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1 アップデート抄録

この章では,日本語OpenVMSバージョン7.2およびバージョン7.2-1でアップデートされた機能について説明します。

1.1 ファイル名の最大長の拡張(Alphaのみ)

Alpha V7.2-1

日本語OpenVMSは,V7.2から日本語のファイル名を使用することができます。( 詳しくは第1.2節を参照してください。)

日本語OpenVMS V7.2-1では,以下の日本語ユーティリティで,ファイル名の最大長が従来の42 文字から72文字に拡張されました。

1.2 日本語ファイル名のサポート(Alphaのみ)

Alpha V7.2

日本語OpenVMSでは,標準版OpenVMSの提供するExtended File Specificationsの機能により,日本語のファイル名を使用することができます。

Extended File Specificationsは,ファイル名に使える文字がUnicodeに拡張され,OpenVMS の従来のバージョンに存在するさまざまなファイル名の制約を緩和するファイル処理環境です。Extended File Specifications は,Advanced Serverを使用する環境において,OpenVMSシステムとWindows NT システムの両方で,一貫性のあるファイル処理を可能します。


注意
日本語OpenVMSと日本語Advanced Server で扱える日本語ファイル名の最大長は72文字です。 (一部の機能を除く)

これらの最大長は将来のバージョンで拡張される予定です。


1.2.1 Super DEC漢字コードセットによる日本語ファイル名

日本語OpenVMS V7.2から,ファイル名コンバータを有効にした場合,以下の場所でSuper DEC 漢字コードセットを用いて,ファイル名に日本語を使うことができます。

1.2.2 新しいボリューム構造ODS-5

日本語OpenVMSの日本語ファイル名は,標準版OpenVMSの提供するExtended File Specificationの機能である,Unicodeファイル名を利用しています。Unicode ファイル名は,新しいボリューム構造であるODS-5でのみサポートされているため, 日本語ファイル名もまたODS-5ボリュームでのみサポートされます。


注意
ODS-5ボリューム構造についての詳細は, 『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。

既存のボリュームをODS-5に変換するためには,ディスクを個人マウントした後, 以下のコマンドを入力します。

      $ SET VOLUME /STRUCTURE_LEVEL=5 <device>


注意
一度ODS-5に変換したボリュームを, 従来のODS-2ボリューム構造に戻すことはできません。詳しくは, 『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。

1.2.3 RMSでの日本語ファイル名

1.2.3.1 プロセス単位での日本語ファイル名の使用

ファイル名にSuper DEC漢字コードセットを使用するかしないかは,プロセス単位に設定できます。 日本語OpenVMS V7.2-1では,標準版OpenVMSと同様に, プロセス生成時にはISO Latin-1コードセットを使用します。

ユーザは必要に応じてプロセスの使用するファイルをSuper DEC漢字コードセットに設定することができます。

1.2.3.2 RMSファイル名コンバータ

ファイル名にSuper DEC漢字コードセットを使用するためには,以下のコマンドを入力して,Record Management System (RMS) の拡張機能であるファイル名コンバータを有効にします。

      $ JSY$CONTROL:==$SYS$SYSTEM:JSY$CONTROL.EXE
      $ JSY$CONTROL SET RMS/FILENAME=SDECKANJI

ファイル名コンバータを有効にすると,RMSを経由するファイル名はすべてSuper DEC 漢字コードセットで入出力されます。

ファイル名コンバータを無効にするためには,以下のコマンドを入力します。

      $ JSY$CONTROL SET RMS/FILENAME=DEFAULT

ファイル名コンバータを無効にすると,ファイル名にSuper DEC漢字コードセットを使用することはできません。


注意
JSY$CONTROL SET RMS /FILENAME=...コマンドを実行すると,DCLのファイル名解析スタイルも自動的に切り替わります。 詳しくは,『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。

1.2.3.3 16進数表現による日本語ファイル名

ファイル名コンバータを無効にしている場合は,ファイル名の指定にSuper DEC 漢字コードセットを使うことはできません。ファイル名コンバータを無効にしている場合で, 日本語ファイル名を使用するには,4桁の16 進数を用いてUnicodeの文字コードを指定します。


注意
ファイル名コンバータを無効にしている状態で, ファイル名にSuper DEC漢字コードを入力すると,RMS はそれをISO Latin-1コードとみなして,ファイルにアクセスしようとします。 その結果,エラーが発生したり,または正常動作しているように見えても実際には日本語ではないファイル名が作成されたりする場合があります。

【例】

ファイル名 ファイル名コンバータ有効 ファイル名コンバータ無効
漢字.TXT 漢字.TXT ^U6F22^U5B57.TXT

ファイル名の16進数表現の詳細は,下記マニュアルを参照してください。

1.2.3.4 RMSで日本語ファイル名に使用できる文字

日本語OpenVMSでは,ファイル名コンバータを有効にしている場合,RMS APIで以下の文字をファイル名として使用できます。

    ただし,以下の文字を除く


    C0制御コード(0x00以上,0x1F以下)
    二重引用符(")
    アスタリスク(*)
    ¥記号(¥)
    コロン(:)
    左および右の山括弧(<>)
    スラッシュ(/)
    疑問符(?)

