[ 前のページ ] [ 次のページ ] [ 目次 ] [ 索引 ] [ DOC Home ]

3 KANJIGENユーティリティ

この章では,KANJIGENユーティリティについて説明します。


3.1 概要

KANJIGENは漢字ターミナルの種類や属性の設定および表示, プリローディングの要求を行うユーティリティです。 ターミナル種別の設定および表示はDCLコマンドのSET/SHOW TERMINAL に相当するものですが,KANJIGENユーティリティは, 漢字ターミナルに関連した項目のみを扱います。


3.2 起動方法

次のコマンドを使用して起動します。

          $ RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN

          KANJIGEN> [KANJIGEN コマンド]

フォーリン・コマンドによる起動もできます。

          $ KANJI*GEN :== $JSY$SYSTEM:KANJIGEN

          $ KANJIGEN  [KANJIGEN コマンド]


3.3 KANJIGENコマンド

この節では,KANJIGENコマンドについて説明します。

表 3-1にKANJIGENコマンドの一覧を示します。

表 3-1 KANJIGENコマンド一覧

コマンド 説明
EXIT KANJIGENを終了し,DCLコマンド・レベルにもどります。
HELP KANJIGENコマンドのHELPを表示します。
SET 漢字ターミナルの種類,属性の設定,オンデマンド・ ローディングの要求を行います。
SHOW 指定した漢字ターミナル,またはオンデマンド・ ローディング中のすべての漢字ターミナルの種類,属性を表示します。

次に,各コマンドについて詳しく説明します。


EXIT

KANJIGENを終了します。

形式

    EXIT

   コマンド修飾子        省略時設定

   なし                  なし

説明

EXITコマンドは,KANJIGENユーティリティを終了し,制御をDCLレベルに戻します。 EXITコマンドのかわりに<Ctrl/Z>を押すこともできます。

  1. KANJIGEN>  EXIT
    
    EXITコマンドは,KANJIGENユーティリティを終了します。


HELP

KANJIGENのコマンドに関するヘルプ・テキストを表示します。

形式

    HELP   [topic]

   コマンド修飾子        省略時設定

   なし                  なし

パラメータ

[topic]
KANJIGENコマンドの中から,ヘルプ情報が必要なコマンドを指定します。 HELPコマンドでは,パラメータに修飾子を指定できます。

説明

HELPコマンドはKANJIGENコマンドに関する情報を漢字ターミナルに表示します。 トピック・パラメータを指定すれば,そのトピックに関するヘルプ・ テキストを表示できます。トピック・パラメータを指定しなかった場合には, 参照できる情報リストが表示され,HELPコマンドは, トピックを選択するように要求するプロンプトを表示します。

         KANJIGEN> HELP SET/FONT
    

    この例は,SETというKANJIGENコマンドの/FONT修飾子についての情報を表示します。


SET

漢字ターミナルまたはプリンタの種類や属性の設定,プリローディングの要求を行います。

形式

    SET   [device-name]

   コマンド修飾子        省略時設定

   /DEVICE_TYPE=device-ty/DEVICE_TYPE=ORIGINAL
   /EDIT=state           /EDIT=DISABLE
   /FONT=ODL-type        /NOFONT
   /INPUT=input-code     /INPUT=KANA
   /KCODE_TYPE=kanji-code/KCODE_TYPE=DEC83
   /OUTPUT=output-code   /OUTPUT=KANJI
   /PRELOAD=(START:n, END/PRELOAD=(START:1, END:1)
   /PERMANENT            /PERMANENT
   /SYSTEM               /SYSTEM

制限事項

次の制限事項があります。

  1. 仮想ターミナルの使用について

    仮想ターミナル(Virtual terminal:VTAxxなど)で漢字を使用する場合には, 以下の注意が必要です。

  2. リモート・ログインでの制限

パラメータ

[device-name]

設定する漢字ターミナルまたはプリンタの装置名を指定します。 装置名は論理名でもかまいません。省略時は論理名"TT"がとられるので, 指定のない場合にはログインした漢字ターミナルに対して設定します。

使用されていない他の装置を設定する場合は,/PERMANENTの指定が必要です。 すでに他のプロセスによって占有されている装置に対しては,設定できません。

コマンド修飾子

/DEVICE_TYPE=device-type

装置の種類を設定します。設定できる種類はLA84,VT80,VT200_ Series, VT300_Series,FOREIGNです。FOREIGNと指定した場合は,SHOWコマンドで表示される DEVICE TYPE (装置の種類)はUnknownとなります。装置の種類を変更したくない場合は ORIGINALを指定します(省略時はORIGINALです)。

/EDIT=state

コマンド行での文字単位の編集機能を使用するかどうかを指定します。 設定できる状態は,ENABLEまたはDISABLEです。ENABLEに設定する場合は同時に /INPUT=KANJIで入力コードをKANJIに設定する必要があります。 この機能を有効にすればターミナルから入力された Super DEC漢字コードの文字を有効なコードとして受け取ることができるようになります。 また,コマンド行の文字をそのバイト数にかかわりなく, 文字単位で編集できるようになります。省略時の設定は,DISABLEです。

