この章では,KANJIGENユーティリティについて説明します。
KANJIGENは漢字ターミナルの種類や属性の設定および表示, プリローディングの要求を行うユーティリティです。 ターミナル種別の設定および表示はDCLコマンドのSET/SHOW TERMINAL に相当するものですが,KANJIGENユーティリティは, 漢字ターミナルに関連した項目のみを扱います。
次のコマンドを使用して起動します。
$ RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN KANJIGEN> [KANJIGEN コマンド]
フォーリン・コマンドによる起動もできます。
$ KANJI*GEN :== $JSY$SYSTEM:KANJIGEN $ KANJIGEN [KANJIGEN コマンド]
この節では,KANJIGENコマンドについて説明します。
表 3-1にKANJIGENコマンドの一覧を示します。
コマンド | 説明 |
---|---|
EXIT | KANJIGENを終了し,DCLコマンド・レベルにもどります。 |
HELP | KANJIGENコマンドのHELPを表示します。 |
SET | 漢字ターミナルの種類,属性の設定,オンデマンド・ ローディングの要求を行います。 |
SHOW | 指定した漢字ターミナル,またはオンデマンド・ ローディング中のすべての漢字ターミナルの種類,属性を表示します。 |
次に,各コマンドについて詳しく説明します。
KANJIGENを終了します。
EXIT コマンド修飾子 省略時設定 なし なし
KANJIGEN> EXITEXITコマンドは,KANJIGENユーティリティを終了します。
KANJIGENのコマンドに関するヘルプ・テキストを表示します。
HELP [topic] コマンド修飾子 省略時設定 なし なし
KANJIGEN> HELP SET/FONT
この例は,SETというKANJIGENコマンドの/FONT修飾子についての情報を表示します。
漢字ターミナルまたはプリンタの種類や属性の設定,プリローディングの要求を行います。
SET [device-name] コマンド修飾子 省略時設定 /DEVICE_TYPE=device-ty/DEVICE_TYPE=ORIGINAL /EDIT=state /EDIT=DISABLE /FONT=ODL-type /NOFONT /INPUT=input-code /INPUT=KANA /KCODE_TYPE=kanji-code/KCODE_TYPE=DEC83 /OUTPUT=output-code /OUTPUT=KANJI /PRELOAD=(START:n, END/PRELOAD=(START:1, END:1) /PERMANENT /PERMANENT /SYSTEM /SYSTEM
仮想ターミナル(Virtual terminal:VTAxxなど)で漢字を使用する場合には, 以下の注意が必要です。
使用されていない他の装置を設定する場合は,/PERMANENTの指定が必要です。 すでに他のプロセスによって占有されている装置に対しては,設定できません。
/DEVICE_TYPE=LA84と設定してください。
/DEVICE_TYPE=VT200_Seriesと設定してください。
/DEVICE_TYPE=VT300_Seriesと設定してください。
/DEVICE_TYPE=VT80と設定してください。
リモート・ターミナルに対しては設定できません。/EDIT=ENABLEと /INPUT=KANAを同時に指定することはできません。また,/INPUTの設定が KANAの時は/EDITの設定をENABLEに変更することはできません。
/FONTまたは/FONT=SOFTを指定するとソフトウェア・オンデマンド・ ローディングが動作し,日本語ターミナル・ドライバは漢字ターミナルのフォントROM にない文字パターンを検出した場合に, フォント・ハンドラにその文字コードを通知することによって, フォント・データベースから対応するフォントを検索し, そのフォントを装置に転送します。
/FONT=HARDを指定するとハードウェア・オンデマンド・ローディングが動作し, 装置からのフォント要求を検出した場合に, フォント・ハンドラにその文字コードを通知することによって, フォント・データベースから対応するフォントを検索し, そのフォントを装置に転送します。
装置のフォントROMにない文字パターンを使用する場合は, /FONTを指定してオンデマンド・ローディングをEnableに設定するか, CMGRユーティリティで作成されたプリロードファイルをTYPEコマンドまたは COPYコマンドでその装置にロードする必要があります (オンデマンド・ローディングについては 第2章を,CMGRについては 第4章を参照してください)。
/FONT修飾子の使用には,次の制限事項があります。
オンデマンド・ローディング機能がインストールされていない場合は, /NOFONTとして,Disableに設定してください。
/INPUT=KANAと/EDIT=ENABLEを同時に指定することはできません。また, /EDITの設定がENABLEの時は/INPUTの設定をKANAに変更することはできません。
- 注意
- DEC XTPUでは,KANJIGENユーティリティにおける /INPUT=KANAあるいは/INPUT=KANJIの設定を参照しますが, DEC XTPUの組込み関数SET(INPUT_MODE,{KANA|KANJI})の設定が優先されます。
DEC78と設定すると,日本語ターミナル・ドライバは,JIS漢字領域 8区の罫線コードを拡張漢字領域94区のDEC罫線コードに変換して出力します。
