Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


前へ 次へ 目次 索引


19.7 トラブルシューティング : 考えられる UETP エラー

この節では,UETP 実行時に発生する可能性のある問題の識別および解決に役に立つ情報を示します。システム障害を理解し,その原因を特定するときに,この節を参照してください。この節は,システムを回復したりユーザのシステムの欠陥を診断するためのマニュアルではありませんが,エラー・メッセージ中の情報を解釈し,それに対処する際に参考となります。

この節で述べる手順に従ってもエラーを回復できなかった場合は,弊社のサポート担当者に相談してください。この時,問題を特定しようとして行った処置はすべてお知らせください。問題を診断する手掛かりになります。

19.7.1 一般的な障害の概要

次に,UETP の実行中に発生する最も一般的な障害を示します。

以降の項では,これらのエラーおよびその最善の対処方法を説明します。

19.7.2 クォータ,特権,アカウントの間違い

割り当てたクォータまたは特権が SYSTEST アカウントの標準のクォータおよび特権と一致しない場合,UETP は次のエラー・メッセージを表示します。


********************** 
*  UETINIT00         * 
*  Error count =  1  * 
********************** 
-UETP-W-TEXT,   The following: 
 
        OPER privilege, 
        BIOLM  quota, 
        ENQLM  quota, 
        FILLM  quota, 
 
are nonstandard for the SYSTEST account and may result in UETP errors. 

このメッセージは,OPER 特権,および BIOLM,ENQLM,FILLM の各クォータが正しく割り当てられていないか,または,まったく割り当てられていないことを示しています。

注意

クラスタ統合テスト・フェーズを実行していて, SYSTEST_CLIG アカウントの特権およびクォータが間違っている場合, UETP はこのようなメッセージを表示します。 SYSTEST および SYSTEST_CLIG アカウントには,同じ特権およびクォータが必要です。どちらの場合も,ここで述べる対処方法を適用してください。

解決策

問題を修正するには,次の手順に従ってください。

  1. 次のように,Authorize ユーティリティ (AUTHORIZE) を使って, SYSTEST アカウントに対して有効なすべての特権およびクォータを表示する。


    $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
    $ RUN SYS$SYSTEM:AUTHORIZE
    UAF> SHOW SYSTEST
     
    Username: SYSTEST                          Owner:  SYSTEST-UETP 
    Account:  SYSTEST                          UIC:    [1,7] ([SYSTEST]) 
    CLI:      DCL                              Tables: DCLTABLES 
    Default:  SYS$SYSROOT:[SYSTEST] 
    LGICMD:   LOGIN 
    Login Flags: 
    Primary days:   Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun 
    Secondary days: 
    No access restrictions 
    Expiration:            (none)    Pwdminimum:  8   Login Fails:     0 
    Pwdlifetime:         14 00:00    Pwdchange:   22-JUN-2000 10:12 
    Last Login:            (none) (interactive),          (none) (non-interactive) 
    Maxjobs:         0  Fillm:       100  Bytlm:        65536 
    Maxacctjobs:     0  Shrfillm:      0  Pbytlm:           0 
    Maxdetach:       0  BIOlm:        12  JTquota:       1024 
    Prclm:          12  DIOlm:        55  WSdef:          256 
    Prio:            4  ASTlm:       100  WSquo:          512 
    Queprio:         0  TQElm:        20  WSextent:      2048 
    CPU:        (none)  Enqlm:       300  Pgflquo:      20480 
    Authorized Privileges: 
      CMKRNL CMEXEC SYSNAM GRPNAM DETACH DIAGNOSE LOG_IO GROUP 
      PRMCEB PRMMBX SETPRV TMPMBX NETMBX VOLPRO PHY_IO SYSPRV 
    Default Privileges: 
      CMKRNL CMEXEC SYSNAM GRPNAM DETACH DIAGNOSE LOG_IO GROUP 
      PRMCEB PRMMBX SETPRV TMPMBX NETMBX VOLPRO PHY_IO SYSPRV
    UAF> SHOW SYSTEST_CLIG
       .
       .
       .
    UAF> EXIT
    

