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3 システム管理機能

この章では,システム管理者を対象にして,新機能,変更点,拡張機能について説明します。

3.1 BACKUP ユーティリティ

以降の項で,BACKUP ユーティリティの OpenVMS バージョン 7.2 での改善点について説明します。

3.1.1 /NOINCREMENTAL 修飾子

セーブ操作の際には,BACKUP の新しい修飾子 /NOINCREMENTAL を使って,変更されたディレクトリの下のすべてのファイルとサブディレクトリをセーブしないようにすることができます。 この修飾子は,すべてのデータをセーブするのではなく,特定のファイルだけをセーブしたい場合にのみ使用してください。

OpenVMS バージョン 6.2 以前には,省略時の設定では,システムは変更されたディレクトリの下のファイルとサブディレクトリはセーブしませんでした。 OpenVMS バージョン 7.0 と 7.1 では,リストアが確実に行われるように,システムは変更されたディレクトリの下のすべてのファイルとサブディレクトリをセーブするようになりました。 しかし,この動作のために,場合によっては後のリストア操作には不要なファイルとサブディレクトリまでもがセーブされるようになりました。 /NOINCREMENTAL 修飾子がインプリメントされたのは,セーブされるファイル・データの量をより細かく制御できるようにするためです。

使用上の注意

3.1.2 性能の向上

今回のリリースの BACKUP ユーティリティでは,次のように性能が向上しています。

3.2 ビットマップ制限の緩和

OpenVMS の以前のバージョンでは,ストレージ・ビットマップおよびインデックス・ファイル・ビットマップは 255 ブロックに制限されていました。 このサイズは,ボリュームを約 100 万の割り当て単位,つまりクラスタに制限していました。 大容量のディスクでは,この制限に合わせるために,より大きなクラスタ係数が要求されていました。 たとえば,9 GB のディスクでは,クラスタ係数 18 が要求されていました。

OpenVMS バージョン 7.2 からは,ストレージ・ビットマップおよびインデックス・ファイル・ビットマップの制限が,次のように増やされました。

ビットマップのタイプ 制限
ストレージ・ビットマップ 65535 ブロック
インデックス・ファイル・ビットマップ 4095 ブロック

ビットマップ制限の緩和には,次のような利点があります。

INITIALIZE および BACKUP コマンドの動作は,大きなビットマップ・サイズを反映しています。 OpenVMS バージョン 7.1 以前のバージョンでは,255 ブロックを超えるビットマップを持つボリュームはマウントできません。 このため,INITIALIZE コマンドが Files-11 構造レベル 2 ディスク上で選択する省略時のクラスタ係数は,ストレージ・ビットマップを 255 ブロックに制限しています。 ただし,現在では,省略時の設定を明示的なクラスタ係数で置き換えて,必要な大きさのストレージ・ビットマップを作成することができます。

OpenVMS バージョン 7.2 では,Files-11 構造レベル 5 ボリュームについて,INITIALIZE コマンドは,現在使用可能なディスクにクラスタ係数3を割り当てます。 INITIALIZE コマンドが割り当てる省略時のファイルの最大数 (したがって,インデックス・ファイル・ビットマップのサイズ) は,ストレージ・ビットマップのサイズに対応して増加します。

OpenVMS バージョン 7.2 では,BACKUP/IMAGE コマンドを使用してボリュームのリストアやコピーを行う場合,BACKUP ユーティリティは通常,クラスタ係数を保存します。 ただし,ストレージ・ビットマップが 255 ブロック以下の ODS-2 ボリュームをコピーするときに,出力ボリュームの方が大きい場合は,BACKUP はクラスタ係数を増やして,ストレージ・マップを 255 ブロック以下にします。 この処理により,バージョン 7.2 より前のシステムで使用可能であったボリュームが,大きなメディアにコピーされた場合にも,確実に使用できるようにします。 BACKUP の動作は,出力ボリュームを /CLUSTER 修飾子で初期化したのち,/NOINITIALIZE 修飾子を指定して BACKUP を起動することによって,出力ボリュームのクラスタ係数を設定することにより,変更できます。


注意
OpenVMS バージョン 7.1 以前のシステムでは,拡張ビットマップのボリュームをマウントすることはできません。

3.3 DECnet インストレーションのオプション

OpenVMS バージョン 7.2 以降,OpenVMS Alpha および OpenVMS VAX オペレーティング・システムのインストレーション・メニューには,DECnet-Plus と DECnet Phase IV ネットワーキング・ソフトウェアのどちらをインストールするかを選べる選択項目が追加されています。 ただし,この 2 つの DECnet プロダクトをシステム上で同時に実行することはできないということに注意してください。 DECnet-Plus と DECnet Phase IV のどちらか 1 つだけをインストールする必要があります。 DECnet Phase IV ソフトウェア・サービス・サポートについては,標準サポート契約以外に追加購入をする必要があります。 詳細については,弊社のサポート担当者にお問い合わせください。

DECnet-Plus と DECnet Phase IV のインストールまたはアップグレードの詳細については,『OpenVMS Alpha Version 7.2 Upgrade and Installation Manual』と『OpenVMS VAX Version 7.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

3.4 AlphaServer 4100 コンピュータ上でのデファード・メモリ・テスト

システムの電源投入からユーザ・ログインまでの時間を短縮するために,システム管理者は AlphaServer 4100 コンピュータ上でのメモリ・テストの一部を後回しにすることができます。 このオプションにより,コンソールが行うメモリ・テストは最小限に抑えられ,残りの部分のテストはオペレーティング・システムに任せられることになります。

この新機能を使用するためには,ブートの前にコンソールで MEMORY_TEST 環境変数の値を指定する必要があります。MEMORY_TEST の値を次に示します。

説明
FULL (off) コンソールがすべてのテストを行う。
NONE ブートの前に 32 MB のメモリがテストされる。
PARTIAL ブートの前に 256 MB のメモリがテストされる。

MEMORY_TEST を NONE または PARTIAL に設定すると,OpenVMS は次のどちらか,または両方のタイミングで,残りの未テストのメモリを必要に応じてテストします。

MEMORY_TEST の値を変更したら,その新しい値を有効にするために INIT コンソール・コマンドを発行する必要があります。 つまり,ブートを行う前に,コンソールから次の操作を行わなければなりません。

  1. MEMORY_TEST の値を変更する (必要な場合)。

  2. コンソールから INIT コマンドを発行する。

  3. オペレーティング・システムをブートする。

さらに,OpenVMS ではメモリが実際にテストされるタイミングを細かく制御することができます。 システム・パラメータ MMG_CTLFLAGS のビット2 は,デファード・メモリ・テストを制御します。

3.5 OpenVMS 上にインプリメントされた DIGITAL Cluster MIB サブエージェント

DCM (Digital Cluster MIB) は,OpenVMS Cluster システムに関する管理情報を引き渡す専用の Digital MIB (Management Information Base) です。

ネットワーク管理者は,Extensible Simple Network Management Protocol (eSNMP) により,MIB (管理情報ベース) と呼ばれるデータベースを通して,あらゆるネットワークとベンダの境界を越えて,さまざまなタイプのデバイスを管理することができます。 この際には,基本的に,管理対象のネットワーク上のルータやサーバなどのデバイスであるマスタ・エージェントおよびサブエージェントと,管理操作に使用されるネットワーク上のデバイスであるマネージャの間で情報の交換が行われます。

DCM は,2 つのエクステンション,すなわちサブエージェントから構成されています。

標準の Structure of Managed Information (SMI) フレームワークの中で,DCM は次のように表現されます。

     iso(1) org(3) dod(6) internet(1) private(4) enterprises(1) 36

OpenVMS バージョン 7.2 は,DCM サブエージェントをインプリメントしています。 カスタマは,DCM サブエージェントにより,OpenVMS Cluster システムに関する次のような状態情報を遠隔地から判断することができます。

DCM サブエージェントへのアクセスには,次のソフトウェアを使用します。

以下の各項では,DSM サブエージェントについて,またこれらを使用するためのシステムのセットアップ方法について説明します。

3.5.1 DCM サブエージェントの概要

DCM サブエージェントは,DCM オブジェクト (ネットワーク管理者が関心を抱いているデータ項目) またはトラップ (状態の変化に関する情報) に対する SNMP 要求に応答します。 サブエージェントは,これらのオブジェクトとトラップに関するデータを報告し,保持する責任を負っています。

DCM サブエージェントは表 3-1 に示したオブジェクトをインプリメントしています。 各オブジェクトは OpenVMS Cluster システムに関連する情報を返し,ネットワーク管理者は ServerWORKS Manager を通してこれらのオブジェクトにアクセスすることができます。

