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PCL ファイルには,HP LaserJet IID プリンタでプリンタ給紙トレイを選択するための命令が登録されている可能性があります。このファイルを別の種類のプリンタで印刷する場合,指定されている給紙トレイを使用できないときは,プリント・ジョブが異常終了します。このような場合には,適切な PostScript オペレータを再定義するための PostScript セットアップ・モジュールを作成し,選択される給紙トレイを変更することができます。次の例では,上段給紙トレイに対してトレイ3を選択し,下段給紙トレイに対してトレイ1を選択するための PostScriptセットアップ・モジュールを示しています。
/settoptray {statusdict begin 3 setpapertray end} def /setbottomtray {statusdict begin 1 setpapertray end} def |
給紙トレイの値はプリンタ固有の値です。PostScriptプリンタの給紙トレイ番号を判断する場合には,各プリンタ付属のマニュアルを参照してください。
給紙トレイ選択コマンドと,PCLトランスレータがこれらのコマンドを変換した後の PostScriptオペレータは 表 8-2 に示すとおりです。 setpapertray の省略時の値は,他の値が定義されていないときにトランスレータが使用する値です。別の値を指定したセットアップ・モジュールが定義されている場合には,省略時の値は無効になります。
PCLコマンド | PostScript拡張オペレータ | setpapertrayの 省略時の値 |
---|---|---|
Upper tray | settoptray | 1 |
Manual input | setmanualfeedtray | 0 |
Manual envelope input | setmanualfeedtray | 0 |
Lower tray | setbottomtray | 2 |
Optional large tray | setlcittray | 3 |
Envelope feeder | setenvelopefeedertray | 3 |
8.5 PCLプリント・ジョブでのソフト・フォントとマクロの指定
PCLファイルを印刷するためにプリンタにソフト・フォントをロードしておかなければならない場合や,フォームまたはラスタ・グラフィックスを定義するためにマクロが必要な場合には, PCLセットアップ・モジュールを使用してフォントまたはマクロをダウンロードすることができます。
フォントおよびマクロを永続的に定義する必要はありません。セットアップ・モジュールあるいはファイルにリセット・エスケープ・シーケンスが含まれる場合にかぎり,フォントおよびマクロを永続的に定義する必要があります。
システム管理者はPCLセットアップ・モジュールを登録するための装置制御ライブラリを作成しなければならず,『日本語 Compaq DECprint Supervisor for OpenVMS システム・マネージャーズ・ガイド』の説明に従って,そのライブラリを DCPS$STARTUP.COMの検索リストに登録しなければなりません。
PCL装置制御ライブラリからのPCLセットアップ・モジュールは, ANSI および PostScript セットアップ・モジュールとは異なる方法で処理されます。 PCLモジュールからのレコードには,最後にキャリッジ制御文字 (<CR>, <LF>)が追加されません。これは,PCLセットアップ・モジュールにPCLフォントやラスタ・グラフィックスなどのバイナリ・データを含むことができるようにするためです。 PCLセットアップ・モジュールにキャリッジ制御文字で区切らなければならないテキスト行が含まれる場合には,これらのキャリッジ制御文字はPCLセットアップ・モジュールに明示的に指定しなければなりません。
ソフト・フォントまたはマクロは,次の操作によってプリント・ジョブに指定することができます。
8.5.1 PCLセットアップ・モジュールでのソフト・フォントとマクロの指定
ソフト・フォントまたはマクロをセットアップ・モジュールに指定するには,次の操作を実行します。
$ LIBRARY/INSERT/TEXT SYS$LIBRARY:pcl-library-namee font-filenamee |
フォントまたはマクロを必要とするPCLファイルを印刷するには,次のコマンドを使用します。
$ PRINT/QUEUE=queue-name/SETUP=font-filenamee data-filenamee.PCL |
システム管理者はセットアップ・モジュールをフォーム定義に指定することができます。この場合,フォーム定義を省略時の設定によりキューに対応付けることができます。このように設定した場合には,ユーザはPRINTコマンドにデータ・ファイル名とキュー名を指定するだけで十分です。
8.5.2 PCLプリント・ジョブでのフォントおよびマクロ・ファイルの指定
ソフト・フォントまたはマクロを必要とするファイルは,アプリケーションでデータ・ファイルにフォントまたはマクロを登録することにより印刷することができます。また,フォントまたはマクロを登録したファイルとデータ・ファイルを別々に作成することもできます。 PATHWORKSによってサポートされるPCの場合には,次のコマンドをPCで使用することにより,フォントまたはマクロを必要とするデータ・ファイルを印刷することができます。
