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UETP パスの最後に,マスタ・コマンド・プロシージャ UETP.COM はパスの終了時刻を表示します。さらに,UETP.COM は再起動すべき UETP を決定します。テスト・パッケージを起動するとき,複数のパスを要求することも可能です ( 第 19.4.2 項 を参照)。
UETP の実行が完全に終了すると,UETP.COM は一時的ファイルの削除などのクリーンアップ作業を行います。
Ctrl/Y または Ctrl/C を押すと,UETP が正常終了する前に, UETP の実行を中断することができます。 ただし,UETP の実行が正常終了した場合は, UETP がテストのために作成したさまざまなファイルの削除も行われます。 Ctrl/Y または Ctrl/C を押して UETP の実行を中断した場合,これらのクリーンアップ手続きが中断されたり,まったく行われなかったりする可能性もあります。
このような制御文字の影響は,実行している UETP の部分によって異なります。 UETP の編成およびその構成要素については,
第 19.8 節 を参照してください。
19.5.1 Ctrl/Y の使用方法
Ctrl/Y を押すと,UETP の実行を強制終了します。ただし,[SYSTEST] 中のファイルおよびネットワーク・プロセスのクリーンアップは完了しないので注意してください。
個々のテスト・イメージを実行している場合に Ctrl/Y を押すと,現在の UETP テストを中断し,一時的に制御をコマンド・インタプリタに戻します。テストが中断されている間は,コマンド・インタプリタ内で実行され,現在のイメージを終了させない DCL コマンドのサブセットを入力することができます。
19.5.2 DCL コマンドの使用方法
『Compaq OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』に,コマンド・インタプリタ内で使用できるコマンドの表が掲載されています。さらに,次のコマンドも入力できます。
STOP コマンドを使用すると,正常終了では行われるはずのクリーンアップ処理が行われないことがあります。終了前にイメージのクリーンアップ処理を行いたい場合は, EXIT コマンドを使用してください。 |
コマンド・インタプリタ内で実行されない DCL コマンドを入力すると,クリーンアップ処理が行われ,テストが完全に終了してから,その DCL コマンドが実行されます。
19.5.3 Ctrl/C の使用方法
Ctrl/C を押すと,UETP の実行を中断されます。 Ctrl/C を押した後は,同じテスト・フェーズを継続することはできません。 UETP は自動的に,マスタ・コマンド・プロシージャの次のフェーズに移ります。
UETP フェーズの中には,Ctrl/C を押すと,すべてのアクティビティをクリーンアップし,即座に終了するものもあります。これらのフェーズは,開始時に,次のようなメッセージが表示されます。
%UETP-I-ABORTC, 'testname' to abort this test, type ^C |
上記メッセージを表示しないフェーズは,そのフェーズ内で起動されたすべてのプロセスを終了します。これらのプロセスでは,通常のクリーンアップ処理が行われないことがあります。
しかし,個々のテスト・イメージを実行している場合, Ctrl/C を使ってそのイメージの実行を終了し,クリーンアップ処理を完了させることができます。
クラスタ・テストの場合, Ctrl/C はクリーンアップ処理を行わないので注意してください。
19.6 トラブルシューティング : 概要
この節では,OpenVMS オペレーティング・システムでの動作エラーの解釈における
UETP の役割を説明します。 UETP の実行時における通常のエラーおよびその修正方法
については, 第 19.7 節
を参照してください。
19.6.1 エラーの記録と診断
エラーが発生すると,UETP はユーザ・プログラムと同じように反応します。 UETP はエラー・メッセージを返して継続するか,回復不可能なエラーを報告してイメージまたはフェーズを終了します。どちらの場合でも,UETP はハードウェアが適切に動作しているということを想定しているので,エラーの診断は行いません。
エラーの原因が直ちに解明できない場合は,次の方法を使ってエラーを診断してください。
UETP テストの進行状況を,テストを起動したターミナルから監視することができます。 このターミナルは,各フェーズの開始および終了時の通知およびエラーを知らせるメッセージなどの状態情報を常に表示します。
テストは,状態情報以外の出力をさまざまなログ・ファイルに送信します。ログ・ファイルの種類は,どのようにテストを起動したかによって異なります ( 第 19.6.7 項 を参照)。ログ・ファイルには,テスト・プロシージャが作成した出力が入っています。 UETP が正常終了し,ターミナルにエラーが表示されなかった場合でも,このようなログ・ファイルにエラーがないかチェックすることが大切です。さらに,ターミナルにエラーが表示された場合には,ログ・ファイルをチェックし,そのエラーの原因と性質の詳細を調べるようにしてください。
各テストは終了メールボックスを使って,最終完了状態をテスト・コントローラ・イメージ UETPHAS00 へ返します。この完了状態は,符号なしロングワード整数で,状態値を表します。トラブルシューティングの助けとなるように, UETPHAS00 は $FAO および $GETMSG システム・サービスを使って,テストの最終完了状態を表示します。
ただし,$FAO サービスは,終了メールボックスを使っても提供できない追加の情報を必要とすることがあります。このような事態が発生すると,UETP は次のようなエラー・メッセージを表示します。
