日本語Compaq DECprint Supervisor (DCPS) for OpenVMS
リリース・ノート


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21.5.9 イベント・フラグ不足

ある状況下では,DCPS V1.1は次のメッセージを表示して終了します。


%DCPS-F-UNSEF, insufficient event flags 

この問題は LAT 接続のプリンタに複数のホストが同時に接続しようとしたときに発生します。この問題は本バージョンで解決しました。

21.5.10 ネットワーク接続が切れ, PrintServer 上でジョブが pending のときハング

DCPSプリント・キューは次に示すすべての条件がそろったときハングします (シンビオント・プロセスは終了しません)。

復帰するには,ジョブを削除( DELETE/ENTRY )するか,キューを停止( STOP/QUEUE/RESET )します。

21.5.11 PCLトランスレータでの両面印刷

本バージョンのPCLトランスレータは,ファイルが両面印刷のエスケープ・シーケンスを含んでいる場合でも, PostScript レベル 2 プリンタで正しく印刷される PostScript コードを生成します。

21.5.12 リモート・コンソールからアボートされたジョブ

日本語 DECprint Supervisor V1.1 で PrintServer プリンタへジョブを出力し,リモート・コンソールからアボートした場合,ジョブは再びキューイングされました。日本語 DECprint Supervisor V1.2 ではこの問題は解決され,ジョブは削除されます。

21.5.13 装置制御モジュール・キャッシュ問題の修正

日本語 DECprint Supervisor V1.1 では,複数の装置制御モジュールが存在し,かつ DCPS$DEVCTL.TLB がライブラリ検索リストの先頭になく,さらにキャッシュがイネーブルの場合,シンビオントはエラーを出力します。エラー・メッセージには,要求された装置制御モジュールが見つからず,キューを停止したと出力されます。この問題は日本語 DECprint Supervisor V1.2 で解決されました。

21.5.14 DCPS$EXECUTION_QUEUE.COM でのP2の問題の修正

日本語 DECprint Supervisor V1.1 より DCPS$EXECUTION_QUEUE.COM に指定するデバイス名としての P2 は,31文字を越えた場合論理名になります。日本語 DECprint Supervisor V1.2 ではデバイス名は 39文字までは論理名として扱われません。これは /ON 修飾子に指定できるの最大サイズです。

21.6 その他の変更

日本語 DECprint Supervisor V1.2 はこの他に次のような変更が加えられています。

21.7 制限事項

以下の節では,日本語 DECprint Supervisor V1.2 の制限事項を記述します。

21.7.1 AppleTalkネットワーク・ソフトウェアを起動していない場合のエラー

AppleTalk ネットワーク・ソフトウェアが起動するまえに, AppleTalk 接続を使ったキューをスタートさせると,キューがスタートすることがありますが正しく機能しません。これは DCPSがマルチストリーム・シンビオントとして稼動しており,かつ同じプロセスでもう1つのプリント・キューが稼動している場合に起ります。 AppleTalk を使用する最初のプリント・キューは次のエラーで停止し,キューはスタートしません。


%DCPS-W-ATK_FOR_VMS,  Error connecting to AppleTalk for VMS driver 

ただし,さらに別のキューが AppleTalk 接続を使って同じプロセスでスタートしていた場合,エラーは報告されません。これらのキューはスタートしますが,ジョブは "Starting" 状態でキューに止まったままになります。この問題を防止するために,DCPS プリント・キューを起動するまえに AppleTalk ネットワーク・ソフトウェアを起動しておきます。 

21.7.2 直結プリンタ

日本語 DECprint Supervisor V1.1 より,キューのスタート時に実行される機能は,接続形態に関わらず同一のものになるように変更されました。特にキューのスタート時にはプリンタへの接続は行われなくなりました。これはキューがスタートしない可能性を最小限にするためです。システムがブート中にキューがスタートした場合,エラーや遅延が起こってはならないため,このことは特に重要です。この変更は,主にシステムに直接接続されたプリンタの場合に影響があります (TTAn または TXAn装置)。従来のDCPSのバージョンではキューの起動時に直接接続のプリンタに接続を試み,プリンタの電源が入っているか確認することができました。現在ではプリンタと接続の状態はジョブが印刷されるまでわかりません。

21.7.3 プリンタ名が正しく印刷されない場合

PostScript の printername の値にマルチナショナル文字が含まれている場合,セパレータ・ページの底部に印刷されるプリンタ名は誤った文字セットで表示されます。

21.7.4 ページ・サイズ名とDCPS用語

次の表は業界標準のページサイズ/用紙サイズの名称と,DCPSで使用される用語との対応関係です。業界標準の名称を PRINT コマンドで指定することもできますが,トレーラ・ページには DCPS の用語で指定された用紙サイズの名称が印刷されます。


