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次のように,SDA プロンプトから CLUE コマンドを呼び出します。
SDA> CLUE CONFIG |
CLUE コマンドは,ダンプ・ファイルから取得したクラッシュ・ダンプの要約情報を提供します。クラッシュ・ダンプを会話形式でデバッグするとき, SDA CLUE コマンドを使って,ダンプ・ファイルから取得情報を収集およびデコードすることができます。このファイルは標準の SDA からでは簡単にアクセスすることができません。一方, CLUE は詳細な XQP 要約を即座に提供します。
実行中のシステム上で CLUE コマンドを会話形式で使用して,性能問題を識別することも可能です。
クラッシュ・ダンプを分析するときは,すべての CLUE コマンドが使用できます。しかし,実行中のシステムを分析するときには, CLUE コマンドの CLUE CRASH,CLUE ERRLOG,CLUE HISTORY,および CLUE STACK は使用できません。
SDA CLUE コマンドの使用について詳しくは,『OpenVMS Alpha System Analysis Tools Manual』を参照してください。
16.9.3 ダンプ・オフ・システム・ディスクと SDA CLUE の使用 (Alpha のみ)
ダンプ・オフ・システム・ディスク (DOSD)によって,システム・ダンプ・ファイルをシステム・ディスク以外の装置に書き出すことができます。システム・クラシュが発生したあと,SDA CLUE が解析するダンプ・ファイルを正しくみつけるために,次の操作を実行します。
次の例では,ダンプ・ファイルは装置 $3$DUA25 にあり,ラベルは DMP$DEVです。次のコマンドを SYS$MANAGER:SYCONFIG.COM に追加しておく必要があります。
$mount/system/noassist $3$dua25: dmp$dev dmp$dev $define/system clue$dosd_device dmp$dev |
16.10 CLUE を使用して,クラッシュ・ダンプに関する履歴情報を得る方法 (VAX のみ)
VAX システムにおいて,クラッシュ・ログ・ユーティリティ・エキストラクタ (CLUE) は,
クラッシュ履歴ファイル の内容を表示するために使用できるツールです。クラッシュ履歴ファイルの内容を調べることにより,障害 (クラッシュ) の原因となった問題を理解して解決することができる場合があります。また,場合によってはその他の有用なデータを得ることもできます。
16.10.1 CLUE について (VAX のみ)
クラッシュ履歴ファイルは,CLUE により作成,更新されるもので,主なパラメータはクラッシュ・ダンプ・ファイルからとります。システムの障害が発生するたびに書き換えられ,そのため,通常は最も新しい障害に対してしか使用できないクラッシュ・ダンプとは異なり,クラッシュ履歴ファイルはシステム障害の永久的な記録です。
システムに障害が発生し,物理メモリがクラッシュ・ダンプ・ファイルにコピーされると,CLUE はシステムのリスタート時,関連するパラメータを自動的にファイル CLUE$OUTPUT:CLUE$HISTORY.DATA に付加します。ここでは,CLUE を使用して収集したデータを CLUE を使って表示する方法について説明します。CLUE については,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
履歴ファイルは各エントリごとに通常 10 から 15 ブロックほどの割合で大きくなっていきます。バイナリ・ファイル内のエントリ数は,論理名 CLUE$MAX_ENTRIES を必要な最大数になるように定義することにより,制限することができます。この最大数に達すると,最も古いエントリが履歴ファイルから削除されます。 省略時の設定では,オペレータによるシャットダウンは履歴ファイルに記録されます。論理名 CLUE$EXCLUDE_OPERS を TRUE として定義することにより,オペレータによるシャットダウンに関する情報を履歴ファイルから削除することができます。たとえば, SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM に次の行を含めます。
|
CLUE を使用してデータを表示するには,まず,次のシンボルを定義する必要があります。
$ CLUE :== $CLUE |
シンボルを定義したら,次のコマンドを入力することにより, CLUE を使って情報を表示することができます。
$ CLUE/DISPLAY CLUE_DISPLAY> |
プロンプト CLUE_DISPLAY> に対してコマンドを発行し,次の作業を行うことができます。
CLUE_DISPLAY> DIRECTORY |
CLUE_DISPLAY> SHOW ALL 7 |
CLUE_DISPLAY> EXTRACT 7/OUTPUT=15MAYCRASH.TXT |
CLUE コマンドについては,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
16.11 システム障害後のシステム・ダンプ・ファイルの内容の保存
システム障害が発生すると,クラッシュ・ダンプ・ファイルの内容は上書きされ,以前の内容が失われます。したがって,システムを再ブートするたびに,システム・ダンプ・ファイルを自動的に分析し,コピーするように設定しておく必要があります。
Alpha システムでは,スタートアップ時に SDA が呼び出され(省略時の設定), CLUE リスト・ファイルが作成されます。 CLUE リスト・ファイルは一連のコマンドで作成され,クラッシュの概要だけが含まれます。クラッシュの原因を決定するのに十分な情報を持っていません。したがって,常にダンプ・ファイルをコピーしておくことをおすすめします。
ユーザのサイト別コマンド・プロシージャに,システム障害後のスタートアップ時に実行させるコマンド(SDA COPY など)を追加する方法については,『OpenVMS Alpha System Analysis Tools Manual』を参照してください。
VAX システムでは,システムのブート時にシステム・ダンプ分析ユーティリティ (SDA) を呼び出すように,サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ SYSTARTUP_VMS.COM を変更します。
次の点に注意してください。
この例では,SDA の COPY コマンドを使って SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS ファイルの内容を保存し,そのファイルを分析しています。ダンプで使用されるページ・ファイルは COPY コマンドが完了するとすぐに解放され,別の SDA コマンドが実行される前にページングに使用されることがあるため,この COPY コマンドは最終コマンドになることに注意してください。
