OpenVMS
システム管理者マニュアル


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20.3.3.2 メールを他のユーザに送信する方法

省略時の設定では,メールは SYSTEM アカウントに送信されます。しかし,ERRFMT$_SEND_TO を定義すれば, ERRFMT が自分自身を削除するときに,メールを他のユーザに送信することもできます。

メールを受信するユーザ名を変更するには, システム管理者のアカウントを使って,SYS$STARTUP:SYLOGICAL.COM を編集し,適切な論理名を定義する DEFINE コマンドを追加します。次に例を示します。


$ DEFINE/SYSTEM ERRFMT$_SEND_TO R_SMITH 

配布リストおよび複数ユーザ名はなるべく使用しないでください。

20.4 ERROR LOG の使用方法

エラー・ログ・ユーティリティ (ERROR LOG) を使用すれば,エラー・ログ・ファイルの内容を選択して報告することができます。 ERROR LOG を実行するには,SYSPRV 特権が必要です。 バージョン 7.2 以降の OpenVMS では,Error Log ユーティリティを使用する前に, Binary Error Log Translation ユーティリティを使用してエラー・ログ・ファイルを変換する必要があります。Binary Error Log Translation ユーティリティは DECevent の一部です。詳細については,DECevent キットに含まれているマニュアルを参照してください。

20.4.1 ERROR LOG について

ERROR LOG は,OpenVMS がサポートするほとんどのハードウェア,つまり,アダプタ,ディスク,テープ,CPU,およびメモリをサポートします。しかし,通信装置の中には,サポートしないものもあります。いくつかの同期通信装置はサポートされます。

オペレーティング・システムは, 表 20-3 に示すイベントが発生すると,自動的にメッセージを最新のバージョンのエラー・ログ・ファイル SYS$ERRORLOG:ERRLOG.SYS に書き込みます。

表 20-3 エラー・ログ・ファイルに報告されるイベントのタイプ
イベント 説明
エラー 装置エラー,装置タイムアウト,マシン・チェック,バス・エラー,メモリ・エラー (ハードまたはソフト・エラー修正コード [ECC] エラー),非同期書き込みエラー,および未定義の割り込み
ボリュームの変更 ボリュームのマウントおよびディスマウント
システム・イベント システム起動,$SNDERR (エラー・ロガーへのメッセージの送信) システム・サービスからのメッセージ,およびタイム・スタンプ

ERROR LOG を使用すれば,エラー・ログ・エントリを,次のオプションの出力形式で報告することができます。

エラー・ログ・レポートの作成方法については, 第 20.4.2 項 を参照してください。エラー・ログ・レポートの例については,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

ERROR LOG が作成するエラー・レポートには,次の 2 つの用途があります。

レポートの内容の詳細は,弊社のサポート担当者にとって最も重要なものです。一方,ユーザもこのレポートをシステム信頼性の重要な尺度として使用することができます。たとえば,DCL の SHOW ERROR コマンドを使用して,特定の装置が通常より多くのエラーを生成していることを見つけたとします。このとき ERROR LOG を使用すれば,より詳細なレポートを入手し,弊社のサポート担当者に問い合わせるかどうかを決定することができます。

システム・コンポーネントの障害の場合,弊社のサポート担当者は,障害直前から障害までのシステム実行状態のレポートを検討することができます。たとえば,装置の障害の場合,次のようなレポートを作成することができます。

これらのレポートに基づいて,弊社のサポート担当者は,適切な診断プログラムを実行し,障害が発生した装置を徹底的に分析することができます。エラー・ログと診断情報を組み合わせることによって,その装置を修復することができます。

エラー・レポートによって,潜在的な障害を予期することができます。エラー・ログ・ユーティリティと診断プログラムを組み合わせて効率的に使用することで,システム・ダウンの時間を大幅に短縮することができます。

20.4.2 エラー・ログ・レポートの生成

レポートを作成するためには,DCL コマンドを次の形式で入力します。
ANALYZE/ERROR_LOG [/修飾子[,...]][ファイル指定[,...]]

修飾子 ANALYZE/ERROR_LOG コマンドに実行させる機能 (修飾子) を指定する。
ファイル指定 エラー・ログ・レポートで解釈する情報を含む, 1 つまたは複数のファイルを指定する。

このコマンドとパラメータについての詳細,およびエラー・ログ・レポートの例については,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

不正なエラー・ログ・エントリを検出すると, ANALYZE_ERROR LOG ユーティリティはエラー・メッセージを出力します。これらのメッセージについては,『OpenVMS System Messages and Recovery Procedures Reference Manual』を参照してください。各エラー・メッセージについての説明と,その一般的な対処法が示されています。

