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デバイスの割り当てクラスを変更すると,デバイス名も変化します。クラスタ単位のリブートを行うと,すべてのノードが確実にデバイスを新しい名前で認識するようになります。つまり,通常のデバイス・ロックとファイル・ロックの状態が確実に一貫したものとなります。
デバイス名が変化したときに,必ずしもクラスタ全体をリブートする必要はありません。この後説明するように, SCSI バスを共用するノードだけをリブートすることができます。この操作が可能な条件と,その結果もここで説明します。
%MOUNT-F-VOLALRMNT, another volume of same label already mounted |
したがって,ディスクをディスマウントできないノードはリブートする必要があります。
OpenVMS では,SCSI バスの名前が,同じバスにすでにアクセスしている別のノードと異なる名前付けになる場合,ノードをブートできないようになっています (このチェックは,ステップ 1 のディスマウントのチェックとは無関係に行われます)。 |
6.3 MSCP および TMSCP によってサービスされるディスクとテープ
MSCP サーバと TMSCP サーバは,ローカルに接続されているディスクおよびテープをすべてのクラスタ・メンバから利用できるようにします。ローカルに接続されているディスクとテープは,自動的にクラスタ全体でアクセスできるようになるわけではありません。これらのデバイスへのアクセスは,ディスクの場合は MSCP サーバ,テープの場合は TMSCP サーバを使用して,クラスタ・アクセス可能デバイスとして設定しない限り,ローカル・コンピュータに制限されます。
6.3.1 サーバの有効化
ディスクまたはテープをすべての OpenVMS Cluster コンピュータからアクセスできるようにするには,MSCP サーバまたは TMSCP サーバに対して以下の操作が必要です。
パラメータ | 値 | 意味 |
---|---|---|
MSCP_LOAD | 0 | MSCP_SERVER をロードしない。これはデフォルト設定である。 |
1 | デフォルトの CPU 負荷キャパシティを使用して, MSCP_SERVE_ALL パラメータによって指定される属性で MSCP サーバをロードする。 | |
>1 | MSCP_SERVE_ALL パラメータによって指定される属性で MSCP サーバをロードする。 CPU 負荷キャパシティとして MSCP_LOAD の値を使用する。 | |
TMSCP_LOAD | 0 | TMSCP サーバをロードせず,テープをサービスしない (デフォルト値)。 |
1 | TMSCP サーバをロードし,すべてのローカル・テープ,および TAPE_ALLOCLASS の値が一致するすべてのマルチホスト・テープも含めて,すべての使用可能なテープをサービスする。 |
表 6-7 は,MSCP および TMSCP サーバを構成するために,MSCP_SERVE_ALL および TMSCP_SERVE_ALL に対して指定できるシステム・パラメータ値を示しています。初期値は,インストール・プロシージャまたはアップグレード・プロシージャを実行するときの応答,または 第 8 章 で説明している CLUSTER_CONFIG.COM コマンド・プロシージャを使用して構成を設定するときの応答によって決定されます。
OpenVMS バージョン 7.2 以降,サービス・タイプはビット・マスクとして実装されています。システムが実行するサービス・タイプを指定するには, 表 6-7 で適切なタイプを確認し,その値を指定します。一部のシステムの場合は,システム・ディスクのサービスとローカルに接続されているディスクのサービスのように,2 種類のサービス・タイプを指定しなければならないことがあります。このような組み合わせを指定するには,各タイプの値を加算し,合計を指定します。
OpenVMS バージョン 7.1-x またはそれ以前のバージョンを稼動しているシステムを含む複合バージョン・クラスタでは,使用可能なすべてのディスクのサービスは,割り当てクラスがシステムのノード割り当てクラス (バージョン 7.2 より前のバージョンでの意味) と一致するすべてのディスクのサービスに制限されます。このタイプのサービスを指定するには,値として 9 を使用します (つまり,ビット 0 とビット 3 がセットされます)。 |
パラメータ | ビット | セットしたときの値 | 意味 |
---|---|---|---|
MSCP_SERVE_ALL | 0 | 1 | 使用可能なすべてのディスク (ローカルに接続されているディスクと,HS x および DSSI コントローラに接続されているディスク) をサービスする。ビット 3 がセットされていない場合は,システムの割り当てクラス (ALLOCLASS パラメータによって設定された値) と異なる割り当てクラスを持つディスクもサービスされる。 |
1 | 2 | ローカルに接続されているディスク (HS x および DSSI 以外のディスク) をサービスする。サーバは I/O トラフィックを監視せず,負荷のバランス調整にも参加しない。 | |
2 | 4 | システム・ディスクをサービスする。これはデフォルト設定である。クラスタ内の他のノードが,システム・ディスクをサービスできるこのシステムに依存している場合,この設定は重要である。この設定を使用すると,システムが障害を起こしているリモート・システム・ディスクへの I/O を実行しようとしたときに発生する可能性がある,わかりにくい競合に関する問題を防止することができる。 | |
3 | 8 | ビット 0 によって指定されるサービスを制限する。システムの割り当てクラス (ALLOCLASS パラメータによって設定) と異なる割り当てクラスを持つディスクを除き,他のすべてのディスクがサービスされる。
これはバージョン 7.2 より前の動作である。 OpenVMS バージョン 7.1- x またはそれ以前のバージョンを稼動しているシステムがクラスタに含まれており,使用可能なすべてのディスクをサービスする場合は,9 を指定しなければならない。この値は,このビットとビット 0 をセットした結果である。 |
