRAP (省略時設定) バッファの右マージンでのラッピングを有効にする。 [Return]キーを押したり,FILL コマンドを使用しなくても, 日本語EVEが自動的に改行する。
SET NOWRAP バッファの右マージンでのラッピングを無効にする。改行するには, [Return]キーを押すか,FILL コマンドを使用しなければならない。
UPPERCASE WORD カーソルが置かれている単語, 選択領域,および検索領域にある単語を,大文字に変更する。
LOWERCASE WORD カーソルが置かれている単語, 選択領域,および検索領域にある単語を小文字に変更する。
CAPITALIZE WORD 1つの単語, または FIND SELECT によって高輝度表示されたテキスト内の各単語の1文字目を大文字に変更する。
CENTER LINE 現在の行を右マージンと左マージンの間でセンタリングする。 カーソルは同じ文字の上に置かれるため,行とともに移動する。
FILL 現在の段落,選択領域, または検索領域の書式をバッファのマージンにしたがって変更することにより, できるだけ多くの単語を1行に挿入する。

選択領域に関する詳細については, 第7.2.4項"テキストの移動"を, 検索領域に関する詳細については, 第7.2.6項"テキストの検索"をそれぞれ参照。

FILL PARAGRAPH 現在カーソルが置かれている段落の書式をバッファのマージンにしたがって変更する。
FILL RANGE 現在の選択領域, または検索領域の書式をバッファのマージンにしたがって変更する。
INSERT PAGE BREAK 新しいページの先頭をマークするために, 現在の編集位置に改ページ(フォーム・フィード)文字を挿入する。 ページ区切りは小さいFFとして表示され,常に単独で1行を使用する。
PAGINATE 54行のページを作成するために, ソフト・ページ区切りを挿入する。 ソフト・ページ区切りは,小さいFFと小さいNLとして表示される。

PAGENATE コマンドを実行すると,日本語EVEは,前のページ区切りに戻り, 次の54行の間にページ区切りがないかどうかをチェックする。 54行以内にソフト・ページ区切りが見つかったときは, 日本語EVEはそのページ区切りを消去する。その後,54行下に移動し, そこにページ区切りを挿入し,カーソルを次の行に移動する。

ソフト・ページ区切りは単独で1行を使用する。 ハード・ページ区切りが見つかったときは, 日本語EVEはそのページ区切りの次の行で停止し, そのページ区切りを消去するかどうかを質問する。

左右マージンの設定

次の例は,日本語EVEコマンドを使用して,マージンを設定する方法を示しています。 既存のファイルであるRHYMES.DATを編集するために日本語EVEを起動します。

[Do]キーを押し,SET LEFT MARGIN 20 と入力すると, 左マージンが20に設定されます。 バッファ内にすでに表示されているテキストの位置は変更されません。

カーソルをバッファの最後に移動し, Also with thee, and meという新しいテキストを入力します。 テキストが左マージンである20カラム目に挿入されます。

左マージンを1に戻します。[Do]キーを押し,SET LEFT MARGIN 1と入力します。

このときも,バッファ内にすでに存在するテキストは変更されません。 新しいテキストを入力すると,新しい左マージンである1カラム目に挿入されます。

ここで,[Do]キーを押し,SET RIGHT MARGIN 30 と入力して, 右マージンを30に設定します。

次に示す新しいテキストをファイルに入力してください。 テキストを入力すると,右マージンである30で,テキストは自動的に改行されます。

右マージンを77に戻すには,[Do]キーを押し, SET RIGHT MARGIN 77と入力します。

FILLコマンド

次の例では,選択したテキスト領域に対して FILL コマンドを実行する方法と, 段落に対して FILL コマンドを実行する方法を示します。 RHYMES.DATという既存のファイルを使用して,左マージンを5, 右マージンを55に設定します。

次に,[Select]キーを使用してテキストの最初の3行を選択し, FILLコマンドを入力します。

日本語EVEは,選択されたテキストを左マージン5と右マージン55の間に並べます。

FILL PARAGRAPHコマンド

日本語EVEでは段落は,ブランク行,バッファの先頭または最後, ページ区切りのいずれかによって区切られていると認識します。 段落内のテキストをフォーマットしなおすには, その段落内の任意の位置にカーソルを移動し, FILL PARAGRAPH コマンドを入力してください。

下の例では,2行目のthree.の後にカーソルを置いて, FILL PARAGRAPH コマンドを実行しています。

日本語EVEは,バッファのマージン設定にしたがって(この場合は, 左マージンが5で,右マージンが55),段落に対して FILL 操作を行います。

SET PARAGRAPH INDENTコマンド

つぎに,段落の1行目を字下げしたり, ハンギングする(左側に突き出させる)方法を示します。

RHYMES.DATファイルを使って,左マージンを1,右マージンを40にセットして, FILL PARAGRAPH コマンドを実行します。

各段落の1行目を字下げする(行頭に5つのスペースを挿入する)には, [Do]キーを押して,SET PARAGRAPH INDENT 5と入力します。

これ以降,新しい段落を作成すると,日本語EVEは, 段落の1行目にスペースを5つ挿入して,字下げを行います。

SET PARAGRAPH INDENT コマンドを使用すると, ハンギング段落(見出しが左側に突き出した段落)を作成することもできます。 ハンギング段落は,リストの書式化に便利です。

RHYMES.DATファイルを使って,左マージンを5,右マージンを55にセットして, FILL PARAGRAPH コマンドを実行します。

段落の字下げ数は現在の左マージンに合わせて設定されます。 ハンギング段落を作成するときは, SET PARGRAPH INDENT コマンドで負の数を指定します。 このとき,左マージンと段落字下げの合計が少なくとも1でなければなりません。

[Do]キーを押し,SET PARGRAPH INDENT -3 と入力します。

このあと入力する段落は,すべて2カラム目から始まります。

センタリング

行をセンタリングするには,センタリングしたい行の任意の場所にカーソルを移動し, CENTER LINE コマンドを実行します。たとえば, RHYMES.DATファイルの最後の行のwordsというテキストをセンタリングするには, カーソルをwの上に移動し,[Do]キーを押して, CENTER LINEコマンドを入力します。

このコマンドは, テキスト行を現在の左マージンと右マージンの間でセンタリングします。 この例では,左マージンが5,右マージンが55に設定されています。 カーソルは行とともに移動し,行をセンタリングした後も, wという文字の上にそのまま残されます。

大文字/小文字の変更

テキストの大文字と小文字を変更したいときは, 日本語EVEコマンドのCAPITALIZEUPPERCASELOWERCASE コマンドを使用します。これらのコマンドは, 選択したテキスト領域,検索領域, および現在カーソルが置かれている単語に対して機能します。

下の例では,1行目のテキストをすべて大文字にします。 カーソルをSheという単語の最初の文字に移動し,[Select]キーを押します。 次に,カーソルを選択領域の最後に移動します。ここでは1行目の最後, つまりoneの後に移動し,UPPERCASE コマンドを入力します。

日本語EVEは,選択領域内の単語をすべて大文字に変更します。

特定の単語の大文字と小文字を変更するには,カーソルをその単語の上に移動し, [Do]キーを押して,適切なコマンド (CAPITALIZE/UPPERCASE/LOWERCASE)を入力します (単語の場合,選択領域とする必要はありません)。 日本語EVEが単語の大文字または小文字を変更した後, カーソルは次の単語に移動します。 その単語が行末にあるときは,行の最後に移動します。 カーソルが2つの単語の間にある場合は, カーソルの右側にある単語の大文字と小文字が変更され, カーソルは単語の最後に移動します。


