Compaq OpenVMS
OpenVMS Cluster システム


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6.5.2 共用ディスクのマウントの例

3 メンバ・クラスタ内のすべてのコンピュータが COMPANYDOCS というディスクを共用したいとしましょう。ディスクを共用するには,以下の例に示すように,3 台のコンピュータのいずれかが MOUNT/CLUSTER コマンドを使用して COMPANYDOCS をマウントできます。


$ MOUNT/CLUSTER/NOASSIST $1$DUA4: COMPANYDOCS

3 台のコンピュータのうち,2 台だけがディスクを共用するように設定する場合は,以下の例に示すように,2 台のコンピュータがどちらも同じ MOUNT コマンドを使用してディスクをマウントしなければなりません。


$ MOUNT/SYSTEM/NOASSIST $1$DUA4: COMPANYDOCS

スタートアップ時にディスクをマウントするには,スタートアップ時に起動される共通のコマンド・プロシージャまたはコンピュータ固有のスタートアップ・コマンド・ファイルに MOUNT コマンドを指定します。

注意: /NOASSIST 修飾子は,ディスクのマウントを複数回実行するように設計されているコマンド・プロシージャで使用されます。ディスクは一時的にオフラインになったり,その他の何らかの理由でマウントできなくなることがあります。数回マウント操作を実行した後,ディスクをマウントできない場合,プロシージャは処理を続行します。デフォルト設定である /ASSIST 修飾子を使用すると,ディスクをただちにマウントできないときに,コマンド・プロシージャは処理を停止し,オペレータに問い合わせます。

6.5.3 コマンド・プロシージャによるクラスタ・ディスクのマウント

クラスタ・ディスクを構成するには,ディスクをマウントするためのコマンド・プロシージャを作成します。サイト固有の SYSTARTUP プロシージャから起動される別のコマンド・プロシージャ・ファイルに,クラスタ・ディスクをマウントするコマンドを指定することもできます。クラスタ環境に応じて,以下のいずれかの方法でコマンド・プロシージャを設定できます。

どちらの方法の場合も,各コンピュータはサイト固有の SYSTARTUP プロシージャから共通プロシージャを起動できます。

例: システムの SYS$EXAMPLES ディレクトリに格納されている MSCPMOUNT.COM ファイルは,クラスタ・ディスクをマウントするために一般に使用されるコマンドが格納されているサンプル・コマンド・プロシージャです。この例には,プロシージャの各段階を説明するコメントが含まれています。

6.5.4 ディスクの再構築操作

ファイルが作成または拡張されるときに,ディスク I/O 操作をできるだけ少なくし,パフォーマンスを向上するために, OpenVMS ファイル・システムではあらかじめ割り当てられたファイル・ヘッダとディスク・ブロックのキャッシュが管理されています。

ディスクが不正にディスマウントされると (たとえば,システム障害が発生した場合や, SYS$SYSTEM:SHUTDOWN.COM を実行せずにクラスタから削除された場合),あらかじめ割り当てられているこの領域が一時的に使用できなくなります。ディスクが再びマウントされると, MOUNT はディスクをスキャンしてこの領域を回復します。この処理をディスクの再構築操作と呼びます。

6.5.5 クラスタ・ディスクの再構築

クラスタに接続されていないコンピュータでは,あらかじめ割り当てられた領域を回復するための MOUNT スキャン操作は,単にブート処理を長引かせるだけです。しかし, OpenVMS Cluster システムでは,この操作はクラスタ内のすべてのユーザ・プロセスの応答時間を長引かせる可能性があります。特定のディスクに対してスキャンが実行されている間,そのディスクに対する大部分の動作は実行できません。

注意: 特に,ディスクに多くのファイルが含まれている場合や,ユーザ数が多い場合,ディスク上のファイルに読み込みまたは書き込みを実行しようとしているユーザ・プロセスで数分以上の遅延が発生することがあります。

再構築操作は,OpenVMS Cluster のコンピュータのスタートアップでディスクへのアクセスを遅らせる可能性があるため,クラスタ・ディスクのマウント・プロシージャでは,なるべく /NOREBUILD 修飾子を使用することをお勧めします。 MOUNT/NOREBUILD を指定すると,失われた領域を回復するためにディスクがスキャンされることがないので,コンピュータがディスクをマウントするときに発生する遅延時間を最低限に抑えることができます。

関連項目: システム・ディスクの再構築の詳細については, 第 6.5.6 項 を参照してください。ディスクの再構築およびシステム・ディスクのスループットを向上する方法の詳細については, 第 9.5.1 項 を参照してください。

