日本語Compaq DECprint Supervisor (DCPS) for OpenVMS
リリース・ノート


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22.3.2 日本語 PrintServer 17/600 での OUTPUT_TRAY=SIDE

OUTPUT_TRAY=SIDE は現在,すべてのPrintServerファミリに対して下段トレイを選択します。

22.3.3 Apple および HP プリンタの手差し給紙時の遅延

HP LaserJet III,IIID および IIISi と,サポートされる Apple LaserWriter プリンタの手差し給紙スロットへ給紙するときに遅延を発生させるコードが修正されました。

22.3.4 デフォルト・クリッピング・パス

『 Digital PostScript Printers Programmer's Supplement 』のAppendix C,C.6 およびAppendix D,D.6 で, PostScript 印刷ジョブの初期状態のクリッピング・パスは用紙のサイズと同じ大きさであると記述していますが,実際には用紙の内側に収まる大きさに設定されています。LN82R では用紙の周囲から約 5mm 〜 7mm 内側に設定されています。また,日本語turbo PrintServer ,日本語 PrintServer 32 プリンタのレター・サイズに対するクリッピング・パスは,日本語 PrintServer 40 シリーズ・プリンタでのレター・サイズのクリッピング・パスよりも幅が約 1mm 程狭くなっています。

22.4 制限事項

この節では,V1.1の制限事項を記述します。

22.4.1 半角英数字フォント

Ryumin-Light.Roman および GothicBBB-Medium.Roman などの日本語フォントには,JISローマ字セット以外の文字は含まれていません。このため,装置制御ライブラリ,DCPS$DEVCTL.TLB にある拡張された findfont オペレータを用いて,これらのフォントに対してISOLatin1 および DEC マルチナショナル文字セットを使用することはできません。

22.4.2 キュー・スタート時の装置制御ライブラリ

キューをスタートするときには,そのキューで使用されるすべての装置制御ライブラリが存在しなくてはなりません。たとえば,以下のようにライブラリの検索リストが定義されている場合,


$ DEFINE/SYSTEM/EXEC DCPS_LIB DCPS$DEVCTL, "ANSI/DATA=ANSI", "PS/DATA=PS"

SYS$LIBRARY のディレクトリに,DCPS$DEVCTL.TLB,ANSI.TLB,PS.TLB のライブラリが存在しなくてはなりません。

22.4.3 DCPS V1.0 ソフトウェアとの互換性

DCPS V1.1で提供される構成要素の大部分は,従来のバージョンで提供されたものと互換性がありません。ひとつのホストにはひとつのバージョンのDCPSしかインストールできません。

22.4.4 DEC Image Print-PLUS (ICPS) との互換性

DCPS V1.1はICPS V1.x ソフトウェアとは共存できません。 DCPS V1.1 はこのソフトウェアを置き換えます。 DCPS V1.1 をインストールすると,イメージ・ファイル SYS$LIBRARY:TRN$DDIF_IMAGE.EXE が置き換えられます。この新しいイメージはICPSソフトウェアと互換性がありません。

22.4.5 DECimage Application Services for VMS V3.1

DDIFのイメージ・ファイルを印刷するためには,DECimage Application Services for VMS V3.1 が必要です。

22.4.6 他社製 PostScript ドライバと NUMBER_UPパラメータの互換性

LaserWriter 8.0 または 8.1.1 や,Adobe社の 2.1.1の Windows ドライバ, WindowsNT V3.1の PostScript ドライバを使用して生成された PostScript ファイルを,NUMBER_UPパラメータに2以上の値を指定して印刷すると,正常に印刷されないことがあります。 PostScript エラーになるか,ページがクリップされたり,ページ・スポットの外に印刷されたり,不適切にスケールされることがあります。

22.4.7 新しい LIST データ・タイプ

  1. LIST データ・タイプは,テキストから PostScript への新しいトランスレータです。 LISTトランスレータはANSIトランスレータではありません。漢字のプレーン・テキストを印刷可能な形式に変換します。ANSI PPL3,HP-PCL,またはよく使用されるその他のプロトコルにより定義されるエスケープ・シーケンスは変換しません。 ANSI PPL3 データおよび制御シーケンスの変換を必要とするジョブの印刷には,引き続き,漢字または ANSIデータ・タイプを使用してください。