7.6 バッファの使用

日本語EVEを起動して文章を入力している間,タイプしている文字は, "バッファ"と呼ばれるメモリに書き込まれています。 このメモリは,編集セッションの間だけ有効な,一時的な記憶領域です。 保存する必要のあるものはファイルに書き込んでください。

表 7-14は,バッファを作成,操作, 削除するために使用する日本語EVEコマンドを示しています。

表 7-14 バッファ使用の日本語EVEコマンド

コマンド 機能
BUFFER 指定したバッファを現在のウィンドウに表示し, そのバッファのもとの位置にカーソルを移動する。 指定したバッファが存在しない場合には,新しいバッファを作成する。
NEW MAINという名前の新しいバッファを作成し,現在のウィンドウに表示する。 MAINバッファがすでに存在する場合には, 日本語EVEは新しいバッファ名を要求するプロンプトを表示する。
GET FILE または
OPEN FILE
指定したファイルのテキストを読み込んだ新しいバッファ (指定したファイルが存在しない場合には,空のバッファ)を作成する。 新しいバッファを現在のウィンドウに表示し, 新しいバッファの先頭にカーソルを移動する。

編集セッションで同じファイルを再度指定した場合には,日本語EVEは, 単にそのバッファを現在のウィンドウに表示する。 編集セッションで,まったく別のファイルを同じファイル名で指定した場合には, 日本語EVEは別のバッファ名を要求するプロンプトを表示する。

OPEN SELECTED 選択または検索したファイルを表示する。 このコマンドを使えば,ファイル名をタイプせずに, GET FILE OPEN FILE コマンドと同様にファイルをオープンすることができる。
DELETE BUFFER 指定したバッファを削除する。
NEXT BUFFER 次のバッファを現在のウィンドウに表示し, カーソルをもとの編集位置に移動する。 このコマンドを使えば,バッファ名を指定せずに,バッファを切り替えることができる。
GO TO MARK コマンドによってラベルをつけた位置にカーソルを戻す。

ラベルをつけた位置が別のバッファに存在する場合には, 日本語EVEはそのバッファにカーソルを移動し, そのバッファを現在のウィンドウに表示する (編集セッションで複数のバッファを使用する方法については, 第7.6.3項"2つのバッファの編集"を参照)。

SHOW BUFFERS 編集セッションで作成したバッファのリストを表示する。 リスト内でカーソルを移動し, [Select]キーを使用して表示したい特定のバッファを指定できる。
SELECT BUFFER LISTバッファ内で,指定したファイルを選択できる。 バッファ名をタイプせずに,バッファを選択するには, SHOW BUFFERS コマンドでBUFFER LISTバッファに移動し, カーソルを選択したいバッファ名の上に置いて,SELECT コマンドを実行する。
REMOVE BUFFER LISTバッファでは, DELETE BUFFER コマンドと同じ動きをする。バッファ名をタイプせずに, バッファを削除するには, SHOW BUFFERS コマンドでBUFFER LISTバッファに移動し, カーソルを削除したいバッファ名の上に置いて,REMOVE コマンドを実行する。
WRITE FILE 編集セッションを終了せずに,現在のバッファの内容をファイルに書き込む。 バッファに対してファイル指定が設定されていない場合には, 日本語EVEは出力ファイル名を要求するプロンプトを表示する。 詳細については,ヘルプの WRITE FILE を参照。
SAVE FILE 編集セッションを終了せずに, 編集結果を保存し,現在のバッファの内容をファイルに書き込む。 機能的には,WRITE FILE コマンドとほとんど同じ。 詳細については,ヘルプの SAVE FILE を参照。
SAVE FILE AS 編集セッションを終了せずに, 編集結果を保存し,現在のバッファの内容を,指定したファイルに書き込む。 すなわち,SAVE FILE AS コマンドを実行すれば, バッファ名を変更せずに,異なる名前のファイルに編集結果を保存することができる。 ただし,その後の SAVE FILE コマンドや WRITE FILE コマンド, あるいは終了操作に対しては,そのファイル指定がバッファに割り当てられる。

出力ファイル名を指定しなかった場合には, 日本語EVEはファイル名を要求するプロンプトを表示する。 詳細については,ヘルプの SAVE FILE ASを参照。

SHOW 編集セッションで作成したバッファに関する情報を表示する。 編集セッションで複数のバッファが存在する場合には, 現在編集中のバッファに関する情報を表示する。 他のバッファに関する情報が必要な場合には,[Do]キーを押す。 編集操作を再開するには,他の任意のキーを押す。
SHOW SYSTEM BUFFERS 日本語EVEが作成したシステム・バッファ(たとえば,Messagesバッファ, Helpバッファ,Insert Hereバッファ,$RESTORE$バッファなど)のリストを表示する。 リスト内でカーソルを移動し,[Select]キーを使用して, 表示したいバッファを指定できる。
SET BUFFER 現在のバッファの編集状態(バッファを変更できるかどうかや, 日本語EVEが終了時にバッファをファイルに書き込むかどうか)を設定する。

既存のファイルを編集するときには, 日本語EVEはそのファイルの内容をバッファに読み込みます。 反転表示されているステータス・ラインには,バッファ名, 編集設定(Read-only/Write),編集モード(Insert/Overstrike), およびバッファの現在の方向(Forward/Reverse)が表示されます。

バッファ情報の表示

現在のバッファについて,より多くの情報を表示するには, SHOWコマンドを入力します。

このコマンドによって表示される情報は,次のようなものがあります。

編集セッションで複数のバッファが存在する場合は, [Do]キーを押すと次のバッファに関する情報が表示されます。

バッファの削除

バッファを削除するには,DELETE BUFFER コマンドを入力し, 削除したいバッファの名前を指定します。バッファが空の場合や, 変更されていない場合には,日本語EVEはそのバッファを削除します。 バッファが変更されている場合は,選択のためのプロンプトを表示します。

たとえば,以下のコマンドは,変更済みのバッファMYFILE.TXTを削除するものです。 バッファ名は正確に入力しなければなりません。短縮形は認められません。

以下に,選択肢のリストを示します。

キーワード(入力キー) 機能
削除( D ) 指定したバッファを削除する
書き込み( W ) 指定したバッファの内容をファイルに書き込んでから,削除する
取り消し( Q ) バッファは削除されない(省略時の選択肢)

削除するバッファがウィンドウに表示されている場合には, バッファが削除されたあと,日本語EVEは, 編集セッションで使用しているバッファのうち, もっとも古いバッファをウィンドウに表示します。

バッファ属性の変更

バッファの編集状態(バッファを変更できるかどうかや, 日本語EVEが終了時にバッファをファイルに書き込むかどうか)を変更するには, SET BUFFERコマンドを使用してください。各コマンドに1つずつ, 以下のキーワードが指定できます。

キーワード 機能
MODIFIABLE (省略時設定) バッファは変更可能。
READ_ONLY バッファは終了時に保存されない。 READ_ONLYを指定すると自動的にUNMODIFIABLEに切り替わるので, バッファは変更不可能になる。ただし,READ_ONLYを指定した後, 再度MODIFIABLEにセットすることができる。
UNMODIFIABLE バッファは変更不可能。ステータス・ラインには, InsertまたはOverstrikeのかわりにUnmodifiableが表示される。
WRITE (省略時設定) バッファが変更されていた場合は,終了時に保存される。 バッファがREAD_ONLYまたはUNMODIFIABLEになっているときに, SET BUFFER WRITE コマンドを実行すると, バッファはMODIFIABLEにセットされる。

省略時の設定では,バッファの編集状態は, MODIFIABLEおよびWRITEにセットされています。 すなわち,バッファを変更することができ, 終了時にはバッファの編集内容がファイルに書き込まれます。

変更したくないテキストが誤って変更されないようにするには, 以下のコマンドを実行してください。バッファはREAD_ONLYにセットされ, 自動的に UNMODIFIABLEになります。

