この章では,OpenVMSデバッガの起動方法と日本語拡張機能の利用方法について説明します。
ここでは標準版デバッガの日本語拡張機能を有効にする方法を記述します。
日本語拡張機能を有効にするためにはデバッグイメージあるいはデバッガ本体を 起動する前に以下の論理名定義を行ってください。
$ DEFINE/JOB DBG$NATIONALITY JAPAN
さらに端末インタフェースで日本語入出力機能を有効にするには以下の 論理名定義を行ってください。
$ DEFINE/JOB SMGSHR JSY$SMGSHR
$ DEFINE/JOB DBG$SMGSHR JSY$SMGSHR $ DEFINE/JOB SMG$DEFAULT_CHARACTER_SET SDK
この定義により以降のデバッグセッションでは日本語拡張機能が有効となった状態で 標準版デバッガが起動されます。
DECwidnwos Motif上でデバッガを使用し,日本語を含むプログラムをデバッグする場合, 以下の方法によりデバッガのリソースファイルのフォント情報を変更する必要があります。
DECwindows Motifモードでデバッガを1度起動し,Optionsメニューの Save Optionsサブメニューを選択します。デバッガはそのまま終了させ てください。
LOGINディレクトリにVMSDEBUG.DATというファイルが生成されます。 以下の各項目の":"より後ろをそれぞれ行末まで削除してください。
DebugInstruction.Font: DebugControl.MonitorViewSecondaryFont: DebugControl.MessageViewFont: DebugControl.MonitorViewPrimaryFont: DebugSource.Font:
上記によりデバッガが使用するフォントはシステム標準のフォントとなり, 日本語が正しく表示されるようになります。なお, 上記の操作はデバッガを最初に使うときに1度行えばそれ以降行う必要はありません。 VMSDEBUG.DATを誤って消してしまった場合等はやりなおしてください。
ここでは日本語拡張機能が有効の場合にのみ使用できる機能を記述します。
COBOLおよびSTDLプログラムのデバッグ時にCOBOLの利用者語と STDLの内部識別子に対してそれぞれの言語で拡張されている 日本語利用者語および日本語内部識別子が使用できます。
日本語拡張機能を有効にした場合,文字リテラルおよびコメント中に半角カタカナ, 補助漢字を含むSuper DEC漢字のすべてを使用できます。
日本語VMS V5.5以前のデバッガでは日本語入力に独自のルーチンを用いていたため 変換キーの定義は固定で,ユーザによるカスタマイズを行うことはできませんでした。 日本語OpenVMS V6.0以降では日本語画面管理ユーティリティを用いているので, 変換ユーザ・キー定義ライブラリ(IMLIB)を使うことにより, ユーザ独自の変換キー定義を行うことができます。また, 日本語画面管理ユーティリティ,日本語入力プロセスを使った 他のアプリケーションと共通のキーを使うことが可能となります。
C言語のwchar_tデータタイプのデータのデバッグ方法について記述します。 ただし,DEC Cコンパイラはwchar_tデータタイプをtypedefにより実現しているため, ユーザがプログラム中でwchar_tデータタイプを用いても Cコンパイラが生成するデバッグ情報中ではwchar_tデータタイプとはなっていません。 そのためデバッガはwchar_tデータタイプとして認識できないため, 以下に示すように/WCHAR_T修飾子を指定する必要があります。
ファイルコードとプロセスコード間の変換はデバッガを起動したときのロケール情 報に従います。
本機能は日本語拡張機能が無効の場合も動作します。
DBG> EXAMINE /WCHAR_T[:文字数] アドレス表現
アドレス表現で表されるアドレスから文字数分の内容を wchar_tデータタイプのデータであるとみなし,ファイルコードに変換して表示します。 文字数を省略した場合は1文字を表示します。
DBG> DEPOSIT /WCHAR_T[:文字数] アドレス表現 = "文字列"
文字列を対応するプロセスコードに変換し, アドレス表現で表されるアドレスから文字数分の内容を置き換えます。 文字数を省略した場合は1文字を置き換えます。