  2. このアカウントに割り当てられた省略時の特権およびクォータが,次の値と一致しているかどうか確認する。
    特権

    CMKRNL CMEXEC NETMBX DIAGNOSE
    DETACH PRMCEB PRMMBX PHY_IO
    GRPNAM TMPMBX VOLPRO LOG_IO
    SYSNAM SYSPRV SETPRV GROUP


    クォータ

    BIOLM: 18 PRCLM: 12
    DIOLM: 55 ASTLM: 100
    FILLM: 100 BYTLM: 65536
    TQELM: 20 CPU: 制限なし
    ENQLM: 300 PGFLQUOTA: 20480
    WSDEFAULT: 256 WSQUOTA: 512
    WSEXTENT: 2048  

  3. 特権またはクォータのいずれかが間違っている場合, AUTHORIZE を実行して修正する。

間違ったアカウントにログインした場合は,次のエラー・メッセージが表示され, SYSTEST アカウントにログインするかどうか尋ねられます。


$ @UETP
 
**********************
*  UETINIT00         *
*  Error count =  1  *
**********************
-UETP-E-ABORT, UETINIT00 aborted at  22-JUN-2000 14:24:10.13
-UETP-E-TEXT, You are logged in to the wrong account.
              Please log in to the SYSTEST account.
$

UETP は SYSTEST アカウントから実行しなければなりません。

19.7.3 UETINIT01 障害

UETINIT01 障害は,周辺機器装置に関連します。このタイプのエラー・メッセージは,次のいずれかを示します。

エラー・メッセージの中には,その修正方法が示されているものもあります。たとえば,問題および推奨する修正方法を明示的に知らせるメッセージを,オペレータ通信マネージャ (OPCOM) から受け取ることがあります。


%OPCOM,  22-JUN-2000 14:10:52.96, request 1, from user SYSTEST 
Please mount volume UETP in device _MTA0: 
%MOUNT-I-OPRQST, Please mount volume UETP in device _MTA0: 

解決方法が暗黙に示されているメッセージもあります。


%UETP-S-BEGIN, UETDISK00 beginning at 22-JUN-2000 13:34:46.03 
 
********************** 
*  DISK_DRA          * 
*  Error count =  1  * 
********************** 
-UETP-E-TEXT, RMS file error in file DRA0:DRA00.TST 
-RMS-E-DNR, device not ready or not mounted 
%UETP-S-ENDED, UETDISK00 ended at  22-JUN-2000 13:34:46.80 

このメッセージは,ディスク・ドライブがレディ状態でないか,マウントされていないことを示しています。この情報から,(ディスク・ドライブの) どの場所に障害の原因があるかを知ることができます。即座に問題の原因を知ることができない場合は, 第 19.3 節 の設定指示を参照してください。

また,障害の原因の手掛かりがまったくないメッセージもあります。問題は,ソフトウェアでなく,ハードウェアに原因があることもあります。たとえば,イーサネット・アダプタ・テストでは, UETP がイーサネット・アダプタに対して排他的アクセスを行えない場合,次のメッセージのいずれかが表示されることがあります。

自己テスト診断をイーサネット・アダプタ上で正常に実行するには,UETP は,そのアダプタに対して排他的にアクセスする必要があります。 第 19.3.10 項 で述べているように,イーサネット・アダプタをテストする場合は,UETP 装置テスト・フェーズを実行する前に, DECnet および LAT ターミナル・サーバをシャットダウンしなければなりません。

解決策

UETP の実行中,いつまたはどこで障害が発生したかを判断するには,次の手順に従ってください。

19.7.4 UETVECTOR 障害 (VAX のみ)

UETP は,次のようなメッセージを表示して,ベクタ・プロセッサ障害を通知します。


     ********************** 
     *  UETVECTOR         * 
     *  Error count = 1   * 
     ********************** 
     %PPL-S-CREATED_SOME, created some of those requested - partial success 
     -UETP-E-SUBSPNERR, Error spawning subordinate process. 
     -UETP-E-SCHCTXERR, Error scheduling vector context test subprocess. 
     -UETP-E-VECCTXERR, Error encountered during vector context testing. 
%UETP-I-ENDED, UETVECTOR_0000 ended at 22-JUN-2000 07:37:00.59 