     Command: SET BUFFER READ_ONLY
バッファを一時的な記憶領域(スクラッチパッド)として使用する場合には, 以下のコマンドを実行してください。 バッファは,READ_ONLYおよびMODIFIABLEになります。
     Command: SET BUFFER READ_ONLY
     Command: SET BUFFER MODIFIABLE
このようにすると,バッファは編集できますが,終了時にはファイルに保存されません。


7.6.1 バッファのリスト

編集セッションで作成したすべてのバッファのリストを表示するには, SHOW BUFFERS コマンドを入力します。 以下の例は,SHOW BUFFERS コマンドの結果を示します。

このリストはスクロールでき, 削除したいバッファや表示したいバッファを指定できます。 バッファを削除するには,カーソルをバッファ名の行に移動し, [Remove]キーを押します。

バッファを現在のウィンドウに表示するには, カーソルをバッファ名に移動し,[Select]キーを押します。

[Select]キーと[Remove]キーのこのような使い方は, バッファのリストが表示されている場合にのみ有効です。

日本語EVEが作成したバッファのリストを表示するには, SHOW SYSTEM BUFFERS コマンドを入力します。 リストはスクロールでき,カーソルをバッファ名に移動し, [Select]キーを押すことにより,表示したいバッファを指定できます。 日本語EVEはそのバッファを現在のウィンドウに表示します。


注意
システム・バッファ(Insert Hereバッファ,Messagesバッファ, $RESTORE$バッファ,および$DEFAULTSバッファなど)は削除しないでください。 これらのバッファは一部のコマンドが正しく機能するのに必要なバッファです。


7.6.2 メッセージ・バッファの内容の表示

日本語EVEはメッセージ・ウィンドウを使用します。 メッセージ・ウィンドウは画面の一番下に表示され, 編集セッション中にエラー・メッセージと情報メッセージをユーザに伝えます。 メッセージ・ウィンドウには,Messagesバッファの最後のメッセージが表示されます。

これらのメッセージは,BUFFER コマンドを使用して表示できます。 メッセージ・バッファの内容を表示するには, BUFFER MESSAGESコマンドを入力します。 それまで編集していたバッファに戻るには,適切なバッファ名を指定して, BUFFER コマンドを入力します。 以下の例は,RHYMES.DATという名前のバッファに戻るコマンドを示しています。

また,メッセージ・バッファが表示されているときに, SHOW BUFFERSコマンドを実行すれば, ユーザが作成したバッファのリストが表示され, [Select]キーを使用して適切なバッファを指定できます。


7.6.3 2つのバッファの編集

複数のファイルを編集したい場合や, テキスト・ブロックを操作するために一時的な記憶領域が必要な場合には, 編集セッション中に複数のバッファを使用できます。

新しいバッファを作成するには,次のいずれかを実行してください。

新しいバッファを作成して,既存のファイルを表示したいときは, GET FILE コマンドまたは OPEN コマンドと, 表示したいファイル名を入力します。あるいは, オープンしたいファイル名を SELECTコマンドで選択し, OPEN SELECTED コマンドを実行することもできます。

現在のウィンドウに, 指定したバッファを表示したい場合は BUFFERコマンドとバッファ名を入力します。 指定したバッファが存在しない場合には,日本語EVEは新しいバッファを作成します。

ワイルドカードの使用

ファイルの指定には,アスタリスク・ワイルドカード文字(*), およびパーセント・ワイルドカード文字(%)を使用できます。 アスタリスク・ワイルドカード文字は,任意の長さの文字列の代わりとして使えます。 パーセント・ワイルドカード文字は,1文字の代わりとして使用します。 また,ディレクトリ指定には,省略記号ワイルドカード([...])を使用できます。

指定したファイルがすでに存在する場合には, 日本語EVEはそのファイルの内容を新しいバッファに読み込み, 現在のウィンドウにそのバッファを表示します。 ワイルドカードを含むファイル指定に対応するファイルが2つ以上ある場合には, 日本語EVEは対応するファイルのリストを表示し, より完全なファイル指定を要求するプロンプトを表示します。それ以外の場合には, 日本語EVEは空のバッファを作成し,現在のウィンドウに表示します。

バッファの変更

現在のウィンドウに表示されているバッファを変更するには, BUFFERコマンドと表示したいバッファの名前を入力します。 バッファ名を忘れた場合には,SHOW BUFFERS コマンドを入力することにより, 編集セッションで有効なバッファ名を表示できます。 その後,[Select]キーを使用してバッファを指定します。

次の例では,日本語EVE編集セッションで2つのファイルを編集するために, 2つのバッファを使用する方法を示しています。この例では,RHYMES.DATファイルと SCHEDULE.DATファイルのオリジナル・バージョンが現在の省略時のディレクトリに存在するものと仮定しています。

RHYMES.DATファイルを編集するために,日本語EVEを起動します。

[Do]キーを押し,GET FILE SCHEDULE.DAT と入力すると, SCHEDULE.DATファイルの最新バージョンを格納した新しいバッファが作成され, RHYMES.DATから表示が切り替わります。

これで2つのバッファが作成されました。 ここで現在のバッファからもう1つのバッファにコピー操作を実行します。 まず,SCHEDULE.DATバッファを編集します。

カーソルをReadという単語のRの上に移動し,[Select]キーを押します。 [↓]キーを1回押すと,SCHEDULE.DATの3行目が反転表示されます。

[Remove]キーを押すと,選択した行は,Insert Hereバッファに登録されます。 SCHEDULE.DATの3行目のテキストは,次に選択したテキストを書き込むまで, Insert Hereバッファに登録されたままの状態です。 ここでRHYMES.DATの編集操作に戻るために,他のバッファに切り替えます。 [Do]キーを押し,BUFFER RHYMES.DAT と入力します。

カーソルをバッファの先頭に移動し, [Insert Here]キーを押すと,SCHEDULE.DATバッファから削除し, Insert Hereバッファに登録したテキストがRHYMES.DATバッファの先頭に挿入されます。

複数のバッファを変更した後,編集セッションを終了する場合には, 日本語EVEは現在のバッファの内容をファイルに書き込んで, 変更した他の各バッファをファイルに書き込むかどうかを質問します。


7.6.4 ファイルの読み込みと書き込み

ファイルの読み込み

ファイルを日本語EVEバッファに読み込むには,次の5つの方法があります。

ファイルの書き込み

現在のバッファの内容をファイルに書き込むには, WRITE FILE コマンドを使用します。 WRITE FILE コマンドでは,ファイルを指定できます。 ファイル名を指定しなかった場合には, 日本語EVEは入力ファイルのファイル指定を使用して, バッファの内容をファイルに書き込みます。 BUFFER コマンドを使用して現在のバッファを作成した場合には, 日本語EVEはファイル指定を要求するプロンプトを表示します。

編集セッションで WRITE FILE コマンドを使用した後, システム割り込みが発生した場合には, 編集セッションの回復に関して第7.4節 "システム割り込みからの回復"の説明を参照してください。