  1. 全角文字

  2. 半角カナ

  3. C1制御コード(0x80以上,0x9F以下)

  4. 16進数表現で示される上記以外の文字

ファイル名コンバータを無効にしている場合は,日本語のファイル名は16 進数表現を用いる必要があります。16進数表現の詳細は,下記マニュアルを参照してください。

1.2.3.5 ファイル名変換規則

ファイル名コンバータを有効にすると,RMSでは入出力されるファイル名を Super DEC 漢字コードとみなし,内部コードであるUnicodeに変換します。 変換規則は以下のとおりです。

  1. 半角文字(JIS Roman文字)

    上位8 bitにゼロを追加し,Unicodeの0x0020〜0x007Eに変換されます。 ファイル名がこれらの文字だけから成る場合は,日本語ファイル名とはみなされないため,Unicode ではなくASCIIに変換されます。

  2. JIS第一水準および第二水準文字

    つぎの例外を除き,Unicodeの対応する文字に変換されます。


    b-1. ISO Latin-1に変換される文字

    以下の文字はISO Latin-1文字とみなされるため,ファイル名にこれらの文字が含まれる場合は, ファイル名が正しく日本語に変換されません。

    文字 SDK Unicode
    ´ A1AD 00B4
    ¨ A1AF 00A8
    ± A1DE 00B1
    × A1DF 00D7
    ÷ A1E0 00F7
    ° A1EB 00B0
    § A1F8 00A7
    A2F9 00B6


    注意
    これらの文字は,日本語ファイル名ではサポートされません。


    b-2.半角文字と重複する全角文字

    全角アルファベットなど半角文字にも同じ文字があるものは, Unicodeでは0xFF01〜0xFF9Fに変換されます。一部の文字は例外的に0xFFxx 以外に変換されます。

    文字 SDK Unicode
    A1C9 201D
    A1C7 2019

  3. 半角カナ

    半角カナはUnicodeの0xFF61〜0xFF9Fに変換されます。

  4. ユーザ定義文字

    日本語OpenVMS V7.2およびV7.2-1ではサポートしていません。ファイル名にユーザ定義文字を使用した場合の動作は不定です。

  5. JIS補助漢字

    日本語OpenVMS V7.2およびV7.2-1ではサポートしていません。ファイル名にJIS 補助漢字を使用した場合の動作は不定です。

  6. IBM選定文字,NEC選定文字

    日本語OpenVMS V7.2およびV7.2-1ではサポートしていません。ファイル名にこれらの文字を使用した場合の動作は不定です。

1.2.3.6 日本語ファイル名の最大長

日本語OpenVMSでは,日本語ファイル名の最大長は,使用するAPIやファイル指定に使用する文字の種類によって変化します。 ファイル指定にはデバイス名とディレクトリ指定, ピリオド,セミコロンとバージョン番号が含まれます。

ファイル名にSuper DEC漢字コードを使用する場合,ファイル指定に含めることのできる全角文字は以下のとおりです。

詳細は,『日本語OpenVMS概説書』および『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。


注意
これらの文字数よりも長いファイル指定をしても,RMS はエラーを発せせずに動作を継続しようとしますが, 結果は保証されません。

1.2.3.7 RMSファイル名コンバータ制御API

日本語ファイル名を使用するかどうかをアプリケーションから制御するために, 以下の新しいAPIが用意されています。

詳しくは『日本語ライブラリ利用者の手引き』を参照してください。

1.2.4 デフォルト・ディレクトリの最大長

デフォルト・ディレクトリを日本語のディレクトリに変更する場合,ファイル指定には最大42 文字の漢字を含めることができます。デバイス名の長さはデフォルト・ ディレクトリの最大長に影響しません。

1.2.5 Unicodeによる日本語ファイル名

RMSを利用せず,$QIOによって直接ファイル・システムにアクセスする場合,Unicode の16ビット文字によって日本語のファイル名を使用することができます。

詳細は,下記マニュアルを参照してください。

1.3 日本語共用イメージの改良

V7.2-1

JSYSHR.EXEおよびJSYSHRP.EXEが共用アドレス・データに対応しました。 これにより以下の点が改善されました。

JSYSHR.EXEやJSYSHRP.EXEを使用する他のアプリケーションは,変更を行う必要はありません。 従来どおり使用できます。

1.4 DEC XTPU/日本語EVE V3

1.4.1 問題点の解決

Alpha V7.2-1

日本語OpenVMS V7.2-1では,次の問題点が解決されました。

1.4.2 文字コード・セットのサポート

V7.2

日本語OpenVMS V7.2では,DEC XTPUおよび日本語EVE V3で新しく以下の文字コードセットがサポートされました。

詳細は『日本語EVEユーザーズ・ガイド』および『日本語EVEリファレンス・ マニュアル』を参照してください。

1.5 日本語DECnet/SNAリモート・ジョブ・エントリ機能の追加

V7.2

日本語OpenVMS V7.2から,新しく日本語DECnet/SNAリモート・ジョブ・エントリが提供するコンバータの機能が追加されました。 対応するユーティリティは次のとおりです。

対応製品 コード変換ユーティリティ コード定義ユーティリティ
日本語DECnet/SNA RJE (Alpha & VAX) JSNACODE JSNAKNJDEF
日本語DECnet/FNA RJE (VAXのみ) JEFCODE JEFKNJDEF
日本語DECnet/HNA RJE (VAX のみ) KEISCODE KEISKNJDEF

詳細は『日本語ユーティリティ 利用者の手引き』を参照してください。

1.6 ドキュメント・セットの変更

V7.2-1

日本語OpenVMS V7.2-1では,次のマニュアルがドキュメント・セットに追加されました。


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