日本語 Advanced Server for OpenVMS

日本語 Advanced Server for OpenVMS

リリース・ノート


2003年2月

本書は,日本語Advanced Server V 7.3A for OpenVMS の日本語関連の新機能および制限事項について説明します。

オペレーティング・システム: 日本語OpenVMS Alpha V7.2-2, V7.3, V7.3-1
   
ソフトウェア・バージョン: 日本語 Advanced Server V 7.3A for OpenVMS


2003年2月

© 2003 日本ヒューレット・パッカード株式会社

Compaq,Compaq ロゴ,Alpha,DCPS,DECnet,OpenVMS,VAX および VMS は, Compaq Information Technologies Group, L.P. の商標です。

Microsoft および Windows は米国 Microsoft 社の商標です。

このドキュメントに記載されているその他の会社名および製品名は,各社の商標または登録商標です。

目次


まえがき

本書の目的

本書では,日本語 Advanced Server 7.3A for OpenVMS の新機能および使用上の注意事項について説明しています。

日本語 Advanced Server for OpenVMS は,標準版の Advanced Server for OpenVMS に対して日本語機能を追加した製品です。標準版で提供される新機能および標準版の機能に関する使用上の注意事項については,標準版のリリース・ノート(『Release Notes』)で説明しています。

本書の構成

本書の構成は以下のとおりです。

第 1 章 本リリースの新機能について説明します。
第 2 章 本リリースで変更された機能について説明します。
第 3 章 既知の問題点と制限事項について説明します。
第 4 章 日本語ドキュメントについて説明しています。

関連資料

以下は標準版 Advanced Server V7.3A のドキュメントです。

『Advanced Server for OpenVMS Concepts and Planning Guide』
『Advanced Server for OpenVMS Server Administrator's Guide』
『Advanced Server for OpenVMS Commands Reference Manual』
『Advanced Server for OpenVMS Guide to Managing Advanced Server Licenses』

以下は PATHWORKS (Advanced Server) V6.0C のドキュメントです。 V6.0C にアップグレードする場合に参照してください。

『PATHWORKS for OpenVMS (Advanced Server) Installation and Configuration Guide』
『PATHWORKS for OpenVMS (Advanced Server) Server Administrator's Guide』
『PATHWORKS for OpenVMS (Advanced Server) Server Migration Guide』

以下は OpenVMS のドキュメントで,Advanced Server に関連するものです。必要に応じて参照してください。

『OpenVMS Alpha V7.3 Upgrade and Installation Manual』
『OpenVMS システム管理者マニュアル』
『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』
『OpenVMS License Management Utility Manual』
『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』
『OpenVMS Connectivity Developer Guide』


第 1 章
新機能概要

この章では,日本語 Advanced Server V 7.3A の新機能について説明します。

日本語 Advanced Server V 7.3A は,標準版Advanced Serverの機能に加えて,次の機能を提供します。

標準版Advanced Serverの機能については,標準版のリリースノート『Advanced Server V 7.3A for OpenVMS Release Notes』を参照してください。

1.1 日本語ファイル名

日本語Advanced Server V 7.3A では,標準版OpenVMSの提供する Extended File Specification の機能により,共有ディスク (ネットワークドライブ) サービスで漢字 (Shift_JIS) のファイル名が作成でき, Windows NT/2000/XP および Windows 95/98 から利用できます。これらのファイルは,日本語OpenVMSからも同じ漢字のファイル名として扱うことができます。

日本語ファイル名に使用できる文字は以下のとおりです。

JIS X 0201 1バイトの英数字(ASCII)・片仮名文字セット
JIS X 0208 2バイトの漢字文字セット(JIS第2水準まで)

ユーザー定義文字はこのバージョンではサポートしていません。また次の文字はWindowsのファイル名に使用できません。


 ¥ / : * ? " < > | 

日本語ファイル名は最大118文字です。スペースや拡張子を含んだ文字数です。ただし使われている文字が半角英数字(ASCII)のみであれば, 215文字です。これはWindows 2000のファイル名の最大長です。