表 3-1 OpenVMS 上にインプリメントされている DCM サブエージェント・オブジェクト

オブジェクト データ・タイプ アクセス 説明
クラスタ情報
svrCluSoftwareVendor DisplayString Read only クラスタ・ソフトウェアのベンダ名。現在の値は Digital。
svrCluSoftwareVersion DisplayString Read only クラスタ・ソフトウェアのバージョン。これは,OpenVMS のバージョン文字列。
svrCluSoftwareStatus ClusterStatus Read only クラスタ・ソフトウェアの状態。取り得る値は,running および not running。
svrCluClusterType ClusterType Read only 実行中のクラスタのタイプ。現在の値は OpenVMS。
svrCluExtensionOID Object Identifier Read only MIB の正式な識別子。そのような識別子が存在しない場合は,値 {0.0} が返される。
svrCluThisMember Integer Read only このノードに対応するメンバ・テーブル (svrCluMemberTable) へのインデックス。
SMNP トラップ
svrCluMemberAdded Trap Packet Read only クラスタ・メンバが追加されたときに生成される。
svrCluMemberDeleted Trap Packet Read only クラスタ・メンバが削除されたときに生成される。
ノード固有情報
svrCluMemberIndex Integer Read only エントリの一意のインデックス。svrCluMemberIndex の値は,少なくとも管理されているノード上でネットワーク管理システムを再ブートするまでの間は一定でなければならない。 可能な場合には,この値はシステムの固有のメンバ識別子を表しているのがよい。
svrCluMemberName DisplayString Read only このクラスタ・メンバの SCS ノード名。長さ 0 の値は,メンバのノード名が未知であることを示す。 この名前は,必ずしもアドレスに解決されなくてもよい。
svrCluMemberComment DisplayString Read only これは,ノードのハードウェア名であり,$GETSYI システム・サービスによって返される。
svrCluMemberStatus MemberStatus Read only このメンバの状態。取り得る値は normal および removed。
svrCluMemberAddressIndex Integer Read only このアドレスのインデックス。
svrCluMemberAddress IpAddress Read only このクラスタ・メンバの IP アドレス。このアドレスは,クラスタに構成されていないノードからはアクセスできない場合がある。

3.5.2 DCM サブエージェントを使用するためのシステムのセットアップ

参考として,次のファイルに DCM サブエージェントの起動,実行,およびシャットダウンを行うエントリの例があります。

SVRCLUSTER_MIB のエントリがあるファイルを探し,必要に応じて編集してください。 また,GOTO エントリも削除する必要があります。 これは,コマンド・プロシージャを終了させるだけです。

3.6 イーサネットおよび FastEthernet サポート (Alpha システムのみ)

OpenVMS Alpha バージョン 7.2 では,DE500-BA PCI イーサネット・ネットワーク・インタフェース・カードのランタイムおよびブート・サポートを提供しています。 これは,半/全デュプレックス・モードでの 10 または 100 Mb/s のオペレーションが可能です。 OpenVMS Alpha バージョン 7.2 では,DE500-FA PCI FastEthernet ネットワーク・インタフェース・カードのランタイムおよびブート・サポートも提供しています。 このサポートでは,半/全デュプレックス・モードでの 100 Mb/s オペレーションが可能です。

これらのアダプタについての詳細は,第 4.1 節を参照してください。

3.7 Extended File Specifications (Alpha システムのみ)

Extended File Specifications は,Windows 形式のファイル指定の使用を許可する OpenVMS Alpha バージョン 7.2 の機能です。 Extended File Specifications では,次のようなサポートを提供しています。

これらのコンポーネントは,OpenVMS Alpha システムにおいて (以前は PATHWORKS for OpenVMS と呼ばれていた Advanced Server for OpenVMS 7.2 を使用して),Windows 95 または Windows NT 環境と似た名前を持つファイルの格納,管理,サービスの提供およびアクセスの柔軟性を大幅に高めます。

この節では,Extended File Specifications の利点,機能およびサポート,Extended File Specifications を使用する際に起こる OpenVMS の動作の変化の簡単な概要を示します。 Extended File Specifications についての詳細は,『OpenVMS Extended File Specifications の手引き』を参照してください。 Extended File Specifications のオンライン・ヘルプを利用するには,次のように入力します。

     $ HELP Ext_File_Specs

3.7.1 Extended File Specifications の利点

Extended File Specifications がサポートする深いディレクトリと拡張されたファイル名には,次の利点があります。

これらの利点は,第 3.7.2 項で説明する機能によるものです。

3.7.2 Extended File Specifications の機能

Extended File Specifications は,ODS-5 ボリューム構造と,深いディレクトリのサポートという 2 つの主な機能から構成されています。

3.7.2.1 ODS-5 ボリューム構造

OpenVMS バージョン 7.2 は,On-Disk Structure Level 5 (ODS-5) をインプリメントしています。 この構造は,拡張されたファイル名を持つファイルの作成と格納のための基盤を提供します。 OpenVMS Alpha システム上で ODS-5 ボリュームを有効にするかどうかを選択することができます。 ODS-5 ディスクの構造についての詳細は,『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。

ODS-5 ボリューム構造には次の機能があります。

3.7.2.2 深いディレクトリ構造

ODS-2 と ODS-5 のどちらのボリューム構造も,次の制限下で,ディレクトリの深いネスティングをサポートします。

255 バイトよりも長い完全ファイル指定は,変更されていないアプリケーションに提示されるときに,RMS によって圧縮されます。

たとえば,ユーザは次に示すような深くネストされたディレクトリを作成することができます。

     $ CREATE/DIRECTORY [.a.b.c.d.e.f.g.h.i.j.k.l.m]

ユーザは,ODS-5 ボリューム上で,長い名前を持つディレクトリを作成することができます。

     $ CREATE/DIRECTORY
     [.AVeryLongDirectoryNameWhichHasNothingToDoWithAnythingInParticular]

3.7.2.2.1 ディレクトリの命名構文

ODS-5 ボリュームでは,ディレクトリ名は ISO Latin-1 文字セットを使用している場合には,ファイル名とほぼ同じ規則に従います。ディレクトリ名の中ではピリオドと特殊文字を使うことができますが,場合によっては,リテラル文字として認識されるようにサーカンフレックス (^) を前に付けなければならないことがあります。

3.8 SCSI テープ装置のための高速スキップ

SET MAGTAPE コマンド用の新しい修飾子 /FAST_SKIP は,ファイル・マークまたはレコードでスキップできるようにします。 オプションは,PER_IO (省略時の設定),ALWAYS,および NEVER の 3 つです。


注意
このテープ位置決め修飾子は,ローカルの SCSI テープ装置についてのみ使用するものです。

装置で高速スキップ・オプションをサポートしているかどうかを判断するには,SHOW DEVICE コマンドを使用します。

詳細については,『OpenVMS DCLディクショナリ: N-Z』およびオンライン・ヘルプを参照してください。

3.9 FastTrack Web サーバ (Alpha システムのみ)

Web ページおよびアプリケーションの作成,構築,公開,およびサービスのための強力な Web サーバである Netscape FastTrack が,OpenVMS Alpha バージョン 7.2 に無料でバンドルされています。 FastTrack の有効なクロス・プラットフォーム環境は,さまざまな Web やデータベース・アプリケーションの構築や実行をサポートします。 オープンなインターネット/イントラネット基準に基づいて,FastTrack は,組織内外でのハイファイ通信および情報の共有を可能にします。 FastTrack サーバは,使用および管理が極めて簡単でありながら,多数のタイプのWebやデータベース・アプリケーションの構築または実行のための恵まれた環境を提供します。

FastTrack は,Web サイトの構築にかかる費用と繁雑さを取り除きます。 ユーザは FastTrack を簡単にインストールして,短時間のうちに起動し,実行して,公開することができます。 FastTrack の Web ベースの管理インタフェースを使用すると,ユーザは組織内の任意のデスクトップから Web サイトを管理することができます。 また,ボタンを押すだけで,ユーザはドキュメントをサーバに対して公開することができます。

FastTrack は,ディレクトリ・アクセスに対して LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) をサポートし,管理者がドキュメントのアクセス権を細かく指定できるようにすることによって,複数のサーバに渡る共通のユーザおよびグループの管理を提供します。 FastTrack では,最適化されたキャッシュ,カーネル・スレッドの拡張使用,HTTP V1.1 サポート,高度なメモリ管理によって,コアとなる Web エンジンの信頼性を高めています。 FastTrack の次のようなセキュリティ機能により,サーバに格納されている情報へのアクセスが制限されます。

FastTrack と Netscape Communications and Commerce サーバで異なっている主な機能は次のとおりです。

3.9.1 利点

FastTrack for OpenVMS Alpha の使用には,次のような利点があります。

3.9.2 入手方法

Netscape FastTrack Server for OpenVMS Alpha は OpenVMS Alpha バージョン 7.2 のリリースに含まれており,OpenVMS のライセンス QL-MT1* の下にライセンスされています。 追加のライセンスは必要ありません。 OpenVMS Alpha バージョン 7.1 以降で実行される Netscape FastTrack バージョン 3.03 for OpenVMS Alpha ソフトウェアも,次の OpenVMS web サイトからダウンロード可能なキットとして無料で入手することができます。

http://www.openvms.digital.com

3.10 Fibre Channel サポート (Alpha システムのみ)

Fibre Channel は,新しい ANSI 規格のネットワークおよびストレージ・インターコネクトであり,他のインターコネクトを介して多数の利点を提供します。 表 3-2 に,Fibre Channel の最も重要な機能を示します。


注意
本書では,お客様のコンピューティング環境に Fibre Channel の導入を検討する際の一助となるように,OpenVMS バージョン 7.2 のリリース後,間もなく利用できるようになる Fibre Channel 機能の改善点についても記述しています。

