OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


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12.4 ボリュームの初期化

ファイルをディスクやテープに書き込むには,そのディスクやテープ・ボリュームを初期化しておく必要があります。ボリュームを初期化するには,DCL コマンドの INITIALIZE を使用します。 INITIALIZE コマンドは次の処理を行います。

注意

INITIALIZE コマンドを使用すると,別のユーザのボリュームを初期化することも可能です。このため,このコマンドを使用するときには,あらかじめ目的のデバイスを割り当ててから自分専用のボリュームを初期化するようにしてください。

別のユーザにボリュームを初期化してもらう場合 (たとえば,そのボリュームを初期化するのに十分な特権がない場合) には,そのボリュームのボリューム・ラベル,所有者 UIC, 保護コードをそのユーザに知らせなければなりません。

INITIALIZE コマンドの形式は,次のとおりです。


INITIALIZE デバイス名[:] ボリューム・ラベル 

フィールドの意味は次のとおりです。

デバイス名 ボリュームを物理的にマウントするデバイスの名前を表す。
ボリューム・ラベル ボリュームを識別するためのものである。ディスク・ボリュームには最大 12 文字の英数字,磁気テープ・ボリュームには最大 6 文字の英数字のラベルを指定できる。

12.4.1 ディスク・ボリュームの初期化

省略時の設定では, INITIALIZE コマンドは新しいボリューム上に Files--11 構造を作成します。 OpenVMS オペレーティング・システム用に,または OpenVMS オペレーティング・システムによって初期化されたディスク・ボリュームの省略時の形式を, Files--11 ディスク構造レベル 2 と呼びます。 INITIALIZE コマンドは,Files--11ディスク構造レベル 1 形式でディスク・ボリュームを初期化することもできます。

ブランクのディスク・ボリューム (すなわち,書き込みが一切行われていないボリューム) や現在の UIC または UIC [0,0] によって所有されたディスク・ボリューム上での論理保護を変更にするには,特別な特権は必要ありません。これ以外の場合,ディスク・ボリュームを初期化するには,ユーザ特権 VOLPRO が必要です。

次の例は,DMA1 上でボリュームを初期化し,そのボリュームに ACCOUNTS というラベルを付けています。


$ INITIALIZE DMA1: ACCOUNTS

12.4.2 磁気テープ・ボリュームの初期化

INITIALIZE コマンドによって作成される磁気テープ・ボリュームの省略時の形式は,米国標準規格協会 (ANSI) X3.27-87 の Level 3 と,磁気テープ・ラベルおよび情報交換のためのファイル構造に関する国際標準化機構 (ISO) 標準に基づいています。

磁気テープのボリューム・ラベルに ANSI 文字セットの英数字以外の文字を使用する場合には,ボリューム名を引用符で囲まなければなりません。

次の例は,MTB1 上のボリュームを初期化して,ボリュームに SOURCE というラベルを付けます。


$ INITIALIZE MTB1: SOURCE

12.5 ボリュームのマウント

割り当てられたディスクやテープ・ボリューム上でファイルやデータを使用するには,そのボリュームがマウントされていなければなりません。 DCL の MOUNT コマンドは,ボリュームとボリュームに格納されているファイルやデータがプロセスにアクセスできるようにします。

MOUNT コマンドを入力すると,システムは,次の条件が満足されているかどうかを検証します。

単独のボリュームをマウントすることもできますし,ボリューム・セットをマウントすることもできます。複数のボリュームをボリューム・セットにバインドしておくと,複数のボリュームを新たに定義しなくても,同じボリューム・セットにボリュームを追加するだけで,ファイルの格納領域を拡張することができます。ボリューム・セットの作成とマウントの手順については,『Compaq OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

MOUNT コマンドの形式は,次のとおりです。


MOUNT デバイス名[:][,...] [ボリューム・ラベル[,...]] [論理名[:]] 

要素の意味は次のとおりです。

デバイス名 ボリュームをマウントするデバイスの物理デバイス名または論理名を表す。
ボリューム・ラベル ボリュームを初期化するときに使用したラベルを表す。 MOUNT 修飾子の /FOREIGN,/NOLABEL,/OVERRIDE=IDENTIFICATION のいずれかを使用する場合には,ボリューム・ラベルを指定する必要はない。
論理名 デバイスに関連付ける名前を表す。論理名を省略すると, MOUNT コマンドは,ディスク・ドライブとテープ・ドライブに省略時の論理名 DISK$ボリューム・ラベルと TAPE$ボリューム・ラベルをそれぞれ割り当てる。