7.6.5 ファイル選択リスト

ファイルの読み込みを行うとき,次の操作をするとファイル選択リストが表示され, その中から読み込むファイルを選択することができるようになりました。

DIRECTORY LISTコマンドの使用

DIRECTORY LIST コマンドを使用すると, 図 7-2のようなファイル選択リストが表示されます。

図 7-2 DIRECTORY LISTコマンドのファイル選択リスト

ファイル選択リストでは, 表 7-15のキーが有効になります。

表 7-15 ファイル選択リストで使用できるキー

キー 機能
[Return]あるいは[Select]
(M1ダブルクリック)
読み込むファイルの決定,またはディレクトリの移動
[Insert Here] ファイル名の取り込み,またはディレクトリ移動
[Do] ファイル指定入力(フィルタまたはディレクトリ指定)
カーソル上下([↑],[↓])キー 選択カーソルの移動
[Shift/↑]または[Prev Screen] 前画面へスクロール
[Shift/↓]または[Next Screen] 次画面へスクロール
[Ctrl/↑] リストの先頭へ
[Ctrl/↓] リストの最後へ
[Find] ファイル名の検索
[PF1] + [Find] ファイル名の検索(Wildcard Find)
[Space]または[Ctrl/Z]
(M2クリック)
ファイル選択のキャンセル

選択カーソル(反転表示の行)を目的のファイルへ移動し, [Return]または[Select]キーを押すか,ポインタを目的のファイルへ移動し, マウスのM1をダブルクリックします。

図 7-3 FILE_NO2.TXTを選択する

図 7-3では, 現在のディレクトリにあるFILE_NO2.TXTというファイルを読み込んでいます。 図 7-4のようにファイルが読み込まれました。

図 7-4 FILE_NO2.TXTの画面

ディレクトリの移動

図 7-5 任意のディレクトリ指定

図 7-5のように, DIRECTORY LIST コマンドに任意のディレクトリを指定して, その内容を表示させることもできます(図 7-6を参照)。

図 7-6 ディレクトリ[.PROJ1]のファイル選択リスト

また,ファイル選択リストでディレクトリを選択すると, そのディレクトリの内容が表示されます。

SET DIRECTORY LISTコマンドの使用

SET DIRECTORY LIST コマンドを使用すると, GET FILE または INCLUDE FILE コマンドを入力したときに, DIRECTORY LIST コマンドを入力したときと同様なファイル選択リストが表示されます。 ファイルおよびディレクトリの選択方法は, DIRECTORY LIST コマンドと同様です。

GET FILE または INCLUDE FILE コマンドを使用するときに, 特定のディレクトリ名またはファイル名を指定すると, ディレクトリの内容または一致するファイルのみがリストに表示されます。 ファイル名の指定にはワイルドカードが使えます。

SET DIRECTORY LIST コマンドを実行してGET FILEINCLUDE FILE コマンドを使用した後で, ファイル選択リストを表示させたくないときは, SET NODIRECTORY LIST コマンドを実行してください。


7.7 ウィンドウの使用

日本語EVE編集セッションでは,編集中のバッファはウィンドウに表示されます。 ステータス・ラインはウィンドウの一番下に反転表示され,バッファの名前, 現在の編集モード,および現在の方向が示されます。

日本語EVEでは,ターミナルの画面に同時に複数のウィンドウを表示できます。 たとえば,ウィンドウを2つ使用して,同じバッファの異なる部分を表示し, 編集することができます。

表 7-16は,ウィンドウを作成し, 操作するための日本語EVEのコマンドを示しています。

表 7-16 ウィンドウ使用の日本語EVEコマンド

コマンド ウィンドウ環境での機能
NEXT WINDOW または
OTHER WINDOW
次の(またはもう1つの)ウィンドウにカーソルを移動する。
PREVIOUS WINDOW 前の(またはもう1つの)ウィンドウにカーソルを移動する。
SPLIT WINDOW カーソルが置かれているウィンドウを2つの小さいウィンドウに分割する。 このコマンドで数を指定すれば,ウィンドウを2つ以上に分割することもできる。 たとえば,SPLIT WINDOW 3 はウィンドウを3つに分割する。
TWO WINDOWS SPLIT WINDOW 2と同じ。
ONE WINDOW カーソルが置かれているウィンドウを1つの大きいウィンドウに復元する。 日本語EVEは他のすべてのウィンドウを画面上から削除する。 ただし,それらのウィンドウに表示されていたバッファが削除されるわけではない。
ENLARGE WINDOW 指定した行数だけカーソルが置かれているウィンドウを拡大する。 たとえば,ENLARGE WINDOW 5 は,現在のウィンドウを5行だけ拡大する。 それにともなって,隣接するウィンドウは縮小する。
SHRINK WINDOW 指定した行数だけ, カーソルが置かれているウィンドウを縮小する。たとえば, SHRINK WINDOW 5 は,現在のウィンドウを5行だけ縮小する。 それにともなって,隣接するウィンドウは拡大される。
DELETE WINDOW 複数のウィンドウを使用しているときに, カーソルが置かれているウィンドウを削除する。
SET WIDTH 画面の幅を設定する。画面幅は正数で指定する。 省略時には,ターミナル設定と同じ画面幅に設定されている(一般的には80カラム)。 画面幅が80カラムよりも大きく指定された場合には, 日本語EVEは現在の編集セッションで,ターミナルを132カラム・モードにセットする。

日本語EVEを終了する際に,ターミナルはもとの設定に戻る。 画面幅の設定はすべてのウィンドウに適用される。

SHIFT LEFT 指定したカラム数だけ,カーソルが置かれているウィンドウを左にシフトする。
SHIFT RIGHT 指定したカラム数だけ,カーソルが置かれているウィンドウを右にシフトする。 このコマンドを使用すると,通常は画面にあらわれない部分も表示できる。


7.7.1 複数ウィンドウによる1つのバッファの編集

同時にファイルの2つの部分を表示するには, SPLIT WINDOW コマンド(または TWO WINDOW コマンド)を使用します。 日本語EVEは画面を分割し,2つの同じウィンドウを作成します。 カーソルはバッファ内の同じ位置から移動しませんが, 下のウィンドウにだけ表示されます。 それぞれのステータス・ラインに表示されるバッファ名が同じことに注目してください。

長いファイルの2つの部分を表示すると,ファイル内のテキストを効率よく移動できます。 ファイルの1つの部分からテキストを選択し, そのテキストを削除し,別の部分に挿入できます。 カーソルを1つのウィンドウから別のウィンドウに移動するには, NEXT WINDOW コマンドを使用します。

画面から片方のウィンドウを削除し, ひとつのウィンドウを編集領域全体に拡大するには, 拡大したいウィンドウにカーソルを置いて,ONE WINDOWコマンドを入力します。


7.7.2 複数ウィンドウによる2つのバッファの編集

異なるファイルを格納した2つのバッファを,同時に表示しながら編集する場合には, 次の操作を実行します。

  1. SPLIT WINDOW コマンドを入力して,画面に2つのウィンドウを作成します。 日本語EVEは画面を分割し,2つのウィンドウを作成します。 カーソルはバッファ内の同じ位置から移動しませんが, 下のウィンドウにだけ表示されます。 各ステータス・ラインに表示されるバッファ名は同じです。

  2. GET FILE コマンド,OPEN コマンド, または OPEN SELECTED コマンドを使用して, 2番目のファイルを現在カーソルがあるウィンドウに表示します。

    編集セッションですでに作成したバッファを現在のウィンドウに表示する場合には, BUFFER コマンドと表示したいバッファを入力します。

  3. ターミナルの画面には,2つの異なるバッファが表示されます。 1つのバッファからテキストを選択し,それを削除し,他のバッファに挿入できます。 カーソルを1つのウィンドウから別のウィンドウに移動するには, NEXT WINDOW コマンドを使用します。
次の例は,2つのウィンドウを使用して2つのファイルを編集し, 1つのファイルから別のファイルにテキストを移動する方法を示しています。 まず,RHYMES.DATファイルを編集するために,日本語EVEを起動します。

次に,SPLIT WINDOW コマンドを入力します。 画面に2つのウィンドウが作成されます。

[Do]キーを押し,GET FILE SCHEDULE.DAT と入力すると, SCHEDULE.DATのテキストを格納した新しいバッファが画面の下のウィンドウに作成されます。