UETP-E-ABORT, !AS aborted at !%D |
UETP がこのようなエラー・メッセージを表示するときは,ログ・ファイルをチェックし,詳細な情報を入手してください。個々のテストを実行し,問題を診断することも可能です。
ターミナルに表示されるエラー・メッセージ,およびログ・ファイルに格納されるエラー・メッセージは,基本的に次の 2 つから発行されたものです。
このメッセージが理解できないときには, OpenVMS ヘルプ・メッセージ・ユーティリティ (Help Message) を使用するか,『OpenVMS System Messages and Recovery Procedures Reference Manual』 1 または個々のシステム・コンポーネントについて記述されたマニュアルを参照してください。
1 このマニュアルはアーカイブされ, OpenVMS Documentation CD-ROM に含まれています。 |
装置テスト UETINIT00.EXE,UETCLIG00.EXE,および UETDNET00.COM などのいくつかの UETP の部分では,テスト実行の進行に関する追加情報,またはテスト中に発生した問題に関する追加情報を入手できるものもあります。通常,この情報は重要ではないので,画面には表示されません。
この情報を見るためには,次のコマンドを入力して論理名 MODE を定義し,プログラムを実行します。
$ DEFINE MODE DUMP |
次の例は,VAX 6000 コンピュータ上での UETINIT00.EXE の出力例で,論理名 MODE が DUMP と定義されている様子を示しています。です。
$DEFINE MODE DUMP $RUN UETINIT00 Welcome to VAX/VMS UETP Version X7.3 %UETP-I-ABORTC, UETINIT00 to abort this test, type ^C You are running on a VAX 6000-430 CPU with 327680 pages of memory. The system was booted from _$11$DUA6:[SYS0.]. Run "ALL" UETP phases or a "SUBSET" [ALL]? How many passes of UETP do you wish to run [1]? The default number of loads is the minimum result of 1) CPU_SCALE * ((MEM_FREE + MEM_MODIFY) / (WS_SIZE * PER_WS_INUSE)) 7.32 * (( 232390 + 5048) / ( 1024 * 0.20)) = 8486 2) Free process slots = 296 3) Free page file pages / Typical use of page file pages per process 1099992 / 1000 = 1099 How many simulated user loads do you want [296]? Do you want Long or Short report format [Long]? UETP starting at 1-MAR-2001 16:00:43.86 with parameters: DEVICE LOAD DECNET CLUSTER phases, 1 pass, 296 loads, long report. $ |
このプログラムは,いかなるフェーズも起動しません。このプログラムは,ユーザ負荷および UETP が現在の実行中に使用する特定の要素を決定するのに使用される公式を表示します。
質問に Return を押して応答します。最初のプロンプトに応答した後,プログラムは同時プロセスの省略時の数を決定する公式を表示します。次の定義が適用されます。
また,UETINIT00 は公式が示す特定の値も表示します。上記の例では,UETP はシミュレートするユーザ負荷の省略時の値として 296 を選択しています。これは,296 は 3 つの公式の最低の結果だからです。
UETP の実行ごとにユーザ負荷の詳細を見るつもりがないのであれば, UETP の実行前に,論理名 MODE の割り当てを解除します。
19.6.5 画面表示の例 (Alpha のみ)
次の例は,Alpha システム上での UETINIT00.EXE の出力例で,論理名 MODE が DUMP と定義されている様子を示しています。
$ DEFINE MODE DUMP $ RUN UETINIT00 Welcome to OpenVMS Alpha UETP Version 7.3 %UETP-I-ABORTC, UETINIT00 to abort this test, type ^C You are running on a AlphaServer 4100 5/533 4MB CPU. The system was booted from _$4$DKA300:[SYS0.]. Run "ALL" UETP phases or a "SUBSET" [ALL]? How many passes of UETP do you wish to run [1]? The default number of loads is the minimum result of 1) (MEM_FREE + MEM_MODIFY) / ( WS_SIZE ) ( 1807872 + 10496) / ( 16512) = 110 2) Free process slots = 488 3) Free page file pages / Typical use of blocks per process 650240 / 1000 = 650 How many simulated user loads do you want [110]? Do you want Long or Short report format [Long]? UETP starting at 1-MAR-2001 15:53:19.52 with parameters: DEVICE LOAD DECNET CLUSTER phases, 1 pass, 110 loads, long report. |
