日本語Compaq DECprint Supervisor for OpenVMS
システム・マネージャーズ・ガイド


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2.1.2.2.4 通信速度の設定

シリアル・プリンタの通信速度が省略時の値 (9600ボー)に設定されていることを確認します。これとは異なるボー・レートでプリンタを作動させる場合は,次の手続きを使用します。

プリンタがDECserver装置上にある場合,次の手順に従います。

  1. プリンタを適切なボー・レートに設定します (プリンタのインストレーション・ガイドを参照してください)。

  2. DECserverの通信速度を設定します (ターミナル・サーバのインストレーション・ガイドを参照してください)。

  3. プリンタの電源を投入します。プリンタが電源投入テスト・ページを印刷するのを待って,そのテスト・ページの内容が行った設定どおりであることを確認します。

2.1.2.3 AppleTalkプリンタ

プリンタをAppleTalkネットワークで使用する場合,AppleTalkネットワークにおけるプリンタのアドレスは,通常,プリンタのPostScriptプリンタ名になります。複数のプリンタが同じプリンタ名を持ち, AppleTalkネットワークの同じゾーンにある場合,これらのプリンタの実際のノード名は,プリンタの電源が投入された順序に依存します。同じ製品タイプのプリンタは,明示的に変更されない限り,プリンタ名が同じになります。したがって,プリンタがネットワーク上で,一意にかつ一貫して識別されるようにするには,プリンタのプリンタ名を変更する必要があります。プリンタの名前の変更は,プリンタやDOS/VマシンまたはMacintoshに付属のツールを使用して行います。

2.1.3 一般情報

2.1.3.1 対象のプリンタ

DCPSは,多くの PostScriptプリンタで使用することができます。 DECprint Supervisor ソフトウェアがサポートするプリンタのリストについては,SPDを参照してください。 SPDに記載されていないプリンタについても,サポートなしの形態でDCPSを使用できる可能性があります( 第 7.12 節 を参照してください)。

サードパーティのプリンタを使用する前に,次の手順を行います。

リーガル・サイズの用紙への印刷,または両面印刷には,基本構成より多くのメモリが必要です。最小限の必要条件については,プリンタのマニュアルを参照してください。

2.1.3.2 プリンタの時間切れの値の設定

プリンタは,指定された一定時間データを受信しないと,強制終了することがあります。できるだけ時間切れの値を0に変更して,タイムアウトしないようにしてください。

時間切れの値は,プリンタのオペレーターズ・ガイドに記載されているように,フロント・パネルによって設定できる場合もあります。

また,PostScriptオペレータsetdefaulttimeouts で時間切れの値を変更することもできます。標準ファイル, SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]LPS$SET_TIMEOUT.PS を修正して,時間切れの値を0に変更します。 DATA_TYPE=POSTSCRIPTパラメータを使用してこのファイルを印刷し,プリンタの不揮発性メモリを0に変更し,これにより,プリンタの時間切れ条件を回避します。

ファイルをPostScriptジョブとして印刷するようキューに登録するには,次のコマンドを使用します。


$ PRINT/QUEUE=queuename/PARAMETER=(DATA_TYPE=POSTSCRIPT) LPS$SET_TIMEOUT.PS

プリント・ジョブが処理されると,ページが印刷されて,時間切れの値が正しく変更されたことが示されます。

2.1.3.3 プリンタ・パスワードの変更

PostScriptプリンタには,一定の機能へのアクセスを制約するためのパスワードがあります。プリンタのパスワードは,省略時の値から変更することができます。シリアル・プリンタの場合は,現在のパスワードと新しいパスワードが入ったプリント・ジョブをキューに登録します。プリンタのパスワードを変更する方法についての詳細は,『 Digital PostScript Printers Programmer's Supplement 』を参照してください。

ScriptPrinterの省略時のパスワードは(LN03R)で,これには括弧が必要です。 DEClaserプリンタの省略時のパスワードは0 (数字のゼロ)で,括弧は付きません。プリンタのパスワードを省略時の値から変更すると,プリンタ・パスワードをANSIファイルとセパレータ・ページの PostScriptプロローグに持続的にロードする必要があるので,プリント・ジョブを印刷するのに時間がかかることがあります。

