OpenVMS
システム管理者マニュアル


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13.11.4.3 問題の解決

キュー・マネージャがいずれかのノードで実行できるよう, /ON 修飾子にシステム構成にあったノード・リストを指定して, START/QUEUE/MANAGER コマンドを入力してみてください。

どのノードを指定すればよいのか明確でない場合は, OpenVMS Cluster の残りのノードがキュー・マネージャを実行できるよう,リストの最後にアスタリスク (*) ワイルドカード文字を指定することをおすすめします。アスタリスクを指定しておくと,ノード・リストに十分な数のノードが指定されていなくても,キュー・マネージャが使用不能になることがなくなります。

13.11.5 ある OpenVMS Cluster ノードでキュー登録システムが実行されない場合

ある OpenVMS Cluster ノードでキュー登録システムが実行されない場合には,この項の内容をもとに対処してください。

13.11.5.1 問題の調査

次の操作を実行してください。

  1. 次のメッセージがないか,問題が発生したときのオペレータ・ログを検索する。これらのメッセージは,関連するノードがブートされた後, 30 秒ごとに表示される。


    %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-2000 15:36:49.15  %%%%%%%%%%% 
    Message from user SYSTEM on ZNFNDL 
    %QMAN-E-COMMERROR, unexpected error #5 in communicating with node CSID 000000 
     
    %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-2000 15:36:49.15  %%%%%%%%%%% 
    Message from user SYSTEM on ZNFNDL 
    -SYSTEM-F-WRONGACP, wrong ACP for device_ 
    

  2. システム・アドレス・パラメータの SCSNODE と SCSSYSTEMID に対するノードの値を, DECnet のノード名およびノード ID に対する値と比較する。次に例を示す。


    $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    SYSMAN> PARAMETERS SHOW SCSSYSTEMID
    Parameter Name            Current    Default     Min.     Max.     Unit  Dynamic 
    --------------            -------    -------    -------  -------   ----  ------- 
    SCSSYSTEMID                 19941          0        -1        -1 Pure-numbe 
    SYSMAN> PARAMETERS SHOW SCSNODE
    Parameter Name            Current    Default     Min.     Max.     Unit  Dynamic 
    --------------            -------    -------    -------  -------   ----  ------- 
    SCSNODE                 "RANDY  "    "    "    "    "    "ZZZZ" Ascii 
    SYSMAN> EXIT
    $ RUN SYS$SYSTEM:NCP
    NCP> SHOW EXECUTOR SUMMARY
     
     
    Node Volatile Summary as of  5-FEB-2000 15:50:36 
     
    Executor node = 19.45 (DREAMR) 
     
    State                    = on 
    Identification           = DECnet for OpenVMS VAX V7.2 
     
     
    NCP> EXIT
    $ WRITE SYS$OUTPUT 19*1024+45
    19501
    

13.11.5.2 原因

DECnet のノード名とノード ID が,システム・アドレス・パラメータの SCSNODE と SCSSYSTEMID に一致しない場合には,オペレーティング・システムの内部機構であるプロセス間通信 (IPC: interprocess communication) は正常に動作しません。また,影響を受けたノードは,キュー登録システムには使用できません。

13.11.5.3 問題の解決

次の操作を実行してください。

  1. 値が一致するように,システム・アドレス・パラメータのSCSNODE および SCSSYSTEMID,または DECnet のノード名およびノードIDを変更する。
    これらのシステム・パラメータについての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照。 DECnet のノード名とノード ID の詳細は,『DECnet for OpenVMS Guide to Networking』 1 を参照。

  2. システムを再ブートする。

13.11.6 複数の OpenVMS Cluster ノードでキュー登録動作が一定でない場合

次の現象が発生した場合には,この項の内容をもとにして対処してください。

13.11.6.1 問題の調査

次の操作を実行してください。

  1. SHOW LOGICAL コマンドを使用して,クラスタ内の各ノードの環境内で QMAN$MASTER 論理名を変換する。与えられたノードに変換値が存在しない場合には, SYS$COMMON:[SYSEXE] の省略時の値を変換する。
    1 つまたは複数のノードで SHOW LOGICAL 変換値に別の物理ディスク名が表示された場合には,問題を特定したことになる。

  2. 関連ノードの 1 つがブートされたときのオペレータ・ログ・ファイルをチェックする。次のような,JOB_CONTROL プロセスからの OPCOM メッセージを検索する。


    %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-2000 14:41:20.88  %%%%%%%%%%% 
    Message from user SYSTEM on MANGLR 
    %JBC-E-OPENERR, error opening BOGUS:[QUEUE_DIR]QMAN$MASTER.DAT; 
     
    %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-2000 14:41:21.12  %%%%%%%%%%% 
    Message from user SYSTEM on MANGLR 
    -RMS-E-FNF, file not found 
    

13.11.6.2 原因

この問題は,クラスタ内の別々のノード上の QMAN$MASTER 論理名を別々に定義したために発生します。その結果,複数のキュー登録環境ができてしまいます。この問題は,通常,OpenVMS Cluster 環境でシステム・ディスクを追加するときやキュー登録データベースを移動するときに起こります。

