OpenVMS
システム管理者マニュアル


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16.4.2 エラー・ログ・ダンプ・ファイルのサイズの計算

これらの計算は,OpenVMS と Alpha システムでは異なります。

Alpha システム

Alpha システムでは,AUTOGEN コマンド・プロシージャはエラー・ログ・ダンプ・ファイルの適切なサイズを計算します。ただし,エラー・ログ・ダンプ・ファイルのサイズを机上で計算したい場合は,次の公式を使用してください。この公式により,すべてのエラー・ログ・バッファを保持するために必要なサイズが計算できます。


ファイルのブロック数(SYS$SYSTEM:SYS$ERRLOG.DMP) 
= エラー・ログ・バッファ数 * バッファあたりのブロック数 
+ 2 

エラー・ログ・バッファの数 システム・パラメータ ERRORLOGBUFFERS の値。このパラメータは,メモリで永久的に割り当てられるエラー・ログ・バッファの数を設定する。
バッファあたりのブロック数 システム・パラメータ ERLBUFFERPAGES の値。このパラメータは,各バッファ内のメモリのページレット (ブロック) 数を設定する。

VAX システム

VAX システムでは,エラー・ログ・ダンプ・ファイルのサイズはダンプ・オフ・システム・ディスク(DOSD)を使用しているかどうかで異なります。

16.4.3 ページ・ファイルのサイズの計算

システム性能を維持するためには,ページ・ファイルの空間が十分にあることが重要です。ページ・ファイル空間の適切なサイズは, AUTOGEN コマンド・プロシージャにより計算されます。 AUTOGEN は十分なサイズを算出するはずですが,ページ・ファイル空間のサイズを机上で計算したい場合には,次のいずれかの公式を使用します。

VAX システム

VAX システムの場合には,次の公式を使用して,ページ・ファイル空間のサイズを算出します。


ブロックのサイズ 
(システム上のすべてのページ・ファイルの合計) 
= サイトの平均プロセス・サイズ (ページ数) 
* プロセスの最大数 

調整の結果が VIRTUALPAGECNT より少ない場合には,代わりに VIRTUALPAGECNT の値を使用します。

システムの仮想ページの数を調べるには,次のコマンドを入力します。


$ WRITE SYS$OUTPUT F$GETSYI ("VIRTUALPAGECNT")

Alpha システム

Alpha システムの場合は,メモリ・サイズと用途にさまざまなバリエーションがあるので,単純な公式はありません。512 MBまでのシステムでは,次の公式を使用してページ・ファイル・サイズを算出します。


ブロック・サイズ 
(システムのすべてのページ・ファイルの合計) 
= 平均プロセス・サイズ (ページ単位) 
* ページ単位のブロック数 
* 最大プロセス数 

512MB を超えるシステムでは,以下の項で説明するページ・ファイル使用状況の監視の手順に従って,必要に応じて調整してください。

16.4.3.1 ページ・ファイル・サイズの表し方

算出したページ・ファイルは,次のいずれかの方法で表すことができます。

16.4.3.2 ページ・ファイル使用状況の監視

(AUTOGEN を使って,あるいは机上の計算で)ページ・ファイルの初期のサイズが決まったら,次のコマンドで AUTOGEN を実行してページ・ファイルの使用状況を監視してください。


$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS TESTFILES FEEDBACK

このコマンドを実行すると,AUTOGEN によりページ・ファイルの使用量とサイズの推奨値がフィードバック・レポート AGEN$PARAMS.REPORT に書き込まれます。なお,AUTOGEN およびフィードバック・レポートの詳細については, 第 15.4 節第 15.4.2 項 を参照してください。 第 16.3 節 で説明したように,また,DCL の SHOW MEMORY/FILES コマンドを使用すると,ファイルの使用状況も表示されます。

ページ・ファイルの使用量が1次ページ・ファイルのサイズ (または1次ページ・ファイルと 2次ページ・ファイルのサイズを合計したサイズ) の半分以上にならないようにします。ページ・ファイルの使用量がシステム性能に影響するレベルに近づくと,コンソール・ターミナルにメッセージが出力されます。その場合は,ページ・ファイルのサイズを大きくするか,ファイルを追加してください。

