日本語Compaq DECprint Supervisor for OpenVMS
システム・マネージャーズ・ガイド


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3.4.4 シンビオント・プロセスのワーキング・セットの削除

DCPS シンビオントがアイドル状態のまま一定の時間が経過すると,システム・リソースを節約するためにそのワーキング・セットを削除します。この遅延時間は,多くの作業要求がある場合にシステムがプログラムを物理メモリに保持したままでいることを避けるためです。

省略時の設定では, DCPS は 10 分間のアイドル状態の後にそのワーキング・セットを削除します。必要に応じてシステム全体で有効な論理名を定義することで,この値を増やすことができます。


$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DCPS$PURGE_TIME "0 hh:mm:ss.00"

ここで hh:mm:ss.00 は,必要な遅延時間を指定する OpenVMS のデルタ時間です。この値が省略時の値である 10 秒よりも小さい場合は,省略時の値が使用されます。

3.4.5 OPCOM メッセージの "User Name Not Found" の制限

DCPS がクラスタ環境で動作していて,クラスタ・メンバ間で UAF ファイルが異なる場合,次のような OPCOM メッセージが表示されますが,ジョブは正常に出力されます。


%%%%%%%%%%%  OPCOM   1- MAR-  2001    18:43:55.87  %%%%%%%%%%% 
Message from user SYSTEM on LITERA 
Queue SHARIE: %DCPS-W-USERNOTFOUND, user name FOO not found, 
  no log files created 
-RMS-E-RNF, record not found 

ユーザ名を見つけることができないため,シンビオントは MESSAGES=KEEPあるいは MESSAGES=PRINTパラメータ要求を実行することができません。

すべてのジョブについて,この OPCOM メッセージが表示されないようにするには,次の論理名を定義します。


$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DCPS$queuename_IGNORE_UNKNOWN_USER 1

3.4.6 A4 ランドスケープでの古い ANSI トランスレータのページ・サイズの使用

DCPS V1.1A よりも前のすべての ANSI トランスレータのバージョンでは, A4 用紙にランドスケープ・モードで 66 行のテキストを出力する場合に問題があります。特定のプリンタでは,A4 用紙を使用した場合,印字領域が平均よりも若干小さいため, PAGE_SIZE=A4,PAGE_ORIENTATION=LANDSCAPEというプリント修飾子を使用すると, 66 行目が消失するか途中で切れてしまいます。

現在 ANSI トランスレータは, A4 用紙にランドスケープ・モードで 66 行のテキストを正しく出力することができます。この修正には,使用されているフォントの行間のスペースの変更 (SGR 15), A4 用紙での最大印字領域の訂正が含まれます。

古いトランスレータの動作に依存したあらかじめ用意されたフォームを使用している場合は,次の DCPS 論理名を定義することにより以前の動作に戻すことができます。


$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DCPS$queuename_OLD_ANSI_PAGE_SIZES 1

3.5 ジェネリック・キューの設定

ジェネリック・キューは特定のプリンタに対応付けられたものではなく,実行キューに対応しているものです。ジェネリック・キューを複数の実行キューに対応付けておくと,プリント・ジョブを複数のキューに分散することができます。また,特定の DECprint Supervisor 機能をプリント・ジョブに対応させるためにジェネリック・キューを使用することもできます。ジェネリック・キューは省略可能です。

例 3-3 に,レイアップ定義ファイルを使用した出力用のジェネリック・キューの設定方法を示しています。このジェネリック・キューは,2 つの ScriptPrinter の実行キューのいずれかにプリント・ジョブを送信します。

例 3-3 ジェネリック・キューの設定

$ @SYS$STARTUP:DCPS$GENERIC_QUEUE - 
DRAFT_DOCS -              ! P1 - Generic queue name 
"LN03R_TTB4,LN03R_TTB7" - ! P2 - Execution queue names   
"LAYUP=LPS$SINGLEHOLES"   ! P3 - Default queue parameters 
"" -                      ! P4 - Default queue qualifiers 
""                        ! P5 - Verify on/off 

表 3-2 ジェネリック・キューのパラメータ値
パラメータ
P1 (必須) ジェネリック・キュー名です。

例 3-3 では, DRAFT_DOCS がプリント・ジョブを送信するジェネリック・キューです。

P2 (必須) ジェネリック・キューがジョブを送信する実行キュー名です。各ジェネリック・キューの定義について,少なくとも 1 つの実行キューを指定しなければなりません。

例 3-3 では,ジェネリック・キューはプリント・ジョブを LN03R_TTB4 および LN03R_TTB7 という 2 つの実行キューに送信します。

P3 (省略可能) 省略時の PRINT 修飾子です。

例 3-3 では, LAYUP=LPS$SINGLEHOLES がジェネリック・キューの省略時のレイアップ定義を提供します。

P4 (省略可能) INITIALIZE/QUEUE 修飾子の指定です。
P5 (省略可能) SET VERIFY コマンドの設定です。省略時の設定は SET NOVERIFY です。