12.5.1 オペレータの手助けが必要な場合

オペレータは,システム・ボリュームとプライベート・ボリュームの両方の物理マウント(およびディスマウント) を行うことができます。 MOUNT 要求を受信してそれに応答できるオペレータがいない (オペレータにその権限がない) 場合には,その状況を知らせるメッセージが表示されます。要求されたドライブ上のボリュームは,それ以上オペレータの手助けを必要としません。オペレータの手助けが必要なければ,/NOASSIST 修飾子を指定します。

MOUNT メッセージは,TAPE および DISK メッセージを受信する権限のあるすべてのオペレータに送信されます。したがって,ディスク・デバイスをマウントするのにオペレータの手助けが必要な場合には,ディスク・オペレータにメッセージを送信します。

MOUNT コマンドを出すと,オペレータにマウント要求が通知され,ターミナルにメッセージが表示されます。


$ MOUNT DMA1: DISK VOL1
%MOUNT-I-OPRQST, PLEASE MOUNT DEVICE _MARS$DMA1:

デバイスが正しくマウントされると,次のメッセージが出されます。


%MOUNT-I-MOUNTED, DISK mounted on _DMA1:

次の例は,ディスク・ボリュームを割り当てて,初期化し,マウントする方法を示しています。


$ ALLOCATE DMA2:  TEMP
%DCL-I-ALLOC, _MARS$DMA2: allocated
$ INITIALIZE  TEMP:  BACKUP_FILE
$ MOUNT  TEMP:  BACKUP_FILE
%MOUNT-I-MOUNTED, BACKUP_FILE mounted on _DMA2:
$ CREATE/DIRECTORY  TEMP:[ARCHIE]

ボリューム上にファイルを格納するには,上記の例の CREATE/DIRECTORY コマンドの部分に示されているように,ディレクトリを作成しなければなりません。

12.5.2 フォーリン・ディスク・ボリュームのマウント

フォーリン・ディスク・ボリューム (すなわち,Files--11 以外のファイル構造を持つディスク・ボリューム) をマウントするには,次のように,/FOREIGN 修飾子を指定します。


$ MOUNT/FOREIGN DISK
%MOUNT-I-MOUNTED, BACKUP_FILE      mounted on DISK$DMA2:

MOUNT/FOREIGN コマンドは,フォーリン・ディスクのボリュームの内容をシステムで使用できるようにしますが,ファイル構造に関しては特別な処理は行いません。前の例では,MOUNT はボリューム・ラベルを表示して,フォーリン・デバイスとしてマウントされているにもかかわらず,ディスクが Files--11 構造であることを示しています。ディスクが認識されたファイル構造を持たない場合には, MOUNT はラベルを表示しません。

/FOREIGN 修飾子を指定して Files--11 構造のディスクをマウントするには,所有者 UIC が自分の UIC と一致する場合を除いて,ユーザ特権 VOLPRO が必要です。

12.5.3 磁気テープ・ボリュームのマウント

MOUNT コマンドを使用して磁気テープ・ボリュームをマウントする際には,ボリュームが ANSI ラベル形式を持つかどうかがチェックされます。 ANSI ラベル形式の場合には,さらに次の点がチェックされます。

次のコマンドは,ANSI ラベル・ボリュームをマウントして,論理名を割り当てています。


$ MOUNT  MT:  SYSTPV ET
%MOUNT-I-OPRQST, please mount volume SYSTPV in device $MTA1: 
%MOUNT-I-MOUNTED, SYSTPV mounted on MTA1: 
%MOUNT-I-RQSTDON, operator request canceled -- mount completed successfully 

MOUNT は使用可能な MT ドライブ MTA1 を見つけた後,オペレータの手助けを要求しています。表示されたメッセージに,どのドライブが選択されたかが示されています。この時点で,ユーザ自身で (またはオペレータが) ドライブ上に磁気テープをロードすれば,マウント要求は完了します。オペレータからの応答は必要ありません。 SYSTPV というボリュームが MTA1 ドライブにマウントされたことがメッセージから分かります。 MOUNT は論理名を必要としませんが,この例では,論理名 ET が SYSTPV ボリュームに割り当てられています。

12.6 プライベート・デバイス上のファイルのアクセス

プライベート・デバイス上にあるファイルをアクセスするには,デバイス名を指定するか, SET DEFAULT コマンドを使用してそのデバイスを省略時のデバイスに設定しなければなりません。ディスク上のファイルでは,ディレクトリ名も指定しなければなりません。

