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4 スタンドアロン・ライセンス・サーバの構成と起動

ライセンス・サーバは,クライアントにライセンスを付与するために, OpenVMSシステム上で実行するソフトウェア・プログラムです。

この章では,スタンドアロン・ライセンス・サーバの構成と起動の方法について説明します。 この章は,次の節から構成されます。

4.1 ライセンス・サーバについて

ライセンス・サーバは,次のようにインストールすることができます。

ライセンス・サーバをできるだけAdvanced Serverを持たない,指定されたOpenVMSシステムにインストールすることを推奨します。 したがって,日本語Advanced Server for OpenVMS キットは,スタンドアロン・ライセンス・ サーバをファイル・サーバとは別にインストールできるようになっています。 また,この代わりに,Advanced ServerのあるOpenVMSクラスタ上でライセンス・サーバを実行すれば, クラスタ・フェイルオーバにより信頼性が向上します。

ライセンス・サーバは,クライアント別のライセンスに必要です。サーバ別のライセンスを使用する場合, ライセンス・サーバを実行する必要はありません。

1つのLANごとに,クライアント別のライセンスをサポートするためのライセンス・ サーバは1つのみ必要です。次のタイプのファイル・サーバにアクセスするクライアントのためのライセンスは, 同じライセンス・サーバで管理できます。

日本語Advanced Server for OpenVMSに付属のライセンス・ サーバは,PATHWORKS for OpenVMS (NetWare)ライセンスの発行, および管理は行いません。NetWareネットワーク・ ソフトウェアを使用するクライアントがある場合,Advanced Serverを稼動するシステムとは異なるシステム上で, 既存のバージョンのライセンス・サーバを維持します。

OpenVMSクラスタでは,PAKは共有ライセンス・データベースにロードしなければなりません。 ライセンス管理についての詳細は,『Advanced Server for OpenVMS Guide to Managing Advanced Server Licenses』を参照してください。

4.2 スタンドアロン・ライセンス・サーバを構成する前に

スタンドアロン・ライセンス・サーバは,Advanced Serverのインストレーションに使用するのと同じソフトウェア・ キットからインストールします。プロシージャについては, 「第2章, Advanced Server for OpenVMSソフトウェアのインストレーション 」で説明されています。

4.3 スタンドアロン・ライセンス・サーバの構成

LANのクライアントにライセンスを付与するよう,スタンドアロン・ライセンス・ サーバを構成しなければなりません。したがって,クライアントが使用する適切なトランスポートを選択します。 次のトランスポートを使用するようライセンス・ サーバを構成することができます。

4.4 トランスポートの構成

次の節では,構成コマンド・プロシージャを使用して,スタンドアロン・ ライセンス・サーバ用のトランスポートを構成する方法を説明します。

インストレーション・プロシージャが完了すると,OpenVMSのシステム・ プロンプト($)が表示されます。インストレーションに続いてシステムを再起動する場合は, 次の手順を行います。

  1. SYSTEMアカウントにログインしていることを確認します。

  2. 次のコマンドを入力して,構成プロシージャを起動します。
         $ @SYS$UPDATE:PWRK$CONFIG
    

  3. 構成プロンプトに応答します。

4.5 ライセンス・サーバの構成プロンプトへの応答方法

表 4-1,ライセンス・ サーバの構成プロンプト 」には,スタンドアロン・ライセンス・サーバの構成時に,PWRK$CONFIG が表示するプロンプトに対する応答方法を示します。


注意
表 4-1 には,PWRK$CONFIGが表示するプロンプトだけを示し, 情報メッセージは表示しません。構成スクリプトの完全な例については, 「付録 B, Advanced Serverのインストレーションおよび構成の例」を参照してください。

表 4-1 ライセンス・サーバの構成プロンプト

プロンプト 行いたい操作 入力
Enter disk device name where the Advanced Server data files will be stored [default_device]: サーバのオンディスク構成を,表示される省略時のOpenVMSディスク・デバイスにコピーする。

(以前にPWRK$CONFIGを実行した場合,省略時のディスク・デバイスは,サーバを最後に構成したときに指定したデバイスとなる。)

[Return]
Advanced Serverのオンディスク構成を, 表示される省略時のディスク・デバイス以外のOpenVMSディスク・デバイスにコピーする。 device_name
Do you want to serve client-based licenses over DECnet [yes]:[1] ライセンスをDECnet経由で付与する。 [Return]
ライセンスをDECnet経由で付与しない。 NO
Do you want to serve client-based licenses over NetBEUI [no]:[1] ライセンスをNetBEUI経由で付与する。 YES
ライセンスをNetBEUI経由で付与しない。 [Return]
Do you want to serve client-based licenses over TCP/IP [no]:[1] ライセンスをTCP/IP経由で付与する。 YES
ライセンスをTCP/IP経由で付与しない。 [Return]
Do you want to start the Advanced Server license server now [YES]: 構成プロシージャ完了後にサーバを自動起動する。 [Return]
サーバを起動せずに,構成プロシージャを完了する。 NO

[1] ライセンス・サーバ構成プロシージャを,以前に実行したことがある場合は, 省略時の応答が異なることがある。

4.6 スタンドアロン・ライセンス・サーバの起動方法

ライセンス・サーバは,次のいずれかの方法で起動できます。

4.6.1 ライセンス・サーバを手動で起動する方法

構成プロシージャでライセンス・サーバを起動しなかった場合,次のコマンドを使用して, 手動で起動します。

     $ @SYS$STARTUP:PWRK$STARTUP

     The license server will use DECnet, NetBEUI, TCP/IP.
     Process NETBIOS created with identification 0000011E
     Process PWRK$NBDAEMON created with identification 00000120
     Process PWRK$KNBDAEMON created with identification 00000122
     Process PWRK$LICENSE_S created with identification 00000124
     $

4.6.2 ライセンス・サーバを自動的に起動する方法

OpenVMSシステムを起動するたびに,ライセンス・サーバが自動的に起動することを確認します。

  1. システム・スタートアップ・ファイルSYS$STARTUP:SYSTARTUP_VMS.COM を編集します。

  2. 次の例に示すように,startupコマンドを追加します。コマンドを, ファイルのネットワーク・トランスポートを起動する全部の行の 下に追加します。次の例に,ファイルの編集方法を示します。
    $ IF F$SEARCH("SYS$SYSTEM:NETACP.EXE") .NES. "" THEN @SYS$MANAGER:STARTNET
    .
    .
    .
    
    $ @SYS$STARTUP:PWRK$STARTUP
    

4.6.3 OpenVMSクラスタにおけるライセンス・ サーバの起動方法

ライセンス・サーバを同じOpenVMSクラスタ上の,複数のメンバにインストールして構成する場合, できるだけSYSTEMユーティリティを使用して, すべてのクラスタ・メンバでサーバを手動で同時に起動してください。これには, 次の手順を行います。

  1. OpenVMSクラスタのサーバ・ノードの1つで,SYSTEMアカウントにログインしていることを確認します。

  2. 次のコマンドを入力して,SYSMANユーティリティを起動します。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    

  3. スタンドアロン・ライセンス・サーバを起動する,すべてのクラスタ・ メンバを定義します。たとえば,ライセンス・サーバをSPEEDY ,SPIN,およびSPANというノードで起動する場合,次のコマンドを入力します。
         SYSMAN> SET ENVIRONMENT/NODE=(SPEEDY,SPIN,SPAN)
    

  4. 定義したノードでライセンス・サーバを起動します。 SYSMAN>プロンプトで次のコマンドを入力します。
         SYSMAN>DO @SYS$STARTUP:PWRK$STARTUP
    


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