解決策

ベクタ・プロセッサのテストのための正しい設定については, 第 19.3.19 項 を参照してください。

19.7.5 他のアプリケーションによる装置の割り当てまたは使用

DEVICE フェーズ中に DECnet for OpenVMS ソフトウェアまたは LAT ソフトウェアが動作している場合, UETUNAS00 テストは次のメッセージを表示します。


-UETP-W-TEXT, Device is in use by DECnet or another application 

他の UETP 通信装置テストは,次のメッセージを表示します。


SYSTEM-W-DEVALLOC, device already allocated to another user 

解決策

イーサネット・アダプタ上で装置テストを実行する場合,テストを開始する前に,DECnet および LAT ソフトウェアをシャットダウンしてください。

19.7.6 ディスク領域の不足

UETP のパスを連続して実行すると, UETP を実行したディスク上にログ・ファイルが蓄積されます。 これらのファイルによって,後続のパスで使用できる空きディスク領域が減少します。現在のロードに対して使用できるディスク領域が少なくなった場合は,次のエラー・メッセージが表示されます。


%UETP-S-BEGIN, UETDISK00 beginning at  22-JUN-2000 08:12:24.34 
%UETP-I-ABORTC, DISK_DJA to abort this test, type ^C 
 
********************** 
*  DISK_DJA          * 
*  Error count = 1   * 
********************** 
-UETP-F-TEXT, RMS file error in file DJA0:DJA00.TST 
-RMS-F-FUL, device full (insufficient space for allocation) 
 
********************** 
*  DISK_DJA          * 
*  Error count = 2   * 
********************** 
-UETP-F-TEXT, RMS file error in file DJA0:DJA01.TST 
-RMS-F-FUL, device full (insufficient space for allocation) 
%UETP-E-DESTP, DISK_DJA stopped testing DJA unit 0 at 08:12:36.91 
%UETP-S-ENDED, UETDISK00 ended at  22-JUN-2000 08:12:37.98 

解決策

ディスク上の使用できる領域を増やしてください。領域を増やすには,次に挙げる 1 つまたは複数の方法を使用します。

ディスク領域についての詳細は, 第 19.2.2 項 および 第 19.3.3 項 を参照してください。

19.7.7 OpenVMS Cluster システムの設定の間違い

クラスタ統合テスト中に発生する問題のほとんどの原因は, OpenVMS Cluster か OpenVMS Cluster 上の UETP の設定の誤りです。これらの問題のほとんどは,クラスタ・テストの次の段階で発生するようです。

クラスタ・テスト・フェーズでは,ユーザのクラスタ中のさまざまな OpenVMS ノードが,クラスタ内の選択したノード上のファイルに同時にアクセスしている様子を見ることができます。 UETP は,最初に,クラスタ内の選択した他のノードからアクセス可能なディスク・ドライブ上にファイルを作成しようとします。クラスタ・テスト・フェーズ中にファイルを作成するための要件を次に示します。

UETP がどこかのノード上に適切な装置を見つけることができなかった場合は,警告メッセージが表示され,次のクラスタ・ノードに進みます。

オペレータのターミナル (OPA0) に NO BROADCAST ターミナル特性が設定されているノードでは,クラスタ・テスト中に次のエラー・メッセージが表示されます。


********************** 
*  UETCLIG00master   * 
*  Error count =  1  * 
********************** 
-UETP-E-TEXT, 0 operator consoles timed out on the cluster test warning 
       and 1 operator console rejected it. 
-UETP-E-TEXT, Status returned was, 
      "%SYSTEM-F-DEVOFFLINE, device is not in configuration or not 
      available" 

OPA0 に NO BROADCAST が設定されていない場合は,このメッセージを無視してください。

解決策

問題の疑いがある場合は, SYSTEST_CLIG プロセスが作成されたときに作成された SYS$TEST:NETSERVER.LOG ファイルを調べてください。このファイルには,テストを実行しているノードに転送できなかった追加のエラー情報が入っていることもあります。いくつかのノード上で SYSTEST_CLIG プロセスを作成できなかった場合,そのノードに対するシステム会計情報ファイルのプロセス終了レコードには,最後のプロセス状態が入っていることがあります。

