Compaq OpenVMS Alpha
オペレーティング・システム
パーティショニングおよび Galaxy ガイド


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第 8 章
AlphaServer ES40 システムでの OpenVMS Galaxy の構築

この章では,AlphaServer ES40 システムで OpenVMS Galaxy コンピューティング環境を構築するための要件と手順について説明します。

この章には,当初は OpenVMS Alpha VMS721_DS20E_ES40 修正キットに含まれていた手順の改訂版が含まれています。

AlphaServer ES40 システムで OpenVMS Galaxy を構築するには,次の手順に従います。

  1. 第 8.1 節 に記載された,構成とハードウェアの要件を読みます。

  2. 第 8.2 節 から 第 8.6 節 までの手順を実行します。

8.1 コンピューティング環境を構築する前に

AlphaServer ES40 の構成およびハードウェアに関して,次の要件を十分理解しておく必要があります。

最大 2 つのインスタンス

AlphaServer ES40 では,OpenVMS のインスンタスを最大 2 つ実行できます。

コンソール・ファームウェア

AlphaServer ES40 システムで OpenVMS Galaxy 環境を構築するには,次の場所から V5.6-xx コンソール・ファームウェアの最新バージョンをダウンロードしなければなりません。


 
http://ftp.digital.com/pub/DEC/Alpha/firmware/ 

AlphaServer ES40 のクロック

AlphaServer ES40 には 1 つのクロックがあります。OpenVMS Galaxy の場合,これは 2 つのインスタンスを異なる時刻に実行できないことを意味します。また,SET TIME コマンドは両方のインスタンスに影響します。しかし,かなり時間が経過するまで,これが明らかにならない可能性があります。

コンソール・ポート

ラック・マウント・システムの場合:
COM1 (下) はインスタンス 0 のコンソール・ポートです。
COM2 (上) はインスタンス 1 のコンソール・ポートです。

ペデスタル・システムの場合:
COM1 (左) はインスタンス 0 のコンソール・ポートです。
COM2 (右) はインスタンス 1 のコンソール・ポートです。

AlphaServer 8400 で OpenVMS Galaxy を構築する場合と異なり, 2 つ目のコンソール用に追加ハードウェアは必要ありません。この目的で COM2 が使用されます。

CPU

CPU0 はインスタンス 0 のプライマリでなければなりません。
CPU1 はインスタンス 1 のプライマリでなければなりません。
CPU2 と 3 はオプションのセカンダリ CPU であり,マイグレードすることができます。

AlphaServer ES40 における CPU 環境変数の設定例については, 第 8.5 節 を参照してください。

I/O アダプタ

ラックマウント・システムの場合:
PCI Hose 0 (PCI0) はインスタンス 0 に属しています (上の 4 つの PCI スロット)。
PCI Hose 1 (PCI1) はインスタンス 1 に属しています (下の 6 つの PCI スロット)。

ペデスタル・システムの場合:
PCI Hose 0 (PCI0) はインスタンス 0 に属しています (右側のスロット)
PCI Hose 1 (PCI1) はインスタンス 1 に属しています (左側のスロット)

PCI0 には内蔵型の ISA コントローラがあります。

I/O アダプタの構成例については, 第 8.2 節 を参照してください。

ストレージ・コントローラ

インスタンスごとに 1 つのストレージ・コントローラ (KZPSA など) が必要です。それぞれのインスタンスに対して,コントローラは個別の StorageWork ボックスに収納することができ,SCSI クラスタとして稼動するために,同じボックスに収納することもできます。

ネットワーク・カード

各インスタンスでネットワーク・アクセスが必要な場合は,各インスタンスに対してネットワーク・カード (DE600 など) が必要です。

カードは 1 枚ずつ,PCI0 と PCI0 に接続されます。

メモリ分割に関する制限事項

プライベート・メモリは 64MB 境界から開始しなければなりません。

共用メモリは 8MB 境界から開始しなければなりません。

インスタンス 0 は 64MB の倍数でなければなりません。

8.2 ステップ 1: AlphaServer ES40 構成を確かめる

SHOW CONFIG コマンドを使用して,OpenVMS Galaxy 環境を構築するために使用する AlphaServer ES40 が, 第 8.1 節 で説明した要件を満たしているかどうか確認します。

