日本語Compaq DECprint Supervisor (DCPS) for OpenVMS
リリース・ノート
22.4.28.2 LN82R の product ストリング
LN82Rのproduct ストリングは Luna0.3PS ですが,デフォルトの printername は LN82R です。
22.4.28.3 LN82R の解像度
LN82R は 400dpi (ドット/インチ) のプリンタです。漢字LN03/LN05 や弊社の他の PostScript プリンタは 300dpi/600dpi なので,それらのプリンタに印刷していたビットマップ・イメージを LN82R に印刷した場合,見映えが異なります。場合によっては縞模様が生じることがあります。
22.4.28.4 LN82R の黒い縞模様
LN82R に対して,用紙の印字可能範囲を越える位置に文字を出力しようとした場合,黒い縞模様がページ横方向に現れることがあります。
22.4.29 テキスト・トランスレータ
- フォーム定義
漢字LN05の標準設定では,フォーム・データ用のメモリは 16 ページあわせて 64 Kバイトとなっています。この値は,グラフィック・オプションなどの使用で増やすことができます。トランスレータによるフォーム・オーバーレイでは,1 ページあたり 64 Kバイトまでのフォーム・データを登録することができます。1 ページあたり 64 Kバイトを越えるフォーム・データを登録しようとすると,DECLKF シーケンスそのものが無効になります。PRINT コマンドでマルチファイル指定をした場合,あるファイル内で登録したフォーム・データを他のファイルで使用することはできません。複数のファイルで共通のフォームを使用したい場合は,フォーム・データをセットアップ・モジュールとして登録し,そのモジュールをPRINTコマンドの /SETUP修飾子で指定してください。
- 複数ファイルの印刷
複数ファイルを1つのプリント・ジョブで印刷する場合,各ファイルの先頭で初期設定が行われます。このため,あるファイルの中で行った設定を,次のファイルで利用することはできません。このようなときは,セットアップ・モジュールに必要なエスケープ・シーケンスを登録しておくことにより,各ファイルの初期状態を制御することができます。
- LN82R での外字と斜体(イタリック)属性の混在
LN82R に印刷されるファイルに外字が含まれ,かつイタリック属性が漢字に対して指定されると,PostScript の FATAL エラーになる場合があります。この場合,プリント・キューを停止し,キューからジョブを削除し,プリンタの電源を入れ直してください。
- テキスト・トランスレータの性能
テキスト・トランスレータで日本語文書を印刷する場合,必ずしもプリンタ・ハードウェアの最高速度では印刷できません。白黒反転や網かけ,倍角文字,縦書き,外字があるとき,および 1 バイト文字と 2 バイト文字が頻繁に交互に現われるような場合には,印刷速度はさらに遅くなります。
- テキスト・トランスレータの外字と内蔵フォント
日本語 PostScript プリンタの内蔵漢字フォントは,PostScript のアウトライン・フォントです。外字は日本語 VMS の FEDIT ユーティリティ,または CHARACTER_MANAGER ユーティリティで作成することができますが,このフォントは,40 ドット× 40 ドットまたは 32 ドット× 32 ドットのビットマップ・フォントです。したがって,外字の倍角文字は内蔵フォントの倍角文字に比べて,印字品質が劣ります (ギザギザが見えます) 。
- 罫線文字
テキスト・トランスレータで使用している罫線文字は,文字間隔/行間隔が文字サイズに比べてかなり大きいときにはつながりません。
また,この罫線は PostScript フォントを使用して表示しているため,表示される位置やサイズによっては装置上で 1 ピクセル程度のずれを生じることがあり,結果として,罫線が一直線にならない場合があります。
- SIXEL と文字の重ね合わせ
SIXEL とテキストを座標指定 (VPA,HPA など) で位置を指定して,同じページ上で重ね合わせるとき,印刷可能領域上端付近 (通常トップ・マージンの位置) の座標を指定した場合,結果として表示される文字や SIXEL の縦方向 (Y座標) の位置が LN03/漢字LN03 とテキスト・トランスレータでは異なります。SIXEL では,どちらも通常は SIXEL の上端の座標が,指定されたY座標から 70 ピクセル上になるように表示しますが, LN03/漢字LN03 では,この表示方法を取ったときに SIXEL が印刷可能領域上端を超える場合には,SIXEL の上端の座標が,印刷可能領域上端になるように位置を下げて表示します。このため,印刷可能領域上端付近の座標を指定して文字と SIXEL を重ねた場合に,LN03/漢字LN03 とテキスト・トランスレータの出力を比べると,LN03/漢字LN03 の SIXEL はテキスト・トランスレータよりもやや下にずれます。印刷可能領域上端から離れた位置を指定した場合には,両者に違いは見られません。