このプログラムは,いかなるフェーズも起動しません。このプログラムは,ユーザ負荷および UETP が現在の実行中に使用する特定の要素を決定するのに使用される公式を表示します。
質問に Return を押して応答します。最初のプロンプトに応答した後,プログラムは同時プロセスの省略時の数を決定する公式を表示します。次の定義が適用されます。
また,UETINIT00 は公式が示す特定の値も表示します。上記の例では,UETP はシミュレートするユーザ負荷の省略時の値として 110 を選択しています。これは,100 がこれら 3 つの公式の最低の結果だからです。
UETP の実行ごとにユーザ負荷の詳細を見るつもりがないのであれば, UETP の実行前に,論理名 MODE の割り当てを解除します。
19.6.6 UETP イーサネット・テスト用の遠隔ノードの定義
UETUNAS00 テスト中,障害報告がテスト中の装置に関連するのか,または遠隔装置に関連するのかを決定するのが困難な場合があります。適切なエラー報告を行うための最も簡単な方法は, 適切な転送場所を定義することです。適切な転送場所というのは,イーサネット・パケットを正しく転送し,起動していて,レディ状態で待機しているということが判明している遠隔ノードのことです。
UETUNAS00 テストで,適切な転送場所を使用するためには,次のような操作を行います。次のコマンドでは,適切な装置がノード BETA 上にあり,そのノード BETA がすでにネットワーク・データベースで定義されているということを仮定しています。
次のコマンドを入力し,Return を押す。
$ RUN SYS$SYSTEM:NCP NCP> TELL BETA SHOW EXECUTOR STATUS |
ノード BETA がネットワーク・データベースで定義されていない場合, NCP はエラー・メッセージを表示する。この場合,他の適切なノードを指定し,もう一度上記コマンドを実行する。このノードが定義されている場合は,システム管理者またはネットワーク管理者に問い合わせる。
NCP は,次のような情報を表示する。
Node Volatile Status as of 22-JUN-2000 16:13:02 Executor node = 19.007 (BETA) State = on Physical address = AA-00-03-00-76-D3 Active links = 6 Delay = 1 |
$ DEFINE/SYSTEM TESTNIADR AA00030076D3 |
$ DEASSIGN/SYSTEM TESTNIADR |
UETP は,現在の実行中のすべての UETP テストおよびフェーズによって作成されたすべての情報を, 1 つまたは複数の UETP.LOG ファイルに格納します。そして,前回の実行の情報を,1 つまたは複数の OLDUETP.LOG ファイルに格納します。 UETP の実行が複数パスを呼び出す場合,パスごとに,UETP.LOG または OLDUETP.LOG ファイルが 1 つずつ作成されます。
実行を開始すると,UETP はすべての OLDUETP.LOG ファイルを削除し,すべての UETP.LOG ファイルの名前を,そのファイルのバージョンに相当する OLDUETP.LOG ファイルの名前に変更します。次に,UETP は新しい UETP.LOG ファイルを作成し,現在のパスの情報をその中に格納します。UETP のその後のパスでは,より高いバージョンの UETP.LOG が作成されます。したがって,複数パスを呼び出す UETP の実行終了時には,パスごとに,UETP.LOG ファイルが 1 つずつ作成されます。ファイル UETP.LOG および OLDUETP.LOG の作成にあたり, UETP は最新2回の実行からの出力を使用します。
クラスタ・テストは,実行に含まれる各システム上のパスごとに, NETSERVER.LOG ファイルを SYS$TEST に作成します。テストがエラーを報告できない場合 (たとえば,他のノードへの接続が失われた場合),そのノード上の NETSERVER.LOG ファイルに,そのノード上で実行されたテスト結果が格納されます。 UETP は NETSERVER.LOG ファイルを削除またはパージしません。したがって,ときどき NETSERVER.LOG を削除して,ディスク領域を回復するようにしてください。
UETP の実行が正常終了しなかった場合, SYS$TEST には他のログ・ファイルが格納されています。通常,これらのファイルは連結され,UETP.LOG の中に格納されます。システム・ディスク上のログ・ファイルはすべてエラー・チェック用に使用できますが,新しいテストを実行する前には,これらのファイルをすべて削除しておかなければなりません。これらログ・ファイルはユーザが削除することもできますが,完全な UETP をもう一度実行すれば,古い UETP.LOG ファイルは自動的にチェックされ,削除されます。
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