2.1.3.4 プリンタ名の設定

一部のシステム・メッセージには,プリンタ名が入っています。一意のプリンタ名を設定していない場合,これらのメッセージに,省略時のプリンタ名が表示されます。ScriptPrinterプリンタの省略時のプリンタ名はLN03Rです。DEClaserプリンタの省略時のプリンタ名は,DEClaserです。たとえば,名前を変更していないDEClaserプリンタでは,次のメッセージに省略時のプリンタ名が反映されます。


%DCPS-I-TRAYSUBST, Output will be delivered to the only tray on DEClaser 

DEClaserプリンタの名前をSNUFFYに変更すると,同じエラー・メッセージに新しい一意のプリンタ名が反映されます。


%DCPS-I-TRAYSUBST, Output will be delivered to the only tray on SNUFFY 

PrintServer以外のプリンタでは,プリンタ名がプリンタの不揮発性メモリに格納されています。プリンタ名を設定するには, SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]にあるファイル LPS$SET_PRINTER_NAME.PSのコピーを編集して,名前とパスワードを書き入れます。プリンタ名は31文字以下です。

次に,このファイルをPostScriptジョブとして印刷するようキューに登録します。


$ PRINT/QUEUE=queuename /PARAMETER=(DATA_TYPE=POSTSCRIPT) - LPS$SET_PRINTER_NAME.PS

一意の名前が必要なそれぞれのプリンタについて, LPS$SET_PRINTER_NAME.PSのコピーを編集し,キューに登録します。

2.2 DIGITAL PrintServerプリンタ

DIGITAL PrintServerプリンタはネットワーク・プリンタです。これらを DECprint Supervisor が動作している OpenVMSシステムで作動させるには, OpenVMS DECnet, Compaq TCP/IP for OpenVMS, Process Software MultiNet for OpenVMS または Process Software TCPware for OpenVMS ソフトウェアが必要です。

注意

DECprint Supervisor を開始する前に, PrintServerプリンタ上でPrintServerソフトウェアが実行されていることを確認します。

ユーザは,次の手続きにより,TCP/IPおよびDECnet経由で, DIGITAL PrintServerプリンタと通信することができます。

2.2.1 PrintServer TCP/IPネットワーク・ノードの定義

TCP/IP経由でDIGITAL PrintServerプリンタと通信を行うには,その前にプリンタにIPアドレスを割り当てる必要があります。また,アドレスに名前を関連づけることもできます。

プリンタのIPアドレスの設定についての詳細は, PrintServerのドキュメントを参照してください。 OpenVMSシステムのTCP/IP環境についての詳細は, Compaq TCP/IP Services for OpenVMS, Process Software MultiNet for OpenVMS または Process Software TCPware for OpenVMS のドキュメントを参照してください。

2.2.2 PrintServer DECnetネットワーク・ノードの定義

DECnet経由でDIGITAL PrintServerプリンタと通信を行うには,その前にプリンタに DECnetアドレスを割り当てる必要があります。また,アドレスに名前を関連づけることもできます。

プリンタのDECnetアドレスの設定についての詳細は,PrintServerのドキュメントを参照してください。

プリンタのDECnetアドレスに関連づけるには, DECnetフェーズIVソフトウェアを実行している場合にはNCPコマンドを, DECnet-Plus (以前のDECnet/OSI)を実行している場合にはDECNET_REGISTERコマンドを使用します。ノード名およびこれらのコマンドについての詳細は, OpenVMS DECnetドキュメントを参照してください。

2.2.3 PrintServerクライアント・セットアップ・ファイルの削除

既存のLPS$STARTUP.COMファイルがもしあれば,それは今後使用することはなく, DECprint Supervisor とも互換性がありません。このファイルは,DCPS$STARTUP.COMを編集した後削除します。このファイルを削除するには,次の手続きに従います。