$ ! $ ! Print dump listing if system just failed $ ! $ ANALYZE/CRASH_DUMP SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS SET OUTPUT DISK1:SYSDUMP.LIS ! Create listing file READ/EXECUTIVE ! Read in symbols for kernel SHOW CRASH ! Display crash information SHOW STACK ! Show current stack SHOW SUMMARY ! List all active processes SHOW PROCESS/PCB/PHD/REG ! Display current process COPY SYS$SYSTEM:SAVEDUMP.DMP ! Save system dump file EXIT $ SET FILE/NOBACKUP SYS$SYSTEM:SAVEDUMP.DMP |
16.12 システム・ダンプ・ファイルをテープまたはディスクへコピーする
システム障害が発生した場合は,システム・ダンプ・ファイルの内容のコピーを作成して,弊社のサポート担当者にお知らせください。バックアップ・ユーティリティ (BACKUP) を使用すると,システム・ダンプ・ファイルを含むセーブ・セットを,磁気テープまたはディスクに作成できます。ただし,BACKUP を使用してシステム・ダンプ・ファイルをコピーする場合は,次の理由から, /IGNORE=(NOBACKUP,INTERLOCK) 修飾子を指定する必要があります。
BACKUP の使用方法については, 第 11 章 を参照してください。また,BACKUP コマンドについては,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の BACKUP の節を参照してください。
システム・ダンプ・ファイルをコピーする場合は,できるだけ次の手順に従ってください。
この方法で行えば,BACKUP の修飾子による問題を回避できます。また SDA COPY コマンドは,実際に使用されているブロックだけをシステム・ダンプ・ファイルにコピーするので,テープに書き込まれるデータ量を減らすことができます。
16.13 ページ・ファイルからのダンプ情報の解放
システム・クラッシュ・ダンプをSYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS に保存した場合,ページャのため,ダンプに占有された空間を後で解放する必要があります。そうしないと,ページング空間が不足してシステムがハングすることがあります。
どんな場合に,システム・クラッシュ・ダンプをページ・ファイルに保存するのかについては
第 16.1.1 項 を参照してください。
16.13.1 VAX システムと Alpha システムでのダンプ情報の解放
この節では,VAX システムと Alpha システムでページ・ファイルからダンプ情報を解放する方法について説明します。
VAX システムの場合は,次の手順に従ってください。
$ ANALYZE/CRASH_DUMP SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS |
COPY ダンプ・ファイル指定 |
たとえば,ダンプ・ファイルをシステム・ディスクから DISK$USER5 上の SAVEDUMP.DMP というファイルにコピーするには,次のコマンドを入力する。
SDA> COPY DISK$USER5:[DUMPS]SAVEDUMP.DMP |
また,ページング・ファイルのダンプが格納されているページを他にコピーしないで解放するには, ANALYZE/CRASH_DUMP/RELEASE コマンドを使用します。このコマンドは,ダンプを効果的に削除し,システム・ページングのために使用されるページをただちに解放します。ただし,このコマンドでは,削除を行う前にダンプを分析することはできません。
次のコマンドは,SYSTARTUP_VMS.COM コマンド・プロシージャに追加され,システムの再ブート時に,ページ・ファイルの内容を SAVEDUMP.DMP というファイルにコピーします。
$ ANALYZE/CRASH_DUMP SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS COPY DISK$USER5:[DUMPS]SAVEDUMP.DMP EXIT $ SET FILE/NOBACKUP SYS$SYSTEM:SAVEDUMP.DMP |
Alpha システムでは,『OpenVMS Alpha System Analysis Tools Manual』で説明しているように,システム障害が発生した後でシステムを再ブートするときに,省略時の設定により SDA は自動的に起動されます。
システム・ダンプ・ファイルを自動的に保存するには,次の操作を実行します。
! ! SDA command file, to be executed as part of the system ! bootstrap from within CLUE. Commands in this file can ! be used to save the dump file after a system bugcheck, and ! to execute any additional SDA command. ! READ/EXEC ! Read in the executive images' symbol tables SHOW STACK ! Display the stack COPY SAVEDUMP.DMP ! Copy and save system dump file ! |
$ DEFINE/SYSTEM CLUE$SITE_PROC SYS$MANAGER:SAVEDUMP.COM |
この例では,使用しているシステム固有のファイルは SAVEDUMP.COM という名前である。
論理名 CLUE$INHIBIT が定義されており,システム・スタートアップ時に SDA が自動的に起動されなかった場合には,ダンプによって使用されたページ・ファイル内のページは, ANALYZE/CRASH_DUMP/RELEASE コマンドを使用して解放できます。このコマンドは,ダンプを効果的に削除し,システム・ページングのために使用されるページをただちに解放します。このコマンドでは,ダンプを削除する前に分析することはできません。
CLUE が使用する論理名については『OpenVMS Alpha System Analysis Tools Manual』を参照してください。
16.13.2 VAX システムと Alpha システムで情報を解放するための使用上の注意
システム・ダンプ・ファイルには特権情報が格納されている可能性があるため,ダンプ・ファイルのコピーがワールドから読み込みされないように保護してください。
システムがファイルの内容全体をバックアップしないようにするには, DCL の SET FILE/NOBACKUP コマンドを使用して,ファイルに NOBACKUP 属性を割り当てます。
また,DCL の COPY コマンドを使用してダンプ・ファイルをコピーすることもできますが,なるべく SDA の COPY コマンドを使用してください。これは,SDA COPY コマンドが次の操作を実行するからです。
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