カーソルはまだ下のウィンドウに置かれています。 Readという単語のRにカーソルを移動してください。 [Select]キーを押し,[↓]キーを2回押します。 SCHEDULE.DATの最後の2行が反転表示されます。

[Remove]キーを押すと, 反転表示されているテキストがInsert Hereバッファに格納されます。 次に NEXT WINDOW コマンドを入力することにより, カーソルをもう1つのウィンドウに移動します。

カーソルをRHYMES.DATバッファの一番下に移動し,[Insert Here]キーを押します。 SCHEDULE.DATから削除したテキストがRHYMES.DATに挿入されます。

ONE WINDOW コマンドを入力すると, 他のすべてのウィンドウが画面から削除され, カーソルが置かれているウィンドウは画面の編集領域全体に拡大されます。

編集セッションを終了する場合には, 日本語EVEは現在のバッファの内容をファイルに書き込み, 他のバッファの内容をファイルに書き込むかどうかを質問します。


7.8 キーを定義する方法

日本語EVEコマンドを入力したり, 学習シーケンスと呼ばれる一連のキーストロークを入力するために,キーを定義できます。

日本語EVEでは,[Return]キー([Ctrl/M]),スペース・バー, およびメイン・キーボードの英字,数字,句読点などは定義できません。

さらに,次に示すキーと制御キー・シーケンスも定義しないでください (特殊なターミナル設定をしないと定義できないものもあります)。

[Break]
[Delete]または<X]
[Escape]または[Ctrl/[]
[F1]〜[F6] (VT200/VT300シリーズ)
[Help] (VT100シリーズの場合は[PF2])
[Noscroll]
[Shift]
[Ctrl/C]
[Ctrl/I]または[TAB]
[Ctrl/O]
[Ctrl/Q]
[Ctrl/R] (日本語EVEでは REMEMBER キーとして定義済み)
[Ctrl/S]
[Ctrl/T]
[Ctrl/U]
[Ctrl/X]
[Ctrl/Y]
制御キーも含めて,他のキーはすべて定義できます。 [DO]キーを別のキーに割り当てている場合には,[DO]キーも再定義できます。

SET SHIFT KEY および SET NOSHIFT KEY は古いコマンド名です。 かわりに SET GOLD KEY コマンド, および SET NOGOLD KEY コマンドを使用してください。 GOLDキーの設定に関する詳細は, 第7.8.3項"GOLDキーの定義"を参照してください。


7.8.1 日本語EVEコマンドを実行するためのキーの定義

頻繁に使用する日本語EVEコマンドをキーに定義することができます。 日本語EVEコマンドを実行するキーを定義するには,以下の方法があります。 HELPを使用しているときに,日本語EVEコマンドを割り当てたキーを押すと, 日本語EVEはそのコマンドに関するヘルプ・テキストを表示します。

編集セッションを終了すると,キー定義は無効になります。 ただし,SAVE EXTENDED EVE コマンドを使用すれば, 次の編集セッションにキー定義を保存できます。

DEFINE KEY コマンドは,日本語EVEコマンドを1つのキー, 1つのキーとGOLDキーとの組み合わせ,または制御キー・シーケンスに割り当てます。

DEFINE KEYコマンド

コマンド・ラインに, 定義するキーとコマンドを指定して DEFINE KEYコマンドを入力することもできます。 または DEFINE KEY コマンドだけを入力して[Return]キーを押せば, 日本語EVEは定義するキーやコマンドの入力をうながすプロンプトを表示します。

コマンド・ラインに DEFINE KEY コマンドを入力するときは, 以下のように指定します。

     Command: DEFINE KEY [=キー名] コマンド
最初のパラメータは,定義するキーです。 2番目のパラメータは,キーに割り当てるコマンドです。たとえば, 次の例は MOVE BY WORD コマンドをキーパッドの1というキーに割り当てます。
     Command: DEFINE KEY=KP1 MOVE BY WORD
次のコマンドは,FILL コマンドを[Ctrl/X]に割り当てます。
     Command: DEFINE KEY=CTRL/X FILL
キー名を指定する場合には,アンダースコア(_),ハイフン(-), スラッシュ(/)の3つのセパレータのうちの1つを使用します。 たとえば,[Ctrl/X]キーは以下のように表示できます。

セパレータ
アンダースコア(_) CTRL_X
ハイフン(-) CTRL-X
スラッシュ(/) CTRL/X

次の例は,DEFINE KEY コマンドを入力して, 日本語EVEがプロンプトを表示する例です。日本語EVEを起動して, DEFINE KEY コマンドを入力します。

キーに定義したい日本語EVEコマンドをタイプして,[Return]キーを押します。

日本語EVEコマンドを割り当てるキーを押します。

キーを正しく定義できた場合には, "キーが定義されました"というメッセージが表示されます。

イニシャライゼーション・ファイルの作成

日本語EVEコマンドをキーに割り当てるもう1つの方法として, イニシャライゼーション・ファイルを作成する方法もあります。 イニシャライゼーション・ファイルは,キーを定義したり, 編集セッションの特性を設定したりします。イニシャライゼーション・ファイルには, 起動時に日本語EVEが実行するコマンド,キー定義が格納されます。 イニシャライゼーション・ファイルでキーを定義するには, ファイルの中に DEFINE KEY コマンドを挿入します。 イニシャライゼーション・ファイルに関する詳細は, 第7.12節"イニシャライゼーション・ファイルの作成" とオンライン・ヘルプのInitialization Filesのトピックを参照してください。

キー定義の削除

キー定義を削除するには,UNDEFINE KEY コマンドを使用します。

日本語EVEコマンドを実行するためのキー定義の例については, 第7.8.3項"GOLDキーの定義"を参照してください。


7.8.2 学習シーケンスを入力するためのキーの定義

LEARN コマンドは, 学習シーケンスと呼ばれる一連のキーストロークを1つのキー, または制御キー・シーケンスに割り当てます。学習シーケンスを使用すれば, 1つのキーを押すだけで, 同じ一連のキーストロークをバッファに何回でも入力できます。 日本語EVE編集セッションを終了すると,学習シーケンスはすべて無効になります。 ただし,SAVE EXTENDED EVE コマンドを使用すれば, 次の編集セッションに学習シーケンスを保存できます。

学習シーケンスは,次の方法で定義します。

  1. LEARN コマンドを入力する。

  2. 記憶するキーストロークをタイプする。 すでに定義されているキーを押すこともできるし,テキストをタイプすることもできる。

  3. [Ctrl/R]を押す。プロンプトに対する応答として,学習シーケンスに 使用するキーを押す。学習シーケンスをキャンセルするときは, [Return]キー,または[Ctrl/M]を押す。
正しくキーを定義できた場合には, キーストロークが記憶されましたというメッセージが表示されます。

次の例は,[Ctrl/X]を押したときに, ファイルにテキスト文字列を挿入する学習シーケンスを定義する方法を示しています。 RHYMES.DATファイルを編集するために,日本語EVEを起動します。

まず,バッファの最後に移動します。 学習シーケンスの定義を開始するには,LEARN コマンドを入力します。

日本語EVEが記憶するテキストとして, And what is a rhyme?というテキストをファイルの最後に挿入します。

プロンプトに対して[Ctrl/R]を押します。

[Ctrl/X]を押して,このキーに学習シーケンスを割り当てます。

編集セッションのこの後の部分では,[Ctrl/X]を押すだけで, 日本語EVEはカーソルの現在の位置に, And what is a rhyme?というテキストを挿入します。


7.8.3 GOLDキーの定義

GOLDキーを作成すると,同じ編集キーに2つの定義を割り当てることができます。 1つの編集機能は,編集キーを押すことにより実行されます。もう1つの機能は, 最初にGOLDキーを押し,次に編集キーを押すことにより実行されます。