注意

実行キューを削除する前に,ジェネリック・キューをすべて削除します。

  1. STOP/QUEUE/RESETコマンドで既存のプリント・キューを停止します。

  2. 既存のPrintServerプリント・キューを削除します。

  3. PrintServerプリンタについて,新しいプリント・キューを DCPS$STARTUP.COMに追加します。

  4. LPS$STARTUP.COMファイルにカスタマイズされた定義がある場合,変更内容を SYS$STARTUP:DCPS$STARTUP.COMにコピーします。

  5. SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COMを編集し, SYS$MANAGER:LPS$STARTUP.COMへの参照を削除します。

  6. LPS$STARTUP.COMを削除します。このファイルおよびPrintServerでの印刷に必要でなくなった他のファイルを次のコマンドファイルを使用して削除します。 SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]DCPS$DELETE-LPS-CLIENT.COM


第 3 章
プリント・キューの作成と変更

この章では,プリンティング・システムの起動およびテストについて説明します。

注意

キューを作成する前に,システム・キュー・マネージャが起動していることを確認してください。

3.1 初めてソフトウェアをインストールする場合

初めてインストレーションを行う場合は,スタートアップ・テンプレート・ファイルを使用してキューを設定するようにします。次のようにプリンタ・スタートアップ・テンプレート・ファイルをコピーしてください。


$ COPY SYS$COMMON:[SYS$STARTUP]DCPS$STARTUP.TEMPLATE - SYS$COMMON:[SYS$STARTUP]DCPS$STARTUP.COM

3.2 DECprintプリンティング・サービス・ソフトウェア (CPS) からのアップグレードの場合

CPS から DCPS にアップグレードする場合は,次のように CPS$STARTUP.COM ファイルを変換してください。

  1. 次のコマンドを実行します。


    $ @SYS$STARTUP:CPS_TO_DCPS_STARTUP.COM
    

  2. 画面に表示される次のような問い合わせに対して,たとえば次のように入力します。


    Enter filename of CPS startup file to be converted; 
    Default filename is SYS$SYSROOT:[SYS$STARTUP]CPS$STARTUP.COM 
        [default]: 
     
    disk$manager:[cps_conversion]cps$startup.com
     
    Enter filename of DCPS startup file to be created; 
    Default filename is SYS$SYSROOT:[SYS$STARTUP]DCPS$STARTUP.COM 
        [default]:
     
    disk$manager:[cps_conversion]dcps$startup.com
     
    Please read or run DIFFERENCES on the output file, 
            DISK$MANAGER:[CPS_CONVERSION]DCPS$STARTUP.COM, 
    to be sure the new file meets your needs.
     
    

コマンド・プロシージャにより, DECprint Supervisor が識別できるスタートアップ・ファイルが作成されますが,既存のキュー定義は変更されません。新しいキューを追加する必要がある場合は, 第 3.3 節 を参照してください。

DCPS には,自動データ・タイプ検出機能があります。このため,省略時のキュー設定あるいは PRINT コマンド実行時にデータ・タイプを指定する必要がありません。

ジェネリック・キューに省略時のデータ・タイプを定義している場合は, DCPS$STARTUP.COM を編集してその部分を削除してください。

3.3 実行キューの設定

各PostScriptプリンタに対して実行キューを作成しなければなりません。実行キューはジョブの処理をスケジューリングし,プリンタにプリント・ジョブの実行を要求します。実行キューは特定のプリンタに対応しています。

実行キューを作成する場合は,キュー名および省略時のパレメータ値などキューについての情報を入力します。 例 3-1 に,PrintServer プリンタの実行キューの作成例を示します。 例 3-2 に,シリアル・プリンタの実行キューの作成例を示します。これらのコマンドは,DCPS$STARTUP.COM に記述されます。

注意

実行キューを起動する前に,必要なソフトウェアを起動しておくようにシステムを構成してください。たとえば,ネットワーク・プリンタの場合は,対応する TCP/IP,LAT,DECnet,AppleTalk,PrintServer Supporting Host ソフトウェアが起動していることを確認してください。

直接 DCPS$EXECUTION_QUEUE.COM を起動していて, DCPS$STARTUP.COM に同様のコマンドを追加していない場合, OpenVMS システムをリブートするといくつかの DCPS キューが動作しない可能性があります。