注意

システムの資源と代表的な作業負荷は,ページ・ファイルの必要なサイズに影響します。そのため,これらの要素についてよく理解しておく必要があります。詳細は『Guide to OpenVMS Performance Management』を参照してください。

16.4.3.3 ページ・ファイル空間の制限

AUTHORIZE の ADD および MODIFY コマンドに /PGFLQUOTA 修飾子を指定して,ユーザ・プログラムが使用するページ・ファイルの量を制限してください (詳細は『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の AUTORIZE の節を参照)。/PGFLQUOTA の値は,必ず 1024 以上にしてください。ページ・ファイル空間の必要量は,ユーザのアプリケーションによって大きく異なります。

16.4.4 スワップ・ファイル・サイズの計算

システム性能を維持するためには,スワップ・ファイルの空間が十分にあることが重要です。スワップ・ファイルの空間に適したサイズは, AUTOGEN コマンド・プロシージャにより計算されます。スワップ・ファイルの空間のサイズを机上で計算したい場合は,次の公式を使用してください。


ファイルのサイズ 
(システム上のすべてのスワップ・ファイルの合計) 
= プロセスの最大数 (システム・パラメータ MAXPROCESSCNT) 
* システム上のプロセスの平均ワーキング・セット・クォータ 

プロセスの最大数 MAXPROCESSCNT システム・パラメータの値。
システム上のプロセスの平均ワーキング・セット・クォータ システム上で動作しているプロセスの WSQUOTA 制限の平均値。

VAX システムの場合は,ページ単位で指定する。

Alpha システムの場合は,ページレット単位で指定する。

16.4.4.1 スワップ・ファイル・サイズの表し方

Alpha システムと VAX システムでは,算出したサイズを次のような方法で表すことができます。

16.4.4.2 スワップ・ファイルの使用状況の監視

(AUTOGEN を使って,あるいは机上計算によって) スワップ・ファイルの空間の適切なサイズが決まったら, 第 16.3 節 で説明したように, DCL の SHOW MEMORY/FILES コマンドを使って,スワップ・ファイルの使用状況を監視してください。スワップ・ファイル空間の 1/3 は未使用のままにしてください。そうしないと,システム性能が著しく低下します。

注意

システムの資源と作業負荷は,ページ・ファイルの必要なサイズに影響します。そのため,これらの要素についてよく理解しておく必要があります。詳細は『Guide to OpenVMS Performance Management』を参照してください。

16.5 ディスク空間が十分でない場合のシステム・ダンプ・ファイル・サイズの最小化

システム構成によっては,ディスク・ファイルにメモリ全体の内容を保存できないことがあります。たとえば,メモリ・サイズが大きなシステムでは,完全メモリ・ダンプに十分なディスク空間が確保できないことがあります。このような場合には,システム・ダンプ・アナライザ (SDA) でダンプを分析できません。

また,VAX システムの場合,ダンプ空間の不足が原因で,クラッシュ・ログ・ユーティリティ・エキストラクタ (CLUE) もダンプを分析できなくなります。

システム・ダンプ・ファイルのサイズ最小化のためのオプション

ディスク容量が不足しているときに,システム・ダンプ・ファイルのサイズを最小化するには,次に示すオプションのいずれか 1 つを使用します。

第 16.5.1 項 では,Alpha システムと VAX システムで選択型システム・ダンプに情報が書き込まれる順序について説明しています。 第 16.5.2 項 では,Alpha システムでこの順序を細かく調整する方法について説明しています。

16.5.1 選択型システム・ダンプでの情報の順序

VAX システムと Alpha システムで選択型ダンプに情報が書き込まれる順序は次のとおりです。

VAX システムでは,情報は次の順序で選択型ダンプに書き込まれます。

  1. システム・ページ・テーブル (SPT)

  2. システム空間 (プロセス・ページ・テーブル,ページ・フレーム番号(PFN)データベース,およびグローバル・ページ・テーブル (GPT) を含む)