  2. LISTトランスレータが3行おきに印刷するグレイ・バーは,以下のプリンタでは非常に薄いか,または現われません。
    Apple LaserWriter IIg

  3. 改頁コードの次の改行コードは無視されます。

  4. 改頁コードを複数続けて指定しても,1ページのみの改頁となります。

22.4.8 /HEADER機能と/FORM機能および/SPACE機能

ファイルのデータ・タイプがANSI/KANJI/KANJI78/LA_KANJIの場合には,印刷機能として /HEADERと /FORMおよび /SPACEを使用できます。データ・タイプがこれらのうちの一つであることが認識されるのは,次のような場合です。

また,次のような場合には,データ・タイプがANSIとなります。

ここに示した規則に従って,データ・タイプがANSI/KANJI/KANJI78/LA_KANJIであると認識されない場合には, /HEADERと /FORMおよび /SPACEは無視されます。

22.4.9 埋め込まれたPJLコマンドの除去:バイナリ・モードの回避

DEClaser 5100 や HP LaserJet 4 ファミリのように,PJLプリンタのためのファイルを作成するドライバは,HP Printer Job Language (PJL)のプリンタ制御コマンドを含んでいます。DCPSはこのデータを除去します。つまり,これらのドライバで選択されたプリンタ・オプションは,印刷ジョブに影響を与えません。

これらのドライバを使用するときは,バイナリ・モードを選択しないでください。バイナリ・モードを選択すると,ファイルにコマンドが追加され,それをDCPSで印刷するときに不正な動作を起こす可能性があります。

22.4.10 ネイティブ PCL とシリアル接続

DCPS V1.1がネイティブPCLモードをサポートしているプリンタで,シリアル接続を使用する場合は,XON/XOFFのかわりにハードウェア・フロー・コントロールを使用しなければなりません。ネイティブPCLデータは8ビット・バイナリ・データを含んでいる可能性があり,それがソフトウェア XON/XOFFフロー・コントロールを妨げます。

ハードウェア (DTR) ハンドシェーク・フロー・コントロールを有効にするには,プリンタのマニュアルとターミナル・サーバのマニュアルを参照してください。

22.4.11 ジョブ・トレーラ・ページのシフト出力

ジョブを分離するジョブのシフト出力が有効であるとき,ジョブ本体とそのトレーラ・ページの間にシフト出力を行うプリンタがあります。これは,そのプリンタがトレーラ・ページをひとつのジョブとして扱うためです。

この動作を起こすことがわかっているプリンタは以下のものです。

HP LaserJet IIISi
HP LaserJet 4SiMX

22.4.12 OUTPUT=FACE_UP で違うトレイに排紙される (HP LaserJet 4SiMX)

/PARAMETERS=OUTPUT=FACE_UP を HP LaserJet 4SiMX で指定すると,トレーラ・ページは上段トレイに排紙されます。

22.4.13 DEClaser 1152にAppleTalkで接続しているときのジョブの削除

DEClaser 1152プリンタに印刷しているジョブを削除した場合,次のジョブの印刷時にプリンタがハングすることがあります。これは,以下の状態のときに起こります。

次のジョブは印刷されず,キューに printing の状態で残り,最終的にはキューがストールします。この問題は,プリンタがIdle状態になる前に,AppleTalkの接続を受け付けてしまうために発生するものです。このジョブは,一度削除して,もう一度発行する必要がありますが,削除するときにしばらく時間がかかります。

22.4.14 Apple LaserWriter Plus の LPS$PERSISTENT_RESOURCES

Apple LaserWriter Plusプリンタでは,LPS$PERSISTENT_RESOURCES モジュールのロード機能をサポートしません。

22.4.15 エラー後のUnreliable Communication

LaserWriter Pro 600,LaserWriter Pro 630,LaserWriter IIg および LaserWriter IIf の AppleTalkポートを使用して印刷するときは, Unreliable communication が認められることがあります。この問題は PostScript インタプリタが PostScript エラーなどのエラー状態を検出したときに起こります。エラーが起きると PostScript インタプリタは FLUSHING, Rest of Job (to EOJ) will be ignored と報告するか,または手差しトレイへの給紙を待つ間に時間切れエラーとなります。このとき,以下のような動作が生じることがあります。

失敗したジョブが完了すると,続くジョブが正しく印刷されるため,システム・オペレータの操作は必要ありません。

22.4.16 HP XL300のコミュニケーションの問題

HP XL300に印刷するファイルに複数のユーザ・データが含まれる場合,一部のメッセージが失われたり正しく戻って来ない場合があります。また,まれに DCPSが必要なメッセージが正しく受けとれず, /NOTIFY修飾子を指定しているときには,不正確なメッセージがターミナルに表示されることがあります。