省略時の設定では,GOLDキーは各キーパッドごとに定義されています。 EVEJキーパッドおよびTAROキーパッドでは,[PF1]がGOLDキーとして定義されています。 JVMSキーパッドでは,[Ctrl/G]がGOLDキーとして定義されています。

GOLDキーを定義するには,SET GOLD KEY コマンドを入力し, GOLDキーとして使用するキーを押します。キーが正しく定義できたときには, "GOLD keyがセットされました"というメッセージが表示されます。

GOLDキーを定義した後,日本語EVEが定義しているGOLD編集キーを使用できます。 GOLD編集キーに定義された日本語EVEコマンドの図を表示するには, HELP KEYPAD コマンドを入力します。GOLD編集キーは反転表示されます。

また,GOLDキーを使用して独自のキー定義を作成することも可能です。次の例は, GOLDキーを定義し,2つのコマンドを1つのキーに割り当てる方法を示しています。 この例では,補助キーパッドの数字の4というキー([KP4])をGOLDキーとして定義し, BOTTOM コマンドを[F20]に, TOPコマンドを[GOLD/F20]に割り当てています。したがって, [F20]を単独で押すと BOTTOM コマンドが入力され, GOLDキー([KP4])を押した後,[F20]を押すと TOP コマンドが入力されます。

GOLDキーの定義

GOLDキーをセットするには,SET GOLD KEY コマンドを入力します。

補助キーパッドの数字の4というキー([KP4])を押します。

[KP4]キーが,GOLDキーとして定義されました。

DEFINE KEY コマンドを入力します。

BOTTOM と入力します。

[F20]を押します。

[F20]に BOTTOM コマンドが定義されました。

GOLDキーを使ったキー定義

つぎに, TOP コマンドを[GOLD/F20]キーに定義します。 DEFINE KEY コマンドを入力します。

TOP と入力します。

TOP コマンドのキーを割り当てるには,GOLDキー([KP4])を押し, その後,[F20]キーを押します。

[GOLD/F20]キーに TOP コマンドが定義されました。

この後の編集セッションでは,[F20]を押すと, 日本語EVEは BOTTOM コマンドを実行します。 GOLDキー([KP4])を押してから[F20]を押すと, 日本語EVEは TOP コマンドを実行します。

誤ってGOLDキーを押した場合には,[Select]キーを押すと, それを取り消すことができます。次の編集セッションまで, このキー定義を保存するには,SAVE EXTENDED EVE コマンドを使用します。

複数のGOLDキーを同時に定義することはできません。GOLDキーの定義を削除するには, SET NOGOLD KEY コマンドを入力し,定義を削除するキーを押します。 また,別のGOLDキーを定義すると,それまで定義されていたGOLDキーは削除されます。

GOLDキーを定義するためのもう1つの方法として, イニシャライゼーション・ファイルに次の形式のコマンドを挿入する方法があります。

     SET GOLD KEY keyname
たとえば,次のコマンド・ラインをイニシャライゼーション・ファイルに入れると, [PF1]キーをGOLDキーとして定義します。
     SET GOLD KEY PF1


7.9 日本語EVEでのDCLコマンドの使用

日本語EVEの内部からDCLコマンド(DCLレベルのコマンド)を実行したり, DCLコマンド・レベルと日本語EVE編集セッションを切り替えるために, サブプロセスを使用することができます。


7.9.1 DCLコマンドの実行

日本語EVEの内部からDCLコマンドを入力する場合には,[Do]キーを押し,日本語EVEの DCL というコマンドと実行したいDCLコマンド(ここでは SHOW TIME)を入力します。 "DCLサブプロセスをクリエイトしています..." というメッセージがメッセージ・バッファに表示されます。

DCLコマンドの実行後,日本語EVEは必要に応じて別のウィンドウを作成し, DCLコマンドとその出力をDCLバッファに表示します(カーソルは, DCLコマンドを実行する前のバッファにそのまま残されます)。

カーソルをDCLバッファに移動し,テキストを選択したり,削除したり, それを編集中のバッファにコピーしたりすることができます。


注意
連続した出力を生成するようなDCLコマンドや, Phoneユーティリティなどのように独自の画面管理を行うプログラムを実行するDCLコマンドは入力しないでください。

日本語EVEバッファ内にDCLコマンドの出力結果を取り込むには, 日本語EVEの DCL というコマンドを使用すると便利です。

日本語ファイル名のサポート

日本語EVE を起動した親プロセスが日本語ファイル名を使用していた場合, 日本語EVE 内で DCL コマンドを使うときにも日本語ファイル名を使用できます。

JSY$CONTROL ユーティリティを使用すれば, 親プロセスとは無関係に日本語ファイル名の有効/無効を切り替えることができます。

DCLヘルプの使用

いくつかのDCLコマンドはDCLコマンドのためのサブプロセスの制御を続けて行います。 たとえば,[Do]キーの後に DCL HELP DIRECTORY コマンドを入力すると, サブプロセスを生成し,DIRECTORYというDCLコマンドのヘルプ・テキストを表示します。

続けて,[Do]キーの後に DCL /ACL コマンドを入力すると, 日本語EVEは,DIRECTORY/ACLコマンドのDCLヘルプ・テキストを表示します。

ヘルプから抜けるには,[Do]キーを押して,DCL とタイプし, 続けて[Ctrl/V]→[Ctrl/Z]を押してください。

DCLコマンドの使い方に関する詳細については, 日本語EVEの DCL というコマンドのヘルプ・テキストを参照してください。

     Command: HELP DCL


7.9.2 サブプロセスの生成

編集セッションを終了せずに, 日本語EVE編集セッションとDCLコマンド・レベルを切り替えるには, SPAWN コマンドを使用してサブプロセスを生成します。 サブプロセスを生成すると日本語EVEは,現在の編集セッションを一時停止し, ターミナルを新しいサブプロセスに接続します。 ターミナルの画面にDCLプロンプト($)が表示されます。

注意
DECwindows環境でSPAWNコマンドおよびATTACHコマンドがサポートされるのは, 日本語EVEを/DISPLAY=CHARACTER_CELL修飾子で起動したとき(省略時の設定)に限ります。

サブプロセスの生成は,Mailユーティリティの起動や, 画面を使用するプログラムの実行などに便利です。 サブプロセスではどのOpenVMSユーティリティも起動でき, どのDCLコマンドも実行できます。

編集セッションに戻るには,DCLのLOGOUTコマンドを入力しします。これで, サブプロセスからログアウトします。日本語EVEは編集セッションを再開し, カーソルはサブプロセスを生成する前のバッファ内の位置に表示されます。

また,DCLのコマンドを SPAWN コマンドに対するパラメータとして指定すれば, 特定のサブプロセスを生成できます。

次に,サブプロセスでMailユーティリティを実行する例を示します。 SPAWN MAIL コマンドを入力してください。

MAIL>というプロンプトが画面に表示されます。MAILを終了すると, サブプロセスから自動的にログアウトされ,日本語EVEは編集セッションを再開します。

     MAIL> EXIT
DCLを使用するためにサブプロセスを生成する代わりに, 日本語EVE編集セッションのためにサブプロセスを生成し,その後, DCLコマンドとユーティリティを使用するために親のDCLプロセスにアタッチすることができます。