業界標準        DCPS用語 
 
Com10           Business_envelope 
Monarch         7_envelope 
Statement       Halfletter 

21.7.5 A4用紙にランドスケープ・モードで印刷する場合

日本語 DECprint Supervisor V1.2 以前のANSIトランスレータは A4用紙へのランドスケープ・モードで66行出力する場合に問題がありました。サポートされているプリンタのなかには A4用紙への印刷可能領域が平均的な印刷領域より少し狭くなっているものがあります。これらのプリンタでは,66行目の内容が失われてしまうか,切れてしまいました。これはプリント・パラメータが PAGE_SIZE=A4, PAGE_ORIENTATION=LANDSCAPE のときに発生します。

日本語 DECprint Supervisor V1.2 に添付される ANSIトランスレータは A4用紙へのランドスケープ・モードでの印刷で66行目も正しく出力できます。これを行うために ANSI トランスレータは使用するフォント(SGR 15)の縦方向のスペーシングを変更し,A4用紙の最大印刷可能領域の値を修正しました。従来のトランスレータの出力結果の方を使いたい場合,DCPSキュー論理名を次の例のように定義します。


$ DEFINE/SYSTEM  DCPS$<queue-name>_OLD_ANSI_PAGE_SIZES TRUE 

なお,漢字 ANSI トランスレータでは,この修正は行なわれていません。もし,漢字トランスレータ使用時に,66行目が正常に印刷されない場合は, FULL_A4_LANDSCAPE のレイアップ定義ファイルを使用して印刷してください。

21.7.6 OKI MICROLINE 802 PSIIシリーズでの制限事項

  1. サポートされない用紙サイズ
    B4 DIN,B5 DIN,C4 はサポートされません。

  2. EtherTalk ボード・オプションの使用
    オプションの EtherTalk ボードによる,DCPSからAppleTalk経由の印刷はできません。

  3. 一部のアプリケーションで文字の部分が正しく出力されない事があります。この問題を避けるためにキューの設定を行う時,/SETUP修飾子に DCPS$SETUP_OKI装置制御モジュールを指定してください。オプションのハードディスクを使用する場合でも DCPS$USERSTART.PSファイルは使用せず,キューの設定によって回避してください。プリンタが起動しなくなる恐れがあります。


第 22 章
バージョン1.1の情報

22.1 新しい機能

この章では,日本語 DECprint Supervisor V1.1 for OpenVMS (以下,DCPS V1.1)の新機能や制限事項について記述しますが,これらの内容は V1.2 および V1.3/1.3A にもあてはまります。

22.1.1 新しい相互接続と新しいデバイス指定文法

本バージョンから,AppleTalk経由でのデスクトップ・プリンタへの印刷と, TCP/IPを使用した弊社のPrintServerプリンタへの印刷のサポートが追加されました。

注意

デバイスを指定する構文では,デバイスの名前が39文字を越えてもかまいません。 39文字以上のデバイス名は, /ON修飾子の値に対して DCPS$として表示されます。

実際のデバイス名は,以下の形式で論理名に格納されます。


DCPS$<queue-name>_DEVICE_NAME 

22.1.2 新しい論理名 DCPS$<queue-name>_IGNORE_UNKNOWN_USER

クラスタの環境で DCPSを使用していて,UAFファイルが各クラスタのメンバ間で異なっているとき,以下のような OPCOMメッセージが出力されて,印刷は正常に終了することがあります。


%%%%%%%%%%%  OPCOM   1-JAN-1994 18:43:55.87  %%%%%%%%%%% 
Message from user SYSTEM on LITERA 
Queue SHARIE: %DCPS-W-USERNOTFOUND, user name FOO not found, no log files created 
-RMS-E-RNF, record not found 

しかし,ユーザ名が見つからないため,シンビオントは, messages=keep や messages=print の要求を処理することができません。

この OPCOMメッセージを保存するには, DCPS$<queue-name>_IGNORE_UNKNOWN_USER の論理名を TRUE にしてください。

22.1.3 ANSI プロローグ・ファイル

新しいANSIプロローグ・ファイルが,新しいANSIトランスレータの一部として含まれており,別々のファイルとしても使用可能です。ファイルは, SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]LPS_ANSI_PROLOGUE.PS にあります。このプロローグは,従来のANSIトランスレータと互換性があります。

PostScript プリンタは,1つのバージョンのANSIプロローグしか持つことができません。パフォーマンスの問題を最小限にとどめるために,DCPS V1.1 ソフトウェアをインストールした後,PrintServerでないプリンタは電源を入れ直し, DCPS ソフトウェアが新しいプロローグをロードするようにさせます。

PrintServerプリンタの場合は,サポーティング・ホスト・システムのANSIトランスレータ・プロローグをアップデートするために,次のコマンドを入力します。


$ @SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]UPDATE-ANSI-PROLOGUE.COM