表 3-2 Fibre Channel の機能

機能 説明
高速伝送 1.06 ギガビット/秒,全二重,シリアル・インターコネクト (1 秒あたり 100 メガバイトのデータを同時に送受信することができる)
メディアの選択 光ファイバ・メディアのための OpenVMS の最初のサポート。将来的には,銅メディアのサポート。
長距離インターコネクト 400 m/リンクでのマルチ・モード・ファイバのための OpenVMS の最初のサポート。将来的には,10 Km シングル・モード・ファイバ・リンクおよび 30 m 銅線リンクのサポート。
多数のトポロジ Fibre Channel スイッチのための最初の OpenVMS サポート (高スケーラブル,複数並列通信)。 将来的には,調停ループ (126 に固定された最大ノード数,共用帯域幅,比較的安価なハードウェア),スイッチの構造,調停ループとスイッチの混合,およびポイント・ツー・ポイントのサポート

最初の OpenVMS のインプリメンテーションでは,400 m/リンクまでの距離で,マルチ・モードの光ファイバ・メディアについて,単一スイッチ・トポロジをサポートします。

図 3-1 に,スイッチ・トポロジの論理的な概観を示します。 FC ノードは,Alpha ホストまたはストレージ・サブシステムのいずれかです。

図 3-1 スイッチ・トポロジ,論理概観

ノードからスイッチへの各リンクは,専用 FC 接続です。スイッチは,ノード・ペア間で蓄積交換パケット転送を行います。接続されていないノード・ペア間での並列通信は,スイッチによってサポートされます。

Fibre Channel のための OpenVMS サポートについての詳細は,『Guidelines for OpenVMS Cluster Configurations』を参照してください。

3.11 ファームウェア・リビジョン・チェック (Alpha システムのみ)

OpenVMS Alpha バージョン 7.2 では,ブート操作の際に行われるシステムのファームウェア・チェックが強化されています。 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD-ROM をブートすると,システムはコンピュータ上で実行されているコンソール・ファームウェア (PALcode を含む) のバージョンを自動的にチェックします。 また,システムはファームウェアのアップグレード方法とその時期に関する,より詳しい情報も提供します。 これまではPALcodeのバージョンだけがチェックされており,情報メッセージにも具体性が欠けていました。

いったんこのバージョンの OpenVMS Alpha オペレーティング・システムをインストールすると,システムを再ブートするたびに (これまでの PALcode チェックと似た) ファームウェア・チェックが行われることに注意してください。

3.12 InfoServer サービス・リスティング: ディスプレイとサービスの選択肢の改善

OpenVMS バージョン 7.2 では,システム管理者は Compaq InfoServer のサービスをより迅速に表示し,選択することができます。 MOP ブートの際と,(MCR ESS$LADCP SHOW SERVICES コマンドを通して) 実行時に表示されるサービス・リスティングの構成が変更されています。

バージョン 7.2 よりも前のバージョンでは,サービス情報はランダムな順序で表示されていました。 次に示すのは,OpenVMS バージョン 7.1 での MOP ブート手順からの抜粋です。

        .
        .
        .
     Servers found:  19

      Service Name Format:
             Service Number
             Service Name
             Server Name
             Ethernet ID

     #1
     X6FA_IMAGE
     VMS_DSS
     08-00-2B-27-FC-0F

     #2
     X6G7_KIT
     ALPHA_DSS
     08-00-2B-28-17-A3

     #3
     CDDOC06JUL21
     SUPER
     08-00-2B-20-CD-07

      Enter a Service Number or <CR> for more:
        .
        .
        .

この選択プロセスでは,画面 1 つに最高で 4 つのサービスしか表示されないため,目的のサービスを見つけ出すためには何度もスクロールしなければならないことがよくありました。

現在は,サービス情報はサーバごとにグループ化され,アルファベット順に表示されます。 次に示す例は,OpenVMS バージョン 7.2 MOP ブート手順からの抜粋です。

        .
        .
        .
      Servers found::   19

      Services offered by node AJAX_TEST_SERVR, Address: 08-00-2B-2D-B8-32

     #   2  VAXDOCSEP931
     #   3  R6LBCK
     #   4  V71R01-03
     #   5  CDDOC09NOV22

      Services offered by node IMS$DSS1, Address: 08-00-2B-23-94-15
     #   6  VXT_UPDATE

      Services offered by node PUB_08002EE0AF60, Address: 08-00-2B-B0-AF-60

     #   1  FREEWAREV20

      Services offered by node VMS$DSS1, Address: 08-00-2B-2C-D4-A6
     #   7  VAXBINDEC969
     #   8  CDBIN_01
     #   9  CDBIN_02
        .
        .
        .

ランタイム・サービス情報も次のようにサーバごとにグループ化されます。

     $ MC ESS$LADCP SHO SER

     Interrogating network for Disk services, please wait...

     Disk services offered by node AXX_150 (LAD V3.1, Address: 08-00-2B-26-A4-B5)

                                                   Current   Writes
     Service:                    Device:   Rating: Connects: Allowed?:

     PCSI_MOTIF123                RZ57      65263       0     Yes
     VPWRK_LATEST                 RZ57      65272       0     Yes
     VPWRKV5D                     RZ57      65272       0     Yes
     APWRK_LATEST                 RZ57      65263       0     Yes
     VAXVMS061                    RZ57      65263       0     Yes
     VMS060                       RZ57      65272       0     Yes
     VMS054                       RZ57      65272       0     Yes
     Disk services offered by node FPG90 (LAD V3.1, Address: AA-00-04-00-F3-FC)

                                                   Current   Writes
     Service:                 Device:      Rating: Connects: Allowed?:
     RSM$FETCH_CSG20-VMS       OpenVMS AXP     64       0     No
     RSM$FETCH_CSG20-AVMS      OpenVMS AXP     64       0     No

このように,表示形式が改善されているため,1 つの画面により多くのサービス情報が表示され,システム管理者はサービスの監視と選択をより簡単に行うことができます。

3.13 Classical IP 用の LANCP Define Device および Set Device: 新しい修飾子 (Alpha システムのみ)

OpenVMS バージョン 7.2 では,LANCP の Define Device および Set Device コマンドに 2 つの新しい修飾子 /PVC および /NOPVC が追加されました。 表 3-3 は Define Device および Set Device コマンドの修飾子を示しています。

表 3-3 Define Device および Set Device

修飾子 説明
/PVC=([vc-id],... ) Alpha システムで,パーマネント仮想チャネル (PVC) の定義または設定を行う。 これはオプションの修飾子である。PVC を有効にする方法の例を示す。
     /PVC = (200,105)
/NOPVC=([vc-id],...) Alpha システムで,パーマネント仮想チャネル (PVC) の定義または設定を行わない。 これはオプションの修飾子である。

3.14 LANCP Classical IP (CLIP) の修飾子: 新しいキーワードと変更されたキーワード (Alpha システムのみ)

OpenVMS バージョン 7.2 では,LANCP の Define Device および Set Device コマンドの /CLIP 修飾子に,新しいキーワードと変更されたキーワードがあります。 キーワード type=server の記述が変更されており,また表 3-4 に示すように新しいキーワードが追加されました。

表 3-4 Define Device および Set Device の /CLIP 修飾子のキーワード

修飾子 説明
/CLIP /CLIP のキーワードとサブキーワードの構文の意味を次に示す。

  • type=server

    CLIP サーバをスタートアップする。各 LIS についてサーバは 1 つだけ指定できる。 また,このサーバは先に起動される必要がある。

  • type=(server,client)

    CLIP サーバおよびクライアントをスタートアップする。

3.15 Monitor ユーティリティ: TCP/IP サポートの追加

Monitor ユーティリティが強化され,トランスポートとして TCP/IP (利用可能な場合) または DECnet のいずれかを使用できるようになりました。 MONITOR はまず,TCP/IP にアクセスしようとします。TCP/IP が利用できない場合は,DECnet を使用します。

この機能強化を利用するには,SYS$STARTUP:SYSTARTUP_VMS.COM でコメントにされている次の行を元に戻す必要があります。

     $ @SYS$STARTUP:VPM$STARTUP.COM

例として SYS$STARTUP:SYSTARTUP_VMS.TEMPLATE を参照してください。

3.16 OpenVMS Cluster システム

この節で説明する新しい OpenVMS Cluster 機能を示します。

3.16.1 新しい CIPCA アダプタ・サポート

CIPCA アダプタは,PCI-CI 間のストレージ・ホスト・バス・アダプタです。 CIPCA により,ユーザは既存の CI ベースのストレージを,高性能の PCI ベースの AlphaServer システムに接続することができます。

OpenVMS バージョン 7.1 のリリース以来,CIPCA-BA アダプタは OpenVMS バージョン 7.1 上で認定されてきました。 CIPCA-BA アダプタは PCI スロットを 2 つ必要とします。 初期の CIPCA-AA アダプタは EISA スロットを 1 つと PCI スロットを 1 つ必要とします。 CIPCA-BA は EISA スロットの数が少ない新しいサーバ向けの製品です。

CIPCA アダプタにより,ユーザは既存の OpenVMS Cluster システムに最新の Alpha ベース・サーバを追加し,これまでのストレージ・サブシステムへの投資を活かしながら最高の価格性能比を持つサーバを利用することができます。 CIPCA アダプタと HSJ50 ストレージ・コントローラは,PCI から CI の接続機能を提供し,4K パケットのサポートによって CI の性能を改善します。

1 つのシステムに構成できる CIPCA アダプタの数の上限は,システムの種類,使用可能な EISA および PCI スロットの数,選択された CIPCA モデルの組み合わせ,およびその他のシステム・オプションに依存します。 CIPCA の詳細については『Guidelines for OpenVMS Cluster Configurations』を参照してください。

