Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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17.9.12 INSTALL による既知イメージの表示

既知イメージに関する情報を表示するためには,INSTALL の LIST コマンドを使用します。

LIST コマンドの /FULL 修飾子を使って表示された情報を利用して,イメージのインストールが適切であるかどうかを判断することができます。

作業方法

  1. INSTALL を起動する。


    $ INSTALL
    

  2. すべての既知イメージとその属性を表示するには,LIST コマンドを入力する。特定のイメージの属性を表示するには,次の形式でイメージの名前を指定する。


    LIST   ファイル名 
    


    次に例を示す。


    INSTALL> LIST LOGINOUT
    

  3. 特定のイメージに関するすべての項目,すなわち,アクセス数,同時アクセス数,および作成されたグローバル・セクション数を表示する場合には,次のように,/FULL 修飾子を指定する。


    LIST/FULL   ファイル指定 
    


LOGINOUT.EXE というインストール済みイメージのすべての情報を表示します。表示される項目は,アクセス数,同時アクセス数,および作成されたグローバル・セクションの数です。


$ INSTALL
INSTALL> LIST/FULL LOGINOUT
DISK$VMS551:<SYS2.SYSCOMMON.SYSEXE>.EXE 
   LOGINOUT;2       Open Hdr Shar Prv 
        Entry access count         = 36366 
        Current / Maximum shared   = 1 / 10 
        Global section count       = 3 
        Privileges = CMKRNL SYSNAM LOG_IO ALTPRI TMPMBX SYSPRV 
INSTALL> 

17.9.13 共用可能イメージ・ファイルの論理名の定義

共用可能イメージが SYS$SHARE に存在しない場合,それに対してリンクされている実行可能イメージを実行するために,そのイメージの論理名を指定する必要があります。たとえば,STATSHR のファイル指定が SYS$SHARE:STATSHR.EXE であれば論理名は不要です。しかし,STATSHR を SYS$DEVICE:[TEST] に格納した場合,STATSHR を呼び出す実行可能イメージを実行する前に,論理名として STATSHR を定義する必要があります。論理名は,共用可能イメージをリンクしたときにその入力ファイル指定で使用した名前と同じもの (インストールで使用した名前とも同じ) を使用します。例を示します。


$ DEFINE STATSHR SYS$SYSDEVICE:[TEST]STATSHR

共用可能イメージの論理名を再定義すれば,実行可能イメージを呼び出して再リンクすることなく,その共用可能イメージを別のものに置き換えることができます。たとえば,次の文はファイル名 STATSHR を再定義しています。この名前は,STATSHR を呼び出す実行可能イメージのための,共用可能イメージ SYS$SYSDEVICE:[MAIN]STATSHR.EXE の論理名になります。


$ DEFINE STATSHR SYS$SYSDEVICE:[MAIN]STATSHR

注意

特権付きの実行可能イメージを実行する場合,プロセス論理名テーブルおよびグループ論理名テーブルで定義された論理名は無視されます。イメージの検索には,エグゼクティブ・モードまたはカーネル・モードで定義された論理名およびテーブル名だけが使用されます。

17.9.14 既知イメージの削除

INSTALL コマンドの REMOVE は,あるイメージの既知ファイル・エントリを削除した後,そのイメージのインストール時に作成されたグローバル・セクションをすべて削除します。ボリュームに対応する既知ファイル・エントリが存在する場合には,そのボリュームはディスマウントできないことに注意してください。ボリュームをディスマウントするには,そのボリュームに対応する既知イメージをすべて削除してください。また,それらのイメージを使用するプロセスがすべて終了するまで待つ必要があります。ファイルの状態を確認するには,DCL コマンドの SHOW DEVICES/FILES を使用します。

INSTALL の DELETE コマンドについては,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の INSTALL の節を参照してください。


第 18 章
ファイル・システムのデータ・キャッシュの管理

本章では,XFC (Alpha のみ) および Virtual I/O Cache(VIOC) を管理する方法について説明します。これらは, Files-11 ファイル・システムが ODS-2 および ODA-5 ボリュームのデータをキャッシュするときに使用します。

