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6 ワイド・エリア・ネットワークの実装

この章では,日本語Advanced Server for OpenVMSソフトウェアがサポートするTCP/IPソフトウェア製品の1つを使用して, ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)をセットアップする方法を説明します。

この章は,次の節から構成されます。

6.1 ワイド・エリア・ネットワークの有効化

日本語Advanced Server for OpenVMSソフトウェアでは, 次の方法のいずれか1つまたは両方を使用して,ワイド・ エリア・ネットワークの名前の解決を行うことができます。

これらを使用するためには,構成マネージャを使用して有効化する必要があります。 これらは,PWRK$CONFIG.COMコマンド・プロシージャによって有効化することができます。 このコマンド・プロシージャで,"Do you want to change server configuration parameters."という質問にYESと答えると, 構成マネージャにアクセスできます。1つまたは両方の方式のワイド・ エリア・ネットワークを有効化するには,Transports画面を選択してから, 適切なチェックボックスを選択します。また,この代わりに, 『Advanced Server for OpenVMS Server Administrator's Guide』で説明するように, サーバを構成して起動した後で,構成マネージャを実行することもできます。

6.2 ワイド・エリア・ネットワークにおけるLMHOSTSファイルの使用

日本語Advanced Server for OpenVMSソフトウェアは,LMHOSTS ファイルを使用することにより,TCP/IPトランスポートのワイド・ エリア・ネットワークをセットアップする能力を提供します。 このファイルには,プライマリ・ドメイン・コントローラと同じTCP/IP サブネットにはない,ドメイン・コントローラとメンバ・サーバのリストが入っています。LMHOSTS ファイルにより,Advanced Serverは,Windows NTのワイド・エリア・ネットワークにも参加できるようになります。

Advanced Serverは,Windows NT Server とは異なり,リモートLMHOSTSファイル(#INCLUDEを使用して,Windows NT LMHOSTSファイルに呼び込まれます)はサポートしません。Windows NT Serverにある既存のLMHOSTSファイルと同じホスト名を取り込むには,そのLMHOSTS ファイルをAdvanced Serverにコピーしてから, そのエントリをAdvanced ServerのLMHOSTSファイルに手動で挿入します。

6.2.1 TCP/IPワイド・エリア・ネットワークのセットアップ

TCP/IPワイド・エリア・ネットワークをセットアップするには,同じドメインにある, ワイド・エリア・ネットワーク中のドメイン・コントローラとメンバ・ サーバについての,ホスト名とTCP/IPアドレスのリストからなるLMHOSTS ファイルを修正します。

LMHOSTSファイルにノードを含めると,プライマリ・ドメイン・コントローラがユーザ・ アカウント・データベースをそのノードにコピーし,それを常に最新に保ちます。 ノードを省略すると,そのユーザ・アカウント・ データベースが最新でなくなる場合があります。

LMHOSTSファイルは,随時修正が可能です。LMHOSTSファイルが存在する限り, ユーザはこのファイルにリストされた任意のサーバに対して,TCP/IP 接続を確立することができます。

6.2.2 LMHOSTSディレクトリ

ワイド・エリア・ネットワークのセットアップは,異なるサブネットにあるすべてのOpenVMS ファイル・サーバで次のファイルを供給することにより行います。

PWRK$LMROOT:[LANMAN]LMHOSTS.

(LMHOSTSファイルには,ファイル・タイプはありません)

6.2.3 LMHOSTSファイル構文

LMHOSTSファイルでは,各ノードについて次の行を指定することにより, ノードのリストを作成します。

address nodename #PRE #DOM:domain_name

ここで,

たとえば,LMHOSTSファイルには,次のエントリを含めることができます。

12.13.14.15 SERVER #PRE #DOM:VMSDOMAIN

このエントリにより,12.13.14.15というインターネット・アドレスを持つNetBIOS 名SERVERが,キャッシュにプリロードされるようになります。 NetBIOS名SERVERとNetBIOS名VMSDOMAIN(ドメイン名)の両方が,マッチングに利用できるようになります。

6.2.4 LMHOSTSファイルの管理

利用可能なノードのリストを変更するために,ファイルをいつでも編集することができます。 ドメイン名は,LMHOSTSファイルを動的に確認することによって解決されます。

LMHOSTS名の解決を無効にするには,LMHOSTSファイルの名前をLMHOSTS以外に変更します。

LMHOSTSファイルを修正または無効にしても,Advanced Serverの再起動は不要です。 変更内容はその場で有効になり, 次に検索したときにそれが参照されます。

6.2.5 LMHOSTSログ・ファイルの使用

LMHOSTSにアクセスしたときにエラーが発生すると,そのエラーが次のファイルに記録されます。

PWRK$LMROOT:[LOGS]PWRK$KNBDAEMON_nodename.LOG

このファイルは,Advanced Serverの実行中は開いており, 書き込みが行われます。

ログ・ファイルが大きくなり過ぎるのを防ぐため,エラーはそれぞれ,最初に発生したときのみログに記録されます。 エラーがログ・ファイルにある場合, そのエラーが重ねてログに記録されることはありません。

6.3 ワイド・エリア・ネットワークにおけるWINSの使用

Advanced Serverサーバは,WINSクライアントとして構成することができます。 これにより,Advanced Serverはワイド・エリア・ネットワーク構成において,WINS サーバを使用して,NetBIOS名の登録,解決,書き換え,および解放を行うことができます。

構成マネージャを使用して,Advanced ServerがWINSを使用するよう構成する方法についての詳細は, 『Advanced Server for OpenVMS Server Administrator's Guide』を参照してください。

6.3.1 OpenVMSクラスタのためのWINSのセットアップ

WINSをサポートするよう構成されたクライアントが,Advanced Serverのエイリアス名を使用して,WANの中のクラスタ化されたPATHWORKS Advanced Server に接続できるようにするには,Advanced Server エイリアス名のための静的マルチホーム・ エントリをWINSデータベースに追加しなければなりません。次に,alpha1_alias というAdvanced Serverエイリアス名のエントリの例を示します。

     alpha1_alias
     16.20.240.24

Advanced Serverエイリアス名のための静的マルチホーム・エントリを追加するには,Advanced Server を実行するOpenVMS クラスタにある各ノードのTCP/IPアドレスを入力しなければなりません。


注意
WINSデータベースのリストの最初に置くTCP/IP アドレスは,クラスタでAdvanced Serverを起動する最初のノードのTCP/IPアドレスでなければなりません。

WINSデータベースへの静的エントリの追加についての詳細は,お使いのWINS 製品のドキュメントを参照してください。


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