- テキスト・トランスレータのプロローグ処理
テキスト・トランスレータは,印刷ジョブの開始時に,大量の PostScript プロローグ処理 (初期設定) を行います。この処理は印刷ジョブの内容によらず常に同じなので,初めからプリンタに常駐させておけば,ジョブの最初の 1 ページが出力されるまでの時間を短縮することができます。デフォルトでは,プロローグを常駐させることにしていますが,このことはテキスト・トランスレータ以外の印刷ジョブにとっては,利用できる PostScript VM (Virtual Memory) が減少していることを意味します。弊社では,PostScript アプリケーションが VM を 400KB 以上使わないようにお勧めしますが,もしもこの制限を守っていないソフトウェアがあると,PrintServerプリンタでは VM が足りないというエラーで実行できなくなる場合があります。PrintServerプリンタとシリアル・プリンタではプロローグを常駐させる処理が異なります。
- 日本語DEC PrintServer サポーティング・ホスト・ソフトウェア V4.2 または日本語 PrintServer Software V5.0, V5.1 を使用している場合
このサポーティング・ホスト・ソフトウェアを使ってブートされた PrintServer では, DCPS と互換性のあるプロローグが常駐しているので,特別に処理をする必要はありません。また,このサポーティング・ホストでは,プロローグは必ず常駐していなければなりません。
- PostScript シリアル・プリンタの場合
PostScript シリアル・プリンタでは,プリンタの電源投入後の最初のプリント・ジョブで,プロローグが常駐しているかどうかをチェックし,していなければダウンロードします。この時,PostScript パスワードがプリンタ出荷時の設定になっていない場合 (LN82R では 0 でない場合),プロローグは常駐されません。つまり, PostScript パスワードをデフォルト以外の値に設定することによって,常駐をやめることができます。
- PostScript フォント UniqueID
テキスト・トランスレータでは,使用する PostScript フォントに対して, UniqueID を指定しています。3658490 から 4194312 の UniqueID は他の PostScript アプリケーションでは使用しないでください。
- 半角ローマ字フォントの制限
PrintServerでは,内蔵 PostScript フォントの Ryumin-Light.Roman および GothicBBB-Medium.Roman の半角ローマ字フォントは,JIS ローマ字以外の文字セットをサポートしません。このため,テキスト・トランスレータでは明朝体半角ローマ字フォントを PostScript Courierフォントで代用しています。
ゴシック体半角ローマ字は PostScript の半角ローマ字を使用しているため, JISローマ字または ASCII 文字セット以外の文字セットを指定した場合,存在しない文字は空白 (スペース) 文字で置き換えられます。
- SETUPモジュールでの印刷
ANSI(ASCII),KANJI,KANJI78 または LA_KANJI データ・タイプの SETUP モジュールを作成し,その中で文字を印刷することができますが,この文字を PRINT コマンドで指定したファイルの先頭ページに印刷することはできません。SETUP モジュールの中で印刷した場合には,PRINT コマンドのファイルを印刷する前に改ページが行われます。 ANSI(ASCII),KANJI,KANJI78 または LA_KANJI データ・タイプで SETUP モジュールを作成し,その中でフォント・ローディング命令またはピッチ指定命令を使用したときには,空白 (スペース) 文字を含む実際の文字の印刷を SETUP モジュールの中で行うことはできません。
- DECVPFS とマージン
可変ページ・フォーマット選択命令 (DECVPFS) でページ・オリエンテーションを変更する場合,オリエンテーション変更後のページ・マージン (上下マージン,左右マージン) も同時に指定してください。
マージンを新たに指定しない場合,従来のマージンの値が採用され,シートの外にマージンが設定された状態になることがあります。
- DECVERP,DECSHORPのパラメータPs=0
