FIP/SUBは,日本語OpenVMS V6.1から新たに追加された, サブプロセスを利用して日本語入力処理を行うユーティリティです。
FIP/SUBは日本語入力の機能を持たないプログラムに対し, 手軽に日本語入力の機能を提供する,サブプロセス型のユーティリティです。 FIP/SUBを使用することにより, プログラムを修正することなく日本語文字列の入力が可能となります。
通常,端末に対する入出力は, 図 5-1のように端末ドライバを通して行われています。
FIP/SUBを使用する場合は,端末ドライバとユーザ・プロセスの間に FIP /SUBプロセスと疑似端末ドライバが加わります。ユーザ・プロセスは FIP/SUBのサブプロセスとして作成され, ユーザの実行するコマンド/プログラムはすべて, このサブプロセスの中で実行されます。端末に対する入出力は FIP/SUBと疑似端末ドライバを通して行われることになります。 図 5-2はこの関係の概略を示しています。
ユーザ・プロセスからは, 疑似端末ドライバが実際の端末ドライバと同じように見えており, 疑似端末ドライバであることを意識することなく使用可能です。
変換開始キーが押されるとFIP/SUBは変換入力を行い, 入力された日本語文字列を疑似端末ドライバを通してユーザ・プロセスに送ります。 ユーザ・プロセスでは, 漢字端末から直接日本語文字列が送られたようにみえることになります。
変換入力を行った後は,FIP/SUBを使用していないときと同じように処理されるため, 日本語をサポートしていないプログラムを使用する場合,2バイト文字を削除したり, カーソルキーによる移動を行うときに,キーを2回ずつ押す必要があります。
FIP/SUBでは,DEC漢字とシフトJISとの漢字コード変換フィルタ機能を提供します。
DEC漢字端末から,シフトJISを使用するアプリケーションの実行,または, シフトJISを使用するパソコン通信等への接続が可能です。
DEC漢字コードを使用しているアプリケーションを変更することなく, シフトJIS端末からDEC漢字コードを使用しているアプリケーションを使用できます。
ただし,FIP/SUBではコード変換を行うだけなので,シフトJIS端末でサポートしていない <ESC>シーケンスを出力するようなアプリケーションは,使用できません。