  3. プロセスのワーキング・セット内のグローバル・ページ

  4. クラッシュが発生した時点で常駐していたプロセス

    1. クラッシュした CPU の現在のプロセス

    2. あらかじめ定義されたプロセス(BUGCHECK にハード・コーディングされる)

    3. 他の CPU での現在のプロセス

    4. クラッシュが発生した時点で常駐していた他のプロセス (プロセス・インデックスの順)

Alpha システムでは,情報は次の順序で選択型システム・ダンプに書き込まれます。

  1. 共有アドレス(S0/S1/S2) のページ・テーブル(PT)

  2. S0/S1 空間

  3. S2 空間

  4. 複製されたページの内容が元のページと異なっている,性能上の理由から複製されているシステム空間ページ (P1,S0/S1,S2)

  5. 適切な場合には,Galaxy 共有メモリ領域のメモリ・マップ・ページ

  6. キー・プロセス

    1. クラッシュした CPU の現在のプロセス

    2. スワッパ

    3. CPU 上の現在のプロセスのうち,クラッシュ状態を記録できなかったもの

    4. 他の CPU の現在のプロセス

    5. 使用しているシステム固有の優先プロセス (次の節を参照)

    6. コンパックが定義している優先プロセス (BUGCHECK にハード・コーディングされる)
      MSCPmount
      AUDIT_SERVER
      NETACP
      NET$ACP
      REMACP
      LES$ACP

  7. リソースまたはその他の待ち状態での任意のプロセス (RWAST など)

  8. キー・グローバル・ページ (キー・プロセスのワーキング・セット内のグローバル・ページ)

  9. クラッシュが発生した時点で常駐していた他のプロセス (非キー・プロセス)。ただしプロセス・インデックスの順。

  10. 非キー・プロセスのワーキング・セット内の残りのグローバル・ページ

Alpha システムでは,プロセスは 2 段階でダンプされます。最初にプロセスのページ・テーブルがダンプされ,次にプロセスのボディがダンプされます。

VAX システムと Alpha システムでの使用法に関する注意

VAX プラットフォームと Alpha プラットフォームのどちらでも,プロセスが 2 回ダンプされることはありません。たとえば,Alpha システムでは,現在のプロセスがスワッパの場合,それは 1 回だけダンプされます。

同様に,Alpha システムでグローバル・ページが 2 回ダンプされることはありません。したがって,キー・プロセスのワーキング・セット内のページが "キー・グローバル・ページ" セクションでダンプされた場合には,それが非キー・プロセスのワーキング・セットにも存在するからといって,後でもう一度ダンプされることはありません。

16.5.2 選択型システム・ダンプにプロセスが書き込まれる順序の微調整(Alpha のみ)

Alpha システムでは, キー・プロセス と呼ばれる一連のプロセスは,そのプロセスに逆リンクする遷移ページも含めて, PT,S0/S1,S2 の直後にダンプされます。 システム管理者は,キー・プロセスとして取り扱う追加プロセスを指定できます。これらのプロセスには,ダンプで他のプロセスより高い優先順位が与えられます。したがって,ダンプ・ファイルが小さすぎて,すべてのプロセスを格納できない場合でも,選択したプロセスは正しく書き込まれます。

作業方法

ダンプするプロセスの順序を指定するには,次の操作を実行してください。

  1. ファイル SYS$SYSTEM:SYS$DUMP_PRIORITY.TEMPLATE を SYS$SYSTEM:SYS$DUMP_PRIORITY.DAT にコピーする。

  2. ファイル内の指示に従って,ダンプの初期段階でダンプされるプロセスの一覧を含むように, .DAT ファイルを変更する。

  3. イメージ SYS$SYSTEM:SYS$SET_DUMP_PRIORITY.EXE を実行する。データ・ファイル SYS$SYSTEM:SYS$DUMP_PRIORITY.DAT が存在する場合には,イメージはシステム・スタートアップ時に自動的に実行される。

データ・ファイルの編集とイメージの実行は,システムが稼動している間であれば,いつでも行うことができます。したがって,プロセスがハングした場合には,システム管理者はプロセスを優先プロセスとして指定し,強制的にクラッシュを発生させることができます。


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