20.4.3 詳細なエラー・ログ・レポートの生成

ここでは,エラー・ログ・ファイルに含まれるすべてのエントリについてのエラー・ログ・レポートを生成して,プリントする方法を示します。

  1. SYSTEM アカウントでログインする,または SYSPRV 特権を取得していることを確認する。エラー・ログ・ファイルにアクセスするためには,この特権が必要である。次に例を示す。


    $ SET PROCESS/PRIVILEGE=SYSPRV
    

  2. SYS$ERRORLOG が省略時のディスクおよびディレクトリを指すように定義する。次に例を示す。


    $ SET DEFAULT SYS$ERRORLOG
    

  3. エラー・ログ・ディレクトリを調べ,どのエラー・ログ・ファイルを分析するかを決定する。


    $ DIRECTORY
    

  4. 次のコマンドにより,現在のエラー・ログ・ファイルの詳細レポートを作成する。


    $ ANALYZE/ERROR_LOG/OUTPUT=ERRORS.LIS
    

  5. レポートをプリントする。このとき,レポート作成時に /OUTPUT 修飾子で指定したファイル名を使用する。


    $ PRINT ERRORS.LIS
    



$ SET PROCESS/PRIVILEGE=SYSPRV
$ SET DEFAULT SYS$ERRORLOG
$ DIRECTORY  (1)
Directory SYS$SYSROOT:[SYSERR] 
 
ERRLOG.OLD;2  ERRLOG.OLD;1  ERRLOG.SYS;1 
 
Total of 3 files.
$ ANALYZE/ERROR_LOG/OUTPUT=ERRORS.LIS ERRLOG.OLD (2)
$ PRINT ERRORS.LIS (3)

この例では,次の操作を実行します。

  1. DIRECTORY コマンドによって, SYS$ERRORLOG ディレクトリにあるすべてのファイルの名前が表示される。このディレクトリには, 2 つの古いエラー・ログ・ファイルと現在のエラー・ログ・ファイル ERRLOG.SYS があることが分かる。

  2. ANALYZE/ERROR_LOG コマンドによって, ERRORS.LIS という名前のファイルに詳細レポートを書き込む。このとき,最新の ERRLOG.OLD を入力ファイルとして使用する。

  3. PRINT コマンドにより,ERRORS.LIS をプリントする。

20.4.4 エラー・ログ・レポート作成時のオプション

エラー・ログ・レポートを作成する場合,前の項で説明した方法以外にもいくつかのオプション機能が用意されています。

表 20-4 は,エラー・ログ・レポート作成時のオプションの一覧です。これらのオプションについての詳細と,それらを使用したエラー・ログ・レポートの例は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

表 20-4 エラー・ログ・レポートのオプション
オプション 説明
レポート書式の指定 以下の修飾子を使って,レポート書式を変更する。

  • /BINARY---バイナリ・エラー・ログ・レコードを ASCII テキストに変換する。あるいは,エラー・ログ・レコードを指定された出力ファイルにコピーする。

  • /BRIEF---簡略レポートを作成する。

  • /REGISTER_DUMP---16 進のロングワード形式で,デバイス・レジスタ情報のレポートを作成する (/INCLUDE 修飾子とともに使用される)。

  • /REJECTED---受け付けられなかったエントリのバイナリ・レコードを含めるファイルの名前を指定する。

レポートを表示する装置の指定 /OUTPUT 修飾子により,レポートの送信先として,ターミナル,ディスク,または磁気テープ・ファイルを指定できる。 この修飾子を指定しないと (省略時の設定),レポートはシステム・パラメータ SYS$OUTPUT で指定された装置に送信される。エラー・ログのレポートの幅は 72 カラムであり,そのままでターミナル・スクリーンに左右が収まるようになっている。
レポートに含むエントリの指定 特定の種類のイベント,および特定の期間のエラー・ログ・レポートを作成することができる。 たとえば,修飾子に /SINCE,/BEFORE,または /ENTRY を使用すると,処理対象のエラー・ログ・エントリの期間を選択できる。

修飾子に /INCLUDE または /EXCLUDE を使用すると,特定のイベントに関するエラー・ログ・エントリを指定できる。 /INCLUDE では処理対象にするエントリを, /EXCLUDE では処理対象から除外するエントリを指定する。

また,/NODE 修飾子によって,レポートに含む 1 つまたは複数の OpenVMS Cluster メンバを指定できる。

未知のエラー・ログ・エントリの除外 通常,ANALYZE/ERROR_LOGの実行中に未知の装置,CPU,またはエラー・ログ・エントリがあると,そのエントリは 16 進数のロング・ワード形式で作成される。 このようなエントリをレポートに含めないようにするためには,コマンド行で /EXCLUDE=UNKNOWN_ENTRIES を指定する。