まず,DCLのSPAWNコマンドを使用して,サブプロセスを生成します。

     $ SPAWN
     %DCL-S-SPAWNED, プロセス PUPPY_1 が生成されました
     %DCL-S-ATTACHED, ターミナルはプロセス PUPPY_1 にアタッチされました
SPAWNコマンドはサブプロセスを生成します(SHOW PROCESSコマンドを実行すると, "username_1"と表示されます)。サブプロセスで日本語EVEを起動し, 編集セッションを開始します。
     $ EDIT/XTPU
DCLコマンド・レベルに戻る場合には,日本語EVEの ATTACH コマンドを使用し, 親プロセスに戻ります(SHOW PROCESSコマンドを実行すると, プロセスが"username"と表示します)。

編集セッションを再開するには, DCLのATTACHコマンドとサブプロセスのプロセス名("username_1")を使用して, 編集サブプロセスに再接続します。日本語EVEは編集セッションを再開し, カーソルは親プロセスに接続する前の位置に表示されます。

     $ ATTACH PUPPY_1


7.10 記号を入力する (記号変換)

DEC漢字コード表の記号を入力することができます。


7.10.1 KIGOUコマンド

KIGOU コマンドを実行すると, 画面の1番下(ステータス・ラインの下)にDEC漢字コード一覧表が1行ずつ表示されます。

図 7-8 KIGOUコマンド画面

矢印キー([↑],[↓],[→],[←])で上下左右にカーソルを移動できます。 [Return]キーを押すと,カーソルが置かれている記号を入力して, コマンドを終了します。[Select]キーを使えば, コマンドを終了せずに記号を何文字でも入力することができます。 記号を入力しないでコマンドを終了するときは[Ctrl/Z]を押してください。

記号モードを1度終了し,再度 KIGOU コマンドを実行すると, 前回終了時と同じラインが表示されます。[GOLD/↑]で一覧表の先頭に, [GOLD/↓]で最後に移動できます。


7.10.2 KIGOU BY CODEコマンド

変換したい記号のコード番号がわかっている場合には, KIGOU BY CODE コマンドが便利です。

KIGOU BY CODE コマンドを実行すると, [ ]内のコード番号が空白/入力可能になるので,ここに番号を入力すると, そのラインが表示されます。


7.10.3 記号コマンドをキー定義する方法

KIGOU コマンド,および KIGOU BY CODE コマンドを頻繁に使う場合は, コマンドをキーに定義すると便利です。 イニシャライゼーション・ファイルSYS$LOGIN:JEVE$INIT_V3.EVEに, 以下の2行を追加してください。
     DEFINE KEY=GOLD/Z KIGOU
     DEFINE KEY=GOLD/X KIGOU BY CODE
これで,[GOLD/Z]で KIGOU コマンドが実行され, [GOLD/X]で KIGOU BY CODE コマンドが実行されます。


7.11 罫線機能

日本語EVEでは,罫線機能が使えます。


7.11.1 DRAW KEISENコマンド

DRAW KEISEN コマンドを実行すると, ステータス・ラインの表示が図 7-9のようになり, カーソル位置に矢印(→)が表示されます。

図 7-9 DRAW KEISENコマンド画面

◆移動/[描線]→SELECT

[Select]キーを使用して,移動/描線を切り替えます。[移動]を選択すると, 罫線を引かずにカーソルを移動できます。[描線]を選択すると, カーソルを移動して罫線を引くことができます。

◆太[細]消→INSERT

[Insert Here]キーを使用して,罫線の種類を指定できます。 [太]を選択すると太い罫線,[細]を選択すると細い罫線,[消]を選択すると, 罫線消去モードになります。

◆箱モード→REMOVE

[Remove]キーを使用して,箱モードに切り替えます。 [Remove]キーを押すと,カーソル位置に小さい箱が表示されます。 矢印キー([↑],[↓],[→],[←])を使用して, この箱を拡大/縮小することができます。

箱モードにはいると, ステータス・ラインが図 7-10のように変わります。

図 7-10 箱モード画面

[Select]キーを押すと,箱が確定され,[移動]モードになります。 [Remove]キーを押すと,箱がリセットされ,[移動]モードになります。

マウスによる罫線作成

DECwindowsインターフェースを使用している場合には, マウスを使って罫線を引くことができます。 まず始点にポインタを移動しM1をクリックすると始点が固定されます。 そして終点にポインタを移動しM1をクリックすると始点と終点を結ぶ罫線が描かれます。 始点と終点の行またはカラムがずれている場合には箱型の罫線が描かれます。 ポインタを動かしてM1をクリックすることにより,終点を移動出来ます。 罫線を確定するためにはM1をダブルクリックします。 またM3のクリックで表示されるポップアップ・メニューによって, 移動/描線や線種の切り替えを行うこともできます。


7.11.2 罫線コマンドをキー定義する方法

DRAW KEISEN コマンドを頻繁に使う場合は, コマンドをキーに定義すると便利です。 イニシャライゼーション・ファイルSYS$LOGIN:JEVE$INIT_V3.EVEに, 以下の1行を追加してください。
     DEFINE KEY=Ctrl/D DRAW KEISEN
これで,[Ctrl/D]を押すと,罫線モードにはいれます。

罫線固定モード

罫線の枠内にあるテキストを編集しようとした場合, 挿入/削除などの操作に伴って罫線が動いてしまうと都合が悪いことがあります。 このような場合には, SET FIX KEISEN コマンドで罫線固定モードに設定することができます。

罫線固定モードに入ると罫線が固定され,罫線の削除, 罫線を含む領域のカット・アンド・ペースト, ボックス操作なども罫線を考慮した動きに変更されます。


7.12 イニシャライゼーション・ファイルの作成

会話的にキーを定義したり,編集セッションの属性を設定するかわりに, 日本語EVEコマンドとキー定義をイニシャライゼーション・ファイルに登録できます。

ファイルの実行

イニシャライゼーション・ファイルは @ コマンドを使用して, 日本語EVEを起動するときや編集セッションの途中で実行できます。 次の例を参照してください。

     Command: @SETUP_INIT

ファイルの作成

イニシャライゼーション・ファイルの各コマンドは,それぞれ別々の行に指定します。 各コマンドの内容をわかりやすく示すために,ファイルにコメント行を追加できます。 ただし,コメント行の前に感嘆符(!)を指定し,コマンドと別の行に指定してください。 イニシャライゼーション・ファイルのファイル・タイプは.EVEです。

以下にイニシャライゼーション・ファイルの例を示します。

     set tabs every 5
     set left margin 15
     set right margin 75
     overstrike mode
     define key=Ctrl/D erase word
     define key=GOLD/W start of line
     define key=KP5 fill paragraph
     !
     !Binds the EDT forward function KP4 on
     !EDT keypad to GOLD F
     !
     define key=GOLD/F EDT KP4

ファイルの指定

イニシャライゼーション・ファイルを指定するには,以下の3つの方法があります。

日本語EVEを起動すると,日本語EVEはまずセクション・ファイルを探し, 次にコマンド・ファイルを探し,最後にイニシャライゼーション・ファイルを探します。 イニシャライゼーション・ファイルはセクション・ファイルおよびコマンド・ファイルの後に実行されるため, イニシャライゼーション・ファイルの定義はセクション・ファイルやコマンド・ファイルの定義より優先 します。この理由から,編集環境を定義するコマンドはコマンド・ファイル またはイニシャライゼーション・ファイルに登録してください。

環境定義の日本語EVEコマンド

環境を定義するコマンドは次のとおりです。


7.13 $DEFAULTS$バッファの変更

日本語EVEでは,ユーザが作成した新しい各バッファは,編集モード,方向, マージン,およびタブ・ストップに関して,省略時の設定を使用します。 $DEFAULTS$というシステム・バッファには,省略時のバッファ属性が登録されています。

これらの属性は,日本語EVEの省略時設定, または起動時の編集バッファに対してセクション・ファイル,コマンド・ファイル, イニシャライゼーション・ファイルで定義したコマンド設定の属性です。 起動時のバッファはMAINバッファか, またはDCLコマンド・ラインに指定したバッファです。