コンソール・プロンプトに対して次のコマンドを入力します。


P00>>>show config 

コンソールには次の例のような情報が表示されます。


Firmware 
SRM Console:    X5.6-2323 
ARC Console:    v5.70 
PALcode:        OpenVMS PALcode V1.61-2, Tru64 UNIX PALcode V1.54-2 
Serial Rom:     V2.2-F 
RMC Rom:        V1.0 
RMC Flash Rom:  T2.0 
 
Processors 
CPU 0           Alpha 21264-4 500 MHz  4MB Bcache 
CPU 1           Alpha 21264-4 500 MHz  4MB Bcache 
CPU 2           Alpha 21264-4 500 MHz  4MB Bcache 
CPU 3           Alpha 21264-4 500 MHz  4MB Bcache 
 
Core Logic 
Cchip           DECchip 21272-CA Rev 9(C4) 
Dchip           DECchip 21272-DA Rev 2 
Pchip 0         DECchip 21272-EA Rev 2 
Pchip 1         DECchip 21272-EA Rev 2 
TIG             Rev 10 
 
Memory 
  Array       Size       Base Address    Intlv Mode 
---------  ----------  ----------------  ---------- 
    0       4096Mb     0000000000000000    2-Way 
    1       4096Mb     0000000100000000    2-Way 
    2       1024Mb     0000000200000000    2-Way 
    3       1024Mb     0000000240000000    2-Way 
 
     10240 MB of System Memory 
 
 Slot   Option                  Hose 0, Bus 0, PCI 
   1    DAPCA-FA ATM622 MMF 
   2    DECchip 21152-AA                                Bridge to Bus 2, PCI 
   3    DEC PCI FDDI            fwb0.0.0.3.0            00-00-F8-BD-C6-5C 
   4    DEC PowerStorm 
   7    Acer Labs M1543C                                Bridge to Bus 1, ISA 
  15    Acer Labs M1543C IDE    dqa.0.0.15.0 
                                dqb.0.1.15.0 
                                dqa0.0.0.15.0           TOSHIBA CD-ROM XM-6302B 
  19    Acer Labs M1543C USB 
 
        Option                  Hose 0, Bus 1, ISA 
        Floppy                  dva0.0.0.1000.0 
 
 Slot   Option                  Hose 0, Bus 2, PCI 
   0    NCR 53C875              pkd0.7.0.2000.0         SCSI Bus ID 7 
   1    NCR 53C875              pke0.7.0.2001.0         SCSI Bus ID 7 
                                dke100.1.0.2001.0       RZ1BB-CS 
                                dke200.2.0.2001.0       RZ1BB-CS 
                                dke300.3.0.2001.0       RZ1CB-CS 
                                dke400.4.0.2001.0       RZ1CB-CS 
   2    DE500-AA Network Con    ewa0.0.0.2002.0         00-06-2B-00-0A-58 
 
 Slot   Option                  Hose 1, Bus 0, PCI 
   1    NCR 53C895              pka0.7.0.1.1            SCSI Bus ID 7 
                                dka100.1.0.1.1          RZ2CA-LA 
                                dka300.3.0.1.1          RZ2CA-LA 
   2    Fore ATM 155/622 Ada 
   3    DEC PCI FDDI            fwa0.0.0.3.1            00-00-F8-45-B2-CE 
   4    QLogic ISP10x0          pkb0.7.0.4.1            SCSI Bus ID 7 
                                dkb100.1.0.4.1          HSZ50-AX 
                                dkb101.1.0.4.1          HSZ50-AX 
                                dkb200.2.0.4.1          HSZ50-AX 
                                dkb201.2.0.4.1          HSZ50-AX 
                                dkb202.2.0.4.1          HSZ50-AX 
   5    QLogic ISP10x0          pkc0.7.0.5.1            SCSI Bus ID 7 
                                dkc100.1.0.5.1          RZ1CB-CS 
                                dkc200.2.0.5.1          RZ1CB-CS 
                                dkc300.3.0.5.1          RZ1CB-CS 
                                dkc400.4.0.5.1          RZ1CB-CS 
   6    DECchip 21154-AA                                Bridge to Bus 2, PCI 
 