|
TMSCP_SERVE_ALL | 0 | 1 | 使用可能なすべてのテープ (ローカルに接続されているテープと, HS x および DSSI コントローラに接続されているテープ) をサービスする。ビット 3 がセットされていない場合は,システムの割り当てクラス (ALLOCLASS パラメータによって設定) と異なる割り当てクラスを持つテープもサービスされる。 |
1 | 2 | ローカルに接続されている (HS x および DSSI 以外の) テープをサービスする。 | |
3 | 8 | ビット 0 によって指定されるサービスを制限する。システムの割り当てクラス (ALLOCLASS パラメータによって設定) と異なる割り当てクラスを持つテープを除き,他のすべてのテープがサービスされる。
これはバージョン 7.2 より前のバージョンの動作である。 OpenVMS バージョン 7.1- x またはそれ以前のバージョンを稼動するシステムがクラスタに含まれており,使用可能なすべてのテープをサービスしたい場合は,9 を指定しなければならない。この値は,このビットとビット 0 をセットした結果である。 |
現在,サービス・タイプはビット・マスクとして実装されていますが,ビット 0 とビット 1 によって指定される 0,1,2 という値は元の意味から変更されていません。これらの値は以下の表に示すとおりです。
値 | 説明 |
---|---|
0 | どのディスク (テープ) もサービスしない。これはデフォルト設定である。 |
1 | 使用可能なすべてのディスク (テープ) をサービスする。 |
2 | ローカルに接続されている (HS x および DSSI 以外の) ディスク (テープ) だけをサービスする。 |
クラスタ内の他のノードが,システム・ディスクをサービスできるこのシステムに依存している場合,システム・ディスクをサービスするためにビット 2 を設定することが重要です。このように設定しておくと,障害が発生したシステムに接続されているリモート・システム・ディスクに対して I/O を完了しようとするときに発生する可能性のある,わかりにくい競合の問題を予防できます。
以下の一連のイベントは,システム・ディスクのサービスが禁止されているときに (つまり,ビット 2 がセットされていないとき),競合の問題がどのように発生するかについて説明しています。
6.3.1.2 MSCP および TMSCP システム・パラメータの設定
これらのシステム・パラメータを設定するには,以下のいずれかの方法を使用します。
このいずれかの方法を使用すると,サービスを提供するコンピュータがリブートされるときに,サービスされるデバイスがアクセス可能になります。さらにサーバは,後でシステムに追加された適切などのデバイスも自動的にサービスします。たとえば,新しいドライブが HSC サブシステムに接続されると,デバイスは動的に構成されます。
注意: SCSI 保持コマンド修飾子は TMSCP サーバでサポートされていません。保持操作はテープをサービスするノードから実行しなければなりません。
6.4 MSCP I/O 負荷のバランス調整
MSCP I/O 負荷バランス調整機能には,以下の利点があります。
OpenVMS Cluster ソフトウェアでは,静的と動的の 2 種類の MSCP I/O 負荷バランス調整が提供されます。静的負荷バランス調整は,VAX システムと Alpha システムの両方で行われます。動的負荷バランス調整は VAX システムでのみ行われます。2 種類の負荷バランス調整はどちらも,サーバ・システムの負荷キャパシティをもとに行われます。
6.4.1 負荷キャパシティ
VAX システムと Alpha システムの負荷キャパシティの見積りは,弊社があらかじめ決めているものです。 これらの負荷キャパシティの値は, MSCP 静的負荷バランス調整と動的負荷バランス調整で使用可能なサービス・キャパシティを計算するときに使用されます。MSCP_LOAD パラメータに異なる負荷キャパシティを指定すれば,これらのデフォルト設定を変更できます。
MSCP サーバの負荷キャパシティの値 (デフォルト値または MSCP_LOAD によって指定した値) は,負荷バランス調整機能で使用される見積り値です。これらの値がシステムの実際の MSCP サービス・キャパシティを変更することはありません。
システムの MSCP サービス・キャパシティは,そのパワー, LAN アダプタのパフォーマンス,他の処理負荷の影響など,多くの要素に依存します。使用可能なサービス・キャパシティは, 第 6.4.3 項 の説明に従って各 MSCP サーバで計算されますが,この値は単に,クライアント・システム (たとえばサテライト) がサービスされるディスクにアクセスするときに,どのサーバ・システムを使用するかを選択するときの処理を調整するためにだけ使用されます。
6.4.2 FDDI を使用する場合の負荷キャパシティの増加
Ethernet の代わりに FDDI を使用する場合,スループットははるかに高くなります。この高いスループットを活用できるように, MSCP_LOAD パラメータを使用して,サーバの負荷キャパシティのデフォルト設定を変更することをお勧めします。最初は 4 の倍数から始めてください。たとえば,FDDI によってディスクに接続されている Alpha システムの負荷キャパシティは,1 秒間に 1360 の I/O (4x340) に設定できます。使用している構成および実行しているソフトウェアに応じて,この値は大きくしたり,小さくすることができます。
6.4.3 使用可能なサービス・キャパシティ
負荷キャパシティの値は,使用可能なサービス・キャパシティを計算するために,各 MSCP サーバで使用されます。
使用可能なサービス・キャパシティは以下の方法で計算されます。
ステップ | 計算 |
---|---|
1 | 各 MSCP サーバは,送信されてきた読み込み要求と書き込み要求の数を数え,定期的にこの値を 1 秒間の要求数に変換する。 |
2 | 各 MSCP サーバは,負荷キャパシティから 1 秒間の要求数を減算して,使用可能なサービス・キャパシティを求める。 |
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