22.4.17 PrintServerに接続できないときの STOP/QUEUE/RESETコマンドの禁止

PrintServerのキューに Starting 状態のジョブが残っていて,その PrintServerの電源が入っていなかったり,ブート中などで,PrintServerに接続することができないときに,STOP/QUEUE/RESETコマンドを実行すると,キューはストップしますが,まれにシンビオント・プロセスが終了しないことがあります。PrintServer が使用可能になるまでは,このコマンドは実行しないでください。

22.4.18 /COPIES 修飾子を指定した PostScript ファイルの印刷

PostScript ファイルを, /COPIES修飾子で2以上の値を指定して印刷したときに, DCPSはプリンタの仮想メモリ(VM)を使い果たしてしまうことを避けるために,それぞれのファイルを PostScript の save と restore 命令で囲んでプリンタに送ります。

しかし,このとき invalid restore のエラー・メッセージで,ジョブが終了してしまうことが,まれに起きます。このようなときは, /COPIES修飾子の代わりに /JOB_COUNT 修飾子を使用してください。

22.4.19 USERDATA とストリング・ターミネータ

以下の PostScript プログラムを出力したとき,USERDATA としての文字ストリングがログ・メッセージとして記録されないことがあります。


(文字ストリング) print flush 

この場合,文字ストリングの後ろに改行文字を付け加えると,ログ・メッセージとして記録されるようになります。

22.4.20 AppleTalk使用時のジョブの削除

AppleTalkを使用して印刷するときは,ジョブの削除要求 (DELETE/ENTRY)はプリンタへの接続を閉じることで完了します。 AppleTalkプロトコルは,PostScript インタプリタを中断することはしません。つまりプリンタは,ジョブの印刷を中止する前にバッファにあったページ内容の印刷を続けます。ジョブ・トレーラ・ページは印刷されません。

またプリンタがバッファに残ったページの内容を処理中に次のジョブを発行すると,そのジョブがエラーになることがあります。

22.4.21 ネイティブ PCL のプリント・パラメータに関する制限事項

次のDCPSプリント・パラメータは,DCPS V1.1がネイティブPCL機能を使用するプリンタでのPCLファイルの印刷には影響しません。

INPUT_TRAY
OUTPUT_TRAY
SHEET_SIZE
PAGE_SIZE
SIDES
PAGE_ORIENTATION

これらの場合,プリンタの省略時の設定が有効になります。適切なPCLエスケープ・シーケンスを印刷するファイルやセットアップ・モジュールに含めることで,PCLプリンタのトレイを選択してください。

かわりに,ホスト上で強制的に PostScript プログラムへ変換することにより,これらのパラメータをジョブに対して有効にすることができます。強制的に変換するためには,NUMBER_UP や LAYUP_DEFINITIONなどの機能を使用するか,PAGE_SIZEと SHEET_SIZEパラメータを一緒に指定してください。

22.4.22 ネイティブPCLジョブでの不正なページ・カウント (HP LaserJet IIISi)

HP LaserJet IIISi プリンタは,ネイティブPCLファイルを印刷する間,ページ・カウントの更新をしません。ジョブの最後に,トレーラ・ページ上とOpenVMSアカウンティング・システムの両方へ報告されるページ・カウントは,ジョブ・セパレーション・ページのように PostScript モードで印刷されたページのみを含みます。この問題に対する回避策は現在ありません。

22.4.23 両面印刷ジョブでの不正なページ・カウント(HP LaserJet プリンタ)

HP LaserJet IIID, IIISi, 4SiMX プリンタでは,物理的な用紙を内部的にカウントしませんが,かわりにイメージとしてのページをカウントします。つまり,トレーラ・ページの Sheets printed のデータは,処理されたイメージの数を反映します。たとえば,バースト・ページとトレーラ・ページが有効で /PARAMETERS=(SIDES=2) を指定した6ページの印刷ジョブは,用紙5枚にしか印刷されなくても Sheets printed は 8 となります。

22.4.24 LN82Rプリンタ用のレイアップ定義

LN82R プリンタの印字可能領域は,用紙の周囲から約 5mm〜7mm (用紙のサイズによって異なります) 内側までです。このため,用紙の外縁に印刷される文字や図形はクリッピングされることがあります。

