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Compaq C RTL では, open*または creat呼び出しに "shr=del,get,put,upd" オプションが指定されているかのように,共用アクセスのためにすべてのファイルをオープンできるようになりました。
この機能を有効にするには,論理名 DECC$FILE_SHARING の値を "ENABLE" として定義します。値の大文字と小文字は区別されません。
DECC$FILE_SHARING はファイルごとにチェックされるのではなく,イメージを起動するたびに 1 回だけチェックされます。
5.4.6 UNIX ファイル指定の変換方法の変更
Compaq C RTL では,UNIX 形式のファイル指定の先頭の部分をサブディレクトリまたはデバイス名として解釈できるようになりました。
デフォルト設定では,UNIX 形式の "foo/bar" という名前は VMS 形式の "foo:bar" という名前に変換されます。
"foo/bar" という UNIX 形式の名前を "[.foo]bar" という VMS形式の名前に変換するには,論理名 DECC$DISABLE_TO_VMS_LOGNAME_TRANSLATION を "ENABLE" に定義します。
DECC$DISABLE_TO_VMS_LOGNAME_TRANSLATION はファイルごとにチェックされるのではなく,イメージを起動するたびに 1 回だけチェックされます。
5.4.7 新しい関数
OpenVMS バージョン 7.3 では,Compaq C RTL に次の関数が追加されました。
fchown link utime utimes writev |
5.5 64 ビット・アドレスに対する Fortran のサポート (Alpha)
OpenVMS Alpha では,Fortran 開発者が 64 ビット・アドレス空間で静的データを使用できるようにするためのサポートが追加されました。
この機能の使い方の詳細については,Fortran のドキュメントを参照してください。
5.6 大きなページ・ファイル・セクション (Alpha)
ページ・ファイル・セクションは,メモリのプライベート・セクションまたはグローバル (共用)・セクションに一時データを格納するために使用されます。OpenVMS Alpha の以前のリリースでは,ページ・ファイルにバックアップすることのできる最大データ容量は,プロセスごとに 32 GB (4 つのプロセス・ページ・ファイル,各ファイルは 8 GB),システムごとに 504 GB (63 のページ・ファイル,各ファイルは 8 GB) でした。
OpenVMS Alpha バージョン 7.3 では,ページ・ファイル・セクションに関するこれまでの上限が大幅に拡大され,大きな物理メモリを利用できるようになりました。64 ビット・アドレッシングを利用するイメージは,システムで使用できる物理メモリ容量より大きい動的仮想メモリをマップし,アクセスできるようになりました。
新しい設計では,プロセスが追加ページ・ファイル領域を必要とする場合,ページ・ファイルを動的に割り当てることができます。領域が別のページ・ファイルに予約されるわけではなく,最初に割り当てられたページ・ファイルにページが拘束されることもありません。変更されたページを書き戻さなければならない場合,使用可能な最適なページ・ファイルに書き込まれます。
各ページ・ファイルまたはスワップ・ファイルには,約 1600 万ページ (128 GB) を格納でき,最大 254 のページ・ファイルまたはスワップ・ファイルをインストールできます。 128 GB より大きいファイルは複数のファイルとしてインストールされます。
次の DCL コマンドで表示される情報では,ページ・ファイル・セクションのサイズが拡大された結果,メモリの割り当ておよびシステム・パラメータがどのように変化したかを反映しています。
$ SHOW MEMORY/FILES System Memory Resources on 22-MAY-2000 19:04:19.67 Swap File Usage (8KB pages): Index (1) Free Size DISK$ALPHASYS:[SYS48.SYSEXE]SWAPFILE.SYS 1 904 904 DISK$SWAP:[SYS48.SYSEXE]SWAPFILE.SYS;1 2 1048 1048 Total size of all swap files: 1952 Paging File Usage (8KB pages): Index (2) Free Size DISK$PAGE:[SYS48.SYSEXE]PAGEFILE.SYS;1 253 16888 16888 DISK$ALPHASYS:[SYS48.SYSEXE]PAGEFILE.SYS 254 16888 16888 Total size of all paging files: 33776 Total committed paging file usage: (3) 1964 |
$ SHOW MEMORY/FILES/FULL System Memory Resources on 22-MAY-2000 18:47:10.21 Swap File Usage (8KB pages): Index Free Size DISK$ALPHASYS:[SYS48.SYSEXE]SWAPFILE.SYS 1 904 904 Paging File Usage (8KB pages): Index Free Size DISK$ALPHASYS:[SYS48.SYSEXE]PAGEFILE.SYS 254 16888 16888 Total committed paging file usage: 1960 |
新しい Multipath システム・サービスを使用すると,パス情報を返すことができ,任意のデバイスに対して特定の I/O パスを有効または無効に設定したり,切り換えることができます。