3.16.2 クラスタ単位の論理名

クラスタ単位の論理名は,OpenVMS における既存の論理名サポートを拡張したものです。 これは OpenVMS Alpha と OpenVMS VAX の両方で利用できます。

この節では,システム管理者を対象に,クラスタ単位の論理名について説明します。 プログラミングの観点から見たクラスタ単位の論理名の情報については,第 4.2 節を参照してください。

3.16.2.1 概要

クラスタ単位の論理名は,OpenVMS Cluster システムに対して,共用可能な論理名の便利さと使いやすさを拡張したものです。 既存のアプリケーションは,アプリケーション・コードに変更を加えずに,クラスタ単位の論理名を利用することができます。 アプリケーションが (直接または間接に) 参照する論理名テーブルのわずかな変更だけが必要になります。

OpenVMS バージョン 7.2 上で作成した新しい論理名は,省略時の設定ではローカルです。 クラスタ単位は,論理名テーブルの属性です。新しい論理名をクラスタ単位にするには,クラスタ単位の論理名テーブルに作成する必要があります。

3.16.2.2 機能

クラスタ単位の論理名の主な重要な機能を次に示します。

クラスタ単位の論理名についての詳細は,『OpenVMS Cluster Systems』を参照してください。

3.16.3 クラスタ・インターコネクトとしての Gigabit イーサネット


注意
Gigabit イーサネット用の OpenVMS Cluster サポートは,OpenVMS バージョン 7.2 のリリース後間もなく利用できるようになります。 本書では,OpenVMS Cluster 構成に Gigabit イーサネットの導入を検討する際の一助となるよう,この情報を記載しています。

OpenVMS Alpha バージョン 7.2 では,クラスタ・インターコネクトとして Gigabit イーサネットをサポートしています。 Gigabit イーサネット OpenVMS Cluster システム内のノードは,Gigabit イーサネット・スイッチに接続されているか,あるいは,2 つのノードしかない場合は,図 3-2 に示すように,ポイント・ツー・ポイントで接続してスイッチを不要にすることができます。

図 3-2 ポイント・ツー・ポイント Gigabit イーサネット OpenVMS Cluster 構成

ほとんどの Gigabit イーサネット・スイッチは,Gigabit イーサネットまたは Gigabit イーサネットと Fast Ethernet (100 Mbps) を組み合わせて使用して構成することができます。 各ノードは,スイッチへ単独接続するか,または複数接続で構成することができます。 たとえば,ノードは,Gigabit イーサネットでも Fast Ethernet でも接続することができます。

図 3-3 に,2 台のノードが Gigabit イーサネットで接続され,1 台のノードが Gigabit イーサネットと Fast Ethernet の両方で接続され,2 台のノードが Fast Ethernet で接続されている 5 ノード構成のクラスタを示します。 現在サポートされている DIGITAL PCI-to-Gigabit Ethernet アダプタは,DEGPA と呼ばれています。 また,現在サポートされている Fast Ethernet ファミリのアダプタには,DE50x-xx という名前が付けられています。

図 3-3 スイッチ Gigabit イーサネット OpenVMS Cluster 構成

図 3-3 に示す中央のノードのように,ノードが 2 本以上のケーブルでスイッチに接続されているマルチパス構成では,1 つのパスに障害が起こった場合,残りのパスが障害の起こったパスの負荷を引き受けます。

3.16.3.1 システム・サポート

表 3-5に示すように,Gigabit イーサネットはいくつかの AlphaServer モデル上で,クラスタ・インターコネクトとしてサポートされます。

表 3-5 Gigabit イーサネット・アダプタ用の AlphaServer サポート

AlphaServer のモデル アダプタの最大数 最小メモリ
AlphaServer GS140 4 128[1]
AlphaServer 8400 4 128[1]
AlphaServer 8200 4 128[1]
AlphaServer 4x00 4 128[1]
AlphaServer 1200 2 128[1]
AlphaServer 800 2 128[1]

[1] 256 MB を強く推奨する。

3.16.3.2 将来のリリースで予定されている OpenVMS Cluster の機能

表 3-6 に記述してあるように, OpenVMS バージョン 7.1-2 または OpenVMS バージョン 7.2 では,一部のクラスタ機能はサポートされていません。 これらのクラスタ機能のサポートは,将来のリリースで予定されています。

表 3-6 現在サポートされていないクラスタ機能

機能 コメント
ジャンボ・フレーム (フレーム・サイズが 1518 より大きく 9,018 より小さい) ジャンボ・フレームは,現在は,クラスタ通信用ではなく,Gigabit イーサネットを介してサポートされている。 クラスタ通信用にサポートされているフレームのサイズは,標準の最大 1518 バイトのイーサネット・フレーム・サイズ。
最適パス選択 今回のリリースでは,最適パス選択はインプリメントされていないため,クラスタ・ソフトウェアが必ず最適パスを選択すると信頼してはならない。
ブート装置として DEGPA を使用したサテライトのブート DEGPA はブート装置として使用できないが,Gigabit スイッチ上に構成した標準 10/100 イーサネット・ネットワーク・アダプタを介して,サテライトをブートすることができる。

3.16.4 クラスタ内通信 (ICC) システム・サービス

新しいクラスタ内通信 (ICC) システム・サービスは,OpenVMS Cluster システムの中で実行されるアプリケーションのためのアプリケーション・プログラミング・インタフェース (API) を提供しています。 アプリケーション・プログラム開発者は,これらのサービスを使用して,1 つの OpenVMS Cluster システム内の同じまたは別のシステム上で実行されている複数のプロセスの間に接続を作成することができます。 新しい ICC システム・サービスの詳細については,『OpenVMS System Services Reference Manual: GETQUI-Z』および本書の第 4.11 節を参照してください。

3.16.5 ロック・マネージャの改善

ロック・マネージャは OpenVMS システムの中のリソースを同期化します。 OpenVMS バージョン 7.2 のロック・マネージャ・ソフトウェアは,大量のロック・マネージャ要求を発行するアプリケーションのパフォーマンスを高めるため,またアプリケーションのスケーリングを向上させるために強化されています。 これらの改善点は,単独のシステムにも,OpenVMS Cluster システムにも影響を与えています。

OpenVMS Alpha では,ロック・マネージャの大部分のデータ構造の位置が変更されています。 これらのデータ構造は,現在では S2 スペースの中の Pool Zone と呼ばれる構造の中に置かれています。 SHOW MEMORY 表示は,ロック・マネージャが使用している Pool Zone メモリの属性を表示するように変更されています。 詳細については,『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。

3.16.6 MEMORY CHANNEL の強化 (Alpha システムのみ)

MEMORY CHANNEL は,PCI ベースの Alpha システムのための高性能のクラスタ・インターコネクト技術です。 これは,高性能データベースなどのように,ノード間で大量のデータを移動しなければならないアプリケーションに適しています。

MEMORY CHANNEL はノード間クラスタ通信だけをサポートします。 ネットワーク・トラフィックまたはストレージ・アクセスのためには第 2 のインターコネクトが必要です。

MEMORY CHANNEL は,OpenVMS バージョン 7.1 で導入された時点では,10 フィートのラジアル・トポロジにおいて 4 つまでのノードをサポートしていました。 OpenVMS Alpha バージョン 7.1-1H1 では,MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 に対して,次のような強化が行われました。

OpenVMS Alpha バージョン 7.2 でサポートされている MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 では,次のような新機能が提供されています。

MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 のハブと MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 のハブの両方を持つ OpenVMS Cluster システムで,コンピュータを構成することができます。 ただし,正しく動作するためには,アダプタとケーブルのバージョン番号が,MEMORY CHANNEL のハブのバージョン番号と一致していなければなりません。

つまり,MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 のアダプタは,MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 のハブおよび MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 のケーブルと一緒に使用しなければなりません。 同様に,MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 のアダプタは,MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 のハブおよびケーブルと一緒に使用しなければなりません。

MEMORY CHANNEL の詳細については,『Guidelines for OpenVMS Cluster Configurations』を参照してください。

3.16.7 並列 SCSI または Fibre Channel によるマルチパス SCSI 構成

OpenVMS Alpha バージョン 7.2 では,並列 SCSI 構成のためのマルチパス・サポートを導入しています。 OpenVMS バージョン 7.2 のリリース後間もなく,Fibre Channel 構成でもマルチパス・サポートが利用できるようになります。

SCSI マルチパス・サポートとは,図 3-4 に示すように,OpenVMS システムと SCSI デバイスの間にある複数のパス間でのフェイルオーバのサポートのことです。 マウントされているディスクへの現在のパスに障害が起こると,システムは自動的に代替パスへフェイルオーバします。

図 3-4 マルチパス SCSI 構成

マルチパスは,次のようなシステムのためにサポートされています。


注意
直接接続された SCSI パスと MSCP でサービスされているパスの間のフェイルオーバについてのマルチパス・サポートは,OpenVMS バージョン 7.2 のリリース後間もなく利用できるようになります。

図 3-5 に,HSx コントローラへの MSCP でサービスされたパスを持つほかに,HSx コントローラへの複数の直接接続を持つ SCSI マルチパス構成を示します。

