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エラーが多すぎてエラー・ログ・ファイルに書き込めなくなると, ERRFMT プロセスは,システム・コンソール・ターミナルにエラー・メッセージを表示し,自分で実行を停止します。 ERRFMT プロセスを再開する方法については,
第 20.3.1 項 を参照してください。
20.3 エラー・ログ・フォーマッタの使用法
エラー・ログ・フォーマッタ(ERRFMT)プロセスは,ブート時に自動的に起動されます。次に各作業の実行方法と参照箇所を示します。
作業項目 | 参照箇所 |
---|---|
ERRFMT プロセスの再起動 (必要な場合) | 第 20.3.1 項 |
エラー・ログ・ファイルの管理 | 第 20.3.2 項 |
ERRFMT プロセスが削除されたときのメールの送信 | 第 20.3.3 項 |
ERRFMT プロセスを再起動するためには,次の手順に従ってください。
$ @SYS$SYSTEM:STARTUP ERRFMT |
システム・ディスク上でディスク・クォータが使用可能になっている状態で, UIC [1,4] が十分なクォータを持っている場合にのみ,ERRFMT は起動されます。 |
エラー・ログ・ファイル SYS$ERRORLOG:ERRLOG.SYS は共用ファイルのため, ANALYZE/ERROR_LOG ユーティリティがそのファイルの既存のエラー・ログ・エントリを読み込んだり抽出したりしている間にも,ERRFMT プロセスは新しいエントリを書き込みます。
ERRLOG.SYS は,システム管理者が明示的にリネームするか削除するまで大きくなっていきます。したがって,エラー・ログ・ファイルは定期的に整理する必要があります。 1 つの方法として,1 日 1 回 ERRLOG.SYS をリネームします。そうすると,新しいエラー・ログ・ファイルが自動的に作成されます。たとえば,毎朝 9 時に ERRLOG.SYS を ERROLOG.OLD にリネームします。リネームした古いエラー・ログ・ファイルは別のボリュームに移すか,システム・ディスクから削除すれば,システム・ディスクの空間が解放されます。
また,論理名 SYS$ERRORLOG をエラー・ログ・ファイルを格納したい装置とディレクトリに定義することにより,システム・ディスク以外のディスク上にエラー・ログ・ファイルを格納する方法もあります。次に例を示します。
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE SYS$ERRORLOG DUA2:[ERRORLOG] |
システムを起動するたびにこの論理名を定義する場合は,論理名定義を SYLOGICALS.COM プロシージャに追加します。詳細は 第 5.2.5 項 を参照してください。
このとき,誤って使用中のエラー・ログ・ファイルを削除しないように注意してください。また,リネームするときに,ファイル名の先頭あるいは最後に日付を付けて整理する方法もあります。
20.3.3 ERRFMT によるメールの送信
エラー・フォーマッタ (ERRFMT) を使用すれば, ERRFMT プロセスが回復不可能なエラーを検出し,プロセス自身を削除するときに,システム管理者や他の指定したユーザにメールを送ることができます。
2 つのシステム論理名 ERRFMT$_SEND_MAIL および ERRFMT$_SEND_TO が,この機能を制御します。
上記の論理名を定義するには,次のいずれかを行います。
20.3.3.1 メールを送信するための ERRFMT の停止と再起動
ERRFMT$_SEND_MAIL が TRUE と定義されている場合,ユーザは, ERRFMT がプロセス自身を削除するという表題のメール・メッセージを受信します。オペレータ・ログ・ファイルおよびシステム・コンソール OPA0: には,発生した障害についての詳細な情報,および ERRFMT を再起動するための指示が出力されます。しかし,ユーザはコンソールにいないこともあるので,この情報を見ないかもしれません。
たとえば,メールの送信が可能なモードで ERRFMT を使用している場合,メールの送信を禁止にするには,システム管理者のアカウントを使って, SYS$STARTUP:SYLOGICAL.COM を編集し,次のコマンドを追加します。
$ DEFINE/SYSTEM ERRFMT$_SEND_MAIL FALSE |
もう一度,メールの送信を可能にするには,システム管理者のアカウントを使って, SYS$STARTUP:SYLOGICAL.COM を編集し,次のコマンドを追加します。