例 3-1 PrintServer プリンタの実行キュー・エントリの作成

$ @SYS$STARTUP:DCPS$EXECUTION_QUEUE - 
LPS20$BULL09 -    ! P1 - Execution queue name 
"DECNET/BULL09" - ! P2 - Device name (PrintServer DECnet node name)  
DCPS_LIB -        ! P3 - Logical name for your library search list  
"SIDES=2" -       ! P4 - Defines a default queue parameter 
"" -              ! P5 - Value to override/add to default qualifiers 
"" -              ! P6 - Communication speed 
"" -              ! P7 - Set device qualifier 
""                ! P8 - Verify on/off 

例 3-2 シリアル・プリンタの実行キュー・エントリの作成

$ @SYS$STARTUP:DCPS$EXECUTION_QUEUE - 
2UP -             ! P1 - Execution queue name 
"SERIAL/TTB4" -   ! P2 - Device name   
DCPS_LIB -        ! P3 - Logical name for your library search list  
"NUMBER_UP=2" -   ! P4 - Defines a default queue parameter 
"/DEFAULT=(FLAG,FORM=MYFORM,NOFEED)" - 
                  ! P5 - Value to override or add to default qualifiers 
"" -              ! P6 - Communication speed 
"/SPOOL=(2UP,DISK1$:)" - 
                  ! P7 - Set device qualifier 
""                ! P8 - Verify on/off 

以降の各項では,DCPS$EXECUTION_QUEUE.COM に記述する情報の各項目について説明します。

3.3.1 実行キューの名前の指定 (P1)

キュー名は1〜31文字の長さであり,使用できる文字は英字の大文字と小文字,数字,ドル記号 ($),およびアンダースコア (_) です。キュー名では少なくとも 1 文字の英字を使用しなければならず,スペースを使用することはできません。

3.3.2 プリンタ装置名の指定 (P2)

プリンタ装置名には,プリンタにアクセスするために使用する接続方法および装置,ならびにその装置が存在する VMScluster メンバ・ノードを指定します。

次の形式で装置名を指定します。


node::"interconnect/interconnect_specific_device_address"

各接続形態の指定方法については次の各項を参照してください。

プリンタの接続形態 参照項
IP_RAWTCP 第 3.3.2.1 項
シリアル 第 3.3.2.2 項
IP_CPAP 第 3.3.2.3 項
DECnet 第 3.3.2.4 項
AppleTalk 第 3.3.2.5 項

3.3.2.1 TCP/IP ネットワークに接続し raw TCP/IP ソケットを使用しているプリンタの場合

次の形式で装置情報を入力してください。


"IP_RAWTCP/address:port" 

address は,名前表記あるいは数値表記による NIC,プリント・サーバ,ターミナル・サーバの IP アドレスです。

port は,ネットワーク装置の raw TCP ポート番号です。使用するポート番号については, NIC,プリント・サーバ,ターミナル・サーバの IP アドレスのドキュメントを参照してください。 表 3-1 に,よく使用されるいくつかの装置に対するポート番号を示します。

表 3-1 raw TCP/IP ポート番号
20nn DECserver ターミナル・サーバ,"nn"は物理ポート番号
2501 DIGITAL LN17ps および DIGITAL Laser Printer LN17+ps
  Emulex NICs
3001 DIGITAL Laser Printer LN15 および LN15+
  DIGITAL RapidPrint 500 プリント・サーバ
6869 DIGITAL Laser Printer LN20, LN40 および LNC02
9100 Compaq Laser Printer LN16, LN32 および LNM40
  GENICOM LN および microLaser プリンタ
  GENICOM RapidPrint MPS100 プリント・サーバ
  Hewlett-Packard LaserJet プリンタ
  Lexmark Optra プリンタ
  Tektronix Phaser プリンタ
  Xerox DocuPrint N プリンタ
  Hewlett-Packard JetDirect,XCD,および Lexmark NIC

たとえば raw TCP/IP プリンタについては,次のいずれかで指定することができます。


"IP_RAWTCP/ln17ps.my.org:2501" 
"IP_RAWTCP/8.9.10.11:2501" 

注意

プリンタに間違ったポート番号を指定した場合, DCPS はそのプリンタと通信することができません。しかし,プリンタのビジー状態あるいはオフライン状態などとの区別ができないため,ポート番号が間違っていることは通知されません。


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