20.5 DECevent の使用方法

DECevent イベント管理ユーティリティ (DECevent) は,システム・ユーザとオペレーティング・システムのイベント・ログ・ファイルとの間のインタフェースを提供します。

注意

OpenVMS を実行している Alpha DS,ES,および GS システム (AlphaServer GS60 および GS140 システムを除く) では, Compaq Analyze,Compaq Crash Analysis Tool (CCAT),および Revision and Configuration Management (RCM) ツールなどの Web-Based Enterprise Services (WEBES) を使用します。 WEBES およびそのドキュメントは,Compaq System Tools CD-ROM に格納されています。この CD-ROM は,OpenVMS Version 7.3 CD-ROM パッケージに含まれています。最新のサービス・ツールについては,次の Web サイトを確認してください。

http://www.support.compaq.com/svctools

WEBES は,AlphaServer GS60 または AlphaServer GS140 では使用できません。 DECevent と WEBES ツールはクラスタ内で同時に使用できます。

20.5.1 DECevent について

DECevent を使用すると,システム・ユーザは,システム・イベント・エントリから派生する ASCII レポートを作成することができます。ASCII レポートの形式は,最大 255 文字までのコマンド言語インタプリタ (CLI) に入力したコマンドによって異なります。

他の入力ファイルを指定していなければ, DECevent は,省略時の入力ファイルとしてエラー・ログ・ファイル SYS$ERRORLOG:ERRLOG.SYS を使用します。

イベント・レポートは,潜在的に障害の原因となるシステム領域を識別するので,どのような予防保守を行うかを決定するのに便利です。また,イベント・レポートは,障害の原因となったイベントを文書化するので,診断の補助にもなります。

イベント・レポートの内容は,弊社のサポート担当者にとって最も重要なものです。一方,ユーザもこのレポートをシステム信頼性の重要な尺度として使用することができます。たとえば,DCL の SHOW ERROR コマンドを使用して,特定の装置が通常より多くのイベントを生成していることを見つけたとします。ここで,DECevent を使用すれば,さまざまな詳細レポートを入手し,弊社のサポート担当者に問い合わせる必要があるかどうかも決定できます。

システム・コンポーネントの障害の場合,弊社のサポート担当者は,イベント・レポートを使って,障害の直前から障害までのイベントの履歴を作成することができます。

診断プログラムを組み合わせて使用することで,システム・ダウンの時間を大幅に短縮することができます。

DECevent レポート・タイプ

DECevent は 5 つのタイプのレポートを作成します。

レポート・タイプ 説明
詳細 (省略時の設定) イベント・ログ中のすべてのエントリの中から,利用できるすべての情報を変換する。
簡略 イベント・ログ中のすべてのエントリの中から,重要な情報だけを変換する。
簡潔 バイナリ・イベント情報を提供し,レジスタ値および他の ASCII メッセージを凝縮した形式で表示する。
要約 イベント・ログ中のイベント・エントリを統計的に要約する。
高速エラー (FSTERR) さまざまなディスクおよびテープ装置のユーザ・イベント・ログを,エントリごとに 1 行ずつ簡潔に報告する。

上記のレポート・タイプは相互に排他的です。つまり,1 つのコマンドの中では,1 つのレポート・タイプしか選択できません。

レポート・タイプの例については, 第 20.5.5 項 を参照してください。 DECevent が作成するその他のレポート・タイプについては,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

以降の項では,DECevent の使用方法について説明します。

作業 参照項目
DECevent の起動と終了 第 20.5.2 項
DECevent 修飾子の使用方法 第 20.5.3 項
その他の DECevent コマンドの使用方法 第 20.5.4 項
DECevent レポートの作成方法 第 20.5.5 項

また,制約については 第 20.5.6 項 で説明します。

20.5.2 DECevent の起動と終了

DECevent を起動するには,次の DCL コマンドを入力します。


DIAGNOSE [/1 次修飾子][/2 次修飾子[,...][ファイル指定][,..] 

/TRANSLATE 修飾子は省略時の修飾子なので,コマンド行に入力しなくてもかまいません。

有効な修飾子,使用方法,および順序については,次の節で簡単に説明します。詳細については,『DECevent User's Guide』を参照してください。このドキュメントは,次の Web サイトにあります。

http://www.support.compaq.com/svctools

"support tools","DECevent", "documentation" の順に選択してください。 『DECevent User's Guide』 はいくつかの形式で用意されています。

DECevent を終了するときは,Ctrl/C と Return キーを押します (このようにしないと,プロンプトが表示されません)。

DECevent を実行するには,SYSPRV 特権が必要です。ただし,ERRLOG.SYS ファイルにアクセスするには,読み込みアクセスのみが必要です。 /CONTINUOUS 1 次修飾子を動作させて,端末画面上にイベントを連続表示するには, DIAGNOSE 特権が必要です。


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