3.6 キュー定義の変更の有効化

DCPS$STARTUP.COM ファイルを作成または変更した場合,新しいキュー定義を使用するために DECprint Supervisor に加えた変更を有効としなければなりません。変更結果を有効とするには,システムを停止させた後に再起動するか,または次の方法で DCPS$STARTUP.COM ファイルを実行してください。

  1. 変更したプリント・キューを停止させます。修飾子を加えたキューがマルチストリーム・シンビオント上で起動されている場合は,同一のシンビオントを使用しているすべてのキューを停止させます ( 第 3.4.1.2 項 を参照してください)。各プリント・キューに対して次のコマンドを実行して,キューを停止させます。


    $ STOP/QUEUE/NEXT queuename
    

  2. システム・スタートアップ・ファイル SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM を編集して,DCPS$STARTUP.COM を起動するコマンドを記入します。
    システム・スタートアップ・ファイル内に次のコマンドが含まれていることを確認します。


    $ @SYS$STARTUP:DCPS$STARTUP 
    


    システム・スタートアップ・ファイル内に上記のコマンドが含まれていない場合は,次のガイドラインに従ってこのコマンドを追加してください。

  3. プリンタ・スタートアップ・コマンド・ファイルを実行します。


    $ @SYS$STARTUP:DCPS$STARTUP.COM
    

キューが VMScluster システム上にある場合は,上記のコマンドをクラスタ内のすべてのノードから実行しなければなりません。

プリンタ・スタートアップ・コマンド・ファイルによってプリント・キューが起動されます。新しいキュー定義をテストする場合は, 第 3.7 節 を参照してください。

3.7 プリンティング・システムのテスト

注意

IVP ( @SYS$TEST:DCPS$IVP) を実行しても,プリンタには影響を与えません。

SYS$COMMON:[SYSTEST.DCPS] にある IVP ファイルを出力することで,プリンティング・システムをテストすることができます。 IVP ファイルは,DCPS がサポートするデータ・タイプに対応しています。 表 3-3 に IVP ファイルの一覧を示します。

表 3-3 異なるデータ・タイプに対応した IVP ファイル
ファイル名 ファイル・タイプ
DCPS$IVP_ANSI.DAT ASCII ファイル
DCPS$IVP_LIST.DAT 単純な ASCII
DCPS$IVP_PCL.DAT PCL Level 4 ファイル
DCPS$IVP_POST.DAT PostScript ファイル
DCPS$IVP_PROPRINTER.DAT Proprinter ファイル
DCPS$IVP_REGIS.DAT ReGIS ファイル
DCPS$IVP_TEK4014.DAT Tektronix 4010/4014 ファイル

DCPSはファイルのデータ・タイプを自動的に検出することができます。コマンド行にデータ・タイプを指定する必要がなくなります。たとえば,次の PRINT コマンドを実行することができます。


$ PRINT/QUEUE=queuename/NOTIFY DCPS$IVP_data-type.DAT

プリント・キューが特定のデータ・タイプに対応している場合,あるいは LIST データ・タイプをテストしている場合は,ファイルのデータ・タイプを指定してください。

たとえば DCPS$IVP_POST.DAT を出力する場合は,次の PRINT コマンドを使用します。


    $ PRINT/QUEUE=queuename -       
       /PARAMETERS=DATA_TYPE=POSTSCRIPT/NOTIFY -       
       SYS$COMMON:[SYSTEST.DCPS]DCPS$IVP_POST.DAT


第 4 章
自動的なデータ・タイプの検出

DECprint Supervisor ソフトウェアは印刷するファイルのデータ・タイプを自動的に検出できます。この章では,データ・タイプを自動的に検出するようにプリンティング・システムを設定する方法について説明します。

4.1 DCPS による自動的なデータ・タイプの検出方法

データ・タイプを指定しないでプリント・ジョブをキューに登録し,プリント・キューに省略時のデータ・タイプが割り当てられていない場合, DCPS はプリント・ジョブの各ファイルを調べ,ファイルの内容またはファイル名のファイル・タイプからファイルのデータ・タイプを判断します。

DECprint Supervisor ソフトウェアがこれらの方法によってファイルのデータ・タイプを判断できない場合には,そのファイルはテキスト・ファイルとして印刷されます。 DECprint Supervisor ソフトウェアのインストレーションによってシステムに設定される,省略時のテキスト・ファイルのデータ・タイプは ANSI です。