図 3-5 直接接続された SCSI パスと MSCP でサービスされたパス

マルチパス SCSI デバイスは,Alpha システムに直接接続して,Alpha または VAX システムに対してサービスを行うことができます。

ストレージ装置への冗長パスに対する SCSI マルチパス・フェイルオーバは,データの可用性を大幅に向上させ,構成によっては,性能を改善することができます。

SCSI マルチパス・サポートについての詳細は,『Guidelines for OpenVMS Cluster Configurations』を参照してください。

3.16.8 SCSI OpenVMS Cluster システムによる 4 ノードのサポート

SCSI ハブ DWZZH-05 の導入により,現在では,SCSI マルチホスト OpenVMS Cluster システムで 4 つのノードをサポートすることができます。 4 つのノードをサポートするためには,ハブの公平な調停機能が利用可能に設定されている必要があります。 このハブは,KZPSA または KZPBA-CB のいずれかのアダプタでサポートされています。

この構成は,OpenVMS Alpha の次のバージョンでサポートされています。

SCSI ハブ DWZZH-05 を導入する前は,SCSI マルチホスト OpenVMS Cluster システムでは,最大 3 つのノードがサポートされていました。

3.16.9 Ultra SCSI 構成のサポート

OpenVMS Alpha バージョン 7.1-1H1 では,シングルホスト構成において,いくつかの Ultra SCSI デバイスの Ultra SCSI モードでの使用がサポートされました。 OpenVMS Alpha バージョン 7.1-1H1 のリリース以来,新たな Ultra SCSI デバイスが OpenVMS 上で認定されており,また OpenVMS にはマルチホスト構成のサポートが追加されました。

OpenVMS バージョン 7.2 は,シングルホスト構成とマルチホスト構成の両方で Ultra SCSI をサポートしています。 DWZZH-05 ハブの公平な調停機能を有効に設定して使用している場合,Ultra SCSI のマルチホスト構成では,4 つまでのホストがサポートされます。

表 3-7 は,いくつかの重要な Ultra SCSI デバイスを含めて,OpenVMS が提供している Ultra SCSI サポートを要約しています。 OpenVMS でサポートされているすべての Ultra SCSI デバイスに関する情報と,OpenVMS Alpha Ultra SCSI クラスタの構成方法については,表 3-9 に示したドキュメントを参照してください。

表 3-7 OpenVMS Alpha Ultra SCSI サポート

構成/アダプタ バージョン 説明
KZPBA-CA を使用したシングルホスト構成 7.1-1H1 KZPBA-CA はシングル・エンドのアダプタである。また,KZPAC Ultra SCSI ホスト RAID コントローラもシングルホスト構成でサポートされている。
KZPBA-CB を使用したシングルホスト構成 7.1-1H1 KZPBA-CB はディファレンシャル・アダプタである。また,HSZ70 も,KZPBA-CB を使用した Ultra SCSI モードでの動作がサポートされている。
KZPBA-CB と修復キットを使用したマルチホスト構成 7.1-1H1 DWZZH-05 ハブの公平な調停機能を有効に設定して使用している場合,4 つまでのホストが Ultra SCSI バスを共用できる。HSZ70 もマルチホスト・バス上でサポートされている。
KZPBA-CB を使用したマルチホスト構成 7.2 DWZZH-05 ハブの公平な調停機能を有効に設定して使用している場合,4 つまでのホストが Ultra SCSI バスを共用できる。 HSZ70 もマルチホスト・バス上でサポートされている。

表 3-8 に示している制約に注意してください。

表 3-8 OpenVMS での制約

制約 コメント
KZPBA-CB のファームウェアはバージョン 5.53 以降でなくてはならない。 これ以前のファームウェア・バージョンはマルチホストをサポートしていない。
コンソール・ファームウェアは Alpha Systems Firmware Update CD バージョン 5.1 以降で更新されていなくてはならない。 このCDには,コンソール SCSI ドライバのすべての修正が含まれている。 また,この CD には KZPBA-CB ファームウェアの最新バージョン (バージョン 5.53 以降) も含まれている。

表 3-9 は,Ultra SCSI デバイスと,OpenVMS Alpha Ultra SCSI クラスタの構成に関するドキュメンテーションを示しています。

表 3-9 OpenVMS Alpha UltraSCSI クラスタの構成に関するドキュメンテーション

トピック ドキュメント 注文番号
Ultra SCSI の動作をサポートする SCSI デバイスと,その構成方法 『StorageWorks UltraSCSI Configuration Guidelines』 EK-ULTRA-CG
KZPBA-CB UltraSCSI ストレージ・アダプタ 『KZPBA-CB UltraSCSI Storage Adapter Module Release Notes』 AA-R5XWA-TE
OpenVMS Cluster システムにおけるマルチホスト SCSI バスの動作 『Guidelines for OpenVMS Cluster Configurations』 AA-Q28LB-TK
OpenVMS バージョン 7.1-1H1 がサポートしているシステムとデバイス 『OpenVMS Operating System for Alpha and VAX, Version 7.1-1H1 Software Product Description』 SPD 25.01.xx
マルチホスト SCSI サポート 『OpenVMS Cluster SoftwareSoftware Product Description』 SPD 29.78.xx

StorageWorks Ultra SCSI プロダクトに関する情報は,World Wide Web の次の URL で提供されており,定期的に更新されています。

http://www.storage.digital.com

OpenVMS ソフトウェア・プロダクトの説明も,World Wide Web の次の URL で提供されており,定期的に更新されています。

http://www.openvms.digital.com

ソフトウェア・プロダクトに関する説明は,ホーム・ページの Publications という選択項目の下にあります。

3.16.10 保証サポートと移行サポート

OpenVMS Alpha バージョン 7.2 と OpenVMS VAX バージョン 7.2 では,バージョンおよびアーキテクチャの混在する OpenVMS Cluster システムに対して,2 レベルのサポート,つまり保証サポートと移行サポートが提供されます。

保証サポートとは,OpenVMS Cluster に 2 つのバージョンが共存することを,弊社が完全に保証することを意味しており,これらの構成をご利用のお客様から問い合わせがあったすべての問題に対して,弊社が責任を持って対処します。

移行サポートは,OpenVMS の以前のリリースで提供されていたローリング・アップグレード・サポートのスーパーセットであり,保証されない組み合わせに対して提供されます。 移行サポートとは,OpenVMS VAX または OpenVMS Alpha の新しいバージョンに段階的に移行される構成で組み合わせて使用できるバージョンを弊社が保証しているものです。 これらの構成で報告された問題に対しては,弊社が対処します。 しかし,例外的な場合には,お客様に対して保証構成に移行されることをお願いすることがあります。

移行サポートは,クラスタ環境にできるだけ影響を与えずに,お客様が OpenVMS Cluster の保証されるバージョンの組み合わせに移行されるのに役立ちます。

表 3-10 に,可能なすべてのバージョンの組み合わせに対して提供されるサポートのレベルを示します。

表 3-10 OpenVMS Cluster の保証サポートと移行サポート

Alpha V6.2-xxx Alpha V7.1-xxx Alpha V7.2
VAX V6.2-xxx 保証 移行 移行
VAX V7.1-xxx 移行 保証 移行
VAX V7.2 移行 移行 保証

OpenVMS のバージョン7.1またはバージョン 7.2 を実行しているシステムで構成されているクラスタに,バージョン 6.2 のノードを加えるためには,バージョン 6.2 の各ノードにクラスタ互換キットをインストールする必要があります。 また,混合バージョン・ユーティリティで Monitor ユーティリティを使用している場合には,新しい修復キットをインストールする必要があります。 これらのキットについての詳細は,『OpenVMS V7.2 リリース・ノート[翻訳版]』を参照してください。

弊社は,OpenVMS Cluster でバージョン 7.2 とバージョン 6.1 (またはそれ以前のバージョン) を組み合わせて使用されることをサポートしていません。 多くの場合,バージョン 7.2 とバージョン 6.2 以前のバージョンの組み合わせを使用しても問題は発生しませんが,このような構成で問題が発生した場合,弊社はその問題を解決できないことがあります。


注意
OpenVMS VAXバージョン5.5-2 以前のバージョン,あるいは OpenVMS Alpha バージョン 1.0 または 1.5 を実行しているノードは,OpenVMS バージョン 7.2 を実行しているノードが 1 台以上あるクラスタには,加わることができません。 詳細については,『OpenVMS V7.2 リリース・ノート[翻訳版]』を参照してください。

3.17 OpenVMS Management Station バージョン 3.0

OpenVMS Management Station のバージョン 3.0 は,プリンタ管理機能と既存のユーザ・アカウントへのストレージ管理サポートを追加します。

OpenVMS Management Station は,複数の OpenVMS Cluster システムおよび OpenVMS ノードに渡るディスク・ストレージ・デバイスの管理を容易にしています。 OpenVMS Management Station のバージョン 3.0 を使用すると,ストレージ環境を制御するための複雑なコマンド・プロシージャを保守する必要がなくなります。 使いやすい Windows インタフェースからストレージの作成,削除,および管理を行うことができます。

OpenVMS Management Station は,システム起動時に,システムのストレージ構成を自動的に判断して構成できる永続データベースを提供します。

OpenVMS Management Station は,現在 Microsoft Management Console (MMC) をベースにしています。 Microsoft Management Console は,さまざまな管理プログラムに対して共通の管理フレームワークを提供します。 OpenVMS Management Station は MMC スナップ・インとしてインプリメントされ,必要な MMC コンポーネントがすべて含まれています。

