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レポートには次の 3 種類があります。
| レポートの種類 | 使用する修飾子 | 
|---|---|
| 簡略レポート | /BRIEF (省略時の設定) | 
| 詳細レポート | /FULL | 
| 要約レポート | /SUMMARY | 
レポートを作成する場合,ACCOUNTING コマンドに該当する修飾子を指定します。
ACCOUNTING [ファイル指定[,...]/修飾子[,...]]  | 
このコマンドにより,ACCOUNTING ユーティリティが実行されます。パラメータの ファイル指定には,処理したい会計情報ファイルを指定します。複数のファイルを指定する場合は,それぞれをコンマで区切ります。このパラメータを省略すると,省略時の現在の会計情報ファイル SYS$MANAGER:ACCOUNTNG.DAT が処理されます。
省略時の設定では,指定した会計情報ファイルの中のすべてのレコードが処理されますが,修飾子を使用して処理対象のレコードを指定することもできます。
省略時の設定では,簡略レポートおよび詳細レポートのレコードの順序は,会計情報ファイルに記録された順序になります。簡略レポートおよび省略レポートでは,レコードの順序を変更することもできます。その場合は,/SORT 修飾子を使用します。
論理名 ACCOUNTNG によって指定されるファイル内の情報の簡略レポートを生成する例です。 /TYPE 修飾子によって,処理対象のレコードをプリント・ジョブに関するものに限定しています。また,/SORT 修飾子は,ユーザ名のアルファベットの逆の順序に従って各レコードを並べます。
$ ACCOUNTING ACCOUNTNG/TYPE=PRINT/SORT=-USER
    Date / Time      Type  Subtype  Username      ID     Source Status
------------------------------------------------------------------------
13-APR-2000 13:36:04 PRINT          SYSTEM     20A00442         00000001
13-APR-2000 12:42:37 PRINT          JONES      20A00443         00000001
13-APR-2000 14:43:56 PRINT          FISH       20A00456         00000001
14-APR-2000 19:39:01 PRINT          FISH       20A00265         00000001
14-APR-2000 20:09:03 PRINT          EDWARDS    20A00127         00000001
14-APR-2000 20:34:45 PRINT          DARNELL    20A00121         00000001
14-APR-2000 11:23:34 PRINT          CLARK      20A0032E         00040001
14-APR-2000 16:43:16 PRINT          BIRD       20A00070         00040001
14-APR-2000 09:30:21 PRINT          ANDERS     20A00530         00040001
 | 
各ユーザは,登録時に UIC セキュリティ・グループのいずれかに所属するようになっています。多くの場合,セキュリティ・グループを会計の目的で使用するのは適切ではありません。 ACCOUNTING ユーティリティの /ACCOUNT 修飾子を使用すれば,システムに登録されているユーザをいくつかの会計グループに分けることができます。
ACCOUNTING ユーティリティを使用すれば,次のことができます。
MODIFY ユーザ名/ACCOUNT=会計グループ名  | 
| ユーザ名 | ユーザの名前 | 
| 会計グループ名 | そのユーザを所属させたい会計グループの名前 | 
該当する会計情報フィールドが変更されたユーザは,次回のログインから新しい会計グループに所属します。そのユーザが使用した資源が記録されるときには,該当する会計グループ名が同時に記録されるようになります。
FORD というユーザの会計グループ名をSALES_W8 に変更する場合は,次のコマンドを実行します。
$ RUN SYS$SYSTEM:AUTHORIZE UAF> MODIFY FORD/ACCOUNT=SALES_W8 UAF> EXIT  | 
あるユーザが使用しているディスク空間の量を調べる場合は,SYSMAN を使用します。また,ディスク・クォータを有効にしていない場合には, DIRECTORY コマンドを使用します。
次のいずれかの方法を使用します。
DISKQUOTA SHOW 所有者 [/DEVICE=装置指定]  | 
指定したユーザが指定したディスク上で所有している全ファイルの使用ブロック数が示される。
DIRECTORY [ファイル指定[,...]]/SIZE=ALLOCATION/GRAND_TOTAL  | 
指定したディレクトリにある全ファイルにより使用されているブロック数が示される。 
なお,DIRECTORY コマンドには,ファイルのヘッダやユーザのルート・ディレクトリで使用されているブロックは含まれない。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> DISKQUOTA SHOW *