リモート・ターミナルに対しては設定できません。/EDIT=ENABLEと /INPUT=KANAを同時に指定することはできません。また,/INPUTの設定が KANAの時は/EDITの設定をENABLEに変更することはできません。

/FONT=ODL-type

オンデマンド・ローディングの実行を制御します。 ODL-typeにはSOFTまたはHARDを指定できます。 指定を省略するとSOFTとして解釈されます。

/FONTまたは/FONT=SOFTを指定するとソフトウェア・オンデマンド・ ローディングが動作し,日本語ターミナル・ドライバは漢字ターミナルのフォントROM にない文字パターンを検出した場合に, フォント・ハンドラにその文字コードを通知することによって, フォント・データベースから対応するフォントを検索し, そのフォントを装置に転送します。

/FONT=HARDを指定するとハードウェア・オンデマンド・ローディングが動作し, 装置からのフォント要求を検出した場合に, フォント・ハンドラにその文字コードを通知することによって, フォント・データベースから対応するフォントを検索し, そのフォントを装置に転送します。

装置のフォントROMにない文字パターンを使用する場合は, /FONTを指定してオンデマンド・ローディングをEnableに設定するか, CMGRユーティリティで作成されたプリロードファイルをTYPEコマンドまたは COPYコマンドでその装置にロードする必要があります (オンデマンド・ローディングについては 第2章を,CMGRについては 第4章を参照してください)。

/FONT修飾子の使用には,次の制限事項があります。

オンデマンド・ローディング機能がインストールされていない場合は, /NOFONTとして,Disableに設定してください。

/INPUT=input-code

入力コードの処理を制御します。入力コードとして,KANAまたはKANJIを指定します。 日本語ライブラリのJLB$DEV_KANJI_INルーチンにより入力を参照している アプリケーションでは,8ビット目がONのデータ入力時にこの設定が KANAとしてある場合は1バイト・コード,KANJIとしている場合は 2バイト・コードによる入力として処理します。省略時はKANAです。

/INPUT=KANAと/EDIT=ENABLEを同時に指定することはできません。また, /EDITの設定がENABLEの時は/INPUTの設定をKANAに変更することはできません。


注意
DEC XTPUでは,KANJIGENユーティリティにおける /INPUT=KANAあるいは/INPUT=KANJIの設定を参照しますが, DEC XTPUの組込み関数SET(INPUT_MODE,{KANA|KANJI})の設定が優先されます。

/KCODE_TYPE=kanji-code-type

装置がDEC漢字1978年版(JIS C 6226-1978規格準拠)のときはDEC78, JIS漢字1983年版(JIS X 0208-1983規格準拠)のときはDEC83と設定します (省略時設定値はDEC83です)。

DEC78と設定すると,日本語ターミナル・ドライバは,JIS漢字領域 8区の罫線コードを拡張漢字領域94区のDEC罫線コードに変換して出力します。

リモート・ターミナル(RTxx)に対しては設定できません。

/OUTPUT=output-code

装置の表示モードの参照用の設定です。出力コードとして,KANAまたは KANJIを指定します。日本語ライブラリの JLB$DEV_KANJIルーチンにより表示モードを参照しているアプリケーションでは, この設定によってヘルプの切り替えなどをしています(省略時はKANJIです)。

/FONTまたは/PRELOADと,/OUTPUT=KANAを同時に指定することはできません。

/PRELOAD[=(START:開始区番号,END:終了区番号)]

ユーザ定義文字の文字パターンを,指定した装置のメモリ (フォントRAM)に書き込みます。

開始区番号: プリロードを開始する拡張領域の区番号(1〜94)を指定します(省略時の値は1です)。
終了区番号: プリロードを終了する拡張領域の区番号(1〜94)を指定します(省略時の値は1です)。

/PRELOADと/OUTPUT=KANA,/SYSTEM を同時に指定することはできません。


注意
実際にプリロードが行われるのは,DEVICE_TYPEがLA80,LA84, VT80,VT200_Series,VT300_Seriesの場合のみです。

プリロードされる文字パターンは, CMGR_DEFAULTフォント・データベースに登録されているものです。


/PERMANENT

指定装置の種類を設定し直し,システムがシャット・ダウンするまで持続させます。 この指定がないと,ログアウトした時点で属性はもとの設定に戻ります (DCLコマンド: SET TERMINAL/PERMANENTの仕様に同じ)。PHY_IO特権が必要です。

/SYSTEM

システムの省略時の設定を定義します。 /SYSTEMと同時に指定された設定がシステムの省略時の設定となります。 PHY_IOおよびSYSPRV特権が必要です。 /SYSTEMと/PRELOADを同時に指定することはできません。