3.17.1 OpenVMS Management Station の新機能

OpenVMS Management Station バージョン 3.0 には,次のような新機能があります。

3.18 OpenVMS レジストリ

OpenVMS と Windows NT が相互運用できるようにするため,OpenVMS 上にレジストリを提供しています。 PATHWORKS および COM for OpenVMS では,両方とも OpenVMS レジストリを使用します。 Windows NT のレジストリと同様に,OpenVMS レジストリは,OpenVMS レジストリ・データベースと OpenVMS レジストリ・サーバの 2 つのコンポーネントから構成されています。 OpenVMS レジストリ・データベースは,構成情報が格納されているシステム単位またはクラスタ単位の階層データベースです。 この情報は,キーと関連する値という構造でデータベースに格納されています。 OpenVMS レジストリ・サーバは,OpenVMS レジストリ・データベースの作成やバックアップ,キーと値の作成,表示,変更,削除など,すべての OpenVMS レジストリの操作を制御します。

OpenVMS レジストリには,アプリケーションで OpenVMS レジストリ・サーバを制御したり,OpenVMS レジストリ・データベースに対して読み込みや書き込みができるようにするインタフェース (COM API とシステム・サービス) があります。 また,OpenVMS レジストリには,システム管理者が OpenVMS DCL コマンド行から OpenVMS レジストリ情報を表示したり更新したりできるようにするサーバ管理ユーティリティも用意されています。

OpenVMS レジストリは,Windows NT レジストリと互換性があります。 RegEdt32 などの Windows NT クライアント・アプリケーションは,OpenVMS レジストリに接続して,それを編集することができます。

3.18.1 詳細情報

OpenVMS レジストリについての詳細は,『OpenVMS Connectivity Developer Guide』を参照してください。このドキュメントは,次のところから入手することができます。

OpenVMS レジストリのインストールおよび管理についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

3.19 PCI Gigabit イーサネットのサポート (Alpha システムのみ)

OpenVMS Alpha バージョン 7.2 には,DIGITAL PCI-to-Gigabit イーサネット・アダプタ (DEGPA) のランタイム・サポートが含まれています。 DEGPA は,シングル・システム上でサポートされています。 OpenVMS Cluster サポートについての詳細は,第 3.16.3 項を参照してください。

DEGPA は,1000BASE-SX 光ファイバ・ケーブルを介して実行される IEEE 802.3z Gigabit イーサネット標準に準拠しています。 別の Gigabit イーサネット・アダプタまたは Gigabit イーサネット・ハブやスイッチへのポイント・ツー・ポイントで実行することができます。

DEGPA を構成するには,次の手順に従ってください。

  1. システムで OpenVMS Alpha バージョン 7.2 が実行されていることを確認します。

  2. システムの電源を落とします。

  3. DEGPA を使用可能な PCI スロット (可能であれば 64 ビットのスロット) にインストールします (このアダプタのインストール手順については,付属の『DIGITAL PCI-to-Gigabit Ethernet Adapter Installation and Configuration』を参照)。

  4. システムをブートします。

  5. 次のコマンドを入力して,どの EW デバイスが DEGPA であるかを判断します。
         $ RUN SYS$SYSTEM:LANCP
         LANCP> SHOW DEV EW/CHAR
    

    回線速度 1000 メガビット/秒のデバイスが DEGPA です。

  6. デバイスが,スイッチにケーブルで正しく接続されているか,あるいは別のデバイスにポイント・ツー・ポイント接続されていることを確認します。 接続されている場合は,"link up" というコンソール・メッセージが表示されます。 コンソール・メッセージを見落とした場合 (これは OPCOM ログ・ファイルには記録されません) は,DEGPA をチェックするか,または SDA ユーティリティを使用することができます。

3.19.1 ファームウェアの更新

Gigabitイーサネット・アダプタ用にファームウェアが更新されるとき, ドライバの次のバージョンが含まれるようになります。 他のアダプタと異なり,Gigabit イーサネット・アダプタ用のファームウェア・イメージはドライバに埋め込まれています (ファームウェアは,デバイスの初期化時にアダプタにロードされて,ドライバ・イメージの一部になります)。 つまり,ユーザがファームウェアをアップデートすることはありません。

3.19.2 リンクの自動ネゴシエーションのサポート

OpenVMS Gigabit イーサネット・ドライバは,リンクの自動ネゴシエーションをサポートしています。 自動ネゴシエーションは省略時の設定ではオンになっていますが,SYSMAN ユーティリティまたは LANCP ユーティリティを使用して,オン/オフを切り替えることができます。 SYSMAN ユーティリティを使用して設定を変更すると,その設定はすべての Gigabit イーサネット・アダプタで有効になります。 LANCP ユーティリティを使用すると,個々のアダプタまたは全アダプタの設定を変更することができます。 どちらのユーティリティを使用しても,変更は直ちに有効になります。

多くの Gigabit イーサネット・スイッチはリンクの自動ネゴシエーションをサポートしていますが,Gigaswitch/Ethernet など一部のスイッチではサポートしていません。 使用している Gigabit イーサネット・スイッチでリンクの自動ネゴシエーションがサポートされていない場合には,ドライバでリンクの自動ネゴシエーションを無効に設定する必要があります。

リンクのネゴシエーションの設定が変わるたびに,コンソール・メッセージが表示されます。 自動ネゴシエーションを無効にしている場合は,ドライバの初期化時に,コンソールに次のメッセージが表示されます。

     %EWA0, Autonegotiation disabled per SYSGEN parameter LAN_FLAGS

Gigabit イーサネット・ドライバは,1 秒ごとに LAN_FLAGS の設定をチェックして,ビット 5 の指示どおりにリンクの設定を変更するため,ドライバは数秒のうちに有効なリンクを認識できるようになります。

デバイスが正しくケーブル接続されているが,ドライバが有効なリンクを認識できない場合は,おそらくスイッチが自動ネゴシエーションをサポートしていないためです。

SYSMAN または LANCP を使用して,自動ネゴシエーションのオン/オフを切り替える方法については,以降の各項で説明します。

3.19.2.1 SYSMAN ユーティリティの使用方法

SYSMAN を使用すると,全アダプタの自動ネゴシエーションのオン/オフを切り替えることができます。 ただし,個々のアダプタを選択して切り替えることはできません。 自動ネゴシエーションを無効にするには,LAN_FLAGS システム・パラメータのビット 5 をセットします。 自動ネゴシエーションを有効にするには,そのビットをクリアします。

自動ネゴシエーションを無効にするには,次の手順に従ってください。

  1. リンクのライトをチェックするか,SDA を使用して,前述のとおりにデバイスが正しくケーブル接続されていることを確認します。

  2. SYSMAN を起動して,次の SYSMAN コマンドを入力します。
         $ run sys$system:sysman
         SYSMAN> parameters use current
         SYSMAN> parameters set lan_flags %x20
         SYSMAN> parameters write active
         SYSMAN> parameters write current
         SYSMAN> exit
    

    "%x" は,その後に続く数が 16 進数であることをオペレーティング・システムに指示します。


    注意
    ビット 5 の設定は,LAN_FLAGS システム・パラメータの他の既存の設定と OR をとります。

  3. SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT に次の行を挿入するかまたは編集してください。
         lan_flags = %x20  ! turn off auto-negotiate on DEGPA
    

自動ネゴシエーションを有効にするには,ビット 5 をセットする代わりにクリアする点を除いて,前述の指示に従ってください。 その後,SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT の関連する行を修正します。

3.19.2.2 LANCP ユーティリティの使用方法

LANCP ユーティリティを使用すると,アダプタの自動ネゴシエーションのオン/オフを,1 つ以上の個々のアダプタについては別個のコマンドで,あるいは全アダプタについては 1 つのコマンドで切り替えることができます。

個々のアダプタ (たとえば ewa) のリンクの自動ネゴシエーションを無効にするには,次のコマンドを入力します。

     $ mc lancp set dev devname/noauto ewa

Gigabit イーサネット・スイッチに接続されているすべての Gigabit イーサネット・アダプタのリンクの自動ネゴシエーションを無効にするには,次のコマンドを入力します。

     $ mc lancp set dev devname/noauto ew/all

リンクの自動ネゴシエーションを無効にしている場合は,前述のコマンド構文で noauto の代わりに auto を指定することにより,オンに設定を戻すことができます。

3.19.3 ジャンボ・フレームのサポート

OpenVMS Gigabit イーサネット・ドライバは,イーサネットおよび Fast Ethernet でサポートされている最大フレーム・サイズの 1518 バイトを超えるフレーム・サイズをサポートします。 Gigabit イーサネット・アダプタは,9018 バイトまでのフレーム・サイズをサポートします。

Gigabit イーサネット・ドライバでは,実際の最大フレーム・サイズを非ページド・プールのルックアサイド・リストのサイズから 640 バイトの伝送/受信要求フレーム・オーバヘッドを引いたサイズに制限しています。 表 3-11 に,本リリースおよび OpenVMS バージョン 7.2 の省略時のフレーム・サイズおよび許可されている最大サイズを示します。

表 3-11 OpenVMS フレーム・サイズのサポート

バージョン 省略時のサイズ 最大サイズ
OpenVMS バージョン 7.1-2 1512 バイト 4480 バイト
OpenVMS バージョン 7-2 1512 バイト 7552 バイト