漢字LN05とテキスト・トランスレータの8ポイント・フォントの高さは,それぞれ 768 centipoint と 922 centipoint として定義されています。このため,フォントの高さをもとに位置を制御する命令を使うと,出力結果が異なってしまいます。これを避けるため,行ピッチの指定はSPIなどで明示的に行うようにしてください。また,8ポイント・フォントを使っていないファイルでも GSM (文字サイズ指定命令)の後に,DECVERP,DECSHORPのパラメータで0を指定すると,漢字LN05とテキスト・トランスレータで行ピッチ/文字ピッチの違いが生じることがあります。この場合もSPIなどで行ピッチ/文字ピッチを明示的に指定する事により,同様に互換性を保つことができます。
- A4 ページ・サイズでの文字ピッチ
A4 ページ・サイズに対して,デフォルト状態での文字属性指定命令(SGR)で,Ps=10 または 11 によりフォント指定後,文字ピッチ指定命令(DECSHORP)の Ps=0 を指定した時の文字ピッチは, 10cpi でなく 10.3cpi となります。
- SS2 と SS3
SS2 または SS3 に続いてコントロール・コードがあった時の処理が,LN05 などと異なる場合があります。 SS2 または SS3 は,対象となる文字コードの直前に入れるようにしてください。
- SUB
SUB コードが漢字コードの 1/2 バイト間に割り込んだ場合の処理が,LN05 などと異なります。LN05 では SUB コードを漢字の 2 バイト目とみなして全角のリバース・クエスチョンを出力しますが,テキスト・トランスレータは SUB コードを先に処理するため,漢字は正常に出力されます。
- DEC DUTCH と DEC FRENCH
DEC DUTCH 文字セットの 4/0 と 7/11 および DEC FRENCH 文字セットの 7/14 は,マニュアルの記述と違う文字が出力されます。
- PLD と PLU
下線,上線,二重下線は,PLD,PLU を行っても移動しません。
- 垂直タブ
VT によって次の垂直タブ位置まで移動する場合,行間隔が狭すぎるとさらに次の垂直タブ位置まで移動することがあります。このときには,行間隔をひろげるか,または今より小さいフォントを使うことにより,所要のタブ位置に移動することができます。
- DECVERP と垂直タブ位置
DECVERP (行ピッチ選択命令) を行った場合,垂直タブはホーム・ポジションを基準とした位置にすべて再設定されます。このため,最初の VT による垂直方向の移動量は,現在の位置によって変化しますが,次の VT からは DECVERP によって設定された行ピッチと等しくなります。
- DECDHLT と DECDWL の組み合せ
LA_KANJI データ・タイプで,DECDHLT (行拡大命令・4倍角)がすでに有効となっている行でDECDWL (行拡大命令・横倍角) を指定した場合,DECDWL は無視されます。同じ行のなかで行拡大命令を組み合わせることは避けてください。
- DECSTBM と DECVERP
LA_KANJI データ・タイプでは,DECSTBM (上下マージン設定命令) で設定されたマージンはDECVERP (行ピッチ選択命令)ではクリアされません。この場合,DECSTBM によってマージンを再設定してください。
- SHS と DECSHORP または GSM と DECSHORP
SHS (水平ピッチ選択命令) と DECSHORP (水平ピッチ選択命令) の組み合わせ,または GSM (文字サイズ指定命令) と DECSHORP の組み合わせで,水平タブ位置が LN05 などと合わないことがあります。この場合,水平タブのかわりにスペースを使うことにより,同じ出力を得ることができます。
- JFY
JFY (行揃え) をオフに設定した行は,その 1 行すべてが行揃えされなくなります。
- DECVERP と DECSLPP
DECVERP (行ピッチ選択命令) によって行ピッチが指定されていた場合,DECSLPP (用紙長設定命令) で設定した行数より 1 行早く改ページする場合があります。このときには,行間隔をひろげるか,または今より小さいフォントを使うことにより,指定した行数で改ページするようになります。
- DECVERP による縦倍角のクリア
LA_KANJI データ・タイプでは,GSM(文字サイズ変更命令)による縦倍角指定は, DECVERP (行ピッチ選択命令)によって解除されます。
- ファイルの先頭にある改ページまたは改行+改ページ
テキスト・ファイルの先頭が,改ページ・コードまたは改行+改ページで始まる場合,漢字LN03に比べて余分な白紙が1枚多く出力されることがあります。このようなときは,先頭の不要な改ページ・コードを取り除くか,またはファイル・フォーマットを stream_LFに変更することにより,漢字LN03と同様な動きになります。