本章の内容

本章では,次の作業について説明します。

作業 参照箇所
クラスタ全体でのキャッシングの禁止 第 18.3 節
キャッシングを禁止した状態でのボリュームのマウント 第 18.4 節
Extended File Cache (Alpha のみ) の管理 第 18.5 節
Virtual I/O Cache の管理 第 18.6 節

本章では,次の概念について説明します。

概念 参照箇所
キャッシング 第 18.1 節
ファイル・システムのデータ・キャッシュ 第 18.2 節

18.1 キャッシングについて

Files-11 ファイル・システムは,性能を向上させるために, キャッシング と呼ばれるテクニックを使用します。 Files-11 ファイルは,ディスクから最近読み込んだり,ディスクに書き込んだりしたデータのコピーを, キャッシュ と呼ばれる,メモリの領域に保持しています。

アプリケーションがデータを読み込むときに,ファイル・システムはデータがキャッシュにあるかどうかをチェックします。データがキャッシュにない場合には,I/O を実行して,ディスクからデータを読み込みます。

キャッシングは,読み込み性能を向上させます。メモリ (キャッシュ) からデータを読み込む方が,ディスクから読み込むよりもはるかに速いためです。

ハードウェア I/O サブシステムおよび OpenVMS には,キャッシングのいくつかのレベルがあります。一般的に,キャッシングのレベルが多いほど,データにアクセスする応答時間が短くなります。

18.2 ファイル・システムのデータ・キャッシュについて

ODS-2 ボリュームと ODS-5 ボリュームの場合には, Files-11 ファイル・システムに複数のキャッシュがあります。ファイル・ヘッダなどファイルのメタデータのための メタデータ・キャッシュと,ファイル・データのための データ・キャッシュです。 Files-11 は,次に示す 2 つのシステム全体のデータ・キャッシュのうち,いずれか 1 つを使用できます。

ファイル・システムのデータ・キャッシュ 説明
Virtual I/O Cache (VIOC) 元からあるデータ・キャッシュで, VAX および Alpha システムで使用できる。
Extended File Cache (XFC) OpenVMS Alpha バージョン 7.3 以降で使用でき, OpenVMS Alpha でのみ使用できる。VIOC よりも優れた性能とより多くの機能を提供する。 XFC は,OpenVMS Alpha バージョン 7.3 以降での省略時のキャッシュである。

本章では,データ・キャッシュを管理する方法について説明します。メタデータ・キャッシュの管理方法については,『OpenVMS Performance Management』を参照してください。 RMS は,データ・キャッシングを実行できるローカル・バッファおよびグローバル・バッファを利用することに注意してください。省略時の設定では,このキャッシングは許可されていません。 RMS のローカル・バッファおよびグローバル・バッファを操作すると, I/O 性能に影響を与える恐れがあるためです。 RMSのローカル・バッファおよびグローバル・バッファの管理方法については,『Guide to OpenVMS File Applications』を参照してください。また,変更ページ・リストは,キャッシュの一種であるため,ページはプロセスのワーキング・セットに戻され,ディスクには出力されないことにも注意してください。

XFC および VIOC は共に, OpenVMS Cluster 内で一貫性のあるデータを保守する仮想ブロック・キャッシュです。これらは,データ・ファイルとイメージ・ファイルの両方をキャッシュします。 データ・キャッシュは,ライトスルー・キャッシュです。アプリケーションがデータをファイルに書き込むと,データは直接ディスクに書き込まれます。アプリケーションは,ディスク I/O が完了し,データがディスクに書き込まれるまで,待たなければなりません。

OpenVMS Cluster では,さまざまなノードがさまざまなデータ・キャッシュを使用することができます。このため,混合アーキテクチャ・クラスタの場合には, XFC による利点が生じます。 OpenVMS Alpha ノードは,XFC または VIOC を使用することができます。 OpenVMS VAX ノードは, 第 18.5.6 項 で説明しているように, VIOC だけを使用することができます。