6.5.6 システム・ディスクの再構築

ほとんどのシステムの動作はシステム・ディスクへのアクセスを必要とするため,システム・ディスクの再構築は特に重要です。システム・ディスクの再構築が実行されている場合,そのディスクを使用するどのコンピュータでも,動作はほとんど実行されません。

他のディスクと異なり,システム・ディスクはブート・シーケンスの初期の段階で自動的にマウントされます。 再構築が必要で,システム・パラメータ ACP_REBLDSYSD の値が 1 の場合は,システム・ディスクはブート・シーケンスで再構築されます (ACP_REBLDSYSD システム・パラメータのデフォルト設定は 1 であり,この値はシステム・ディスクを再構築しなければならないことを指定します)。以下の例外があります。

設定 説明
サテライトでは,ACP_REBLDSYSD パラメータを 0 に設定しなければならない。 このように設定すると,ブート・シーケンスの初期の段階でシステム・ディスクがマウントされるときに,サテライトがシステム・ディスクを再構築しないようにすることができ,サテライトがクラスタに参加するときに,このような再構築によって発生する遅延時間を回避することができる。
ブート・サーバでは,ACP_REBLDSYSD をデフォルト値の 1 に設定しなければならず,ブート・サーバでディスクをマウントするプロシージャでは, /REBUILD 修飾子を使用しなければならない。 このようにすると,ブート・サーバのリブートの時間が長くなる可能性があるが,予想しないシャットダウンが発生した後,システム・ディスクの領域が確実に使用可能になる。

クラスタが起動され,実行された後,システム管理者は失われたディスク領域を回復するために, SET VOLUME/REBUILD コマンドを実行するバッチ・プロシージャをキューに登録することができます。このようなプロシージャは,ディスクへのアクセスがブロックされてもユーザが不便を感じない時刻 (たとえば毎日午前 0 時から午前 6 時の間) に実行できます。 SET VOLUME/REBUILD コマンドは,再構築が必要であるかどうかを判断するので,プロシージャでは,通常マウントされる各ディスクに対してコマンドを実行できます。

推奨: これらのプロシージャを以下のコンピュータで実行すれば,プロシージャの実行時間を短縮し,ディスク・アクセスで発生する遅延時間を短縮することができます。

さらに,それぞれ異なるディスク・セットを再構築するプロシージャを 2 つ以上同時に実行することもできます。

警告: ディスクをマウントするときに,以下の条件のいずれか一方または両方が満たされる場合は,定期的に SET VOLUME/REBUILD コマンドを含むプロシージャを実行して,ディスクを再構築することが重要です。

ディスク・ボリュームを再構築しないと,使用可能な領域が失われ,アプリケーションがファイルを作成および拡張することができなくなることがあります。

6.6 OpenVMS Cluster 全体でのディスクのシャドウイング

ボリューム・シャドウイング (ディスク・ミラーリングとも呼ぶこともあります) は,データを複数のディスクに複製することで,高いデータ可用性を達成します。1 つのディスクで障害が発生しても,他のディスクがアプリケーションおよびユーザ I/O 要求のサービスを続行できます。

6.6.1 目的

Volume Shadowing for OpenVMS ソフトウェアは,シングル・ノードから大規模な OpenVMS Cluster システムに至るまで,すべての OpenVMS 構成にわたってデータ可用性を提供するので,最も必要とされる場所でデータ可用性を提供することができます。

Volume Shadowing for OpenVMS ソフトウェアは, RAID 1 (redundant arrays of independent disks) テクノロジを実装したものです。Volume Shadowing for OpenVMS は,ディスク・デバイス障害が発生しても,システムやアプリケーションの動作が中断されるのを防止します。複数のディスクにデータを複製することで,ボリューム・シャドウイングはメディアの劣化,通信パス障害,コントローラ障害やデバイス障害などによって,ストレージ・サブシステムがシステム全体をダウンさせるようなシングル・ポイント障害になるのを明瞭に防止します。

6.6.2 シャドウ・セット

図 6-9 に示すように,1 つ, 2 つ,または 3 つの互換性のあるディスク・ボリュームをマウントして,シャドウ・セットを作成できます。シャドウ・セット内の各ディスクをシャドウ・セット・メンバと呼びます。 Volume Shadowing for OpenVMS は,シャドウ・セット・デバイスを論理的に結合して, 仮想ユニットと呼ぶ 1 つの仮想デバイスとして表現します。つまり,仮想ユニットによって表されるシャドウ・セットの複数のメンバは,オペレーティング・システムやユーザにとって可用性の高い 1 つのディスクとして認識されます。