13.11.6.3 問題の解決

次の操作を実行してください。

  1. キュー・マネージャとキュー・データベースが 1 つか存在しない場合には,ステップ 2 に進む。複数のキュー・マネージャとキュー・データベースが存在する場合には,次の操作を実行する。

    1. QMAN$MASTER 論理名が正しく定義されていないノードの 1 つで,次の形式でコマンドを入力する。


      STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER - 
         /NAME_OF_MANAGER=キュー・マネージャ名 
      


      ただし,キュー・マネージャ名には停止するキュー・マネージャの名前を指定する。

    2. 無効なキュー・データベースの 3 つのファイルをすべて削除する (複数のキュー・マネージャがあるシステムでは,無効なファイルは 4 つ以上ある)。

  2. 論理名 QMAN$MASTER を,関連するシステムで割り当て直し,この論理名が定義されているスタートアップ・プロシージャ (通常は SYLOGICALS.COM) 内の定義を訂正する。

  3. 関連しないノードで STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER コマンドを入力して,有効なキュー・マネージャを停止する。

  4. START/QUEUE/MANAGER をいずれかのノードで入力して,キュー登録システムが正常に動作することを確認する。

注意

1 このマニュアルは今までアーカイブ・マニュアル扱いでしたが,このたび OpenVMS ドキュメンテーション CD-ROMで利用できるようになりました。

13.12 キュー登録システムに関する問題のコンパックへの連絡

キューに問題が生じ,それを弊社のサポート担当者に連絡する必要がある場合には,次の表に示す内容をご連絡ください。この情報は,ユーザのシステムの問題を診断するのに役立ちますので,できるだけ多くの情報を連絡するようにしてください。

提供内容 説明
問題の概要 次の項目を含める。

  • 問題が起こった環境。問題が起こったノード,ユーザ・アカウント,使用していたレイヤード製品など。

  • オペレーションに与えた影響。どのサイト・オペレーション (プリント・チェック,重大なバッチ・ジョブなど) に影響があったか。問題発生頻度 (1 ヶ月に 1 回の出力,1 日に数回の出力等)。

  • キュー登録システムが正常に動作しているときと,問題が発生したときの間に起こったシステム事象。

  • 正常に動作している作業。

問題再現のための手順 問題を再現するための正確な手順と,それに必要なハードウェアまたはソフトウェアを明確に記述する。
構成情報 例:

  • OpenVMS Cluster システムの構成であるかどうか。複数のシステム・ディスクを使用しているかどうか。

  • キュー・データベースを省略時の格納場所
    (SYS$COMMON:[SYSEXE]) に保存してあるかどうか。マスタ・ファイルをキュー・ファイルとジャーナル・ファイルとは別の格納場所に保存してあるかどうか。

SHOW QUEUE/MANAGER/FULL コマンド出力 次の例に示すように,SYSMAN を使用してこのコマンドをすべてのノードで実行すること。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN

SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER
SYSMAN> DO/OUTPUT SHOW QUEUE/MANAGERS/FULL
SYSMAN> EXIT
$ TYPE SYSMAN.LIS

出力ファイル SYSMAN.LIS をタイプしてみて,すべてのノードで出力が一致するかどうか確認する。

キュー・ファイルとジャーナル・ファイルの格納場所 可能であれば, (キュー・ファイルとジャーナル・ファイルの格納場所を指定する) START/QUEUE/MANAGER コマンドの ディレクトリ指定パラメータで指定した最も新しい値を探し出すこと。何も指定しなかった場合の省略時の値は SYS$COMMON:[SYSEXE] である。
QMAN$MASTER 論理名の変換値 変換値がすべてのノードで同じかどうか確認すること。

次のコマンドを入力して結果出力を含めること。

$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN

SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER
SYSMAN> DO SHOW LOGICAL QMAN$MASTER

SHOW LOGICAL コマンドから返された変換値が物理ディスク名でない場合には,SHOW LOGICAL コマンドを各ノードの環境で再実行して,変換値に物理装置名が含まれるまで戻り値を変換すること。

オペレータ・ログ・ファイル出力 次のコマンドを入力して,ジョブ・コントローラまたはキュー・マネージャによるメッセージ出力に対するオペレータ・ログを検索すること。
$ SEARCH SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG/WINDOW=5 -

_$ JOB_CONTROL,QUEUE_MANAGE

複数のキュー・マネージャが存在するシステムでは,省略時の設定でないキュー・マネージャに対しては,追加キュー・マネージャのキュー・マネージャ名の最初の 12 文字を指定すること。たとえば,名前が PRINT_MANAGER のキュー・マネージャの場合には,次のようにして PRINT_MANAGE と指定すること。

$ SEARCH SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG/WINDOW=5 -

_$ JOB_CONTROL,QUEUE_MANAGE,PRINT_MANAGE
関連 DCL コマンドから戻される情報 DCL コマンドを入力すると問題が発生する場合には,この情報も含めること。
キュー・データベースのジャーナル・ファイルのコピー BACKUP ユーティリティに /IGNORE=INTERLOCK 修飾子を指定して使用することにより,SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$JOURNAL ファイルのコピーを作成し,このコピーをコンパックに提出すること。