XFC は,I/O 性能を向上させ, VIOC では使用不可能な次のような機能を持っています。

18.3 クラスタ全体でのキャッシングの禁止

システム・スタートアップ時に,スタティック・システム・パラメータは,ファイル・システムがデータ・キャッシュを使用するかどうか,使用する場合には,どちらのデータ・キャッシュ (XFC または VIOC) を使用するかを制御します。システム・パラメータは,次の表に示すようにオペレーティング・システムによって異なります。

オペレーティング・システム システム・パラメータ 使用可能 使用不可
OpenVMS Alpha VCC_FLAGS 1 または 2 (省略時の設定) + 0
OpenVMS VAX VBN_CACHE_S 1 (省略時の設定) 0


+1 で VIOC を選択,2 (省略時の設定) で XFC を選択します。

OpenVMS Cluster では,ファイル・システムのデータ・キャッシングを 1 つのノードで使用不可に設定すると,クラスタ全体でも使用不可になります。クラスタの他のノードは,そのノードがクラスタから離脱するか, VCC_FLAGS または VBN_CACHE_S を 0 以外の値に設定して再ブートしないと,XFC または VIOC を使用できません。 DCL コマンド SHOW MEMORY を使用すると,キャッシングが使用可能になっているかどうかを確認することができます。

クラスタ全体でキャッシングを禁止するには, OpenVMS Cluster のいずれかのノードで次の手順を実行します。

  1. MODPARAMS.DAT を使用して,対応するシステム・パラメータ (VCC_FLAGS または VBN_CACHE_S) を 0 に設定する。

  2. AUTOGEN を実行して,他のシステム・パラメータもこの新しい値を使用できるようにする。これは必須の作業ではないが,実行しておくことが望ましい。

  3. システムを再ブートして,新しい値を有効にする。

18.4 キャッシングを禁止した状態でのボリュームのマウント

ファイル・システムがデータをデータベース・ボリュームなど特定のボリュームにキャッシュするのを禁止するには, MOUNT /NOCACHE コマンドを使用して,キャッシングを禁止した状態でボリュームをマウントします。

OpenVMS Cluster で XFC を使用している場合には,ボリュームを /NOCACHE でマウントした方が, SET FILE /CACHING_ATTRIBUTE を使用し,ボリューム内のすべてのファイルのキャッシング属性を,キャッシングしないように設定するよりも簡単です ( 第 18.5.3 項 を参照してください)。 MOUNT /NOCACHE を使用すると,キャッシングのオーバヘッドが最少になります。 MOUNT/NOCACHE コマンドを使用すると, XQP キャッシングも使用不可能になることに注意してください。


この例では, ORACLE_VOL1 というラベルのデータベース・ボリュームを,キャッシングを禁止してマウントしています。


$ MOUNT DUA100: ORACLE_VOL1 /NOCACHE /SYSTEM

18.5 XFC の管理(Alpha のみ)

この節では, OpenVMS Alpha でのみ使用可能な XFC を管理する方法について説明します。次の作業について説明します。

作業 参照箇所
キャッシュのサイズの管理 第 18.5.1 項
最大キャッシュ I/O サイズの管理 第 18.5.2 項
ファイルのキャッシングの禁止 第 18.5.3 項
先読みキャッシングの禁止 第 18.5.4 項
性能の監視 第 18.5.5 項
複合アーキテクチャ OpenVMS Cluster での使用 第 18.5.6 項

18.5.1 キャッシュのサイズの管理

この節では, XFC の最小サイズおよび最大サイズを管理する方法について説明します。

XFC は,S2 空間の仮想メモリに保持され, I/O 負荷およびシステムで使用可能な共用メモリ量によって,自動的に縮小したり拡張したりします。 S2 空間は 64 ビットのアドレス空間であるため,必要な場合には,キャッシュを非常に大きいサイズまで拡張することができます。

I/O 負荷が増えるに連れてキャッシュも自動的に拡張しますが,最大サイズより大きくなることはありません。アプリケーションでメモリが必要になると,キャッシュは自動的に縮小しますが,最小サイズより小さくなることはありません。

