この章では, 日本語ターミナル・ドライバとフォント・ハンドラの機能について説明します。
漢字ターミナルのサポートのために提供されている日本語ターミナル・ドライバは, OpenVMSの標準ターミナル・ドライバの機能に加えて,次の機能を持ちます。
これらの機能は, KANJIGENユーティリティで漢字ターミナルに対して設定した場合にのみ作動し, その他の場合はOpenVMSの標準ターミナル・ドライバと同じ機能となります。
日本語ターミナル・ドライバには,次のものがあります。
JSY$ASDRIVER SYS$TTDRIVER JSY$FHDRIVER
ASDRIVER KJDRIVER FHDRIVER
日本語ターミナル・ドライバは,標準ドライバの機能に加えて以下の処理を行います。
日本語ターミナル・ドライバは,漢字ターミナルのフォント ROMにない文字パターンを必要に応じて出力する機能を提供します。
オンデマンド・ローディングについての詳しい説明は, 第2.2節をご覧ください。
DEC漢字1983年版罫線コードを,DEC漢字文字セットの,DEC確保領域内にある DEC罫線に変換します。これにより, DEC漢字1978年版の漢字ターミナルで罫線を表示できます。
Super DEC漢字の文字コードが文字として扱われるように,以下の取り扱いを変更します。
上記の機能は,KANJIGENユーティリティの文字単位編集機能によって設定されます。
VAX 版
日本語OpenVMS VAXでは,標準ターミナル・ ドライバと日本語ターミナル・ドライバの切り換えは,次のようにして行います。
JSY$SYSTEM:JSY$SETPARAMS.COMを使用します。このコマンド・プロシージャは, 以下の処理を行います。
JSY$SYSTEM:JSY$RESETPARAMS.COMを使用します。 このコマンド・プロシージャは,以下の処理を行います。
通常は,ターミナル・ドライバを切り換える必要はありませんが, 日本語OpenVMSのバージョン・アップの際に必要になる場合があります。
Alpha 版
日本語OpenVMS Alpha V6.2以降では, 日本語を使う場合でも標準ターミナル・ドライバを使用します。 システム・パラメータのTTY_CLASSNAMEの定義は"TT"に設定します。
この節では,オンデマンド・ローディングについて説明します。
漢字ターミナルには,そのフォントROMにJIS X0208第1水準の漢字のみを持つもの, 第2水準まで持つものなどさまざまですが,日本語OpenVMSは漢字ターミナルにない 漢字も自由に使用できるように,オンデマンド・ローディング機能を提供します。
オンデマンド・ローディングとは,漢字ターミナルのフォント ROMにない文字パターンを検知し, 必要に応じて対応する文字パターンを漢字ターミナルに送って, 文字の出力を可能にする機能です。
漢字ターミナルのフォントROMにない文字パターンを検知した場合, 日本語ターミナル・ドライバが補助プロセスであるフォント・ ハンドラに漢字コードを通知します。 フォント・ハンドラは,システムのフォント・データベースを読み, その漢字コードの文字パターンを漢字ターミナルに送ります。
このオンデマンド・ローディング処理を行うかどうかは, KANJIGENユーティリティで各漢字ターミナルごとに指定できます。
ソフトウェア・オンデマンド・ローディングとは, 漢字ターミナルのフォント要求機能を用いないオンデマンド・ローディング機能です。 漢字ターミナルが接続されているシリアル・ライン・インタフェースの種類, ターミナル・サーバの種類およびバージョンにかかわりなく, 使用することがができます。
ただし, 1つのターミナルからターミナル・サーバ経由で複数のセッションを使用している場合, その各セッションで同時にソフトウェア・オンデマンド・ ローディングを使用することはできません。 その場合はハードウェア・オンデマンド・ローディングを使用してください。
ハードウェア・オンデマンド・ローディング処理の流れを 図 2-1に示します。
ハードウェア・オンデマンド・ローディングとは, 漢字ターミナルのフォント要求機能を用いるオンデマンド・ローディング機能です。 漢字ターミナル自身がフォントの管理を行うため, ターミナル・サーバ経由で複数のセッションを使用している場合でも, オンデマンド・ローディングを行うことができます。
ただし,1つのターンナルからターミナル・サーバ経由で複数のノードへ接続して, その各セッションで同時にオンデマンド・ローディングを使用する場合は, 接続している全てのノードのフォント・ データベースの内容が同一である必要があります。
ハードウェア・オンデマンド・ローディングを使用できるのは, 以下のターミナル・サーバ経由の接続の場合のみです。
これら以外のインタフェースでオンデマンド・ローディングを行う場合には, ソフトウェア・オンデマンド・ローディングを使用してください。
ハードウェア・オンデマンド・ローディング処理の流れを 図 2-2に示します。
オンデマンド・ローディングを使用するには,KANJIGENユーティリティの /FONT修飾子を使用して,指定した漢字ターミナルに対するオンデマンド・ ローディング処理を有効にしてください(KANJIGENユーティリティについては, 第3章を参照)。
オンデマンド・ローディングをサポートする装置については, 表 1-1を参照してください。 一部の漢字プリンタでは,オンデマンド・ローディングがサポートされていますが, 漢字プリンタに対しては漢字プリント・シンビオントを使用するようにしてください。 漢字プリント・シンビオントについては, 第5章を参照してください。
「オンデマンド・ローディングなし」に設定。
「オンデマンド・ローディングあり」に設定。
フォント・ハンドラはシステムに1つだけ存在する,オンデマンド・ ローディング用の補助プロセスで,ユーザとは直接には関係せず独立して動作します。
フォント・ハンドラ・プロセスは,日本語OpenVMSの起動時に自動的に作成されます。
フォント・ハンドラの主な属性を以下に示します。
-プロセス名 | JSY$FS_JA_JP_01 |
-優先順位 | 8 |
- UIC | [1,20] |