図 6-9 3 つのメンバで作成されるシャドウ・セット


6.6.3 I/O 機能

アプリケーションやユーザは,シャドウイングされていない I/O 操作の場合と同じコマンドおよびプログラム言語構文やセマンティックを使用して,シャドウ・セットからデータを読み込んだり,シャドウ・セットにデータを書き込むことができます。システム管理者は,シャドウイングされていないディスクの場合と同じコマンドやユーティリティを使用して,シャドウ・セットの管理と監視を行います。唯一の相違点は,個々のデバイスではなく,仮想ユニットを介してアクセスされるという点です。

関連項目: シャドウイング製品の機能の詳細については,『Volume Shadowing for OpenVMS』を参照してください。

6.6.4 サポートされるデバイス

1 台のワークステーションまたは大規模なデータ・センタに対して,有効なシャドウイング構成は以下のとおりです。

データ・ディスクとシステム・ディスクをシャドウイングすることができます。したがって,システム・ディスクからブートされるシステムにとって,そのディスクがシングル・ポイント障害になることはありません (そのディスクで障害が発生しても,システム全体がダウンすることはありません)。システム・ディスクのシャドウイングは特に, 共通システム・ディスクを複数のコンピュータのブートで使用する OpenVMS Cluster システムで重要です。

Volume Shadowing for OpenVMS では,クォーラム・ディスクのシャドウイングはサポートされません。これは,ボリューム・シャドウイングでは OpenVMS 分散ロック・マネージャが使用されますが,ロックを有効にする前に,クォーラム・ディスクを利用しなければならないからです。

『Volume Shadowing for OpenVMS Software Product Description』 (SPD 27.29.xx) に定義されている有効なディスク構成に含まれていないシャドウ・セット・メンバの場所は特に制限されません。

6.6.5 シャドウ・セットの上限

スタンドアロンまたは OpenVMS Cluster システムで最大 500 のシャドウ・セット (それぞれに 1,2,または 3 メンバが存在) をマウントできます。サポートされるシャドウ・セットの数は,コントローラやデバイスの種類には無関係です。シャドウ・セットはパブリック・ボリュームまたはプライベート・ボリュームとしてマウントできます。

上限を変更する場合は,『Volume Shadowing for OpenVMS Software Product Description』 (SPD 27.29.xx) を参照してください。

6.6.6 シャドウイングされたディスクの分散

シャドウイングはコントローラに依存しない設計であるため,コントローラの接続や OpenVMS Cluster システム内での位置とは無関係に,シャドウ・セットを管理することができ,データ可用性を向上し,非常に柔軟性の高い構成を提供するのに役立ちます。

クラスタ単位のシャドウイングの場合,メンバは OpenVMS Cluster システム内のどこに配置してもかまわず,CI,Ethernet, DSSI,FDDI も含めて,サポートされる OpenVMS Cluster インターコネクトを介して MSCP サーバからサービスを受けることができます。たとえば,FDDI を使用する OpenVMS Cluster システムは,最大 40 キロメートル離れた場所に設置することができ,この結果,システムの可用性とディザスタ・トレランス機能をさらに向上できます。

図 6-10 は,シャドウ・セット・メンバ・ユニットを,異なるノードにあるローカル・コントローラとオンライン接続する方法を示しています。この図で,ディスク・ボリュームは ATABOY および ATAGRL のそれぞれにローカルです。 MSCP サーバは Ethernet を介してシャドウ・セット・メンバにアクセスする機能を提供します。ディスク・ボリュームは各ノードにローカルですが,ディスクは同じシャドウ・セットのメンバです。あるノードにローカルなメンバ・ユニットは,MSCP サーバを介してリモート・ノードからアクセスできます。

図 6-10 MSCP サーバを経由してアクセスされるシャドウ・セット


OpenVMS Cluster システムでマウントされるシャドウ・セットの場合,クラスタ内のあるノードでシャドウ・セットをマウントまたはディスマウントしても,システムの他のノードで実行されているアプリケーションやユーザ機能には影響ありません。たとえば,OpenVMS Cluster システムのあるノードから仮想ユニットをディスマウントしても,マウントされている他のノードでは,シャドウ・セットは動作を続行します。

シャドウ・セットに関するその他の注意事項:


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