デバイスを参照するには,次の各項に示すように物理名,論理名,または汎用名が使用できます。さらにシステムが OpenVMS Cluster の一部である場合, OpenVMS Cluster のすべてのメンバが特定のデバイスをアクセスできます。 OpenVMS Cluster デバイス名の構文についての詳細は, 第 12.6.4 項 を参照してください。

12.6.1 物理デバイス名の使用

システムが認識する物理デバイスは,それぞれ物理デバイス名によって別々のものとして識別されます。 物理デバイス名 は,記憶ディスクかターミナルかなど,デバイスの種類を識別します。

ほとんどの物理デバイス名は,次の項目からできています。

個々のデバイス名についての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

システムは,デバイスにマウントされたディスクまたはテープをボリュームとして認識します。システムは,ボリューム・セットも認識します。 ボリューム・セット は,2つ以上の関連するボリュームからできています。テープ・ボリューム・セット上のファイルにアクセスするには,そこに割り当てられている任意のデバイスを指定します。

ディスク・ボリューム・セット上のファイルにアクセスするには,次の方法があります。

デバイス名を指定しない場合,システムが現在の省略時のデバイス名を用意します。ボリュームとボリューム・セットについての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

出力ファイル指定を使用できるコマンドもあります。この場合,出力ファイル指定をプリンタやターミナルなどのレコード単位取り扱いデバイスの名前に置き換えられます。次に例を示します。


$ COPY DISFILE.DAT TTB4:

上記の COPY コマンドは,TTB4 というターミナルに DISFILE.DAT を送ります。ターミナルはファイルを受け取り,1 レコードずつ表示します。デバイス名をファイル指定として使用する場合,デバイス名の後にコロン (:) をつけます。

12.6.2 論理デバイス名の使用

システム管理者は,システム上のデバイスを表す論理デバイス名を設定できます。 論理デバイス名を使用すると,複雑なデバイス名を短くて分かりやすい名前に対応させることができます。そして,物理デバイス名の代わりにこの論理デバイス名を使用してデバイスを参照できます。

ファイル指定で論理デバイス名を使用する場合,論理デバイス名の後にコロンをつけます。

論理名の使用法についての詳細は, 第 13 章 を参照してください。

次の例では,COD1 は,ファイル [NOAH]ANIMALS.LIS を持つディスク・ボリュームが入っているデバイスの論理名です。


$ TYPE COD1:[NOAH]ANIMALS.LIS

システム管理者が論理名 COD1 を正しく定義していれば,システムは,ボリュームがどこにマウントされていてもそのファイルにアクセスできます。

12.6.3 汎用デバイス名の使用

汎用デバイス名 はデバイス・コードからできており,個々のコントローラやユニット番号は省略されています。 MOUNT コマンドやALLOCATE コマンドで汎用デバイス名を使用した場合,システムは,指定された汎用デバイス名の部分を満足する物理名を持つ最初に利用できるコントローラまたはデバイス・ユニットを探します。

他のコマンドで汎用デバイス名を指定する場合,次の省略時の値が使用されます。

12.6.4 OpenVMS Cluster デバイス名の使用

OpenVMS Cluster デバイス名には,デバイスが接続されているノードの名前と物理デバイス名を指定します。 2 つの名前はドル記号 ($) で区切ります。たとえば,ROXXY$DUA1 は,ノード ROXXY 上のディスク DUA1 を表します。

デュアル・パスの OpenVMS Cluster ディスクには,割り当てクラスのデバイス名を使用するのが普通です。このデバイス名は,すべての OpenVMS Cluster ノードが常に認識できる唯一の名前です。

OpenVMS Cluster の環境におけるデバイス名の形式についての詳細は,『Compaq OpenVMS Cluster システム』を参照してください。

デバイスがデュアル・パスの (2 つのノードに接続されている) 場合,次の形式のOpenVMS Cluster デバイス名を指定します。


$ノード割り当てクラス$ddcu 

要素の意味は次のとおりです。

ノード割り当てクラス デュアル・パス・デバイスに接続されているノードに割り当てられた値。たとえば,$1$DJA16 は,両方ともクラス値 1 を持つ 2 つのノードに接続されたディスクを識別する。
dd ハードウェア・デバイス・タイプのデバイス・コードを表す。たとえば,デバイス・コード DK は RZ23 ディスクを表す。
c デバイスが接続されているハードウェア・コントローラを識別する。コントローラ・デスティネーションは,ユニット番号といっしょにシステムのハードウェア構成内のデバイスの場所を識別する。コントローラは英字 A から Z によって指示される。
u 個々のコントローラ上のデバイスのユニット番号を識別する。ユニット番号は,0 から 65535 までの 10 進数であり,重複しない値を持つ。


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