OpenVMS
システム管理者マニュアル


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20.6.3.1 オペレータ・ログ・ファイルの新バージョンの作成

DCL の REPLY/LOG コマンドにより,ファイルの新しいバージョンをいつでも作成することができます。ログ・ファイルとして使用されるのは常に最新のバージョンで,このバージョンは他のユーザがアクセスすることはできません。省略時の設定では,すべてのオペレータ・クラスのメッセージがログ・ファイルに記録されます。

次に示すのは,REPLY/LOG コマンドを使用するときのガイドラインです。

ログ・ファイルがすでにオープンしていると,クラス・リストが保持され,新しく作成されたログ・ファイルで有効になります。ログ・ファイルがオープンしていない場合には,論理名 OPC$ENABLE_LOGFILE_CLASSES の値が使用されます。この論理名が存在しなければ,新しいログ・ファイルですべてのクラスが有効になります。

詳細は,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』の REPLY/LOG,REPLY/ENABLE, REPLY/DISABLE の各コマンドの項目を参照してください。


ディスクおよびテープのマウントおよびディスマウント操作を記録するログ・ファイルをオープンします。


$ REPLY/LOG/ENABLE=(DISKS,TAPES)

20.6.3.2 論理名の指定

コマンド・プロシージャ SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM に論理名を定義することによって,オペレータ・ログ・ファイルの省略時の状態を指定することができます。次の表に,そのような論理名とその働きをまとめます。 SYLOGICALS.COM についての詳細は, 第 5.2.5 項 を参照してください。

重要

論理名 OPC$ALLOW_INBOUND および OPC$ALLOW_OUTBOUND に FALSE を定義すると,すべての OPCOM は,指定された方向に転送されます。返されると想定されている状態メッセージだけでなく,すべての OPCOM メッセージが表示されません。

論理名 働き
OPC$ALLOW_INBOUND ノードに戻ってくる OPCOM トラフィックをオフまたはオンする。省略時の設定では,この論理名は,TRUE に定義されている。この論理名を FALSE に定義すると,ノードはクラスタ内の別のノードから OPCOM メッセージを受信しなくなる。
OPC$ALLOW_OUTBOUND ノードから出て行く OPCOM トラフィックをオフまたはオンする。省略時の設定では,この論理名は,TRUE に定義されている。この論理名を FALSE に定義すると,ノードはクラスタ内の別のノードへ OPCOM メッセージを送信しなくなる。
OPC$LOGFILE_ENABLE オペレータ・ログ・ファイルをオープンするかどうかを指定する。この論理名を TRUE に定義するとオペレータ・ログ・ファイルをオープンし, FALSE に定義するとオープンしない。省略時の設定では,OpenVMS Cluster 環境上のワークステーションを除くすべてのシステム上でログ・ファイルがオープンする。
OPC$LOGFILE_CLASSES ログ・ファイルに記録するイベントのオペレータ・クラスを指定する。省略時の設定では,すべてのクラスのイベントを記録するものとしてログ・ファイルをオープンする。論理名は,適用するクラスの検索リスト,コンマで区切ったリスト,あるいはその両方の組み合わせで指定できる。 OPC$LOGFILE_ENABLE を定義しない場合でも OPC$LOGFILE_CLASSES を定義できる。その場合,指定したクラスは,オープンするすべてのログ・ファイルに使用される。しかし,各ログ・ファイルをオープンするかどうかは省略時の設定が適用される。
OPC$LOGFILE_NAME ログ・ファイルの名前を指定する。この論理名の定義を省略すると,ログ・ファイルの名前は SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG となる。システム・ディスク以外のディスクを指定する場合は,コマンド・プロシージャ SYLOGICALS.COM にそのディスクをマウントするコマンドを加える必要がある。
OPC$OPA0_ENABLE クラスタ内のワークステーション用のシンボル値を上書きする。この論理名を TRUE と定義すると, OPA0 装置を BROADCAST (NOBROADCAST の省略時の設定を上書き) に設定する。クラスタ内のワークステーションではないシステムの場合,この論理名を FALSE と定義すると,OPA0 装置が NOBROADCAST に設定される。

注意

OPCOM の初期のスタートアップ以外でも使用される論理名は OPC$LOGFILE_NAME だけです。他の OPCOM 論理名は無視されます。たとえば,論理名 OPC$LOGFILE_ENABLE が FALSE に定義されていても, REPLY/LOG コマンドを実行すれば新しいオペレータ・ログ・ファイルがオープンします。 OPCOM のスタートアップ後にその状態とクラスを再設定するためには, REPLY/ENABLE コマンドまたは REPLY/DISABLE コマンドを使用します。