日本語ファイル名を使用する場合は Advanced Server の共有ディスク (share directory) を ODS-5 ディスク上に設定する必要があります。

また日本語OpenVMS V7.3以降を利用している場合は,ADNIMISTAR コマンドラインで漢字ファイル名が利用できます。 SET MODE/RAWコマンドによりファイル名をVTF-7モードからRAW モードに切り替えれば,SET FILE/SHOW FILESコマンドで漢字ファイル名が入力/表示できます。RMSファイルコンバータが有効(sdeckanjiモード)になっていることが必要です。RMSファイルコンバータについては日本語OpenVMSのドキュメントを参照して下さい。

例 1-1 OpenVMSでの日本語ファイル名

$ jsycp := $sys$system:jsy$control.exe 
$ jsycp set rms/file=sdec 
$ jsycp show rms 
The current filename encoding is set to sdeckanji. 
$ admin set mode/raw 
$ admin show share bunko 
 
Shared resources on server "HPOVMS": 
 
Name          Type       Description 
------------  ---------  ------------------------------------------------------- 
BUNKO         Directory  文庫本リスト 
 
  Total of 1 share 
 
$ admin show file/full bunko 
 
Files in: ¥HPOVMS¥BUNKO 
 
  .            <DIR> 
    Permissions:                         Access 
      Administrators                     Full Control (All) (All) 
      Everyone                           Change (RWXD) (RWXD) 
      Server Operators                   Change (RWXD) (RWXD) 
      SYSTEM                             Full Control (All) (All) 
    Audit Events: (None specified) 
    Owner: SYSTEM 
 
  山田風太郎.txt 
    Permissions:                         Access 
      Administrators                     Full Control (All) 
      Everyone                           Change (RWXD) 
      Server Operators                   Change (RWXD) 
      SYSTEM                             Full Control (All) 
    Audit Events: (None specified) 
    Owner: SYSTEM 
 
  Total of 2 files 
 
$ 

1.2 日本語共有名

日本語Advanced Server V 7.3A では,共有ディスクサービスのサービス名 (共有名) として日本語の名前が使用できます。使用できる文字は日本語ファイル名と同じです。

サポートする日本語共有名は最大10文字です。ただし使われている文字が半角英数字(ASCII)のみであれば,12文字です。

例 1-2 OpenVMSでの日本語共有名

$ jsycp := $sys$system:jsy$control.exe 
$ jsycp set rms/file=sdec 
$ admin set mode/raw 
$ admin show share bunko 
$ admin add share/dire "製品" dqa0:[products] /desc="製品リスト" 
%PWRK-S-SHAREADD, share "製品" added on server "HPOVMS" 
 
$ admin show share "製品" 
 
Shared resources on server "HPOVMS": 
 
Name          Type       Description 
------------  ---------  ------------------------------------------------------- 
製品          Directory  製品リスト 
 
  Total of 1 share 
 
$ 

1.3 日本語ユーザ名およびグループ名

日本語Advanced Server V 7.3A では,Advanced Server で使うユーザー名,グループ名として日本語の名前が使用できます。使用できる文字は日本語ファイル名と同じです。

サポートする日本語ユーザー名および日本語グループ名は最大10文字です。

例 1-3 OpenVMSでの日本語ユーザー名

$ jsycp := $sys$system:jsy$control.exe 
$ jsycp set rms/file=sdec 
$ admin set mode/raw 
$ admin show user/ful "山田風太郎" 
 
User accounts in domain "LANGROUP": 
 
User Name             Full Name             Type    Description 
--------------------  --------------------  ------  ---------------------------- 
山田風太郎                                  Global  山田風太郎なユーザー名 
    User profile: 
    Logon script: 
    Home Path: 
    Primary Group: Domain Users 
    Member of groups: Administrators, Domain Users 
    Workstations: No workstation restrictions 
    Logon Flags: Login script is executed 
    Account Type: Global 
    Account Expires: Never 
    Last logon: 12/04/02 01:45 PM 
    Password last set: 12/04/02 01:40 PM 
    Password expires: 01/15/03 01:40 PM 
    Password changeable: 12/04/02 01:40 PM 
    Logon hours: (All hours) 
 
  Total of 1 user account 
 
$ admin logon 
Username: 山田風太郎 
Password: 
The server \HPOVMS successfully logged you on as 山田風太郎. 
Your privilege level on domain LANGROUP is ADMIN. 
The last time you logged on was 12/04/02 01:45 PM. 
 