PrintServerの印字可能領域は LN82R より広いため,PrintServerでは表示できていた文字や図形が,LN82R ではクリッピングされて見えなくなったり欠けたりすることがあります。これを避けるために,DCPS$STARTUP.COM では,LN82R に対するキューの設定として,レイアップ定義 LPS$PRINTERMARGINを使用することをお勧めします。これにより,ページが自動的に LN82R の印字可能領域に収まるように縮小されます。

また,LN82R 以外のプリンタでも,同様に用紙の外縁の文字や図形がクリッピングされることがあります。この場合もプリンタに対するキューの設定で, LPS$PRINTERMARGIN を使用してください。

ただし,これらの設定を実行キューに対して行うと,そのプリンタのすべてのジョブに対して有効となってしまいます。特定のデータ・タイプのジョブにだけ有効としたい場合は,ジェネリック・キューに対してレイアップ定義を行ってください。

22.4.25 LaserWriter II NTX-J および MICROLINE PS シリーズの文字化け

LaserWriterII NTX-J および MICROLINE PS シリーズで,PostScript ファイルを印刷する場合,弊社の一部のアプリケーションのファイルで文字の部分が正しく出力されないことがあります。この問題を避けるため,PostScript プリンタ設定 (Usr/Start)用 PostScript ファイル SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]DCPS$USERSTART.PS を印刷することにより,ハードディスク上のUsr/Startファイルを変更した後,プリンタの電源を入れ直してください。

注意

DCPS$USERSTART.PS を,サポート外のプリンタに送信した場合の動作は保証できません。プリンタによってはその後起動しなくなりますのでご注意ください。

また,ハードディスクのないOKI MICROLINE シリーズで印刷する場合は, /SETUP 修飾子にDCPS$SETUP_OKI 装置制御モジュールを指定してください。

22.4.26 MICROLINE 800/801 PS シリーズでの封筒やハガキへの印刷

  1. PRINT コマンドでの指定
    PRINT コマンドでは,INPUT_TRAY パラメータでTOPまたはENVELOPE_FEEDER を指定することにより,トレイ1を選択してください。

  2. セパレータ・ページ
    MICROLINE の封筒カセットやハガキ・カセットは,必ずトレイ 1 で使用されますが,ジョブ・セパレータ・ページは操作パネルで選択されたトレイの用紙を使用します。プリンタの操作パネルでは,トレイ 2 を選択してください。
    また,ファイル・セパレータ・ページは印刷ファイルと同じトレイの用紙を使用します。封筒やハガキへ印刷する場合は,ファイル・セパレータ・ページを出力する修飾子を,PRINT コマンドで指定しないでください。

22.4.27 Dataproducts LZR1560 プリンタの用紙サイズ

LZR1560 プリンタのfolio用紙はサポートされません。

22.4.28 LN82R での印刷

22.4.28.1 LN82R の欧文フォント

LN82R プリンタには,欧文フォントは 13 種しかありません。このため,以下のフォントを利用している PostScript ファイルは印刷結果が異なります。なお,印刷結果の改善のため SETUP モジュール LPS$DECFONT_FALLBACK が,提供されています。

AvantGarde-Book
AvantGarde-BookOblique
AvantGarde-Demi
AvantGarde-DemiOblique
LubalinGraph-Book
LubalinGraph-BookOblique
LubalinGraph-Demi
LubalinGraph-DemiOblique
NewCenturySchlbk-Roman
NewCenturySchlbk-Italic
NewCenturySchlbk-Bold
NewCenturySchlbk-BoldItalic
Souvenir-Light
Souvenir-LightItalic
Souvenir-Demi
Souvenir-DemiItalic

LPS$DECFONT_FALLBACKモジュールでは,欧文フォントを以下のように置き換えることで印刷結果をより本来の結果に近いものにします。

AvantGardeファミリ Helveticaファミリ
LubalinGraphファミリ Helveticaファミリ
NewCenturySchlbkファミリ Times-Romanファミリ
Souvenirファミリ Times-Romanファミリ

このモジュールを指定しない場合,持っていない欧文フォントはCourierに置き換えられますが,この処理が頻繁に起こると Fatal disk error; reinitialize font cashe というエラーでプリンタが停止します。プリント・キューのジョブを削除し,プリンタの電源を入れ直してLPS$DECFONT_FALLBACK を指定して再度印刷することで,この現象を回避できます。

上記の PostScript フォントをLN82Rプリンタにダウンロードすることができますが,現時点では,弊社からこのためのフォント・キットは販売されていません。


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