20.6.4 オペレータ・ログ・ファイルの管理

オペレータ・ログ・ファイルを定期的に管理するための計画をたててください。まず,毎日新しいログ・ファイルを起動し,前日に使用していたファイル (2 番目に新しいバージョン) をリネームするという方法があります (次の項の例を参照)。あるいは,古いファイルを削除することもできます。ただし,ログ・ファイルを削除する場合には,必ずそのバックアップをとるようにしてください。詳細は 第 5.2.7.9 項 を参照してください。

OPCOM を誤って削除してしまった場合は,次の手順に従って手動で起動します。

  1. SYSTEM アカウントにログインして,この操作に必要な特権を入手する。

  2. 次のコマンドを入力して,スタートアップ・コマンド・プロシージャ (STARTUP.COM) を実行し,コマンド・パラメータとして OPCOM を指定する。


    $ @SYS$SYSTEM:STARTUP OPCOM
    

20.6.5 オペレータ・ログ・ファイルのプリント

次に,オペレータ・ログ・ファイルの最新のバージョンをプリントする手順を示します。この作業を行うためには,OPER 特権が必要です。

  1. ターミナルをオペレータ・ターミナルとして宣言 (使用可能に) する。


    $ REPLY/ENABLE
    

  2. 現在のログ・ファイルをクローズし,新しいファイルをオープンする。


    $ REPLY/LOG
    

  3. 省略時の値を SYS$MANAGER に設定し,次のコマンドによってファイルのすべてのバージョンを表示する。


    $ SET DEFAULT SYS$MANAGER
    $ DIRECTORY OPERATOR.LOG
    

  4. 2 番目に新しいバージョンを OPERATOR.OLD にリネームする。


    $ RENAME OPERATOR.LOG;-1 OPERATOR.OLD
    


    バージョン番号 --1 は,このファイルの 2 番目に新しいバージョンを表す。なお,最も大きなバージョン番号は,現在使用中のオペレータ・ログ・ファイルである。

  5. オペレータ・ログ・ファイルをプリントする。


    $ PRINT OPERATOR.OLD
    



$ REPLY/ENABLE (1)
$ REPLY/LOG (2)
%%%%%%%%%%%  OPCOM, 19-APR-2000 12:28:20.11  %%%%%%%%%%%
Logfile was closed by operator _MARS$VTA2: (3)
Logfile was HOMER::SYS$MANAGER:[SYSMGT]OPERATOR.LOG;27
%%%%%%%%%%%  OPCOM, 19-APR-2000 12:29:24.52  %%%%%%%%%%%
Logfile has been initialized by operator _MARS$VTA2:
Logfile is HOMER::SYS$MANAGER:[SYSMGT]OPERATOR.LOG;28
$ SET DEFAULT SYS$MANAGER (4)
$ DIRECTORY OPERATOR.LOG (5)
Directory SYS$MANAGER:[SYSMGT]
OPERATOR.LOG;28           OPERATOR.LOG;27
Total of 2 files.
$ RENAME OPERATOR.LOG;-1 OPERATOR.OLD (6)
$ PRINT OPERATOR.OLD (7)

番号が付いた各行の意味は次のとおりです。

  1. REPLY/ENABLE コマンドにより,ターミナルをオペレータ・ターミナルとして宣言する。

  2. REPLY/LOG コマンドにより,現在のログ・ファイルをクローズし,新しいファイルをオープンする。

  3. 新しいログ・ファイルがオープンされたことを示す OPCOM からのメッセージ。

  4. SET DEFAULT コマンドにより,オペレータの省略時のディスクとしてシステム・ディスクを使用するよう設定する。

  5. DIRECTORY コマンドにより,システム・ディスク上の [SYSMGR] ディレクトリ内のファイルを表示する。

  6. RENAME コマンドにより,オペレータ・ログ・ファイルの 2 番目に新しいバージョンを OPERATOR.OLD にリネームする。

  7. PRINT コマンドにより,古いオペレータ・ログ・ファイル OPERATOR.OLD をプリントする。

20.7 機密保護監査機構の使用法

この節では,機密保護監査機構の働き,機密保護監査機構の起動,および機密保護監査ログ・ファイルを新しく作成する方法を説明します。機密保護監査ログ・ファイルについての詳細は,『OpenVMS Guide to System Security』を参照してください。