Gigaswitch/Ethernet などの一部の Gigabit イーサネット・スイッチでは,1518 バイトを超えるフレーム・サイズをサポートしていません。 他のスイッチでは,もっと大きなフレーム・サイズをサポートしていることもありますが,同じスイッチ上または LAN 上の別の場所にある他のノードと通信する際に,アプリケーションは大きなフレーム・サイズが使用できるかどうかを判断する必要がでてきます。 たとえば,デスティネーションが同じスイッチ上の Fast Ethernet ノードである場合,スイッチは大きなフレームを受信するが,送信側に通知しないでそれらを破棄することがあります。

ノード間のフレーム・サイズのネゴシエーションを行うのは,各アプリケーションの責任です。 Digital TCP/IP など一部のアプリケーションでは,フレームのフラグメンテーションやフレーム・サイズ・エラーの通知については,スイッチを当てにしています (ICMP frame for TCP/IP)。

スイッチでジャンボ・フレームのサポートが提供されていない場合,最大フレーム・サイズは LAN ドライバによって 1518 バイトに制限されます。 この制限は,大きなフレーム・サイズをサポートしていないノードや,2 つのノード間にあるスイッチのハードウェアによって制限されているノードと,スイッチを介して通信できるようにします。


注意
Gigabit イーサネット・スイッチがジャンボ・フレームをサポートしているか,ジャンボ・フレームをサポートしている別のノードとポイント・ツー・ポイントを構成しているか,あるいは,アプリケーションでもジャンボ・フレームをサポートしている場合には,ジャンボ・フレームの使用を有効に設定します。

3.19.3.1 1518 バイトを超えるフレームの使用を有効にする

SYSMAN ユーティリティまたは LANCP ユーティリティを使用して,ジャンボ・フレームの使用を有効にすることができます。 この 2 つのユーティリティの使用方法については,次の項で説明します。

どちらのユーティリティを使用しても,ジャンボ・フレームの設定は,直ちに有効になります。 ただし,アプリケーションは,初期化時にだけ最小パケット・サイズをチェックすることがあります。 このため,場合によっては,変更を有効にするために,アプリケーションを停止して再起動する必要があります。

フレーム・サイズを変更するたびに,コンソール・メッセージが表示されます。 SYSMAN を使用してフレーム・サイズを変更すると,次のようなメッセージが表示されます。

     %EWA0, Jumbo frames enabled per SYSGEN parameter LAN_FLAGS

3.19.3.2 SYSMAN ユーティリティの使用方法

SYSMAN ユーティリティを使用してジャンボ・フレームを有効にするには,次の手順に従ってください。

  1. 次の例に示すように,LAN_FLAGS システム・パラメータのビット 6 をセットします。
         $ run sys$system:sysman
         SYSMAN> parameters use current
         SYSMAN> parameters set lan_flags %x40
         SYSMAN> parameters write active
         SYSMAN> parameters write current
         SYSMAN> exit
    

    "%x" という表記は,それに続く数が 16 進数であることをオペレーティング・システムに指示します。


    注意
    ビット 6 のセットは,LAN_FLAGS にセットされている既存のビットと OR を取ります。

  2. 次の行を SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT に挿入するかまたは編集します。
         lan_flags = %x40 ! enable jumbo frames on DEGPA
    

ビット 6 をクリアして,SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT の同じ行を編集すると,ジャンボ・フレームを無効にすることができます。

3.19.3.3 LANCP ユーティリティの使用方法

LANCP ユーティリティを使用してジャンボ・フレームを有効に設定するには,次の手順に従ってください。

  1. 次のコマンドを発行します。
         $ mc lancp set dev devname/jumbo_frames
    

  2. アプリケーションを起動する前に,前述のコマンドを SYS$SYSTEM:SYSTARTUP_VMS.COM に挿入して,ジャンボ・フレームを有効にします。

ジャンボ・フレームのサポートを無効にするには,jumbo_frames の代わりに nojumbo_frames を指定し,SYS$SYSTEM:SYSTARTUP_VMS.COM ファイルを適切に編集します。

3.20 PCSI 修飾子

OpenVMS バージョン 7.2 から,POLYCENTER Software Installation (PCSI) ユーティリティに,多数の PRODUCT コマンドとともに使用できる新しい修飾子が 2 つ追加されました。

修飾子 説明
/KIT_ATTRIBUTES キットのタイプまたはキットのフォーマット,あるいはその両方でキットが選択できる。
/SPAN_VERSIONS キーワード ABOVE,BELOW,MAXIMUM,MINIMUM を使用してバージョンの範囲を指定できる。

3.21 RMS CONVERT ユーティリティの強化

OpenVMS バージョン 7.2 の CONVERT ユーティリティは,いくつかの点で強化されています。 改善された機能については,次のパラグラフで説明します。 詳細については,『OpenVMS Record Management Utilities Reference Manual』および『OpenVMS Utility Routines Manual』を参照してください。

CONVERT ユーティリティでは,CONVERT と SORT32 ユーティリティの間でファイルの交換が行われるときに,ユーティリティの出力ファイルへのユーザ・アクセスが一時的に可能になるという設計上の問題が解消されています。 これは,ファイルの 2 次キーの FAST ロード処理の際に起こっていました。

以前のバージョンの CONVERT では,ソート操作を実行するために制御を SORT32 ユーティリティに移すたびに,出力ファイルをアンロックする必要がありました。 この間にユーザ・アプリケーションがこのファイルをロックし,CONVERT からのアクセスが不可能になる可能性がありました。 これが起こると,変換プロセスが未完了のまま終了し,一部の 2 次キーが初期化されていない状態のまま残されることになります。 この問題は,出力ファイル名がプロダクション・ファイル名と同じだった場合によく発生していました。

CONVERT の変更は,性能に影響を与えず,省略時の設定ではディスク領域の使用量も増やさないという目標のもとに行われました。 いずれのテスト・ケースでも,CONVERT の性能は以前のバージョンの CONVERT と同等であるか,それよりも高く,作業ファイルに必要なディスク容量も抑えられています。 ユーザが省略時の制約条件を無効にして,ディスク・スペースを犠牲にして性能を高められるように,新しい修飾子 /SECONDARY が追加されています。

3.22 SYSMAN RESERVED_MEMORY: 追加および変更されたサブコマンドと修飾子

連続したページ・フレーム番号 (PFN) のブロックを予約したい場合は,追加および変更された SYSMAN RESERVED_MEMORY サブコマンドを使用すると,それを行うことができます。 以降の各項では,次の事項について説明します。

3.22.1 追加および変更されたサブコマンド

次に,既存の RESERVED_MEMORY サブコマンドの追加および変更された修飾子を示します。

新しい修飾子 /SYSGBL および /[NO]GLOBAL

これらの修飾子は,サブコマンド ADD,FREE,REMOVE,および SHOW で使用できます。

/SYSGBL この修飾子を指定すると,システムのグローバル・メモリ常駐セクションの予約であることを示す。
/GLOBAL_SECTION/NOGLOBAL_SECTION /NOGLOBAL_SECTION を指定すると,メモリ修飾子が,グループまたはシステムのグローバル・セクションではなく,特権アプリケーション用であることを示す。

/GROUP 修飾子に関連する変更

/GROUP 修飾子は,/SYSGBL または /NOGLOBAL_SECTION と併用することはできません。

/ZERO および /ALLOCATE 修飾子の指定方法の改善

OpenVMS バージョン 7.1 では,/ALLOCATE も指定した場合に限り,/ZERO を指定することができました。 新しい動作は次のとおりです。

/GLOBAL_SECTION は現在では省略時の設定であり,バージョン 7.1 で有効だったコマンドはすべてバージョン 7.1 のときと全く同様に動作するため,この変更は,既存のコマンド・プロシージャに何の影響も及ぼしません。

3.22.2 新しい MODIFY サブコマンドとその修飾子

MODIFY 予約済みメモリ・レジストリ・ファイル内の既存のエントリを変更できるようにする。
形式: RESERVED_MEMORY MODIFY gs_name

3.23 システム・パラメータ

OpenVMS Alpha バージョン 7.2 では新しいシステム・パラメータがいくつか導入されました。 表 3-12 にこれらのパラメータとその機能を示します。 OpenVMS システム・パラメータについての詳細は,オンライン・ヘルプおよび『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

表 3-12 新しいシステム・パラメータ

パラメータ 機能
ARB_SUPPORT 多数の COMPAQ およびサード・ベンダのプロダクトでは,OpenVMS で,バージョン 7.2 以前の ARB (Access Rights Block) にとって代わったデータ構造と並行して,ARB および関連するカーネル・モード・データ構造が維持されることを必要とする。 多数のプロダクトは,まだ,新しいスレッドごとのセキュリティ PSB (Persona Security Block) データ構造で正しく動作するように変更されていないため,この要件が継続している。
MAXBOBS0S1 Alpha システム上で,ウィンドウがオブジェクトのバッファ処理のために使用できる 32 ビット・システム・スペースの量の上限を定義する (ページレット単位)。

MAXBOBS0S1 は DYNAMIC パラメータである。

MAXBOBS2 Alpha システム上で,ウィンドウがオブジェクトのバッファ処理のために使用できる 64 ビット・システム・スペースの量の上限を定義する (ページレット単位)。