リモート・ターミナル(RTxx)に対しては設定できません。
/FONTまたは/PRELOADと,/OUTPUT=KANAを同時に指定することはできません。
開始区番号: | プリロードを開始する拡張領域の区番号(1〜94)を指定します(省略時の値は1です)。 |
終了区番号: | プリロードを終了する拡張領域の区番号(1〜94)を指定します(省略時の値は1です)。 |
/PRELOADと/OUTPUT=KANA,/SYSTEM を同時に指定することはできません。
- 注意
- 実際にプリロードが行われるのは,DEVICE_TYPEがLA80,LA84, VT80,VT200_Series,VT300_Seriesの場合のみです。
プリロードされる文字パターンは, CMGR_DEFAULTフォント・データベースに登録されているものです。
ターミナル属性 | VT200 | VT300 | LAxx |
---|---|---|---|
ADVANCED_ VIDEO | Yes | Yes | No |
ANSI_CRT | Yes | Yes | No |
BLOCK_MODE | No | No | No |
DEC_CRT | Yes | Yes | No |
DEC_CRT2 | Yes | Yes | No |
DEC_CRT3 | No | Yes | No |
EDIT_MODE | Yes | Yes | No |
EIGHT_BIT | Yes | Yes | Yes |
FORM | No | No | Yes |
HARDCOPY/SCOPE | Scope | Scope | Hard |
LFFILL | 0 | 0 | 0 |
LOWERCASE/UPPERCASE | Low | Low | Low |
PAGE | 24 | 24 | 66 |
PRINTER_ PORT | Yes | Yes | No |
READ_SYNC | No | No | No |
REGIS | −[1] | −[1] | No |
SIXEL_GRAPHICS | Yes | Yes | No |
SOFT_CHARACTERS | Yes | Yes | No |
TAB | Yes | Yes | Yes |
TTSYNC | Yes | Yes | Yes |
TYPE_AHEAD | Yes | Yes | Yes |
WIDTH | 80 | 80 | 180 |
WRAP | Yes | Yes | Yes |
[1]−は属性を変更しないことを示します。 |
$ RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN KANJIGEN> SET/FONT/DEVICE_TYPE=VT200_SERIES/KCODE_TYPE=DEC78現在使用中の漢字ターミナルをVT200_SERIESとして設定し, オンデマンド・ローディング処理も起動します。さらに, JIS漢字領域8区の罫線コードを拡張領域94区のDEC罫線コードに変換します。
$ RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN KANJIGEN> SET TXA5/DEVICE_TYPE=LA84/NOFONT/PERMANENT装置TXA5をLA84として設定し,オンデマンド・ローディング処理は不要とします。 またこの設定をログアウト後も有効とします。
$ RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN KANJIGEN> SET /NOFONT/PRELOAD=END:3 KANJIGEN> SET /NOFONT/PRELOAD=(START:10,END:10)現在使用中の漢字ターミナルに,DEC拡張漢字領域の1区〜3区,および 10区にあるユーザ定義文字の文字パターンをプリロードして, オンデマンド・ローディング処理は不要とします。
$ KANJIGEN :== $JSY$SYSTEM:KANJIGEN $ KANJIGEN SET/DEVICE_TYPE=VT300_SERIES $フォーリン・コマンドにより漢字ターミナルの属性を設定します。
KANJIGEN> SET/EDIT=ENABLE/INPUT=KANJI現在使用中のターミナルの文字単位編集機能を有効にし, 入力コードを漢字コードとして扱います。
指定した漢字ターミナルまたはプリンタの装置名や各種の属性の設定を表示します。
SHOW [device-name] コマンド修飾子 省略時設定 /ALL なし /SYSTEM なし /PERMANENT なし
仮想ターミナルに設定されている漢字ターミナルの名前は,仮想ターミナル名 (VTAxxなど)で表示されます(物理ターミナル名では表示されません)。
$ RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN KANJIGEN>SHOW TTC3 Device Name Type On Demand Input Output KanjiCode M_EDIT _TTC3: VT200_Series DISABLE KANA KANJI DEC 1983 DISABLE
デバイス名TTC3という装置の設定を表示します。この例では,TTC3は VT200シリーズのターミナルとして設定されています。オンデマンド・ ローディングは使用しておらず,8ビット目がオンのデータは, 入力ではカナ・コードとして,出力では漢字コードとして処理されます。 ターミナルのフォントROMのバージョンはDEC漢字1983年版です。 文字単位編集機能は使用していません。