20.7.1 機密保護監査機構について

機密保護監査機構は,機密保護関係のイベントがシステム上で発生したときに,それを記録する機能です。機密保護関係のイベントは,イベント・クラス と呼ばれるカテゴリに分類されます。

省略時の設定では,システムを 表 20-7 に示すイベント用にインストールまたはアップグレードしたときに,機密保護監査機構が使用できるようになります。

表 20-7 省略時のイベント・クラス
クラス 説明
ACL 機密保護監査機構 ACE を持つ全オブジェクトへのアクセス。
AUDIT SET AUDIT コマンドの全用途。このカテゴリは使用禁止にできない。
AUTHORIZATION 登録データベースに加えたすべての変更。

  • システム利用者登録ファイル (SYSUAF)

  • ネットワーク代理登録ファイル (NETPROXY および NET$PROXY)

  • ライト・データベース (RIGHTSLIST)

BREAKIN すべてのブレークインの試み。バッチ,独立,ダイアルアップ,ローカル,ネットワーク,遠隔。
LOGFAILURE すべてのログイン障害。バッチ,ダイアルアップ,ローカル,遠隔,ネットワーク,サブプロセス,独立。

使用しているサイトにおける機密保護の必要条件が,その他の監査にも合う場合は, 第 20.7.4 項 で説明するように, DCL の SET AUDIT コマンドを使用して,別のイベント・クラスを使用可能にすることができます。

20.7.1.1 機密保護監査ログ・ファイル

監査サーバ・プロセスは,システム起動時に作成され,機密保護監査ログ・ファイル SYS$MANAGER:SECURITY.AUDIT$JOURNAL 中の特定のイベントを記録します (記録されるイベントについては, 表 20-7 を参照)。

定期的にファイルを検討するときの手順によって,機密保護監査ログ・ファイルの有用性は変わってきます。サイトの監査検討方針の一部として,たとえば次のような手順が考えられます。

  1. 毎朝,機密保護管理ログ・ファイルの新しいバージョンを作成する。

  2. 前日のログ・ファイルを見て,問題があると思われるシステム・アクティビティがないか,検討する。システムについて監査する機密保護イベントの数によっては,監査ログ・ファイルに書き込まれる監査レコードすべてを検討することは現実的ではない場合がある。そのようなときには,特定のレコード・セット (たとえば, Authorization レコードや Breakin レコード,あるいは通常の勤務時間外に作成された全イベント) をログ・ファイルから選択したい場合もある。

  3. 検討中に,問題があると思われる機密保護イベントが見つかった場合は,機密保護監査ログ・ファイルをより詳細に調べる ( 『Security Guide』を参照)。

20.7.1.2 混合バージョン・クラスタの監査ログ・ファイル

以前のバージョンのシステムで実行される監査分析ユーティリティ (ANALYZE/AUDIT) は,最新バージョンの監査ログ・ファイルを処理できません。最新バージョンを処理するには, ANALYZE/AUDIT の最新バージョンを使用する必要があります。混合バージョンのクラスタでは,別々の監査ログ・ファイルを保守することをおすすめします。

監査ログ・ファイルの出力先を変更するには,以前のバージョンを実行するノードと最新バージョンを実行するノードの両方で,次のコマンドを発行します。


AUDIT/JOURNAL/DESTINATION=ファイル指定 

ここで指定したファイル指定は,監査サーバ・データベース・ファイルに格納されます。省略時の設定では,このファイルは SYS$COMMON:[SYSMGR] に格納され,それぞれ SECURITY_AUDIT.AUDIT$JOURNAL と
SECURITY.AUDIT$JOURNAL と呼ばれます。

オペレーティング・システムは,ワークステーションと制限された管理リソースを持つユーザが,監査ログ・ファイルを別のノードに複製することを許可します。 2次ログ,つまり機密保護アーカイブ・ファイルは,ファイルを解析できる遠隔ノード上のセキュリティ・アドミニストレータが使用できます。

クラスタ内の各ノードは,各自のアーカイブ・ファイルを持っていなければなりません。アーカイブ・ファイルは,クラスタ内の複数のノードでは共用できません。

詳細は『OpenVMS Guide to System Security』を参照してください。

20.7.2 機密保護監査情報の表示

現在サイトが監査しているイベント・クラスを調べるには, DCL の SHOW AUDIT コマンドを入力します。

表示される機密保護情報の例を次に示します。


$ SHOW AUDIT


System security alarms currently enabled for: 
  ACL 
  Breakin:       dialup,local,remote,network,detached 
  Privilege use: 
    SECURITY 
  Privilege failure: 
    SECURITY 
 