$ 

1.4 日本語コメント文

日本語Advanced Server V 7.3A では,Advanced Server で使う共有名,ユーザー名,グループ名のコメント文(Description)として日本語が使用できます。使用できる文字は日本語ファイル名と同じです。

サポートする日本語コメント文は最大85文字です。


第 2 章
変更された機能

この章では,日本語Advanced Server V7.3Aで変更された以下の機能について説明します。

2.1 サーバの言語設定

Advanced Server V7.3Aでは「Advanced Server の構成方法」の「サーバの言語設定」に日本語(Japanese)が追加されました。Advanced Serverの構成プロシージャ (sys$update:pwrk$config.com)を実行した場合に「9. Advanced Server language:」で「Japanese」を設定してください。

以前のバージョンの日本語Advanced Serverでは言語の設定にかかわらず,日本語機能が使用できました。詳しくは『インストレーションおよび構成ガイド』の第3.8節を参照してください。

2.2 日本語ファイル名変換ユーティリティ

以前のバージョンのPATHWORKS (LAN Manager) では日本語ファイル名(shift_jisコード)を ODS-2ボリューム用にエンコードしていました。これらのファイル名をODS-5ボリューム上でUnicodeによるファイル名に変換することにより,クライアントから同じ日本語ファイル名のまま利用することができます。詳しくは『インストレーションおよび構成ガイド』の第5.8節を参照してください。

また,Advanced Server V7.3Aでは,日本語以外の文字コードでエンコードされていた場合の変換も行うことができます。日本語ファイル名 (shift_jisコード) を変換する場合には,修飾子 /code_page=sjis を指定してください。

主な手順としては,以下のとおりです。

  1. 以前の共有ディレクトリに使用していたディスクのバックアップを取る。

  2. ディスクをODS-5ボリュームに変換する。

  3. 変換ユーティリティでディスク毎,またはディレクトリ毎にファイル名を変換する。


第 3 章
既知の問題点と制限事項

この章では,日本語 Advanced Server V 7.3A での既知の問題点と制限事項について説明します。

標準版Advanced Serverの制限事項については,標準版のリリースノート『Advanced Server V 7.3A for OpenVMS Release Notes』を参照してください。

3.1 ODS-2 ボリュームでの日本語ファイル名

ODS-2 ボリューム上の共有ディレクトリでは日本語ファイル名をサポートしていません。 ODS-2 によるネットワークドライブでは日本語ファイル名ではなく, 1バイト英数字(ASCII)文字のファイル名を使用してください。

3.2 日本語OpenVMS V7.2-2での ADMINISTER コマンド

日本語OpenVMS V7.2-2では ADMINISTER コマンドでの日本語の入力および表示をサポートしていません。VTF-7 形式(Unicodeのコード利用)で表示されます。VTF-7 形式については日本語OpenVMS のドキュメントを参照してください。

3.3 日本語 DECwindows Motif での日本語ファイル名

日本語 DECwindows Motif では 40 文字以上の日本語ファイル名をサポートしていません。このため,Advanced Serverの共有ディレクトリ中の日本語ファイルをウィンドウ・インタフェースから操作できない場合があります。


第 4 章
日本語ドキュメントについて

日本語 Advsnced Server for OpenVMS V7.3A では,以下のドキュメントを新たに提供しています。

本リリースでは以下のドキュメントを改訂しています。

本リリースでは以下のドキュメントは改訂していません。前バージョンのものがそのままお使いいただけまます。

目次