18.5.1.1 最小キャッシュ・サイズの制御

XFC の最小サイズは,予約メモリ・レジストリの VCC$MIN_CACHE_SIZE エントリの値によって制御します。 VCC$MIN_CACHE_SIZE では,システム・スタートアップ時に XFC に割り当てられたメモリの量を,メガバイト (MB) 単位で指定します。キャッシュは,このサイズを超えて縮小することはありません。このメモリが解放されることは絶対にありません。

最小サイズのチェック

XFC の最小サイズをチェックするには, Sysman ユーティリティ・コマンド SHOW MEMORY /RESERVED を使用します。次に例を示します。


$ SHOW MEMORY /RESERVED
              System Memory Resources on 11-MAY-2000 15:50:25.64 
 
Memory Reservations (pages):       Group    Reserved      In Use       Type 
  VCC$MIN_CACHE_SIZE                 ---        1536        1536  Allocated 
Total (400.00 Mb reserved)                      1536        1536

最小サイズの設定

省略時の設定では,予約メモリ・レジストリには VCC$MIN_CACHE_SIZE のエントリが含まれていないため,システム・スタートアップ時に XFC に割り当てられるメモリはありません。ただし,XFC は,システム全体のスループットを保守するために,ごくわずかの量のメモリを割り当てます。このとき割り当てられるメモリの量は,使用しているコンピュータのサイズによって異なります。

最小サイズを設定するには,次の手順に従ってください。

  1. Sysman ユーティリティの RESERVED_MEMORY ADD コマンドを使用して, VCC$MIN_CACHE_SIZE のエントリを追加する。最小サイズを 300 MB に設定する例を次に示す。


    $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    SYSMAN> RESERVED_MEMORY ADD VCC$MIN_CACHE_SIZE /SIZE=300 /ALLOCATE -
    _SYSMAN> /NOGLOBAL_SECTION /NOZERO /NOPAGE_TABLE
    


    この例で示されている修飾子は,すべて使用しなければならない。最大限の性能を実現するには,最小サイズを 4 MB の倍数に設定する。
    この作業を,予約メモリを異なった RAD に割り当てようとしている NUMA タイプのコンピュータで実行している場合に最小サイズを設定するには, (先の例のコマンドではなく) 次のコマンドを使用する。


    $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    SYSMAN> RESERVED_MEMORY ADD VCC$MIN_CACHE_SIZE /SIZE=300 /ALLOCATE -
    _SYSMAN> /NOGLOBAL_SECTION /NOZERO /NOPAGE_TABLE/RAD=0
    SYSMAN> RESERVED_MEMORY EXTEND VCC$MIN_CACHE_SIZE /SIZE=500 /ALLOCATE -
    _SYSMAN> /NOGLOBAL_SECTION /NOZERO /NOPAGE_TABLE/RAD=1
     
    

  2. AUTOGEN を実行して,他のシステム・パラメータもこの新しい値を使用できるようにする。これは必須の作業ではないが,実行しておくことが望ましい。

  3. システムを再ブートして,新しい値を有効にする。
    スタートアップ中に,システムに指定された最小サイズを割り当てる十分なメモリがない場合には, XFC にメモリは割り当てられず,最小サイズは 0 MB に設定される。

最小サイズの変更

XFC の最小サイズを変更するには,次の手順に従ってください。

  1. Sysman ユーティリティの RESERVED_MEMORY MODIFY コマンドを使用して, VCC$MIN_CACHE_SIZE の既存のエントリを変更する。最小サイズを 360 MB に変更する例を次に示す。


    $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    SYSMAN> RESERVED_MEMORY MODIFY VCC$MIN_CACHE_SIZE /SIZE=360 /ALLOCATE -
    _SYSMAN> /NOGLOBAL_SECTION /NOZERO
    


    この例で示されている修飾子は,すべて使用しなければならない。最大限の性能を実現するには,最小サイズを 4 MB の倍数に設定する。

  2. AUTOGEN を実行して,他のシステム・パラメータもこの新しい値を使用できるようにする。これは必須の作業ではないが,実行しておくことが望ましい。

  3. システムを再ブートして,新しい値を有効にする。
    スタートアップ中に,システムに指定された最小サイズを割り当てる十分なメモリがない場合には, XFC にメモリは割り当てられず,最小サイズは 0 MB に設定される。


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