System security audits currently enabled for: 
  ACL 
  Authorization 
  Breakin:       dialup,local,remote,network,detached 
  Login:         dialup,local,remote,network,detached 
  Logfailure:    batch,dialup,local,remote,network,subprocess,detached 
  Logout:        dialup,local,remote,network,detached 
  Privilege use: 
    SECURITY 
  Privilege failure: 
    ACNT      ALLSPOOL  ALTPRI    AUDIT     BUGCHK    BYPASS    CMEXEC    CMKRNL 
    DETACH    DIAGNOSE  EXQUOTA   GROUP     GRPNAM    GRPPRV    LOG_IO    MOUNT 
    NETMBX    OPER      PFNMAP    PHY_IO    PRMCEB    PRMGBL    PRMMBX    PSWAPM 
    READALL   SECURITY  SETPRV    SHARE     SHMEM     SYSGBL    SYSLCK    SYSNAM 
    SYSPRV    TMPMBX    VOLPRO    WORLD 
  DEVICE access: 
    Failure:     read,write,physical,logical,control 
  FILE access: 
    Failure:     read,write,execute,delete,control 
  VOLUME access: 
    Failure:     read,write,create,delete,control 

20.7.3 監査の開始を遅らせる方法

通常は,SYSTARTUP_VMS.COM が実行される直前に VMS$LPBEGIN の監査が開始されますが,論理名 SYS$AUDIT_SERVER_INHIBIT を定義し直せば,この動作を変更することができます。

オペレーション・システムが機密保護イベント・メッセージを送り始めるタイミングを変更するには,次の行を SYS$STARTUP:SYLOGICALS.COM コマンド・プロシージャに追加します。


$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE SYS$AUDIT_SERVER_INHIBIT YES 

これで,システム・スタートアップの別のフェーズ (おそらく, SYSTARTUP_VMS.COM の終わり) で監査を開始することができます。これを行うには,コマンド・ファイルを編集して,次の行を追加します。


$ SET AUDIT/SERVER=INITIATE 

SYSTARTUP_VMS.COM の編集に関しては, 第 5.2.7 項 を参照してください。

20.7.4 その他のクラスに対して機密保護監査機構を使用する方法

表 20-7 に示したクラス以外のクラスに対して機密保護監査を行うには,次の形式を使用します。


SET AUDIT/ENABLE=キーワード[,...] {/ALARM | /AUDIT} 

使用可能にできるイベント・クラスの説明については,『OpenVMS Guide to System Security』を参照してください。

その他のイベント・クラスを監査できるようにするためには,次の 2 つの修飾子を指定しなければなりません。

  1. /ENABLE

  2. /ALARM または /AUDIT のいずれか (必ず 1 つは指定すること。また,両方とも指定してもかまわない。)

/ENABLE,/ALARM,/AUDIT の各修飾子について,次に説明します。

修飾子 説明
/ENABLE 監査するイベント・クラスを定義する。詳細は 第 21 章 を参照。
/ALARM
/AUDIT
イベント・メッセージのデスティネーションを定義する。

  • /ALARM は,メッセージのデスティネーションを使用可能になっている全セキュリティ・オペレータ・ターミナルに指定する。

  • /AUDIT は,メッセージのデスティネーションを機密保護ログ・ファイルに指定する。

重要なイベントを報告するには,/ALARM 修飾子と /AUDIT 修飾子を使用する。比較的重要でないイベントは,後で調べることができるように機密保護監査ログ・ファイルだけに書き込んでおくことができる。

表 20-7 に示す省略時のイベント・クラスは, ALARM および AUDIT として送られる。

新しいイベントの監査は,全ノードでそれが使用できるようにすると,すぐに開始されます。


  1. 次のコマンドを実行すると,ボリュームのマウントとディスマウントに対する監査が使用可能になります。さらに,メッセージを機密保護監査ログ・ファイルに送信します。


    $ SET AUDIT/ENABLE=MOUNT/AUDIT
    

  2. 次のコマンドを実行すると,ファイルへのアクセス失敗に対する監査が可能になります。さらに,メッセージを機密保護監査ログ・ファイルおよびすべての使用可能なセキュリティ・オペレータ・ターミナルに送信します。


    $ SET AUDIT/ALARM/AUDIT/ENABLE=ACCESS=FAILURE/CLASS=FILE
    


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