 Slot   Option                  Hose 1, Bus 2, PCI 
   4    DE602-AA                eia0.0.0.2004.1         00-08-C7-91-0A-AA 
   5    DE602-AA                eib0.0.0.2005.1         00-08-C7-91-0A-AB 
   6    DE602-TA                eic0.0.0.2006.1         00-08-C7-66-80-9E 
   7    DE602-TA                eid0.0.0.2007.1         00-08-C7-66-80-5E 
 

8.3 ステップ 2: OpenVMS Alpha バージョン 7.3 をインストールする

OpenVMS Galaxy ソフトウェアを実行するために,特別なインストール手順は必要ありません。Galaxy 機能は基本オペレーティング・システムに組み込まれており,この章で後述するコンソール・コマンドとシステム・パラメータ値を使用して,有効または無効に設定することができます。

AlphaServer ES40 が SCSI クラスタに属していない場合は,各インスタンスに対して 1 つずつ,2 つのシステム・ディスクに OpenVMS バージョン 7.3 をインストールしなければなりません。

AlphaServer ES40 がクラスタで共通のシステム・ディスクを持つ SCSI クラスタの一部である場合は,1 つのシステム・ディスクに OpenVMS バージョン 7.3 をインストールします。

OpenVMS Alpha オペレーティング・システムのインストールの詳細については,『OpenVMS Alpha Version 7.3 Upgrade and Installation Guide』を参照してください。

8.4 ステップ 3: ファームウェアをアップグレードする

ファームウェアのアップグレードには,次の手順のいずれかを使います。

AlphaServer ES40 にアクセス可能である,MOP が有効になったサーバの MOM$SYSTEM にファームウェア・ファイルをコピーします。コンソールから次のコマンドを入力します。


P00>>> boot -fl 0,0 ewa0 -fi {firmware filename} 
UPD> update srm* 
<power-cycle system> 

あるいは,次のコマンドを使います。


P00>>> BOOT -FLAGS 0,A0 cd_device_name 
. 
. 
. 
Bootfile: {firmware filename} 
. 
. 
. 

8.5 ステップ 4: 環境変数の設定

インスタンス 0 に対してプライマリ・コンソールを構成します。

CPU0 はインスタンス 0 のプライマリです。 CPU1 はインスタンス 1 のプライマリです。

次の例は CPU 3 つと 256 MB + 192 MB + 64 MB に分割された 512 MB のメモリを装備した AlphaServer ES40 の場合の例です。


P00>>> set  lp_count            2 
P00>>> set  lp_cpu_mask0        1 
P00>>> set  lp_cpu_mask1        6 
P00>>> set  lp_io_mask0         1 
P00>>> set  lp_io_mask1         2 
P00>>> set  lp_mem_size0        10000000 
P00>>> set  lp_mem_size1        c000000 
P00>>> set  lp_shared_mem_size  4000000 
P00>>> set  console_memory_allocation new 
P00>>> set auto_action halt 

CPU が 4 つあり,すべてのセカンダリ CPU をインスタンス 1 に割り当てる場合は, LP_CPU_MASK1 変数が E になります。2 つのインスタンスで CPU を分割する場合は, CPU 0 がインスタンス 0 のプライマリ CPU になり,CPU 1 がインスタンス 1 のプライマリ CPU にならなければなりません。

次の例は,セカンダリ CPU 2 をプライマリ CPU 0 に割り当て,セカンダリ CPU 3 をプライマリ CPU 1 に割り当てる LP_CPU_MASK 値を示しています。