MAXBOBS2 は DYNAMIC パラメータである。

MPDEV_D1 MPDEV_D1 は Compaq 用に予約されている。
MPDEV_ENABLE MPDEV_ENABLE は,マルチパス・セットの形成を制御する。 MPDEV_ENABLE が ON (1) の場合,マルチパス・セットの形成は有効である。 このパラメータを OFF (0) に設定すると,追加のマルチパス・セットの形成が無効になる。 ただし,パスのフェイルオーバは,既存のマルチパス・セットについては継続される。 省略時の値は ON (1)。

MPDEV_ENABLEはDYNAMIC パラメータである。

MPDEV_LCRETRIES MPDEV_LCRETRIES は,SCSI デバイスにローカルに接続されていないパスやデバイスにMSCPでサービスされているパスに移る前に,SCSI デバイスにローカルに接続されているパスを再試行する回数を指定する。 有効な範囲は 1 から 256。

MPDEV_LCRETRIESはDYNAMIC パラメータである。

MPDEV_POLLER MPDEV_POLLER は,マルチパス・セットのメンバへのパスのポーリングを制御する。 このパラメータを ON (1) に設定すると,ほかのアクティブでないパスのエラーを早期に検出できるようになる。 パスが利用できなくなったり,サービスを再開した場合は,OPCOM メッセージでシステム・マネージャに通知する。 MPDEV_POLLER を OFF (0) に設定すると,マルチパスのポーリングが無効になる。 省略時の値は ON (1)。

MPDEV_POLLER は DYNAMIC パラメータ。

MPDEV_REMOTE MPDEV_REMOTE は,MSCP でサービスされている SCSI デバイスへのパスが,マルチパス・セットのメンバになれるかどうかを制御する。 このパラメータを ON (1) に設定すると,このメンバシップが許可される。 MPDEV_REMOTE を OFF (0) に設定した場合は,新たにマルチパス・セットを形成するのに SCSI デバイスへのローカルなパスだけが使用できる。 ただし,既存のマルチパス・セットのリモート・メンバを含めるパスのフェイルオーバは続行される。 省略時の値は ON (1)。

MPDEV_REMOTE は DYNAMIC パラメータ。

POWEROFF POWEROFF は,システムの電源を落とすためのコンソール・ファームウェアへのソフトウェア要求を可能または無効にする。 このパラメータは,通常は ON (1) にしておいて,ソフトウェアが電源オフを要求できるようにしておく。 ただし,ソフトウェアの電源オフ要求を無効にするために,OFF (0) に設定することができる。

ファームウェアまたはハードウェアの電源オフ要求に対するサポートがインプリメントされていない場合,シャットダウン・プロシージャによってシステムは停止するが,電源はオンのままである。

POWEROFF は DYNAMIC パラメータ。

NPAG_BAP_MIN_PA Alpha システム上で,バス・アドレス可能プールの中の,有効な最も下位の物理アドレスを指定する。
VCC_MAX_CACHE Alpha システム上で,VCC_MAX_CACHE は Compaq 用に予約されている。
VCC_MAX_LOCKS Alpha システム上で,VCC_MAX_LOCKS は Compaq 用に予約されている。
VCC_MINSIZE VAX システム上で,VCC_MINSIZE は仮想 I/O キャッシュが使用するメモリの量 (ページ数) の下限を設定する。
VCC_WRITEBEHIND Alpha システム上で,VCC_WRITEBEHIND は Compaq 用に予約されている。
VCC_WRITE_DELAY Alpha システム上で,VCC_WRITE_DELAY は Compaq 用に予約されている。
WLKSYSDSK Alpha システム上で,各種のブートストラップ・コンポーネントによって,システム・ディスクを書き込みロックされているかのように扱うべきかどうか決定するために使用される。

3.24 テープ密度サポートの強化 (Alpha システムのみ)

バージョン 7.2 より前のバージョンの OpenVMS では,ユーザが磁気テープ装置に設定できた密度の範囲には制限がありました。 OpenVMS バージョン 7.2 では,範囲が拡張されて,特定のテープ装置がサポートする任意の密度を含むようになりました。 この強化により,省略時の設定の密度が異なるテープ装置間でのテープの交換が非常に容易になりました。

複数のテープ密度の使用については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』で説明しています。

次の DCL コマンドを使用して,密度を設定することができます。

これらの DCL コマンドでの /DENSITY 修飾子の使用についての詳細は,『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。

次のシステム管理ユーティリティを使用しても,密度を設定することができます。

これらのユーティリティで /DENSITY 修飾子を使用する方法についての詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

複数のテープ密度サポートは,QIO インタフェースを変更することによって提供されています。 これらの変更では,システム・ライブラリおよび対応するクラス・ドライバ内の装置/密度の表が導入されています。 この機能強化は,標準の MODE_SENSE および MODE_SELECT のメカニズムによって複数のテープ密度をサポートするテープ装置で機能します。 QIO インタフェースは,ライブラリおよびドライバ内の情報を使用して,テープ装置で有効な密度と圧縮を識別してそれに合わせます。

テープ密度のサポートの強化についての詳細は,『OpenVMS I/O User's Reference Manual』を参照してください。

3.25 TCP/IP Services for OpenVMS

OpenVMS バージョン 7.2 では,DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS バージョン 5.0 が,バージョン 4.2 (UCX とも呼ばれている) に取って代わりました。 バージョン 4.2 はもうサポートされていませんが,バージョン 5.0 にアップグレードしたのちも OpenVMS システム上に残ります。 プロダクト名が ULTRIX Connection (UCX) から DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS に変更された数リリース前に始まった変更が,バージョン 5.0 で完了しました。

次の項目では,識別子の UCX が TCP/IP に変更されています。

OpenVMS バージョン 7.2 では,すべての UCX 論理名と下位互換性があり,UCX> コマンドをサポートしています。

新しい TCP/IP には,次のような機能があります。

OpenVMS バージョン 7.2 用のその他の変更は次のとおりです。

これらの機能および変更についての詳細は,DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS バージョン 5.0 のキットに入っているリリース・ノートを参照してください。

DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS のインストール方法についての詳細は,『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS Installation and Configuration』を参照してください。

3.26 Ultra SCSI サポート

Ultra SCSI は DIGITAL によって発明され,後に ANSI SCSI 委員会によって標準化されました。 Ultra SCSI は,その前身である Fast SCSI と比べるといくつかの点で改善されており,SCSI バス上での最大転送速度が 10 MHz から 20 MHz に向上しています。 Wide Ultra SCSI バスでは,これはバスの最大帯域幅が 20 MB/s から 40 MB/s に増大したことを意味しています。

OpenVMS Ultra SCSI は,OpenVMS Alpha バージョン 7.1-1H1 ハードウェア・リリースで初めて導入されました。 OpenVMS バージョン 7.2 は第 3.16.9 項で述べたように,Ultra SCSI サポートをマルチホスト構成にまで拡張しました。

3.26.1 Ultra SCSI デバイスと他の SCSI デバイスの共存

Ultra SCSI デバイスは,非 Ultra SCSI デバイスと同じ SCSI バス上で使用することができます。 たとえば,RZ1DB-VW などの Ultra SCSI 周辺機器を,KZPSA アダプタで非 Ultra SCSI の速度で使用することができます。 さらに,RZ29B などの非 Ultra SCSI 周辺機器を,KZPBA Ultra SCSI ホスト・アダプタで使用することができます。

3.26.2 OpenVMS がサポートしている Ultra SCSI デバイス

OpenVMS がサポートしているすべての Ultra SCSI デバイスとその構成方法の詳細については,注文番号 EK-ULTRA-CG の『StorageWorks UltraSCSI Configuration Guidelines』を参照してください。 また,StorageWorks Ultra SCSI プロダクトに関する情報は,定期更新されている次の Web サイトからも入手できます。

http://www.storage.digital.com

3.27 西暦 2000 年対応

OpenVMS バージョン 7.2 は,西暦 2000 年に完全に対応しています。 OpenVMS のこのバージョンは,OpenVMS バージョン 7.1 および 7.1-1H1 用の Year 2000 キットで出荷されたすべての西暦 2000 年対応の強化機能を含んでいます。

OpenVMS の西暦 2000 年対応の強化機能は,2000 年またはそれ以降の日付のシミュレーションや OpenVMS の徹底的なテストを含めて,OpenVMS オペレーティング・システム全体の厳密かつ包括的な分析の結果です。 これらの西暦 2000 年対応のための修正は,ごくわずかの古くて稀にしか使用されないコンポーネントにだけ影響します。

OpenVMS Year 2000 Web サイトには,2000 年対応のためにお客様の環境をテストする方法について,OpenVMS Year 2000 のリリース・ノートやその他の情報へのリンクがあります。

http://www.openvms.digital.com/openvms/products/year-2000/ (英語版)

http://keymaster.dec-j.co.jp/ic/openvms/y2k/index.html (日本語版)

OpenVMS バージョン 7.2 は Year 2000 DIGITAL Product Warranty に適合しています。 この特殊な保証の詳細については,次の World Wide Web のページを参照してください。

http://www.digital.com/year2000/warranty.asp

OpenVMS は西暦 2000 年に対応していますが,プロダクトが動作する環境も西暦 2000 年に対応していることを確認する必要があります。 Compaq は独自の調査とテストに基づいて,西暦 2000 年関連のほとんどの問題は,もっぱらローカルに開発されたレイヤード・アプリケーションの中で起こるだろうと予想しています。 このため,独自開発したアプリケーションと環境の評価をできるだけ早く開始することが重要です。


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