%SYSMAN-I-QUOTA, disk quota statistics on device SYS$SYSTEM:MYDISK
Node UNION
     UIC                  Usage        Permanent Quota   Overdraft Limit
[0,0]                     0            1000              100
[DOC,EDWARDS]             115354       150000            5000
[DOC,FISH]                177988       250000            5000
[DOC,SMITH]               140051       175000            5000
[DOC,JONES]               263056       300000            5000
 | 
$ DIRECTORY MYDISK:[PARSONS...]/SIZE=ALLOCATION/GRAND_TOTAL Grand total of 28 directories, 2546 files, 113565 blocks.  | 
本章では,OpenVMS Cluster 環境に関連する概念について説明します。また,SHOW CLUSTER ユーティリティを使用してクラスタに関する情報を表示する方法,および SYSMAN ユーティリティを使用して OpenVMS Cluster環境を管理する方法を説明します。
本章では次の作業を説明します。
| 作業 | 参照箇所 | 
|---|---|
| SHOW CLUSTER コマンドの使用の開始 | 第 22.3.2 項 | 
| レポートへの情報の追加 | 第 22.3.3 項 | 
| データの表示の制御 | 第 22.3.4 項 | 
| データの表示の書式化 | 第 22.3.5 項 | 
| スタートアップ初期化ファイルの作成 | 第 22.3.6 項 | 
| SHOW CLUSTER コマンドを含むコマンド・プロシージャの使用 | 第 22.3.7 項 | 
| SYSMAN による機密保護の管理 | 第 22.5 節 | 
| SYSMAN DO コマンドによる OpenVMS Cluster の管理 | 第 22.6 節 | 
さらに,次の項目について説明します。
| 項目 | 参照箇所 | 
|---|---|
| OpenVMS Cluster システムについて | 第 22.1 節 | 
| OpenVMS Cluster 環境の設定 | 第 22.1.1 項 | 
| クラスタ全体のシステム管理 | 第 22.1.2 項 | 
| SHOW CLUSTER ユーティリティ | 第 22.3.1 項 | 
| SYSMAN および OpenVMS Cluster 管理について | 第 22.4 節 | 
OpenVMS Cluster システムとは,少なくとも 1 つの Alpha コンピュータを含む 2 つ以上のコンピュータ,および記憶サブシステムを任意に組み合わせたシステム構成です。 OpenVMS Cluster システムでは,システム資源のすべてまたは一部を共用しますが,ユーザからはクラスタ全体が単一のシステムに見えます。コンピュータのグループがクラスタ全体の資源を共用すると,すべてのコンピュータが持つ記憶資源およびシステム資源が結合され,システムの処理能力,通信能力,および可用性を向上させることができます。
OpenVMS Cluster システムのどのノードからもアクセスあるいは使用できる資源 (ディスクやキューなど)を共用資源と呼びます。データ・ファイル,アプリケーション・プログラム,およびプリンタは,それが物理的に存在するノードに関係なく,共用資源としてクラスタ上のどのユーザからもアクセスできる数少ないアイテムです。
ディスクが OpenVMS Cluster 環境内で共用資源として設定されていると,各ユーザはどのノードからログインしても同じ環境 (パスワード,特権,省略時のログイン・ディスクへのアクセス権など) を持つことになります。ディスクの共用により,大容量記憶装置をより効率的に使用することができます。これは,任意の装置の情報を複数のノードから利用できるので,必要とするそれぞれの場所に情報を書き込む必要がなくなるためです。 OpenVMS MSCP (大容量記憶制御プロトコル),または TMSCP (テープ大容量記憶制御プロトコル) を使用すると,直接記憶装置が接続されていないノードでも,サーバ・ソフトウェアによりテープを利用できるようになります。
プリント・キューおよびバッチ・キューも共用資源として設定することができます。 OpenVMS Cluster システムでプリント・キューおよびバッチ・キューを共用する場合,すべてのノードで使用されるキューが 1 つのキュー・データベースによって管理されます。このキュー・データベースにより,どのノードからもキューを利用できます。たとえば,ALBANY,BASEL,および CAIRO という 3 つのノードを持つクラスタ・システムで,各ノードが持つ資源が完全に共用されていれば, ALBANY というノードにログインしたユーザは,BASEL に物理的に存在するファイルを, CAIRO に物理的に接続されているプリンタに送信できます。このとき,ユーザはこれらのファイルおよびプリンタが存在するノードを指定する必要はありません。また,各資源の存在場所を知る必要もありません。
OpenVMS Cluster ではさまざまな構成が可能です。サポートされている装置と構成についての詳細は,『Compaq OpenVMS Cluster 構成ガイド』およびソフトウェア仕様書 (SPD) を参照してください。