ストレージ・デバイスに対して複数の I/O パスを持つという概念は, OpenVMS バージョン 7.2-1 で導入されました。現在は,使用中のパスで障害が発生したときに,デバイスに対して複数の I/O パスを選択できるようになりました。
システムの I/O 構造を構成するときの判断に役立つように,次の DCL コマンドが追加され,I/O パス情報を表示し,これらのパスに影響する現在の設定を変更できるようになりました。
OpenVMS バージョン 7.3 では,パス情報を返す機能と,任意のデバイスへの特定の I/O パスを有効または無効に設定する機能および切り換える機能が,次の新しいシステム・サービスで提供されるようになりました。
このサービスは,特定のマルチパス I/O デバイスのパス情報を返します。このサービスを呼び出すたびに,デバイスのパスの中から 1 つのパスの名前が返されます。context 引数は,呼び出し間の連続性を維持するために使用されます。この機能は SYS$GETDVI で現在使用されている機能によく似ています。
このサービスは,デバイスに対する I/O を取り扱う特定のパスを切り換えたり,将来,フェールオーバが発生したときに使用するためにパスを有効または無効に設定するために使用します。パスを切り換える場合,パスの変更は,システム・サービスによって要求が出されたときに開始されます。
このサービスには現在,パスをただちに切り換える機能と,パスを有効または無効に設定する機能が含まれています。
このサービスの同期バージョンである SYS$SET_DEVICEW も提供されます。SYS$SET_DEVICEW サービスは,パスの切り換えが行われた後,呼び出し側に制御を戻します。パスの切り換えが失敗した場合,エラー条件が呼び出し側に返されます。
現在,$SET_DEVICE では有効なアイテム・リスト・エントリは 1 つだけ指定できます。
詳細については,『OpenVMS System Services Reference Manual』を参照してください。
5.8 マルチプロセスのデバッグ (Alpha)
バージョン 7.3 では,マルチプロセス・プログラムに対するデバッガのサポート機能が広範囲にわたって強化されました。これまでの問題点が解決され,ユーザ・インタフェースが向上しました。
マルチプロセス・デバッグでは,次の機能が強化されました。
プロセス (またはプロセス・グループ) の実行プロセス (またはプロセス・グループ) の一時停止
プロセス (またはプロセス・グループ) の終了 (終了ハンドラの実行あり,または実行なし)
これらの機能強化により,マルチプロセス・プログラムのデバッグが従来よりはるかに簡単になりました。
5.9 Performance Application Programming Interface (API)
Performance Application Programming Interface (API) では,ドキュメントに記載されている機能を備えたインタフェース ($GETRMI システム・サービス) が提供されるようになりました。その結果,パフォーマンス・ソフトウェア・エンジニアは,あらかじめ定義されているパフォーマンス・データ・アイテムのリストにアクセスできるようになりました。
$GETRMI の詳細については,『OpenVMS System Services Manual』を参照してください。
5.10 POLYCENTER Software Installation ユーティリティの機能の強化
表 5-1 は,POLYCENTER Software Installation ユーティリティの PDL (product description language: 製品記述言語) の変更点を示しています。
文 | 説明 |
---|---|
execute upgrade | 新しい文。 |
execute postinstall | 再構成操作で実行できるように変更されました。 |
file
module |
競合の検出/解決アルゴリズムの機能が向上しました。たとえば,すでにインストールされているファイルと同じ 0 以外の世代番号がキット内のファイルに含まれている場合は,キットのファイルが選択され,ディスク上のファイルと置換されます。以前のリリースでは,このような状況が発生した場合,競合を解決するために,ディスク上のファイルが保持されていました。 |
bootstrap block
execute release patch image patch text |
この文はサポートされなくなりました。しかし,これらの文を使用している可能性のある既存のキットをサポートするために,ユーティリティは下位互換性を維持し,今後もこれらの文を処理します。 |
関数 | 説明 |
upgrade | バージョンの範囲チェックを完全にサポートするように強化されました。 |
『POLYCENTER Software Installation Utility Developer's Guide』は,このリリースで広範囲にわたって変更されています。主な変更点は次のとおりです。
OpenVMS バージョン 7.3 では,ダンプ・ファイルを処理するために新しいツールが提供されるようになりました。これらの新しい形式のプロセス・ダンプおよびプロセス・ダンプ分析ツールは,以前のスタイルのプロセス・ダンプと互換性がありません。つまり,新しいツールを使用して問題を分析する場合,新しいプロセス・ダンプ・イメージを使用して新しいプロセス・ダンプを生成しなければなりません。
ここでは,この新しいツールについて説明します。
5.11.1 DCL ANALYZE/PROCESS_DUMP コマンド
DCL の ANALYZE/PROCESS_DUMP コマンドは,OpenVMS デバッガを起動し,プロセス・ダンプを分析します。このコマンドを使用すると,分析のためにデバッガ・コマンドを使用できるようになります。 OpenVMS バージョン 7.3 では,以前の DCL ANALYZE/PROCESS_DUMP コマンドの修飾子の大部分は効果がなくなりました。ただし,/FULL 修飾子と /IMAGE 修飾子だけは現在も有効です。これらの修飾子はどちらも任意に指定できます。