次の問題は,クラスタ・テスト中に発生する可能性があるものです。

19.7.8 ロード・テスト中の問題

ロード・テスト中にはさまざまなエラーが発生します。これは,テスト中に起動されるコマンド・プロシージャは,複数のユーティリティを実行し,さまざまな機能を行うからです。 UETP はロード・テスト中に作成したログ・ファイルを削除するので,問題の追跡が困難なことがあります ( 第 19.8.3 項 を参照してください)。

解決策

ロード・テスト中に問題が発生し,その原因が分からない場合は,次のように UETP.COM を変更して,ログ・ファイルを保持するようにします。

  1. 次の行に /NODELETE 修飾子を追加する。


    $ TCNTRL UETLOAD00.DAT/PARALLEL_COUNT='LOADS/REPORT_TYPE='REPORT 
    

  2. 次の行を削除するか,コメントにする。


    $ DELETE UETLO*.LOG;* 
    

変更後,もう一度ロード・テストを行い,問題が再現するかどうか確かめます。

問題が再現する場合は,適切なログ・ファイルの内容を調べます。どのログ・ファイルを読むべきかを判断するには,ロード・テストがそのプロセスとログ・ファイルに名前を付けた流れを理解します(ログ・ファイル名はプロセス名を継承します)。

ロード・テストは,作成したプロセスに,次の形式の名前を付けます。

UETLOADnn_nnnn

次に例を示します。


%UETP-I-BEGIN, UETLOAD00 beginning at 22-JUN-2000 15:45:08.97 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD02_0000 beginning at 22-JUN-2000 15:45:09.42 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD03_0001 beginning at 22-JUN-2000 15:45:09.63 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD04_0002 beginning at 22-JUN-2000 15:45:10.76 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD05_0003 beginning at 22-JUN-2000 15:45:11.28 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD06_0004 beginning at 22-JUN-2000 15:45:12.56 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD07_0005 beginning at 22-JUN-2000 15:45:13.81 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD08_0006 beginning at 22-JUN-2000 15:45:14.95 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD09_0007 beginning at 22-JUN-2000 15:45:16.99 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD10_0008 beginning at 22-JUN-2000 15:45:19.32 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD11_0009 beginning at 22-JUN-2000 15:45:19.95 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD02_0010 beginning at 22-JUN-2000 15:45:20.20 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD03_0011 beginning at 22-JUN-2000 15:45:21.95 
%UETP-I-BEGIN, UETLOAD04_0012 beginning at 22-JUN-2000 15:45:22.99 

10 以上のプロセスが作成されている場合,プロセス名の UETLOADnn 部分の連番は, UETLOAD02 から始まります。しかし,_nnnn 部分の 4 けたの数字は,そのまま増え続けます。

ロード・テストのプロセスごとに,2 つのログ・ファイルが作成されます。最初のログ・ファイルは,テスト・コントローラによって作成されます。2 番目のログ・ファイルは,そのプロセス自身によって作成されます。ロード・テストのプロセスについてのエラー情報を調べるときには,テスト・コントローラが作成したログ・ファイル (最初のログ・ファイル) を調べます。

ロード・テストのログ・ファイルの名前はプロセス名を継承し, UETLO にプロセス名の最後の 4 けたの数字 (_nnnn 部分) を追加します。各プロセスのテスト・コントローラのログ・ファイルおよびプロセスのログ・ファイルは同じファイル名です。ただし,プロセスのログ・ファイルの方が,より高いバージョン番号を持っています。たとえば,プロセス UETLOAD05_0003 が作成したログ・ファイルの名前は次のようになります。

UETLO0003.LOG;1 (テスト・コントローラのログ・ファイル)

UETLO0003.LOG;2 (プロセスのログ・ファイル)

ログ・ファイルを見るときには,ロード・テストのコマンドおよびエラー情報の入った,バージョン番号の低いほうを見るようにしてください。

問題を解決したら,UETP.COM を元の状態に戻し,ロード・テストのログ・ファイルを削除します (UETL0*.LOG;*)。このファイルを削除しなければ,ディスク領域の問題が発生する可能性があります。


前へ 次へ 目次 索引