$ DEFINE/SYSTEM ERRFMT$_SEND_MAIL TRUE |
省略時の設定では,メールは SYSTEM アカウントに送信されます。しかし,ERRFMT$_SEND_TO を定義すれば, ERRFMT が自分自身を削除するときに,メールを他のユーザに送信することもできます。
メールを受信するユーザ名を変更するには, システム管理者のアカウントを使って,SYS$STARTUP:SYLOGICAL.COM を編集し,適切な論理名を定義する DEFINE コマンドを追加します。次に例を示します。
$ DEFINE/SYSTEM ERRFMT$_SEND_TO R_SMITH |
配布リストおよび複数ユーザ名はなるべく使用しないでください。
20.4 ERROR LOG の使用方法
エラー・ログ・ユーティリティ (ERROR LOG) を使用すれば,エラー・ログ・ファイルの内容を選択して報告することができます。 ERROR LOG を実行するには,SYSPRV 特権が必要です。
バージョン 7.2 以降の OpenVMS では,Error Log ユーティリティを使用する前に, Binary Error Log Translation ユーティリティを使用してエラー・ログ・ファイルを変換する必要があります。Binary Error Log Translation ユーティリティは DECevent の一部です。詳細については,DECevent キットに含まれているマニュアルを参照してください。
20.4.1 ERROR LOG について
ERROR LOG は,OpenVMS がサポートするほとんどのハードウェア,つまり,アダプタ,ディスク,テープ,CPU,およびメモリをサポートします。しかし,通信装置の中には,サポートしないものもあります。いくつかの同期通信装置はサポートされます。
オペレーティング・システムは, 表 20-3 に示すイベントが発生すると,自動的にメッセージを最新のバージョンのエラー・ログ・ファイル SYS$ERRORLOG:ERRLOG.SYS に書き込みます。
イベント | 説明 |
---|---|
エラー | 装置エラー,装置タイムアウト,マシン・チェック,バス・エラー,メモリ・エラー (ハードまたはソフト・エラー修正コード [ECC] エラー),非同期書き込みエラー,および未定義の割り込み |
ボリュームの変更 | ボリュームのマウントおよびディスマウント |
システム・イベント | システム起動,$SNDERR (エラー・ロガーへのメッセージの送信) システム・サービスからのメッセージ,およびタイム・スタンプ |
ERROR LOG を使用すれば,エラー・ログ・エントリを,次のオプションの出力形式で報告することができます。
エラー・ログ・レポートの作成方法については, 第 20.4.2 項 を参照してください。エラー・ログ・レポートの例については,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
ERROR LOG が作成するエラー・レポートには,次の 2 つの用途があります。
レポートの内容の詳細は,弊社のサポート担当者にとって最も重要なものです。一方,ユーザもこのレポートをシステム信頼性の重要な尺度として使用することができます。たとえば,DCL の SHOW ERROR コマンドを使用して,特定の装置が通常より多くのエラーを生成していることを見つけたとします。このとき ERROR LOG を使用すれば,より詳細なレポートを入手し,弊社のサポート担当者に問い合わせるかどうかを決定することができます。
システム・コンポーネントの障害の場合,弊社のサポート担当者は,障害直前から障害までのシステム実行状態のレポートを検討することができます。たとえば,装置の障害の場合,次のようなレポートを作成することができます。
これらのレポートに基づいて,弊社のサポート担当者は,適切な診断プログラムを実行し,障害が発生した装置を徹底的に分析することができます。エラー・ログと診断情報を組み合わせることによって,その装置を修復することができます。
エラー・レポートによって,潜在的な障害を予期することができます。エラー・ログ・ユーティリティと診断プログラムを組み合わせて効率的に使用することで,システム・ダウンの時間を大幅に短縮することができます。
20.4.2 エラー・ログ・レポートの生成
レポートを作成するためには,DCL コマンドを次の形式で入力します。
ANALYZE/ERROR_LOG [/修飾子[,...]][ファイル指定[,...]]