さらに,ファイルがテキスト・ファイルとして印刷される場合には, DECprint Supervisor ソフトウェアはテキストの後のPostScriptデータを検出できます。したがって,テキストの後にPostScriptデータが続くファイルを正しく印刷できます。

ファイルのデータ・タイプを判断する処理は,プリント・ジョブ内の各ファイルに対して繰り返されます。したがって,1つのプリント・ジョブに異なるファイル・タイプを含むことができます。

4.2 データ・タイプの自動検出の設定方法

DECprint Supervisor ソフトウェアが印刷するファイルのデータ・タイプを判断する方法は,システム管理者が制御できます。次のことを指定できます。

必要に応じて,省略時のデータ・タイプを定義したジェネリック・キューを作成し,このキューに登録される各ファイルがこのデータ・タイプであると指定することもできます。キューの省略時のデータ・タイプを変更できるのは,ユーザが PRINT コマンドに指定するパラメータだけです。

4.2.1 ファイル拡張子とデータ・タイプの対応付け

DECprint Supervisor ソフトウェアでは,データ・タイプとファイル拡張子の対応関係を定義するために,データ・ファイルを使用します。システムのファイル拡張子とそれに対応するデータ・タイプを登録したローカル・データ・ファイルを作成することができます。

  1. システム固有のデータ・ファイルを使用しない場合には,ソフトウェアで提供されているサンプル・ファイルを使用してください。次のコマンドを使用して,ファイル拡張子を変更してコピーします。


    $ COPY
    _From: SYS$LIBRARY:DCPS$FILE_EXTENSION_DATA_TYPE.DAT_DEFAULT
     
    _To: SYS$COMMON:[SYSLIB]DCPS$FILE_EXTENSION_DATA_TYPE.DAT
    


    .DAT ファイルが可変長形式あるいはストリーム形式でない場合,キューの起動時に DCPS がそのファイルを読み込むことができません。 OPCOM がエラーを通知し,そのシンビオント・プロセスは終了します。 .DAT ファイルを正しい形式で保存し, DCPS$STARTUP.COM ファイルを使用してプリンティング・システムを再起動しなければなりません。

  2. このファイルを編集します。ファイルには,データ・タイプ名とそれに対応するファイル拡張子をリストして記述します。次の例を参照してください。


    POSTSCRIPT: 
            EPS 
            EPSF 
            POST 
            PS 
            ; 
    


    この例では,.EPS,.EPSF,.POST,.PSというファイル拡張子のファイルが PostScriptファイルとして処理されることを指定しています。
    システム固有のファイル拡張子を追加したり,すでに定義されているファイル拡張子をローカルな意味に変更することも可能です。
    AUTOMATICを除き,正しい値であれば,DATA_TYPEの値としてどの値も指定できます。データ・タイプ名を短く省略することはできません。指定できるデータ・タイプ名は次のとおりです。

    ANSI
    ASCII
    DDIF
    LIST
    PCL
    POSTSCRIPT
    PROPRINTER
    REGIS
    TEK4014

4.2.2 システムおよびキューの省略時のテキスト・データ・タイプの指定

システム全体で有効な省略時のテキスト・データ・タイプと,キュー固有の省略時のテキスト・データ・タイプを指定することができます。 DCPS がファイルのデータ・タイプを判断できない場合には,そのファイルはユーザが指定した省略時のテキスト・データ・タイプとして処理されます。

システムの省略時のテキスト・データ・タイプは ANSI です。通常 ANSI ファイルではなく,PCL,Proprinter テキスト・ファイルを印刷している場合は,この省略時の設定を ANSI から PCL,Proprinter のいずれかに変更しなければなりません。

省略時のテキスト・データ・タイプを定義するには,次の論理名のどちらか一方または両方を定義します。

text-data-typeに対して指定できる値と,省略時のテキスト・データ・タイプの対応は次のとおりです。

データ・タイプ名を短く省略することはできません。

システム全体で有効なデータ・タイプがキュー固有のデータ・タイプと異なる場合は,キュー固有のテキスト・データ・タイプが優先されます。

特定のキューをPATHWORKSクライアントが使用する場合には,キュー固有の論理名を設定しておくと便利です。たとえば,PC から印刷されるテキスト・ファイルが PCL ファイルであるとします。次の例では,PATHWORKSという名前のキューに対して省略時のテキスト・データ・タイプとしてPCLを設定する方法を示しています。


$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DCPS$PATHWORKS_DEFAULT_TRANSLATOR PCL

DECprint Supervisor ソフトウェアは,PATHWORKSキューに送信された各ファイルごとにファイルのデータ・タイプを判断しようとします。ファイル・データ・タイプを判断できない場合には,そのファイルはPCLファイルとして処理されます。ファイルにPCLテキストとPostScriptデータが登録されている場合でも,そのファイルは正しく印刷されます。


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