 
>>>set lp_cpu_mask0 5 
>>>set lp_cpu_mask1 A 
 
 
CPU Selection                         LP_CPU_MASK 
              
0(primary partition 0)                2^0 =   1 
1(primary partition 1)                2^1 =   2 
2(secondary)                          2^2 =   4 
3(secondary)                          2^3 =   8 

mem_size 変数は,システム構成とメモリの分割方法に応じて異なります。

lp_io_mask0 は 1 に設定しなければなりません。
lp_io_mask1 は 2 に設定しなければなりません。

コンソール環境変数 AUTO_ACTION は HALT に設定しなければなりません。これにより,システムはブートされず,LPINIT コマンドを入力できるようになります。

8.6 ステップ 5: システムを初期化し,コンソール装置を起動する

  1. 次のコマンドを入力して,システムを初期化し,Galaxy ファームウェアを起動します。


    P00>>> init      ! initialize the system 
    P00>>> lpinit    ! start firmware 
    


    自己診断テストを完了した後,Galaxy コマンドはインスタンス 1 でコンソールを起動します。
    I/O バスが 2 つの Galaxy パーティション間で分割される場合は,装置のポート名が変化することに注意してください。たとえば,AlphaServer ES40 がシングル・システムの場合に,DKC300 として指定されるディスクは,OpenVMS Galaxy のパーティション 0 として構成した場合は,DKA300 になります。

  2. インスタンス 1 のコンソールを構成します。

  3. システム・ルート,ブート装置,他の関連変数を構成します。
    次の設定例は OpenVMS Engineering システムの場合の例です。それぞれの環境の要件に適合するように,これらの変数は適宜変更してください。


          Instance 0 
    P00>>> set boot_osflags 12,0  
    P00>>> set bootdef_dev dka0  
    P00>>> set boot_reset off             !!! must be OFF !!! 
    P00>>> set ewa0_mode twisted 
     
     
          Instance 1 
    P01>>> set boot_osflags 11,0 
    P01>>> set bootdef_dev dkb200 
    P01>>> set boot_reset off             !!! must be OFF !!! 
    P01>>> set ewa0_mode twisted 
    

  4. 次のように,インスタンス 1 をブートします。


    P01>>> boot 
    


    インスタンス 1 がブートされた後,システム・アカウントにログインし, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに次の行を挿入します。


    GALAXY=1 
    


    SCSNODE パラメータと SCSSYSTEMID SYSGEN パラメータが正しいことを確認してください。次のように AUTOGEN を実行して,インスタンス 1 を Galaxy メンバとして構成し,システムを停止したままの状態にします。


    $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SHUTDOWN INITIAL 
    

  5. 次のように,インスタンス 0 をブートします。


    P00>>> boot 
    


    インスタンス 0 がブートされた後,システム・アカウントにログインし, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに次の行を追加します。


    GALAXY=1 
    


    SCSNODE パラメータと SCSSYSTEMID SYSGEN パラメータが正しいことを確認してください。次のように AUTOGEN を実行して,インスタンス 0 を Galaxy メンバとして構成し,システムを停止したままの状態にします。


    $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SHUTDOWN INITIAL 
    

  6. 初期化またはシステムの電源投入で自動的に起動されるように,Galaxy を準備します。両方のインスタンスで AUTO_ACTION 環境変数を RESTART に設定します。


    P00>>> set auto_action restart 
     
    P01>>> set auto_action restart 
    

  7. プライマリ・コンソールから次のコマンドを入力して,Galaxy を再び初期化します。


    P00>>> init 
     
    


    コンソールに次の確認メッセージが表示されたら,Y と入力します。


    Do you REALLY want to reset all partitions? (Y/N) 
    


    また,システムの電源をいったんオフにした後,オンにすることもできます。このようにすると,両方のインスタンスで Galaxy が自動的にブートストラップされます。

操作はこれで終了です。AlphaServer ES40 システムに OpenVMS Galaxy が構築されました。


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