M:\ NET PRINT LPTn: /SET /PARAMETERS="DATA_TYPE=PCL" COPY/B font-or-macro-file.DAT data-file.DAT LPTn: |
8.6 PJL および TBCP での問題を回避するための PC ドライバの設定
最近のプリンティング・プロトコルの拡張により,ネットワーク・プリンティング環境に新しい変数が導入されました。それは,Hewlett-Packard PJL (Print Job Language) と Hewlett-Packard TBCP (Tagged Binary Communication Protocol) です。 PC アプリケーションで作成される文書は,ファイル内にこれらのプロトコルを含むことができます。これらのプロトコルは特定の環境では非常に有用である場合もありますが,文書を作成したプリンタとは異なるプリンタあるいは DCPS で,まれに問題が発生する可能性もあります。 PJL および TBCP についての概要を次に説明し,続いて DCPS での問題を回避するための命令を示します。
8.6.1 PJL および TBCP の概要
PJL は,ジョブ・レベルでのプリンタ制御を可能とするコマンド言語です。 TBCP は,プリンタのシリアル・ポート,LAT ポート,パラレル・ポート用の通信プロトコルです。これは,ファイル内で 8 ビット・バイナリ・データを使用することを可能とし,同時に通信およびプリント・ジョブ制御にいくつかの制御文字の使用を可能とするプロトコルです。 TBCP をサポートしないプリンタに TBCP を印刷することはできません。また,プリンタのシリアル・ポート,LAT ポート,パラレル・ポート以外のポートに印刷することもできません。
DEClaser 5100 プリンタは,PJL および TBCP をサポートする弊社の最初のプリンタです。いくつかの Hewlett-Packard III シリーズ・プリンタは PJL をサポートし,ほとんどの Hewlett-Packard IV シリーズ・プリンタは PJL および TBCP をサポートしています。 PC アプリケーションでこれらのプリンタに印刷するファイルを作成する場合,そのファイルは PJL および TBCP を含むことができます。
8.6.2 DECprint Supervisor での問題の回避
PJL を含むファイルを印刷する場合, DCPS は PJL コードをファイルから分離します。この処理により,DCPS は PJL を使用してプリンタのプリント・プロトコルを切り替え,PJL をサポートしないプリンタへのこのファイルの印刷を可能とします。
プリンタへの接続方法がシリアルでも LAT でもない場合,ファイルは TBCP を使用してはなりません。 DCPS は TBCP 制御文字を削除することができないからです。
8.6.2.1 PostScript での問題の回避
PC アプリケーションで PostScript ファイルを作成している場合は,次のガイド・ラインを使用してください。
DCPS は,問題を発生する可能性のあるすべての PJL コマンドを PCL ファイルから削除します。 PCL レベル 5 プリンタ用のドライバは PJL を使用して高度な印刷機能 (たとえば,RET (解像度拡張ハードウェア) 構成,ページ保護,プリント解像度など) を選択しているため, PJL コマンドなしではプリント・ジョブが期待どおりに印刷されない可能性があります。
さらに,DCPS がプリンタへの PCL の直接印刷をサポートしている場合にかぎり, PCL はプリンタに送信されます。そうでない場合は,PCL (レベル 4) トランスレータが使用されます。
PCL 出力に問題が発生する場合は,アプリケーションで PostScript 出力が可能であれば PostScript を作成するようにします。
8.7 ネイティブ PCL 印刷と自動 DATA_TYPE 検出との影響
DATA_TYPE=AUTOMATIC=PCL を使用したジョブは,予測できない結果となる可能性があります。特に, PostScript へ切り替えるためのコマンドを含んでいる PCL ファイルを印刷する場合は,完全に PCL として印刷される可能性があります。次の場合に発生します。
上記のような場合, DCPS はプリンタの PCL 言語インタプリタを使用し, PostScript への切り替えを行いません。また, DCPS がファイルのデータ・タイプに PCL を指定して,プリンタによる自動言語検出を無効としているため,プリンタの自動言語検出機能が使用されず, PCL 言語から PostScript 言語へのファイルの切り替えを検出することができません。このような場合は,次のような回避策を使用することができます。
PCL ファイルの印刷にプリンタの PCL 言語インタプリタが使用され,ジョブに複数の PCL ファイルが含まれている場合,それらの PCL ファイルは結合されます。 DCPS は,各ファイルが新しいページから始まることを保証することができません。あるいは,最初の PCL ファイルの最後の行が,次の PCL ファイルの最初の行よりも先に印刷されることも保証することができません。次の場合に,ファイルの結合が発生します。
結合された PCL ファイルの印刷結果に満足できない場合は,次の回避策を使用することができます。
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