説明

漢字ターミナルやプリンタの種類と属性の設定,オンデマンド・ローディング設定, プリローディングの要求,および文字単位編集機能の設定を行います。 装置としてはVT200_Series,VT300_Series,LA84,FOREIGN, ORIGINALの設定ができます。また,KANJIGENは /DEVICE_TYPE修飾子に指定した装置の種類によって, 次のようにターミナル属性を設定します。これは OpenVMSのSET TERMINALコマンドを実行するのと同様です。

表 3-2 /DEVICE_TYPE修飾子によるターミナル属性の設定

ターミナル属性 VT200 VT300 LAxx
ADVANCED_ VIDEO Yes Yes No
ANSI_CRT Yes Yes No
BLOCK_MODE No No No
DEC_CRT Yes Yes No
DEC_CRT2 Yes Yes No
DEC_CRT3 No Yes No
EDIT_MODE Yes Yes No
EIGHT_BIT Yes Yes Yes
FORM No No Yes
HARDCOPY/SCOPE Scope Scope Hard
LFFILL 0 0 0
LOWERCASE/UPPERCASE Low Low Low
PAGE 24 24 66
PRINTER_ PORT Yes Yes No
READ_SYNC No No No
REGIS [1] [1] No
SIXEL_GRAPHICS Yes Yes No
SOFT_CHARACTERS Yes Yes No
TAB Yes Yes Yes
TTSYNC Yes Yes Yes
TYPE_AHEAD Yes Yes Yes
WIDTH 80 80 180
WRAP Yes Yes Yes

[1]−は属性を変更しないことを示します。

  1. $  RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN
    KANJIGEN> SET/FONT/DEVICE_TYPE=VT200_SERIES/KCODE_TYPE=DEC78
    
    現在使用中の漢字ターミナルをVT200_SERIESとして設定し, オンデマンド・ローディング処理も起動します。さらに, JIS漢字領域8区の罫線コードを拡張領域94区のDEC罫線コードに変換します。

  2. $  RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN
    KANJIGEN> SET TXA5/DEVICE_TYPE=LA84/NOFONT/PERMANENT
    
    装置TXA5をLA84として設定し,オンデマンド・ローディング処理は不要とします。 またこの設定をログアウト後も有効とします。

  3. $  RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN
    KANJIGEN> SET /NOFONT/PRELOAD=END:3
    KANJIGEN> SET /NOFONT/PRELOAD=(START:10,END:10)
    
    現在使用中の漢字ターミナルに,DEC拡張漢字領域の1区〜3区,および 10区にあるユーザ定義文字の文字パターンをプリロードして, オンデマンド・ローディング処理は不要とします。

  4. $  KANJIGEN :== $JSY$SYSTEM:KANJIGEN
    $  KANJIGEN SET/DEVICE_TYPE=VT300_SERIES
    $
    
    フォーリン・コマンドにより漢字ターミナルの属性を設定します。

  5. KANJIGEN> SET/EDIT=ENABLE/INPUT=KANJI
    
    現在使用中のターミナルの文字単位編集機能を有効にし, 入力コードを漢字コードとして扱います。


SHOW

指定した漢字ターミナルまたはプリンタの装置名や各種の属性の設定を表示します。

形式

    SHOW   [device-name]

   コマンド修飾子        省略時設定

   /ALL                  なし
   /SYSTEM               なし
   /PERMANENT            なし

パラメータ

[device-name]

表示する漢字ターミナルまたはプリンタの装置名を指定します。 装置名は論理名でもかまいません。省略時は論理名"TT"がとられるので, 指定のない場合には通常,ログインした漢字ターミナルについて表示します。 すでに他のプロセスによって占有されている装置の表示はできません。

コマンド修飾子

/ALL

すべての漢字ターミナルおよびプリンタについて表示します。 装置名を指定した場合は,この修飾子は使用できません。PHY_IO, およびSYSPRV,SHARE特権が必要です。

/SYSTEM

システムの省略時の設定値を表示します。PHY_IO,SYSPRV特権が必要です。

/PERMANENT

指定された装置のPERMANENTな設定を表示します。DCLコマンドの SHOW TERMINAL/PERMANENTに同じです。PHY_IO特権が必要です。

説明

指定した漢字ターミナルまたはプリンタの以下の属性を表示します。

仮想ターミナルに設定されている漢字ターミナルの名前は,仮想ターミナル名 (VTAxxなど)で表示されます(物理ターミナル名では表示されません)。

    1.      $ RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN
           KANJIGEN>SHOW TTC3
             Device Name     Type      On Demand Input Output KanjiCode M_EDIT
           _TTC3:        VT200_Series  DISABLE   KANA  KANJI  DEC 1983  DISABLE
      

      デバイス名TTC3という装置の設定を表示します。この例では,TTC3は VT200シリーズのターミナルとして設定されています。オンデマンド・ ローディングは使用しておらず,8ビット目がオンのデータは, 入力ではカナ・コードとして,出力では漢字コードとして処理されます。 ターミナルのフォントROMのバージョンはDEC漢字1983年版です。 文字単位編集機能は使用していません。


[ 前のページ ] [ 次のページ ] [ 目次 ] [ 索引 ] [ DOC Home ]