たとえば,イニシャライゼーション・ファイルでマージン,タブ・ストップ, カーソルの方向,編集モードを設定した場合には,これらの設定は, $DEFAULTS$バッファに登録されます。日本語EVEは, この属性をその後でユーザが作成するすべてのバッファに対して適用します。

バッファの現在の属性を表示するには, SHOW DEFAUTLS BUFFER コマンドを入力します。 日本語EVEは,図 7-11の情報を表示します。

図 7-11 バッファの属性画面

$DEFAULTS$バッファの属性は対話的にも変更できます。その場合には, BUFFER $DEFAULTS$ コマンドを入力して$DEFAULTS$バッファに移動し, 適切な SET コマンドを入力してください。 たとえば,SET LEFT MARGIN 7 と入力します。 この結果,$DEFAULTS$バッファの左マージンは7になります。 したがって,編集セッションでこの後で作成する新しいバッファはすべて, 左マージンが7になります。


7.14 複数のコードセット・サポート

コードセットとはファイルの内容の表現方法を規定するものです。 V3以前のバージョンの日本語EVEは, DEC漢字コードセットと呼ばれるコードセットのみをサポートしていましたが, 日本語EVE V3ではDEC漢字コードセット以外のコードセットもサポートします。

コードセットが異なれば,同じ内部表現であっても解釈が異なります。 ファイルを書き出したときのコードセットと異なるコードセットを指定してファイルを読み込むと, 文字が正しく表示されないということが起こります。 ファイル自体には,コードセットを示す情報が書かれていません。 そのため,各ファイルのコードセットの管理は,それを使う人の責任になります。

V3以前のバージョンの日本語EVEで作られたファイルのコードセットは, DEC漢字コードセットです。 特に新しくサポートされるコードセットを使う必要がない場合は, DEC漢字コードセットを使うことをお勧めします。

日本語EVEの省略時のコードセットはDEC漢字コードセットです。 特に指定しない限り,日本語EVEで作られたファイルはDEC漢字コードセットになります。


7.14.1 サポートされるコードセット

日本語EVEは以下のコードセットをサポートしています。


7.14.2 DEC漢字コードセット

DEC漢字コードセットは従来からDECがサポートしてきたコードセットです。 DEC漢字コードセットは表 7-17の文字セットで構成されています。

表 7-17 DEC漢字コードセットの文字セット

文字セット
ASCIIまたはJIS X0201の下位128文字(JISローマ字)
JIS X0208 (JIS第1水準+ JIS第2水準)
DEC UDC (ユーザ定義文字)

ASCIIとJISローマ字の切り換えは論理名XTPU$GL_CHARSETで行います。


7.14.3 Super DEC漢字コードセット

Super DEC漢字コードセットは 表 7-18の文字セットで構成されています。

表 7-18 Super DEC漢字コードセットの文字セット

文字セット
ASCIIまたはJIS X0201の下位128文字(JISローマ字)
JIS X0208 (JIS第1水準+ JIS第2水準)
JIS X0212 (JIS補助漢字)
JIS X0201の上位128文字(JISカタカナ)
DEC UDC (ユーザ定義文字)

ただし,JIS X0212 (JIS補助漢字)はサポートしていません。

ASCIIとJISローマ字の切り換えは論理名XTPU$GL_CHARSETで行います。


7.14.4 ISO Latin1コードセット

ISO Latin1コードセットはISO 8859-1で定義される文字からなるコードセットです。


7.14.5 DEC MCSコードセット

DEC MCSコードセットは 表 7-19の文字セットで構成されています。

表 7-19 DEC MCSコードセットの文字セット

文字セット
ASCII
DEC補助文字


7.14.6 シフトJISコードセット

シフトJISコードセットはMS-DOS,MS-Windowsで採用されているコードセットで, 表 7-20の文字セットで構成されています。

表 7-20 シフトJISコードセットの文字セット

文字セット
JISX0201 (JISローマ字+JISカタカナ)
JIS X0208 (JIS第1水準+JIS第2水準)
外字,拡張文字等JISで定義されていない文字

ただし,最後のJIS未定義文字の入力,表示はサポートしていません。


7.14.7 ISO-2022-JPコードセット

ISO-2022-JPコードセットはRFC-1468に準拠したコードセットです。ISO- 2022-JPコードセットは表 7-21 の文字セットで構成されています。

表 7-21 ISO-2022-JPコードセットの文字セット

文字セット
ASCIIまたはJIS X0201の下位128文字(JISローマ字)
JIS X0208 (JIS第1水準+ JIS第2水準)

7.14.8 UCS-2コードセット

UCS-2コードセットは表 7-22の文字セットで構成されています。

表 7-22 UCS-2コードセットの文字セット

文字セット
ASCIIまたはJIS X0201の下位128文字(JISローマ字)
JIS X0208 (JIS第1水準+ JIS第2水準)
JIS X0212 (JIS補助漢字)
JIS X0201の上位128文字(JIS カタカナ)

ただし,JIS X0212 (JIS補助漢字)はサポートしていません。

7.14.9 UTF-8コードセット

UTF-8コードセットは表 7-23の文字セットで構成されています。

表 7-23 UTF-8コードセットの文字セット

文字セット
ASCIIまたはJIS X0201の下位128文字(JISローマ字)
JIS X0208 (JIS第1水準+ JIS第2水準)
JIS X0212 (JIS補助漢字)
JIS X0201の上位128文字(JIS カタカナ)

ただし,JIS X0212 (JIS補助漢字)はサポートしていません。

7.14.10 コードセットの選択

コードセットの選択は明示的に行わなければなりません。日本語EVEには, コードセットの選択を行うために,つぎに示す2つの方法が用意されています。

DCLコマンド修飾子によるコードセットの選択■

コマンド修飾子/CODESETでコードセットの選択ができます。 コマンド修飾子に指定できるキーワードは 表 7-24に示すとおりです。

表 7-24 /CODESET修飾子に指定できるキーワード

キーワード コードセット名
DECKANJI DEC漢字コードセット
SDECKANJI Super DEC漢字コードセット
ISO_LATIN1 ISO Latin1コードセット
DEC_MCS DEC MCSコードセット
SJIS シフトJISコードセット
ISO2022JP ISO-2022-JPコードセット
UCS2 UCS-2コードセット
UTF8 UTF-8コードセット

たとえば,Super DEC漢字コードセットを選択する場合には以下のように指定します。

     $ EDIT/XTPU/CODESET=SDECKANJI  ファイル名

論理名によるコードセットの選択■

論理名"LANG"でコードセットの選択ができます。 この論理名には表 7-25の値が指定できます。

表 7-25 論理名LANGに指定できる値(キーワード)

キーワード コードセット名
ja_JP.deckanji DEC漢字コードセット
ja_JP.sdeckanji Super DEC漢字コードセット
en_US.ISO08859-1 ISOLatin1コードセット
ja_JP.sjis シフトJISコードセット

たとえば, Super DEC漢字コードセットを選択して日本語EVEを起動する場合には以下のようにします (大文字と小文字の区別はありません)。

     $ DEFINE LANG ja_JP.sdeckanji
     $ EDIT/XTPU
論理名でDEC MCSを選択することはできません。 DEC MCSの選択はコマンド修飾子/CODESETで行ってください。


7.14.11 起動時のデフォルト・コードセット

コマンド修飾子 /CODESET と論理名 LANG のいずれによってもコードセットが指定されなかったときは, システム論理名 XPG$DEFAULT_LANG が使われます。 システム論理名も設定されていなかったときの起動時の DEC XTPUシステム・コードセットはDEC漢字コードセット(DECKANJI)になります。


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