- DEClaser2400 (漢字LN10) との違い
DEClaser 2400 で提供されている以下の機能は,テキスト・トランスレータでは利用できません。
- 漢字アウトライン・フォント・オプションによる,フォントのスケーリング
- 文字属性
文字属性にアンダーライン,二重アンダーライン,抹消ライン,反転,または網かけが設定されている場合,文字ピッチの設定およびそのときに使用される文字フォントの組み合せによっては漢字と英数字との間で文字属性に 1 ピクセル程度のずれを生じることがあります。
テキスト・トランスレータと他のプリンタとの上記以外の機能の違いは,「日本語トランスレータ リファレンス・マニュアル」を参照してください。
22.5 DCPSに関するその他の情報
この節では,DCPS製品に関する一般的な情報で,他のドキュメントに含まれないもの,または差し換えとなるものを示しています。
22.5.1 カラー・セパレータ・ページと日本語 PrintServer 17/600 給紙トレイ切り替えの相互作用
日本語 PrintServer Software V5.0, V5.1 では,日本語 PrintServer 17/600 プリンタに給紙トレイの自動切り替え機能を提供しています。これにより,現在の給紙トレイが空になったとき,プリンタは同じサイズの用紙が入っている別の給紙トレイに,自動的に切り替えます。この機能は省略時設定で有効です。
現在色つきの紙のフラグ・ページを使用している場合,この給紙トレイ切り替え機能を無効にできます。以下のステップを実行してください。
- LPS$SUPPORT:LPSDEFAULTS.printer-name を編集する
- /TraySwitchパラメータを検索する
/TraySwitch true % Controls input tray failover.
% false = disable
% true = enable
|
- /TraySwitch パラメータの値を,「true」から「false」へ変更する。必ず小文字で「true」か「false」と記述してください。
/TraySwitch false % Controls input tray failover.
% false = disable
% true = enable
|
- 新しい値を有効にするために,日本語 PrintServer 17/600 プリンタを再構成またはリブートする
詳しくは『 DEC PrintServer Supporting Host Software for OpenVMS Management Guide 』を参照してください。
22.5.2 DEClaser 5100 のエラー・ページ機能
DEClaser 5100 プリンタは,プリンタ内で PostScript インタプリタのエラーが起きたときに,現在印刷中の用紙を排出し,詳しい PostScript エラー情報を印刷する機能を持っています。
この機能は,PostScript の問題を分析するのために有効な手段を提供しますが,以下のような理由により,DCPS ソフトウェアでの日常的な使用にはお勧めできません。
- PostScript エラー・ページは,ユーザが DELETE/ENTRY コマンドを入力してプリント・ジョブを中断したかどうかにかかわらず印刷される
- プリンタが印刷可能な状態でない間に,シリアル・ポート上でジョブが登録されると,印刷可能でない状態が解消(用紙切れ,紙詰まりなどの解消,他)されたあとで, PostScript エラー・ページが印刷される
DCPSでプリント・キューをスタートする前に,DEClaser 5100 のフロント・パネルで Print Errors 機能を無効にしてください。この機能は,PostScript の問題を分析したいときだけ有効に設定してください。
22.5.3 自動認識機能のあるプリンタ
DEClaser 5100 や HP LaserJet 4siMX などのプリンタは,プリント・ジョブのデータ・タイプを認識する機能を持っています。そのようなプリンタは,接続チャンネルごとに,自動認識機能を有効にするかどうか,フロント・パネルで設定することができます。
この機能を提供するほとんどのプリンタで,プリンタがPostScript モードか,または Automatic モードに設定されているときは, DCPS ソフトェアは適切に動作します。DCPSキューをスタートする前にどちらかのモードで動作するように,プリンタを設定しなければなりません。プリンタが PCL モードに設定されていると,DCPSソフトウェアは適切に動作しません。