複数のキュー・マネージャが存在するシステムでは,すべてのキュー・マネージャのジャーナル・ファイルのコピーを提出すること。省略時の設定ではないキュー・マネージャのジャーナル・ファイル名の形式は, キュー・マネージャ名.QMAN$JOURNAL である。

作成されたプロセス・ダンプのコピー 次のコマンドを実行して関連するプロセス・ダンプを探し出し,そのファイルのコピーをコンパックに提出すること。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN

SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER
SYSMAN> DO DIRECTORY/DATE SYS$SPECIFIC:[SYSEXE]JBC$*.DMP, -
_SYSMAN> QMAN$*.DMP,PRTSMB.DMP,LATSYM.DMP

PRTSMB または LATSYM ではないシンビオントを使用した実行キューに問題がある場合には,そのシンビオントのプロセス・ダンプ・ファイルのコピーも含めること。ファイル名の形式は, イメージ・ファイル名.DMP である。

SHOW QUEUE コマンドの出力 問題が個々のキューに関係する場合には, SHOW QUEUE コマンドを実行して関連するキューを表示すること。
その他の関連情報 例:

  • キュー・データベースの作成日時と更新日時。ノードを最後に再ブートしてから作成または更新したかどうか。

  • IPCACP プロセスが関連ノードに存在するかどうか。存在しない場合には,以前に存在したプロセスを特定すること。たとえば,システム会計情報などをチェックしてみること。


第 14 章
キューの設定と保守

プリンタを使用する場合,またはバッチ処理を行う場合は,キューを使用する必要があります。キューを使用すると,プリントおよびバッチ処理の要求を登録しておき,資源が使用できるようになれば,登録しておいたユーザのジョブをプリントしたり,バッチ処理したりできます。

プリンタをセットアップする場合には,キュー・マネージャとキュー・データベースをどのように操作するか,また OpenVMSでどのようにこれらを作成するかについて理解する必要があります。これらについては 第 13 章 で説明しています。

本章の内容

本章では,次の作業について説明します。

作業
小型システム上のキュー管理 第 14.1.1 項
バッチ・キュー環境の設計 第 14.2.1 項
出力キュー環境の設計 第 14.2.2 項
キュー設定の計画 第 14.3 節
キューの作成と起動 第 14.4 節
再ブート時の実行キューの再起動 第 14.5 節
キュー・オプションの使用 第 14.6 節
フォームの使用と作成 第 14.6.7 項
キュー管理コマンドの使用 第 14.7.1 項
ジョブの管理 第 14.7.2 項
キューに関する問題の解決 第 14.8 節

さらに,次の項目について説明します。

項目
キュー・プロセス 第 14.1 節
キューの種類 第 14.1.2 項
自動起動機能 第 14.1.3 項
キュー・アクセス制御オプション 第 14.6.1 項
ジョブ保持 第 14.6.2 項
キュー特性 第 14.6.3 項
バッチ処理オプション 第 14.6.4 項
ジョブ・スケジューリング・オプション 第 14.6.5 項
バナー・ページ 第 14.6.6 項
フォームとストック 第 14.6.7 項
ページと行のあふれ 第 14.6.7.8 項
初期改ページ 第 14.6.7.9 項
装置制御ライブラリ 第 14.6.8 項

注意

本章では,多くの場所で DCL コマンドを参照しています。 DCL コマンドについての詳細は,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。

14.1 キュー登録

DCL の SUBMIT または PRINT コマンドを入力する,またはアプリケーションを介してキューに登録されたバッチ・ジョブまたはプリント・ジョブは,キューに送られて処理を待ちます。ジョブのタイプ,ファイル名,キュー名,特殊オプションを含めた,ユーザのキュー要求についての情報は,キュー・マネージャに送られます。 キュー・マネージャは該当する情報をキュー・データベースに記録し,実際にジョブをプリントまたは実行するときにデータベースから読み出します。

また,キュー・マネージャはジョブを適切なキューに登録して,ジョブの処理の順番を待ちます。1 台のプリンタが一度にプリントできるプリント・ジョブは 1 つだけですが,バッチ・キューのバッチ・ジョブは一度に複数実行することができます。

キュー・マネージャ,キュー・データベース,バッチ・キュー,プリント・シンビオントを含めたプリント・キューの操作については, 第 13 章 を参照してください。

14.1.1 小型システムのキュー管理

キューで利用できる機能の多くは,ワークステーションなどのように最低限のキューしか必要としない小型システムでは必要ありません。小型システムを使用している場合には,次の節をお読みください。

項目
簡単なバッチ・キュー構成 第 14.2.1.1 項
簡単な出力キュー構成 第 14.2.2.1 項
キューの設定と起動 第 14.3 節
キュー・オプションの選択と指定 第 14.6 節
キューの管理 第 14.7.1 項
キューのジョブの管理 第 14.7.2 項


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