/FULL 修飾子を指定すると,プロセス・ダンプ・ファイルがオープンされた後,デバッガはデバッガの SHOW IMAGE コマンド, SHOW CALL コマンド,SHOW THREAD/ALL コマンドを実行します。
以前の /IMAGE 修飾子は,名前が /IMAGE_PATH 修飾子に変更され,ファイル指定ではなく,ディレクトリ指定として使用されるようになりました。/IMPAGE_PATH は,プロセス・ダンプ・ファイルが属しているデバッグ・シンボル情報ファイルを検索するディレクトリ (.DSF または .EXE ファイル) を指定します。シンボル・ファイルの名前は,プロセス・ダンプ・ファイルのイメージ名と同一で なければなりません。たとえば,MYIMAGE.DMP の場合,デバッガはファイル MYIMAGE.DSF または MYIMAGE.EXE を検索します。
バージョン 7.3 以降のデバッガでは,ダンプ・ファイル・イメージ指定と DST ファイル・リンクの日時の不一致がチェックされ,そのような不一致が検出された場合,警告が出力されます。
DCL ANALYZE/PROCESS_DUMP コマンドの詳細については,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ: A--M』を参照してください。
5.11.2 デバッガの ANALYZE/PROCESS_DUMP コマンド
デバッガに次の新しいコマンドが追加されました。
ANALYZE/PROCESS_DUMP/IMAGE_PATH[=directory-spec] dumpfile |
このコマンドは保持デバッガでのみ使用できます。保持デバッガは, DEBUG/KEEP コマンドを使用して起動するイメージであり,同じデバッグ・セッションからプログラムの実行と再実行が可能です。
修飾子 /PROCESS_DUMP は必須です。
詳細については,『Compaq OpenVMS デバッガ説明書』を参照してください。
5.11.3 デバッガ SDA コマンド
デバッガの新しい SDA コマンドは,System Dump Analyzer (SDA) を起動して,OpenVMS デバッガの内部からプロセス・ダンプを確認できるようにします。次の例を参照してください。
DBG> SDA OpenVMS (TM) Alpha process dump analyzer SDA> .. . . SDA> EXIT DBG> |
この結果,デバッガ・セッションを終了せずに,SDA を使用してプロセス・ダンプを分析できるようになります。
詳細については,『Compaq OpenVMS デバッガ説明書』を参照してください。
5.11.4 異なるシステムでのプロセス・ダンプの分析
プロセス・ダンプ・ファイルが作成されたシステムと別のシステムで,そのファイルを分析することができます。しかし,ダンプ・ファイルを作成したシステムと分析するシステムとの間でベース・イメージ・リンクの日時が一致しない場合,ファイルを作成したシステムから SYS$BASE_IMAGE.EXE をコピーし, SDA$READ_DIR 論理名を使用して,そのコピーをポイントするようにしなければなりません。次の例を参照してください。
$ COPY other_node::SYS$LOADABLE_IMAGES:SYS$BASE_IMAGE.EXE my_disk$:[my_dir] $ DEFINE/USER SDA$READ_DIR my_disk$:[my_dir],SYS$SYSROOT:[SYS$LDR],SYS$SYSROOT:[SYSLIB] $ ANALYZE/PROCESS_DUMP mycrash.dmp |
プロセス・ダンプが作成されたシステムと異なるシステムでスレッド・プロセス・タンプの分析を行う場合,ファイルを作成したシステムの PTHREAD$RTL および PTHREAD$DBGSHR (POSIX Threads Library デバッグ・アシスタント) をコピーし,論理的にポイントするようにしなければなりません。次の例を参照してください。
$ COPY other_node::SYS$LOADABLE_IMAGES:SYS$BASE_IMAGE.EXE my_disk$:[my_dir] $ COPY other_node::SYS$SHARE:PTHREAD$RTL.EXE my_disk$:[my_dir] $ COPY other_node::SYS$SHARE:PTHREAD$DBGSHR.EXE my_disk$:[my_dir] $ DEFINE/USER SDA$READ_DIR my_disk$:[my_dir],SYS$SYSROOT:[SYS$LDR],SYS$SYSROOT:[SYSLIB] $ DEFINE/USER PTHREAD$RTL my_disk$:[my_dir]PTHREAD$RTL.EXE $ DEFINE/USER PTHREAD$DBGSHR my_disk$:[my_dir]PTHREAD$DBGSHR.EXE $ ANALYZE/PROCESS_DUMP mycrash.dmp |
DCL コマンド SET PROCESS/DUMP=NOW process-spec を使用すると,プロセス・ダンプを強制的に実行できます。このコマンドを使用すると,process-spec によって指定されるプロセスが使用しているアドレス空間の内容が,現在のディレクトリの image-name.DMP という名前のファイルにただちに書き込まれます (image-name はファイル名と同じです)。
DCL SET PROCESS/DUMP コマンドの詳細については,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ: N--Z』を参照してください。
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