修飾子 | ANALYZE/ERROR_LOG コマンドに実行させる機能 (修飾子) を指定する。 |
ファイル指定 | エラー・ログ・レポートで解釈する情報を含む, 1 つまたは複数のファイルを指定する。 |
このコマンドとパラメータについての詳細,およびエラー・ログ・レポートの例については,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
不正なエラー・ログ・エントリを検出すると, ANALYZE_ERROR LOG ユーティリティはエラー・メッセージを出力します。これらのメッセージについては,『OpenVMS System Messages and Recovery Procedures Reference Manual』を参照してください。各エラー・メッセージについての説明と,その一般的な対処法が示されています。
20.4.3 詳細なエラー・ログ・レポートの生成
ここでは,エラー・ログ・ファイルに含まれるすべてのエントリについてのエラー・ログ・レポートを生成して,プリントする方法を示します。
$ SET PROCESS/PRIVILEGE=SYSPRV |
$ SET DEFAULT SYS$ERRORLOG |
$ DIRECTORY |
$ ANALYZE/ERROR_LOG/OUTPUT=ERRORS.LIS |
$ PRINT ERRORS.LIS |
$ SET PROCESS/PRIVILEGE=SYSPRV $ SET DEFAULT SYS$ERRORLOG $ DIRECTORY (1) Directory SYS$SYSROOT:[SYSERR] ERRLOG.OLD;2 ERRLOG.OLD;1 ERRLOG.SYS;1 Total of 3 files. $ ANALYZE/ERROR_LOG/OUTPUT=ERRORS.LIS ERRLOG.OLD (2) $ PRINT ERRORS.LIS (3) |
この例では,次の操作を実行します。
エラー・ログ・レポートを作成する場合,前の項で説明した方法以外にもいくつかのオプション機能が用意されています。
表 20-4 は,エラー・ログ・レポート作成時のオプションの一覧です。これらのオプションについての詳細と,それらを使用したエラー・ログ・レポートの例は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
オプション | 説明 |
---|---|
レポート書式の指定 | 以下の修飾子を使って,レポート書式を変更する。
|
レポートを表示する装置の指定 | /OUTPUT 修飾子により,レポートの送信先として,ターミナル,ディスク,または磁気テープ・ファイルを指定できる。 この修飾子を指定しないと (省略時の設定),レポートはシステム・パラメータ SYS$OUTPUT で指定された装置に送信される。エラー・ログのレポートの幅は 72 カラムであり,そのままでターミナル・スクリーンに左右が収まるようになっている。 |
レポートに含むエントリの指定 | 特定の種類のイベント,および特定の期間のエラー・ログ・レポートを作成することができる。
たとえば,修飾子に /SINCE,/BEFORE,または /ENTRY を使用すると,処理対象のエラー・ログ・エントリの期間を選択できる。
修飾子に /INCLUDE または /EXCLUDE を使用すると,特定のイベントに関するエラー・ログ・エントリを指定できる。 /INCLUDE では処理対象にするエントリを, /EXCLUDE では処理対象から除外するエントリを指定する。 また,/NODE 修飾子によって,レポートに含む 1 つまたは複数の OpenVMS Cluster メンバを指定できる。 |
未知のエラー・ログ・エントリの除外 | 通常,ANALYZE/ERROR_LOGの実行中に未知の装置,CPU,またはエラー・ログ・エントリがあると,そのエントリは 16 進数のロング・ワード形式で作成される。 このようなエントリをレポートに含めないようにするためには,コマンド行で /EXCLUDE=UNKNOWN_ENTRIES を指定する。 |
DECevent イベント管理ユーティリティ (DECevent) は,システム・ユーザとオペレーティング・システムのイベント・ログ・ファイルとの間のインタフェースを提供します。
OpenVMS を実行している Alpha DS,ES,および GS システム (AlphaServer GS60 および GS140 システムを除く) では, Compaq Analyze,Compaq Crash Analysis Tool (CCAT),および Revision and Configuration Management (RCM) ツールなどの Web-Based Enterprise Services (WEBES) を使用します。 WEBES およびそのドキュメントは,Compaq System Tools CD-ROM に格納されています。この CD-ROM は,OpenVMS Version 7.3 CD-ROM パッケージに含まれています。最新のサービス・ツールについては,次の Web サイトを確認してください。
WEBES は,AlphaServer GS60 または AlphaServer GS140 では使用できません。 DECevent と WEBES ツールはクラスタ内で同時に使用できます。 |
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