ここでは,OpenVMS Cluster システムについて簡単に説明します。 OpenVMS Cluster 環境の設定方法と使用方法についての詳細は,『Compaq OpenVMS Cluster システム』を参照してください。
22.1.1 OpenVMS Cluster 環境の設定
計画したシステム構成に基づいて必要なハードウェアをインストールし,各ハードウェアが適切に動作することが確認できたら,さまざまなシステム・ソフトウェア機能を使って OpenVMS Cluster システムを設定することができます。クラスタを構築するための作業は次のとおりです。
| 作業内容 | 参照するドキュメント | 
|---|---|
| 第 1 の OpenVMS Cluster コンピュータ上でのオペレーティング・システムのインストールまたはアップグレード | 使用するコンピュータのインストレーション・ガイドおよびオペレーション・ガイド | 
| 必要なソフトウェア・ライセンスのインストール | 『OpenVMS License Management Utility Manual』 | 
| DECnet for OpenVMS ネットワークの構成と使用開始 | 『DECnet for OpenVMS Networking Manual』 | 
| TCP/IP Services の構成と使用開始 | 『Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Installation and Configuration』 | 
| クラスタ・オペレーティング環境を定義するファイルとディスク操作およびキュー動作を制御するファイルの準備 | 『Compaq OpenVMS Cluster システム』 | 
| クラスタへのコンピュータの追加 | 『Compaq OpenVMS Cluster システム』 | 
これらの作業を行う順序は各作業環境のさまざまな要因,さらには同じ作業環境の各クラスタのさまざまな要因によって異なってきます。
22.1.2 クラスタ全体のシステム管理
システムがインストールされた後,システム管理者は,必要な機密保護を維持しながら最大の生産性と効率を得るために,ユーザおよび資源をどのように管理するかを検討する必要があります。 OpenVMS Cluster システムは,環境の条件に合うようにユーザと資源を配分できる柔軟性を備えています。また,条件の変化に合わせて資源を容易に配分し直すことができます。 OpenVMS Cluster システムで利用できる資源の数が膨大であっても,それらを 1 つのシステムとして管理することができます。
クラスタを統合して管理するためのツールや製品が用意されています。
オペレーティング・システムには次のシステム管理用ユーティリティが用意されています。
| ユーティリティ | 説明 | 
|---|---|
| Compaq DECamds | 同時に複数のノードからデータを収集および解析し,すべての出力を集中化した DECwindows に表示する ( 第 22.2 節 および『DECamds User's Guide』を参照)。 | 
| Monitor
 ユーティリティ (MONITOR)  | 
基本性能データを提供する ( 第 20.8 節 を参照)。 | 
| SHOW CLUSTER
 ユーティリティ  | 
OpenVMS Cluster システム内の動作を監視し,その動作の情報を収集してターミナルなどの出力装置に送信する ( 第 22.3 節 を参照)。 | 
| SYSMAN
 ユーティリティ  | 
クラスタ内のノードの全部あるいは一部に共通の制御コマンドを送信する ( 第 22.6 節 を参照)。 | 
次の製品を利用することができます。ただし,これらの製品は OpenVMS オペレーティング・システムに付属していません。
| 製品 | 説明 | 
|---|---|
| POLYCENTER Solutions | 広範囲の操作管理製品。複雑な分散環境の管理を補助する。 POLYCENTER Software Installation ユーティリティについては, 第 3.7 節 を参照 | 
| +Storage Library System (SLS) for VAX
 ++Storage Library System (SLS) for Alpha  | 
テープ,カートリッジ・テープ,および光ディスクを使用できるようにするソフトウェア・ツール・セット。 | 
| OpenVMS Cluster Console System (VCS) | OpenVMS Cluster システムのコンソール管理を 1 つのコンソール・ターミナル上で統合して行うシステム。 | 
上記のシステム管理ツールについての詳細は,それぞれの製品に関するドキュメントを参照してください。
22.2 Compaq DECamds によるデータの解析
Compaq DECamds は,リアルタイムの監視,診断,修正を行うツールであり,システム管理者が OpenVMS システムや OpenVMS Cluster の可用性を改善するのを支援します。 DECamds は,システム・プログラマやアナリストが,詳しい分析のために特定のノードやプロセスをターゲットにしたり,システム・オペレータやサービス技術者が,ハードウェアやソフトウェアの問題を解決するのに役立ちます。
DECamds は,複数のノードからシステム・データとプロセス・データを同時に収集して分析し,結果を DECwindows Motif ディスプレイに表示します。 DECamds は,収集したデータに基づいて,資源と拒否の問題を修正する措置を,リアルタイムで分析して検出し,提案します。
詳細は『DECamds User's Guide』を参照してください。
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