この後,PrintServerを再ブートしてください。

このコマンド・プロシージャは,DCPS ソフトウェアがサポーティング・ホスト・システムにインストールされていることを仮定しています。また,すべてのPrintServerがアップデートされます。

注意

漢字テキスト・トランスレータのプロローグ・ファイルは,変更されていません。通常,漢字環境で使用されている場合,この操作は必要ありません。

22.2 DCPSソフトウェアの解決された一般的な問題

この節では,DCPS V1.0がリリースされてから解決された問題を示します。

22.2.1 セパレータ・トレイ論理名

以前は,論理名 DCPS$<queue-name>_SEPARATOR_TRAY は汎用キュー (ジェネリック・キュー)にしか指定できませんでした。V1.1では実行キューでも同じように指定できます。

22.2.2 NOPAGEREGIONOP および NOSETPAGEDEVICEメッセージ

これらのマニュアルにないメッセージは,表示されなくなりました。

22.2.3 VFCフォーマット・ファイルの印刷

8Cキャリッジ・コントロールを持つVFCファイルが,正しく印刷できるようになりました。

RELATIVE または INDEXED構成のVFCフォーマット・ファイルの印刷はサポートされていません。DCPS V1.1 はこの状態を検出し,エラー・メッセージを返します。

22.2.4 最大が 999999 になった PAGE_LIMIT

いままでのスタート・ページまたはエンド・ページの最大は9999でしたが, 999999 に変更されました。

22.2.5 すべてのメッセージ・フィールドが Disabled になったときのアボート

DCPSでは,以下のコマンドによりすべてのメッセージが出ない状態でジョブ・コントローラをスタートしても,%STR-F-STRTOOLON メッセージを出して終了することはありません。


  $ SET MESSAGE/NOTEXT/NOFACILITY/NOIDENT/NOSEVERITY

22.2.6 アクセント付き大文字アルファベットの位置の下がり

いくつかのタイプのプリンタで,まわりの文字より低い位置に印刷される強調された大文字のあるANSIデータ・タイプのエラーは解決されました。

22.2.7 ライブラリ検索リスト

DCPS V1.0では,SYS$LIBRARY論理名が検索リストとして定義されると,システム固有のライブラリ・ディレクトリにある,装置制御ライブラリを見つけることができませんでした。

DCPS V1.1 はこの問題を解決しています。本ソフトウェアは,指定された装置制御ライブラリに対するSYS$LIBRARY論理名の,すべてのディレクトリ要素を正しく検索します。

22.2.8 空のセットアップ・モジュールによるハング

空のセットアップ・モジュールをロードするように構成されていると,DCPS V1.0 のキューはストールし,ソフトウェアは無限ループでハングしました。 DCPS V1.1 ではこの問題はありません。

22.2.9 AUTOMATIC データ・タイプでのテキストのフォーマット

DCPS V1.1 では,データ・タイプが AUTOMATIC で,省略時のテキスト・トランスレータがANSI/KANJI/KANJI78/LA_KANJIの場合,フォームや/SPACE, /HEADER修飾子でファイル中のテキスト部分のフォーマットが可能になりました。

22.2.10 /COPIES修飾子とPAGE_LIMIT

/PARAMETERS=PAGE_LIMIT 修飾子と /COPIES 修飾子を一緒に指定して,複数のファイルをひとつのジョブで印刷したときの問題は解決されました。以前は,指定された PAGE_LIMIT よりもページ数の少ないファイルがあると,DCPSはハングすることがありました。現在では,そのようなジョブも正しく印刷できます。

22.2.11 .IMG ファイル拡張子

.IMGファイル拡張子は,自動データ・タイプ検出に使用される DCPS$FILE_EXTENSION_DATA_TYPE.DAT_DEFAULT ファイルから削除されました。 .IMGファイル拡張子は,以前はANSIファイルとして定義されていました。そのシステム固有のDCPS$FILE_EXTENSION_DATA_TYPE.DAT ファイルを作成している場合は,合わせて変更してください。

22.2.12 レイアップでの PostScript コマンドの扱いの訂正

レイアップ機能での idtransform とsetpagedevice PostScript コマンドの扱いが修正されました。

22.2.13 OKI MICROLINE 800PSIILTプリンタ

DCPS V1.0で,OKI MICROLINE 800PSIILTプリンタに印刷すると,OPCOMに Unrecognized printer のメッセージが出力されましたが,本バージョンで修正されました。

22.3 サポートするプリンタに関する修正

22.3.1 日本語 PrintServer 17/600 に認識される LCIT キーワード

INPUT_TRAY=LCIT パラメータは,日本語 PrintServer 17/600 プリンタの大容量給紙トレイを選択するために使用できます。


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